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〔助詞〕 (現代語での発音はワ) ➊(係助詞)体言・副詞・形容詞や助詞などを受け、それに関して説明しようとする物事を取りあげて示す。取りあげるのは既に話題となるなど自明な内容で、その点に、事実の描写などで新たな話題を示す「が」との違いがあるとされる。格を表す語ではなく、主格・目的格・補格など種々の格の部分でも使われる。「は」を受けて結ぶ活用語は、余情を込めるなど特別な意味を表す場合を除いて、通常は終止形で結ぶ。→が。 ①他と区別して取り出していう意を表す。古事記「青山に鵼ぬえ―鳴きぬ」。万葉集20「足ひきの山菅の根し長く―ありけり」。源氏物語桐壺「はじめより我―と思ひ上がり給へる御方々」。「僕が帰るから、君―いなさい」「辛く―あるが頑張る」 ②叙述の題目を提示する。万葉集1「大宮人―船並めて朝川渡り」。竹取物語「石つくりの皇子―心のしたくある人にて」。天草本平家物語「一の谷―、北は山、南は海」。「象―鼻が長い」「酒―静かに飲むのがいい」「花―桜木」 ③連用修飾する語句に続き、前の語句の表す内容を強調する。万葉集2「わぎもこに恋ひつつあらず―秋萩の咲きて散りぬる花にあらましを」 ④不定称の語に付いて、どの一つであってもの意で、全部がそうであることを表す。古今和歌集東歌「みちのくはいづく―あれど塩釜の浦漕ぐ舟の綱手かなしも」。「何―無くとも、あなたさえいればいい」 ⑤仮定条件と解される文脈に用いる。「ば」と濁音化しても使われる(「ば」を未然形に接続する接続助詞とする説もある)。「ずは」は、江戸時代以後「ざあ」と転じて使われることもある。万葉集18「見ず―のぼらじ」。古今和歌集「恋ひしく―とぶらひ来ませ」。勅規桃源抄「卿相にならずわかへるまいと盟ちかうたほどに、不帰かえらぬぞ」。浄瑠璃、長町女腹切「逢たく―、半七ばかり明日おぢや」。いろは文庫「もしそれともに、途みちで逢はずば、観音堂で待合はさう」。歌舞伎、青砥稿花紅彩画「知らざあ言つて聞かせやせう」。「相手に知られて―困る」「行かず―なるまい」→ば。 ➋(終助詞)文末にあって余情・詠嘆の意を表す。万葉集20「今日よりは顧みなくて大君の醜の御楯と出で立つ我―」。伊勢物語「いかがはせむ―」→わ。 ➌(格助詞)方向を表す「へ」の上代東国方言。万葉集20「我が背なを筑紫―遣りてうつくしみ帯えひは解かななあやにかも寝む」

広辞苑 ページ 15485 での単語。