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○物にもあらずものにもあらず🔗🔉

○物にもあらずものにもあらず それと認めるべき程のものでもない。何でもない。気にかけるに及ばない。源氏物語桐壺「右のおとどの御いきほひは、―おされ給へり」 ⇒もの【物】 ものによせて‐おもいをのぶる‐うた寄物陳思歌‥オモヒ‥ 万葉集で相聞そうもんの小分類。表現手法による部立の一つ。直接ではなく、ある物事に寄せて自分の心情を述べた歌。巻11「をとめらを袖振る山の瑞垣みずかきの久しき時ゆ思ひけり吾は」はその例。→正述心緒歌ただにおもいをのぶるうた もの‐ぬい物縫い‥ヌヒ 裁縫をすること。また、その人。源氏物語早蕨「―いとなみつつ」 ⇒ものぬい‐おんな【物縫い女】 ものぬい‐おんな物縫い女‥ヌヒヲンナ 裁縫を業とする女。 ⇒もの‐ぬい【物縫い】 もの‐ぬし物主】 ①物のもちぬし。物持。 ②(→)物頭ものがしら2に同じ。天正記「羽柴孫七郎秀次、江州の―として」 もの‐ねがい物願い‥ネガヒ 物事を願うこと。また、その願い。宇津保物語藤原君「苦しげなる御―かな」 もの‐ねたみ物妬み】 物事をねたむこと。何かと嫉妬すること。源氏物語若菜下「腹あしくて―打ちしたる」 もの‐ねんじ物念じ】 物事を堪え忍ぶこと。こらえること。我慢。源氏物語浮舟「昔も今も―して」 もの‐の (名詞モノに助詞ノの付いたもの) [一](副詞的に用いて)たかだか。せいぜい。「―五分もすれば」 [二]〔助詞〕 (接続助詞)連体形に付いて、対立・矛盾する関係を示すのに用いる。…のであるが。ものから。ものながら。源氏物語夕顔「つれなくねたき―忘れがたきにおぼす」。「来るには来た―成果はなかった」「知らなかったとは言う―気の毒なことをした」「無事でよかった―気をつけなさい」 もの‐の‐あなた物の彼方】 ①物の向う側。 ②来世。後の世。源氏物語鈴虫「―思ひ給へやらざりけるが」 もの‐の‐あわれ物の哀れ‥アハレ ①平安時代の文学およびそれを生んだ貴族生活の中心をなす理念。本居宣長が「源氏物語」を通して指摘。「もの」すなわち対象客観と、「あはれ」すなわち感情主観の一致する所に生ずる調和的情趣の世界。優美・繊細・沈静・観照的の理念。 ②人生の機微やはかなさなどに触れた時に感ずる、しみじみとした情趣。「―を解する」 もの‐の‐かい‥カヒ 借財。負債。持統紀「―負へる者」 もの‐の‐かず物の数】 数えたてるほどのもの。多く打消の語を伴う。文鏡秘府論保延点「此の事を屑モノノカスニセず」。「―ではない」 もの‐の‐きこえ物の聞え】 世間の噂。評判。源氏物語関屋「―に憚りて」 もの‐の‐ぐ物の具】 ①調度。道具。枕草子87「御―ども運び、いみじうさわがしきにあはせて」 ②武具。具足ぐそく。甲冑。今昔物語集5「万の―・腹帯・手綱・鞦しりかい等」 ③朝服。男子は束帯そくたい。女子は普通、唐衣・裳・表着うわぎ・五衣いつつぎぬをつける礼装。建礼門院右京大夫集「宮の御―召したりし御さまなど」 もの‐の‐け物の怪・物の気】 死霊・生霊などが祟たたること。また、その死霊・生霊。邪気。源氏物語「―いきすだまなどいふものおほく出で来て」。「―に取りつかれる」 ⇒もののけ‐だ・つ【物の怪だつ】 もののけ‐だ・つ物の怪だつ】 〔自四〕 物の怪が取りついたようにみえる。源氏物語浮舟「―・ちて悩み侍れば」 ⇒もの‐の‐け【物の怪・物の気】

広辞苑 ページ 19573 での○物にもあらず単語。