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し‐ぞ・く【退く】🔗⭐🔉
し‐ぞ・く【退く】
(「し」は「しり」「しりえ」の意)
〔自カ四〕後方にひきさがる。うしろにさがる。しりぞく。*土左「風吹きて、こげどもこげどもしりへしぞきにしぞきて」
〔他カ四〕遠ざける。追いはらう。しりぞける。*弥勒上生経賛平安初期点「仏を去(シソキ)て時遥かに」


しり‐ぞ・く【退く】🔗⭐🔉
しり‐ぞ・く【退く】
(「しり(後)そく(退)」で、後方へ離れるの意)
〔自カ五(四)〕
1 あとへひく。ひきさがる。後ろへのく。しぞく。「後方へ退く」*竹取「あななひをこぼちて、人みなしりぞきて」
2 その場を離れて出て行く。かえる。退出する。多く、貴人、目上の人などの前から退出するのをいう。「御前を退く」*徒然草‐六六「禄をいださるればかたにかけて拝してしりぞく」
3 隠退する。身をひく。官職をやめる。「官界を退く」*滑・風流志道軒伝‐五「功成名遂て、身しりぞくは」
4 へりくだる。けんそんする。ひかえめにする。*源氏‐明石「しりぞきて咎なし」
5 (他動詞的に用いて)しりぞける。遠ざける。*こんてむつすむん地‐一・一九「又みもなきよろこびをしりぞき、はつとのしたに六こんをよくおさめまもるべし」
〔他カ下二〕⇒しりぞける(退)


そ・く【退く】🔗⭐🔉
そ・く【退く】
(「そ」は「背(そ)」で「そむく」と同源か)
〔自カ四〕遠く離れる。遠ざかる。離れる。さがる。しりぞく。のく。*古事記‐下・歌謡「雲離れ曾岐(ソキ)居りとも我忘れめや」
〔他カ下二〕離す。遠ざける。しりぞかせる。取り去る。*土左「あしこぎそけてみふね来にけり」


ど・く【退く】🔗⭐🔉
ど・く【退く】
〔自カ五(四)〕その場を離れる。そこから他の場所に移る。しりぞく。のく。*人情・英対暖語‐三「私が急に退(ドコ)ふとしたら」
〔他カ下二〕⇒どける(退)


の・く【退く】🔗⭐🔉
の・く【退く】
〔自カ五(四)〕
その位置・立場から離れ去る。また、位置をへだてる。
1 今までいた場所から離れ去る。どく。たちのく。*源氏‐手習「けはひもきこえぬべければ、のきぬ」
2 距離をおく。場所が離れる。*狭衣‐四「居給べき所と見ゆるは、寺よりは少しのきてぞありける」
3 逃げる。退却する。*平家‐一一「しばしもこらへず、二町ばかりざっと引いてぞのきにける」
4 地位を離れる。*大鏡‐二「関白のかせたまひにき」
5 関係がなくなる。縁が切れる。離縁する。また、「のいた」の形で、関係がない、無縁だの意で用いる。→のいた仲。*源氏‐浮舟「思も譲りつべく、のく心ちし給へど」
6 ついていたものが離れる。取れる。*虎寛本狂言・呂蓮「何と御草臥はのきましてござるか」
補助動詞。動詞の連用形に「て」の付いた形に付いて、「…てしまう」の意を表す。*仮・竹斎‐下「瘡(かさ)の病の癖として、鼻は腐りて落ちければ、脛(すね)は折れてぞのきにける」
〔他カ四〕
1 (除)除く。他と区別する。「いとのきて」の形で、慣用句的に用いられる。→いと(最)のきて。
2 (遺)残す。*仏足石歌「石の上を土と踏みなし足跡(あと)乃祁(ノケ)るらむ貴くもあるか」
〔他カ下二〕⇒のける(退)
●退いた仲
1 かかわりのない間柄。
2 下に打消の語を伴って、たいした違いはないこと、似たようなものであることの意で用いる。五十歩百歩。*ありべかかり‐上「翁も高い声はならぬ、あまり除(ノイ)た中ではない」
●退かぬ
切っても切れない縁つづきの。関係浅からぬ。親族などの間柄についていう。*浄・長町女腹切‐上「お花ものかぬ身のうへとかたるも聞も主の内」





ひ・く【引く・退く・曳く・牽く・惹く・弾く・挽く・碾く・轢く】🔗⭐🔉
ひ・く【引く・退く・曳く・牽く・惹く・弾く・挽く・碾く・轢く】
〔他カ五(四)〕(引・曳・牽)
対象を手もとに近づけようと力を加える。
1 手繰り寄せる。引っぱる。⇔押す。*竹取「綱をひき過して」
2 弓の弦(つる)を張り絞る。射る。*源氏‐東屋「弓をなんいとよくひける」
3 草木・毛など、生えているものを抜き取る。*万葉‐四一四「菅の根を引(ひか)ば難みと」
4 (惹)人を誘う。気持を近寄せるようにさせる。「気(同情)をひく」「人目をひく」*源氏‐胡蝶「内の大殿の君だちは、この君にひかれて」
5 借りる。金品を提供させる。*伎・鬼若根元台‐本所源平橋の場「売物はわしが問屋を引いておいたから」
自分につき従うように力を加える。ひき寄せながら移動する。
1 綱をつけたりして後ろから従い動くようにさせる。*宇津保‐祭の使「御馬どもをひかせて」
2 ひきいる。伴う。連行する。*宇津保‐沖つ白浪「宰相、中将たち<略>、みこたちひきて参り給」
3 足や裾を床・地面などに触れたまま動かす。ひきずる。「裾を引く」*源氏‐末摘花「袿の裾にたまりてひかれたるほど」
4 ひきずって持って行く。*浮・好色一代女‐四「白猫<略>たとへ肴を引(ヒク)とても」
多数の中から選んで採り上げる。
1 例として挙げる。引用する。列挙する。「用例を引く」*源氏‐夕霧「世のためしにもひかれ給ふべきなめり」
2 書物などの中から捜し求める。調べる。「辞書を引く」*古今著聞集‐五・一八九「堀川院の御百首をひきて」
3 多くの中から選んでとり出す。「籤を引く」*讚岐典侍‐下「うつくしと見しをえひきあてで」
4 身近なものとして贔屓(ひいき)にする。後ろだてをして人を引き立てる。*今鏡‐五「この弟の左の大臣を院とともにひき給ひて」
自分の体に受け入れる。身に及ぼす。
1 吸い込む。風邪にかかる。*源氏‐明石「浜風をひきありく」
2 浴びる。入浴する。*平家‐一〇「御湯ひかせたてまつる」
3 酒を飲む。*伎・音聞浅間幻灯画‐五幕「酒を二升引(ヒ)かうと思ひ」
4 先祖からの形質などを受け継ぐ。「父の血をひいている」
物を前後または左右に動かす。
1 (弾)弦をかき鳴らす。弦楽器を奏でる。また、鍵盤楽器を奏する。「ピアノ(バイオリン)をひく」*枕‐二一七「ひくものは琵琶」
2 (挽)刃物を動かして切ったり削ったりする。また、ろくろがんなで工作する。刻む。*宇津保‐吹上上「轆轤(ろくろ)にひきて」
3 (挽・碾)穀物・茶や肉などをひきうすなどで磨り砕く。*御湯殿上日記‐明応三年一一月二〇日「さいりんあんよりひきたる御ちゃ」
4 体を後退させる。*日葡辞書「コシヲ fiqu(ヒク)」
長くのばしたり、広くひろげたりする。
1 声をのばす。続けて声を出す。「声を長くひいて吟ずる」
2 印を長くのばす。線状に描く。「線を引く」*枕‐二九四「上に引き渡しける墨の」
3 糸など細長いものを繰って延ばす。*万葉‐一八〇〇「小垣内の麻を引(ひき)干し」
4 (水などの通り道をつくって)導いて中に入れる。引き入れる。「ガス(電話)を引く」*大唐西域記巻十二平安中期点「田に漑(ヒ)く」
5 (「目をひく」の形で)目くばせをする。*車屋本謡曲・鉢木「目を引きゆびをさし笑ひあへる」
6 とばりなど巻いてある物を繰り広げる。張り渡す。*更級「幕などひきたり」
7 隊列を整える。*平家‐五「近衛階下に陣をひき」
8 (武者詞で)敵方が幕を張るのにいう。*大極流武者詞集「引
幕敵の幕に云詞也」
9 一面に敷きつめる。上方で、「敷く」ことをいう。*伊勢集「砂ごひかせけるに」
10 延べて塗り付ける。刷毛(はけ)・筆などでひっぱるように塗る。*浮・日本永代蔵‐二「上紙に引(ヒク)糊」
11 平らにする。*日葡辞書「ヂヲ fiqu(ヒク)」
用意して供する。
1 贈物をする。引出物を与える。*今鏡‐七「布施に馬をひき給へりける」
2 配る。当てる。*平家‐四「これを告々峯々にひかれけるに」
取り除いて、なくしたり減らしたりする。差し引く。また、その場から退かせる。
1 取りはずす。取り去る。*平家‐九「宇治・勢田の橋をばひいて候らん」
2 一定の数からある数を除く。減ずる。また、値段を下げる。安くする。「一〇から五を引く」*滑・浮世床‐初「五分でも引(ヒ)かぬ」
3 (退)後方へしりぞかせる。さげる。*日葡辞書「ヂンヲ fiqu(ヒク)」
4 将棋で、後ろにききのある駒を、そのききにそってうしろに動かす。また、ビリヤードで、手球の下部を突き、的球に当たった手球を逆回転させてもどす。
(轢)車輪が人や物を下に敷いて通過する。「車にひかれる」
〔自カ五(四)〕(引・退)
1 後ろへ下がる。後ろへ遠のく。「潮が引く」*源氏‐紅葉賀「ひきて帰りし波の名残りに」
2 立ちのく。逃げ去る。退却する。たじろぐ。*今昔‐二九・一「此れを聞きて、引て去りけり」
3 引退する。現役でなくなる。また、学校をやめる。*伎・貞操花鳥羽恋塚‐大切「常盤木さんは、見世を引(ヒ)いて居る」
4 たくさんあるものが少なくなる。洪水などが収まる。「熱が引く」*日葡辞書「ミヅガ fiqu(ヒク)」
〔自カ下二〕⇒ひける(引)
●引きも=切らず[=切らない・切れない]
絶え間がない。ひっきりなしである。次次と続く。
●引く方(かた)
引く方面。縁に引かれる方面。また、心にかけている人。贔屓(ひいき)する人。
●引く手(て)
1 子の日の小松や菖蒲の根などを引き抜く手。
2 誘う人。誼(よしみ)を求める人。
3 舞の手の名。手を手前へひくこと。
●引く手(て)数多(あまた)
誘う人が多いこと。求める人が多いさま。
●引くに引かれず
退きたいと思っても退くわけにいかない状況にある。













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