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〔助詞〕 ➊(間投助詞) ①詠嘆の意を表す。万葉集1「籠も―み籠持ち」 ②相手に呼びかける意を表す。万葉集13「隠口こもりくの長谷小国によばひせす吾がすめろき―奥床に母は寝たり」。源氏物語若紫「少納言―、直衣きたりつらむはいづら、宮のおはするか」。浄瑠璃、心中天の網島「勘太郎―お玉―、ばば様おぢ様がおいでぢや」 ③相手に念を押し確かめる意を表す。万葉集4「今しはとゆめ―わが背子わが名告らすな」。徒然草「四部の弟子は―な、比丘よりは比丘尼は劣り」 ➋(終助詞)名詞に付いたり「…てよ」「…のよ」となったりすると女性的な言い方になる。 ①自分の判断を示し、相手に同意を求めたり念を押したりする意を表す。万葉集4「生きてあらば見まくも知らず何しかも死なむ―妹と夢に見えつる」。源氏物語若紫「たはぶれにてももののはじめにこの御事―」。源氏物語玉鬘「げに斯かる人のおはしけるを、知り聞えざりける―」。平家物語3「童は見忘れたれども僧都は何とてか忘るべきなればこれこそそ―と」。謡曲、隅田川「あれこそ沖の鴎―」。「行く―」「行ってもいい―」「いい人だ―」「いい人―」「知らなくって―」 ②命令・勧誘・願望・禁止など、相手にその実現を強く求める意を表す。源氏物語帚木「あこは我が子にてをあれ―」。平家物語9「敵に馬の足をつからかさせ―」。「来るな―」「来ないで―」「早く行こう―」「これも食べるの―」 ③自分自身で確認する意を表す。源氏物語野分「今参れる様にうちこわつくりて簀子の方にあゆみいで給へれば、されば―、あらはなりつらむ」。平家物語9「直実は宵より―」。滑稽本、素人狂言紋切形「ムムさう―、おれにも頼んだつけ」 ④相手を非難する意を表す。「そうか―」「だめじゃないか―」 ➌(格助詞)奈良時代のみに用いられた。→ゆ→より。 ①動作の起点となる所・時を表す。…から。古事記「伊那佐の山の木の間―もい行き守らひ」。万葉集17「我せこをあが松原―見渡せばあま少女ども玉藻刈る見ゆ」。万葉集18「つまのみことの衣手の別れし時―ぬばたまの夜床かたさり」 ②動作の経由点を表す。…から。…を通って。万葉集14「児ろが金門―行かくし良しも」 ③比較の基準を表す。…より。万葉集5「雲にとぶ薬食む―は都見ばいやしきわが身またをちぬべし」 ④動作の手段・方法を表す。…で。古事記「空は行かず足―行くな」。万葉集14「鈴が音のはゆま駅うまやの堤井の水を賜へな妹がただ手―」

広辞苑 ページ 20146 での単語。