おうち【楝・樗】_アフチ ①〔植〕センダンの古名。花は〈[季]夏〉、実は〈[季]秋〉。万葉集5「妹が見し―の花は散りぬべし」。平家物語11「大路を渡して左の獄門の―の木にぞかけたりける」 ②襲_かさねの色目。山科流では、表は薄色（薄紫色）、裏は青。また、表は紫、裏は薄紫。夏に用いる。

かり‐うち【樗蒲】 (「かり」を投げうって勝負を決する意)博奕_ばくちの一種。4個の楕円・扁平の木製物を投げうってあらわれる黒・白・犢_こうし・雉によって勝負をきめる。ちょぼ。

しんじゅ‐さん【神樹蚕・樗蚕】 ヤママユガ科のガ。黄褐色。大形で、開張約13センチメートル。幼虫はシンジュ・ニガキなどの葉を食う。繭は紡錘状で両端がとがり、繰糸は困難。 ⇒しん‐じゅ【神樹】

ちょ‐さい【樗才】 ［荘子逍遥遊］(「樗」は材にならない木)役に立たない人。また、自分の謙称。樗櫟_ちょれき。樗材。

ちょ‐ざい【樗材】 ①役に立たない材木。 ②^（→）樗才に同じ。

ちょ‐ぼ【樗蒲】 ①^（→）「かりうち」に同じ。 ②^（→）「ちょぼいち」に同じ。 ⇒ちょぼ‐いち【樗蒲一】

ちょぼ‐いち【樗蒲一】 中国から渡来した賭博の一種。1個の賽で勝負を争うもの。予定の目が出れば、賭金の4倍を得るという。 ⇒ちょ‐ぼ【樗蒲】

ちょら【樗良】 ⇒みうらちょら（三浦樗良）

ちょ‐れき【樗櫟・樗櫪】 (「樗」も「櫟」も材にならない木)無能の人。役に立たない人。また、自分の謙称。樗才。

樗　字形 〔木部11画／15画／3584・4374〕 〔音〕チョ(漢) 〔訓〕おうち [意味] 木の名。おうち。せんだん。 ▷中国では別種の木をさし、大樹だが役に立たないと『荘子』にあるところから、無用のもののたとえ。「樗櫟_ちょれき」

あふち 【楝・樗】 ⇒おうち（楝）

おうち アフチ 【楝・樗】 （１）栴檀(センダン){（１）}の古名。 〔花は [季]夏，実は [季]秋〕 「木のさまにくげなれど―の花いとをかし/枕草子 37」 （２）襲(カサネ)の色目の名。表は薄紫，裏は青。また，表は紫，裏は薄紫。四，五月に用いる。

かり-うち [0] 【樗蒲】 博打(バクチ)の一。かりと呼ばれる楕円形の平たい四枚の木片を采(サイ)とし，その一面を白，他面を黒く塗り，二つの采の黒面に牛，他の二つの采の白面に雉(キジ)を描き，投げて出た面の組み合わせで勝負を決するもの。中国から伝来。ちょぼ。［和名抄］

しんじゅ-さん [3] 【神樹蚕・樗蚕】 ヤママユガ科の大形のガ。開張約13センチメートル。黒褐色で前後のはねの中央に白い三日月形の斑紋がある。幼虫はシンジュ・ニガキ・キハダなどの葉を食う。日本をはじめアジア各地に分布。

ちょぎゅう チヨギウ 【樗牛】 ⇒高山(タカヤマ)樗牛

ちょ-さい [0] 【樗才】 「樗材」に同じ。

ちょ-ざい [0] 【樗材】 〔荘子（逍遥遊）〕 役に立たない材木。転じて，役に立たない人。また，自分をへりくだっていう語。樗才。

ちょ-さん [0] 【樗散】 〔「樗櫟(チヨレキ)散木」の略〕 役に立たないこと。無能なこと。樗材。樗才。

ちょ-ぼ [1] 【樗蒲】 （１）博打(バクチ)。また，「樗蒲一{（１）}」に同じ。 （２）「かりうち（樗蒲）」に同じ。 （３）（賽(サイ)の目の合計が二一になるところから）白魚二一匹ずつをひとまとめにして数える言葉。のちには二〇匹をもいう。「三―ばかり白魚をすくつて来よう/歌舞伎・勧善懲悪孝子誉」

ちょぼ-いち [0][2] 【樗蒲一】 （１）賽(サイ)を一個使う賭博。目を一つ予測して賭け，当たれば四倍の賭け金が戻り，はずれれば胴親に賭け金をとられるもの。 （２）賽を使う賭博の総称。また，賭け。 （３）でたらめ。いんちき。ぺてん。 （４）割に合わない目にあうこと。とんま。「犬め，乞食め，―め/洒落本・愚人贅漢居続借金」

ちょ-ぼく [0] 【樗木】 （１）ニワウルシの木。 （２）役に立たない木。無用なもの。

ちょら 【樗良】 ⇒三浦(ミウラ)樗良

ちょ-れき [0] 【樗櫟・樗櫪】 〔樗（＝ニワウルシ）も櫟（＝クヌギ）もともに材木としては役に立たないことから〕 役に立たないもの。また，自分をへりくだっていう語。樗散。「我もとより不才の―，今は猶老い朽ちて/鶉衣」