
上・挙

体の一部分が高い位置に移る。
「怒るとすぐに手が━」
「四十肩で手[腕]が━・らない」
「『賛成!』と、勢いよく手が
挙がる」
「〔相撲で〕あごが━・って上体が起きる」
「先輩に頭が━・らない」
「機体の機首が━」
「起き━・立ち━・伸び━」

上・揚

物が空間を動き進んで高い位置に移る。
「熱気球が空中を━・ってゆく」
「炎
ほのお[狼煙
のろし・火の手・噴煙・しぶき・跳ね・花火]が━」
「日章旗が
揚がる」
「凧
たこが
揚がる」

上・揚

持ち上げられたり巻き上げられたりして物が高い位置に移る。
「幕[ブラインド・軍配・遮断機]が━」

上

《「━・っている」の形で》釣り合いを失って、一方が高い位置にある。つり上がっている。
「右の肩が少し━・っている」

上・揚

水上・水中から陸に移る。
「海兵隊が上陸用舟艇で岸に━」
「ウミガメが浜に━」
「陸
おかに━・った河童
かっぱ」
「風呂
ふろから━」

上陸する意では、「揚がる」とも。

上・揚

魚が漁獲されて陸に上げられる。また、物が水中・海底から陸に引き揚げられる。
「今日はマダイが五匹━・った」
「港には寒ブリが続々と
揚がって(=水揚げされて)いる」
「沈没船から金銀財宝が━」

上

室内に入る。
「遠慮なくお━・り下さい」
「座敷に━・って待つ」
「教室内には土足で━な」

上・揚

遊郭に入って遊ぶ。登楼する。
「妓楼
ぎろうに━」

「

登楼

る」とも当てる。

上

演じるために周囲より一段高くしつらえられた所に移る。
「証言台に━」
「舞台[土俵・リング]に━」

上

「行く」「訪ねる」の謙譲語。行ったり訪問したりする先の人物を高める。伺う。参上する。
「今すぐお宅にお届けに━・ります」

上

京都の市内で、北へ向かって行く。
「先斗町を少し━・った所」
◇御所が町の北部にあったことから。

上

上の段階や等級に進む。特に、(上の)学校に進む。
「初段から二段に━」
「係長から課長に地位が━」
「五番から二番に順位[格付け・ランキング]が━」
「高校から大学に━」
「六歳で小学校に━」

上

今までより物事の程度が高くなる。
「投票率が五パーセント━」
「気温[脈拍]が━」
「質[能率・評価・調子]が━」
「スピード[ペース・ピッチ]が━」
「成績[レベル]が━」
「腕前が━」
「貯水池の水位が━」

上・騰

値段や給料が高くなる。
「物価[学費・家賃・基本給]が━」

挙

はっきりと目立つ形で名前や事柄が掲げ示される。
「有力候補として三人の名前が━・っている」
「ベストテン[ブラックリスト]に名前が━」
「優勝候補の下馬評
げばひょうに━」
「証拠[ねた]が━」
「非難のやりだまに━」

上・挙

はっきりと目立つ形で好ましい結果が生み出される。
「毎月アパートから家賃が━」
「利益[効果]が━」

上・挙

感動の声や意気込みなどが勢いよく起こる。わき上がる。
「歓声[悲鳴・笑い声・鬨
ときの声]が━」
「あちこちで不満の声が━」
「気勢[士気・意気]が━」

一般には「上」。意味を強めて「挙」とも。

挙

検挙される。
「犯人[被疑者・星]が━」

〔血が頭に上がる意から〕緊張が過ぎて平常心を失う。
「人前に出ると━」
「入試では━・って失敗した」

「

逆上

る」とも当てる。

揚

食材が熱い油で煮られる。また、そのようにして揚げ物ができる。
「エビがからりと━」
「天ぷら[豚カツ]が━」

上

神仏に供えられる。
「お供え[線香]が━」

上

使用人として仕える。奉公に出る。
「お屋敷[宮中・大奥]に━」

上

《「名が━」などの形で》有名になる。
「新進作曲家として名が━」
「一夜にして文名が━」

上

続いていた現象が終わりになる。終わる。
「夕立[梅雨・生理]が━」
「脈が━(=絶命する)」

上

仕事が終わ(って作品ができあが)る。
「仕事が━・ったら映画に行こう」
「工事は一か月で━予定だ」
「一八ホールをイーブンパーで━」
「あと三日もすれば原稿が━」
「染め物がきれいに━」

上

稽古
けいこ事などで、一つの作品を習い終わる。
「一年がかりでやっと初級が━・った」

上

ある金額(特に、安い金額)の費用で済む。まかなえる。
「引っ越しは五万円で━・った」
「夜行にするともっと安く━」

上

双六
すごろくなどで、駒
こまが最後の場所に到達して勝負に勝つ。また、トランプ・マージャンなどで、役がそろったり手札がなくなったりして勝負が決まる。
「真っ先に━」
「満貫
マンガンで━」

上

魚・貝などが死ぬ。また、植物が枯れる。
「赤潮で魚介が━」
「草木が━」
◇魚が死んで浮かび上がってくることから。

上・揚

死体が水中から浮かび出る。浮き上がる。浮く。
「水死体が━」

上

機械の機能が停止する。だめになる。
「車のバッテリーが━」


他



上

「食べる」「飲む」「吸う」の尊敬語。召し上がる。
「たんと━・ってください」
「お父様はお酒を少々━・っただけでした」

《動詞の連用形に付いて複合動詞を作る》

上

その動作が終わる。
「でき━・焼き━・炊き━・編み━」

上

その動作・作用が極点にまで達する。すっかり…する。
「震え━・のぼせ━・縮み━」
「晴れ━・干
ひ━」
◆









⇔
下がる




⇔
下りる


⇔
下る

「上」は広く一般に、「挙」ははっきりと目立つように示す意で、「揚」は(するすると)高く掲げる、(ふわふわと)浮かべる、陸上に移すなどの意で使う。「騰」は値段が高くなる意で好まれるが、やや特殊。他動詞「あげる」の場合も同じ。
上がれる
「やっとのことで一軍に上がれた」
上がり
関連語
大分類‖移動‖いどう
中分類‖
行く‖いく
大分類‖移動‖いどう
中分類‖
上下‖じょうげ
大分類‖飲食‖いんしょく
中分類‖
食べる‖たべる
大分類‖仕事‖しごと
中分類‖
昇進‖しょうしん
大分類‖終わる‖おわる
中分類‖
終了‖しゅうりょう
あかる・い【明るい】


形


あたりに光があふれて物がよく見える。
「夏の夕暮れは━」
「部屋が━」
「━夜道」

そのものの発する光の量が十分である。
「春の日差しが━」
「満月が━・く照る」
「━電灯」

「明るい」はそのものの性質について、「まぶしい・まばゆい」は主体の感覚についていう。

澄んだ鮮やかな色をしている。
「色調が━」
「━ブルー」

比較的高めの声や音が軽やかでいきいきしている。
「━トランペットの響き」
「教会の鐘が━・く響く」

性格・態度や作品の与える印象などが陽気で快活である。
「性格が━」
「━笑顔」

隠しごとがなく、公明正大である。
「━政治[選挙]」

未来に期待がもてる状態である。ばら色だ。
「今後の見通しは━」
「━社会を築く」

《「〜に━」の形で》そのことについて詳しい知識をもっている。通じている。精通している。
「鳥の生態[内部の事情]に━」
◆⇔
暗い
‐さ/‐み
関連語
大分類‖光と影‖ひかりとかげ
中分類‖
明るい‖あかるい