おぼし・い【思しい】 （形） 思われる。見える。「犯人と―・き男」

おぼしめし【思し召し】 (１)お考え。お気持ち。「神様の―」 (２)金額を払う人の考えに任せること。「見料は―で結構です」 (３)（俗な言い方で）異性にひかれる気持ち。恋心。「―がある」

おぼしめ・す【思し召す】 （動五） 「思う」の尊敬語。お思いになる。「哀れと―・してお見逃し下さい」

おもい【思い】 (１)思うこと。「―にふける」 (２)感じること。経験。「いやな―」 (３)予想すること。「―どおり」 (４)気にかけること。「親―」 (５)願い。「―がかなう」 (６)恋心。「―を寄せる」 (７)恨み。にくみ。「―を晴らす」

おもいあ・う【思い合う】 （動五） 愛し合う。「互いに―・った仲」

おもいあがり【思い上がり】 うぬぼれ。

おもいあが・る【思い上がる】 （動五） うぬぼれる。いい気になる。

おもいあた・る【思い当たる】 （動五） なるほどと気づく。「―・るふしがある」

おもいあわ・せる【思い合わせる】 （動下一） あれこれ比べて考える。

おもいいれ【思い入れ】 (１)深く心にかけて思うこと。執心。 (２)歌舞伎で，言葉によらずに心理を表現する演技。 (３)芝居がかった動作や表情。「―たっぷりの動作」

おもいうか・べる【思い浮かべる】 （動下一） 心の中に描く。思い出す。

おもいえが・く【思い描く】 （動五） 情景などを想像して頭の中に描く。「新しい生活を―・く」

おもいおこ・す【思い起こす】 （動五） 過去のことを思い出す。「学生時代を―・す」

おもいおもい【思い思い】 （副） 各自が思ったまま。「―の出で立ち」

おもいかえ・す【思い返す】 （動五） (１)過ぎ去ったことを思い浮かべる。「学生時代を―・す」 (２)考え直す。

おもいがけず【思い掛けず】 （副） 思いも寄らず。意外にも。「―大金が入る」

おもいがけな・い【思い掛け無い】 （形） 意外だ。予期しない。「―・い好運」

おもいかねのかみ【思兼神・思金神】 記紀神話の神。思慮の神。天照大神（あまてらすおおみかみ）を天の岩屋から誘い出す方法を考え出した。天孫降臨に従う。

おもいきった【思い切った】 （連語） おどろくほど大胆な。「―処置」

おもいきって【思い切って】 （連語） 決意を固めて。「―やってみる」

おもいきや【思いきや】 （連語） 意外にも。「―再び会えるとは」

おもいきり【思い切り】 [１]あきらめること。「―が悪い」 [２]（副） したいと思うだけ。存分に。「―身体を動かす」

おもいき・る【思い切る】 （動五） (１)きっぱりあきらめる。「進学を―・る」 (２)固く決心する。

おもいこみ【思い込み】 思い込むこと。

おもいこ・む【思い込む】 （動五） (１)そうだと信じきる。「本当だと―・む」 (２)固く決心する。「―・んだら命がけ」

おもいし・る【思い知る】 （動五） 身にしみて悟る。「未熟さを―・る」

おもいすごし【思い過ごし】 考えすぎること。取り越し苦労。

おもいすご・す【思い過ごす】 （動五） よけいなことまで考えて気をもむ。

おもいだしわらい【思い出し笑い】 何かを思い出してひとりで笑うこと。

おもいだ・す【思い出す】 （動五） 過去のことや，忘れていたことを心の中に思い浮かべる。

おもいた・つ【思い立つ】 （動五） 何かをしようと決心する。「―・って旅に出る」

思い立つ日が吉日（-思い立ったが吉日） 物事は，思い立ったらすぐに始めよ。

おもいちがい【思い違い】 間違った思い込み。

おもいつき【思い付き】 (１)ふと心に浮かんだこと。 (２)よい考え。よい工夫。

おもいつ・める【思い詰める】 （動下一） そのことをいちずに考え悩む。「―・めた表情」

おもいで【思い出】 (１)前にあった事柄を心に浮かべること。また，その内容。「―にふける」 (２)昔を思い浮かべる材料となる事柄。「―の品」（「想い出」とも書く）

おもいで【思ひ出】 詩集。北原白秋作。1911 年（明治 44）刊。郷里の福岡県柳川における幼年時代を，南蛮趣味の残る風物を背景に追憶した抒情詩集。

おもいでばなし【思い出話】 昔を思い出してする話。回想談。「―に花が咲く」

おもいどおり【思い通り】 思っているとおり。「すべてが―になった」

おもいなお・す【思い直す】 （動五） 考えを変える。考え直す。

おもいなしか【思い做しか】 （副） そう思うためか。「―顔色が悪いようだ」

おもいのこ・す【思い残す】 （動五） しておくべきだったという気持ちが残る。「―・すことはない」

おもいのたけ【思いの丈】 慕う心のすべて。思いのかぎり。「―を述べる」

おもいのほか【思いの外】 （副） 予想と違って。思いがけず。「―よくできた」

おもいば【思い羽】 オシドリ・クジャク・カモ・キジなどの，尾の両脇にあるイチョウの葉形の羽。剣羽（つるぎば）。

おもいめぐら・す【思い巡らす】 （動五） あれこれと考える。思案する。

おもいもの【思い者】 (１)恋人。愛人。 (２)めかけ。情婦。

おもいやり【思い遣り】 その人の身になって考えること。心づかい。同情。「―のない仕打ち」

おもいや・る【思い遣る】 （動五） (１)その人の身になって考える。「他人を―・る」 (２)思いを馳（は）せる。「故郷の両親を―・る」 (３)（「おもいやられる」の形で）悪い状態になるのではと心配する。「先が―・られる」

おも・う【思う】 （動五） (１)判断する。「それは正しいと―・う」 (２)推量する。「今夜は雨になると―・う」 (３)想像する。「将来のことを―・う」 (４)希望する。「―・うようにいかない」 (５)感じる。「悲しく―・う」 (６)強く心にかかる。「母を―・う」

思う念力（ねんりき）岩をも通す 精魂こめてすれば，できないことはない。

おもうぞんぶん【思う存分】 （副） 心に思うかぎり。十分に。「―（に）食べる」

おもうつぼ【思う壺】 期待したとおりになること。「敵の―だ」

おもうに【思うに・惟うに】 （副） 考えてみると。

おも・える【思える】 （動下一） 自然と思われる。「人のしわざとは―・えない」

おもわく【思惑・思わく】 〔思うこと，の意。「惑」は当て字〕 (１)見込み。期待。「―がはずれる」 (２)評判。「世間の―」

おもわくうり【思惑売り】 相場の値下がりを見込んで売ること。見越し売り。⇔思惑買い

おもわくがい【思惑買い】 相場の値上がりを見込んで投機的に買うこと。見越し買い。⇔思惑売り

おもわくし【思惑師】 思惑で売買をする人。相場師。→山師

おもわし・い【思わしい】 （形） 〔普通，打ち消しを伴う〕 望ましい。よいと思われる。「病状が―・くない」

おもわず【思わず】 （副） 意識せずに。知らずに。考えずに。「―口走る」

おもわせぶり【思わせ振り】 人に気をもたせるような態度や振る舞いをすること。「―なことを言う」

おもわぬ【思わぬ】 （連語） 思いもよらない。意外な。「―誤解」

しあん【思案】 (１)考えをめぐらすこと。「―に暮れる」 (２)心配。「―の種」

しあんがお【思案顔】 深く考えこんでいる顔つき。

しあんどころ【思案所】 よく考えねばならない場合。「ここが―」

しあんなげくび【思案投げ首】 名案が浮かばず，困りきっていること。「―の体（てい）」

しあんばし【思案橋】 渡ろうか渡るまいかと，思いあぐねるという橋。本来は橋占（はしうら）の行われた所という。

しい【思惟】 (１)考えること。思考。しゆい。 (２)〔哲〕⇒思考

しいけいざい【思惟経済】 ⇒思考経済

しぎ【思議】 思いはかること。

しこう【思考】 (１)考えること。また，その考え。「誤った―」 (２)〔哲〕〔thinking〕 意志・感覚・感情・直観などと区別される人間の知的作用の総称。物事の表象を分析して整理し，あるいはこれを結合して新たな表象を得ること。思惟（しい）。

しこうけいざい【思考経済】 〔（ド） Denkkonomie〕 できるだけ多くの事実をできるだけ少ない思考の労力で記述することを科学的認識の目標と考える説。マッハらによって説かれた。思惟（しい）経済。

しこうじっけん【思考実験】 〔物〕実行可能性にとらわれず，単純化された装置などの条件を想定して，そこで起こると考えられる現象を理論的に追究すること。

しこうしょうがい【思考障害】 〔心〕思考の過程や内容，体験様式に異常をきたすこと。思考制止・観念奔逸や，妄想，強迫観念などがある。

しこうのげんり【思考の原理】 論理的な思考において欠くことのできない根本的な法則。普通，同一律・矛盾律・排中律・充足理由律の四つをさす。

しさく【思索】 筋道を立てて深く考えること。思惟。

ししゅんき【思春期】 児童期から青年期への移行期。または青年期の前半。第二次性徴が現れ，異性への関心が高まる，11〜12 歳から 16〜17 歳頃。春機発動期。青春期。

ししゅんきやせしょう【思春期痩せ症】 ⇒神経性食欲不振症

しそう【思想】 人がもつ，生きる世界や生き方についての根本的な考えで，その人の生き方・考え方を規定する。社会的・政治的な性格をもつものをいう場合が多い。

しそうか【思想家】 思想を，深く豊かにもっている人。思想の面で，社会的影響力をもっている人。

しそうけいさつ【思想警察】 反政府的ないし反体制的思想の取り締まりを任務とする警察。

しそうげき【思想劇】 人生観・世界観・宗教観などを主題とする劇。イプセン・ストリンドベリ・ショーなどの劇の類。

しそうのじゆう【思想の自由】 人がどのような思想をもっていても，それを理由に社会的不利益を受けることのない自由。基本的人権の一。

しそうはん【思想犯】 (１)確信犯の一。思想上の主義主張の相違による犯罪。 (２)もと治安維持法に触れる犯罪の通称。また，その犯罪者。

しちょう【思潮】 ある時代の思想の主な流れ。「時代―」

しねん【思念】 心に思うこと。常に心にかけること。「―をこらす」

しべん【思弁】 (１)よく考えてものの道理をわきまえること。 (２)〔哲〕〔（ギ） theria; （ラ） speculatio〕 純粋な思惟・理性のみによって事物の真相に到達しようとすること。理論。観想。

しべんてつがく【思弁哲学】 思弁を根拠・方法とする哲学。特に，ドイツ観念論哲学をさしていう場合がある。

しぼ【思慕】 したうこと。恋しく思うこと。「―の念」

しりょ【思慮】 いろいろと慎重に考えること。おもんぱかり。

しりょう【思料・思量】 いろいろと考えること。思慮。

【思】 〔画　数〕9画　− 常用漢字 〔区 点〕2755〔ＪＩＳ〕3B57〔シフトJIS〕8E76 〔音 訓〕シ・おもい・おもう 〔名乗り〕おもい・こと 〔熟語一覧〕 →意思（いし） →意思機関（いしきかん） →意思決定（いしけってい） →意思決定論（いしけっていろん） →意思能力（いしのうりょく） →石橋思案（いしばししあん） →意思表示（いしひょうじ） →意思無能力者（いしむのうりょくしゃ） →思しい（おぼしい） →思し召し（おぼしめし） →思し召す（おぼしめす） →思い（おもい） →思い合う（おもいあう） →思い上がり（おもいあがり） →思い上がる（おもいあがる） →思い当たる（おもいあたる） →思い合わせる（おもいあわせる） →思い入れ（おもいいれ） →思い浮かべる（おもいうかべる） →思い描く（おもいえがく） →思い起こす（おもいおこす） →思い思い（おもいおもい） →思い返す（おもいかえす） →思い掛けず（おもいがけず） →思い掛け無い（おもいがけない） →思兼神・思金神（おもいかねのかみ） →思い切った（おもいきった） →思い切って（おもいきって） →思いきや（おもいきや） →思い切り（おもいきり） →思い切る（おもいきる） →思い込み（おもいこみ） →思い込む（おもいこむ） →思い知る（おもいしる） →思い過ごし（おもいすごし） →思い過ごす（おもいすごす） →思い出し笑い（おもいだしわらい） →思い出す（おもいだす） →思い立つ（おもいたつ） →思い違い（おもいちがい） →思い付き（おもいつき） →思い詰める（おもいつめる） →思い出（おもいで） →思ひ出（おもいで） →思い出話（おもいでばなし） →思い通り（おもいどおり） →思い直す（おもいなおす） →思い做しか（おもいなしか） →思い残す（おもいのこす） →思いの丈（おもいのたけ） →思いの外（おもいのほか） →思い羽（おもいば） →思い巡らす（おもいめぐらす） →思い者（おもいもの） →思い遣り（おもいやり） →思い遣る（おもいやる） →思う（おもう） →思う存分（おもうぞんぶん） →思う壺（おもうつぼ） →思うに・惟うに（おもうに） →思える（おもえる） →思惑・思わく（おもわく） →思惑売り（おもわくうり） →思惑買い（おもわくがい） →思惑師（おもわくし） →思わしい（おもわしい） →思わず（おもわず） →思わせ振り（おもわせぶり） →思わぬ（おもわぬ） →親思い（おやおもい） →片思い（かたおもい） →近思録（きんしろく） →近代思想（きんだいしそう） →啓蒙思想（けいもうしそう） →再思（さいし） →左思（さし） →三思（さんし） →思案（しあん） →思案顔（しあんがお） →思案所（しあんどころ） →思案投げ首（しあんなげくび） →思案橋（しあんばし） →思惟（しい） →思惟経済（しいけいざい） →思議（しぎ） →思考（しこう） →思考経済（しこうけいざい） →思考実験（しこうじっけん） →思考障害（しこうしょうがい） →思考の原理（しこうのげんり） →思索（しさく） →子思（しし） →史思明（ししめい） →思春期（ししゅんき） →思春期痩せ症（ししゅんきやせしょう） →思想（しそう） →思想家（しそうか） →思想警察（しそうけいさつ） →思想劇（しそうげき） →思想の自由（しそうのじゆう） →思想犯（しそうはん） →思潮（しちょう） →思念（しねん） →思弁（しべん） →思弁哲学（しべんてつがく） →思慕（しぼ） →秋思（しゅうし） →熟思（じゅくし） →所思（しょし） →思慮（しりょ） →思料・思量（しりょう） →深思（しんし） →新思潮（しんしちょう） →神仙思想（しんせんしそう） →垂直思考（すいちょくしこう） →水平思考（すいへいしこう） →静思（せいし） →千思（せんし） →相思（そうし） →相思相愛（そうしそうあい） →相思鳥（そうしちょう） →チュチェ思想（チュチェしそう） →沈思（ちんし） →追思（ついし） →七不思議（ななふしぎ） →半跏思惟像（はんかしいぞう） →引っ込み思案（ひっこみじあん） →不可思議（ふかしぎ） →不思議（ふしぎ） →不思議の国のアリス（ふしぎのくにのアリス） →摩訶不思議（まかふしぎ） →末法思想（まっぽうしそう） →物思い（ものおもい） →森田思軒（もりたしけん） →李思訓（りしくん） →老荘思想（ろうそうしそう）