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もの【物】🔗🔉

もの【物】 〔空間に位置を占め、形をもち、実際に見たり触れたりできる対象。抽象的な動作・作用、状態・変化などをいう「こと(事)」に対する。連体形を受ける言い方では、俗に「もん」とも〕 物体・物質、品物・物品、ひいては生物まで、具体的存在物を広くとらえていう。 「━には形と色がある」 「━が市場にあふれている」 「何か食べる━はないか」 「地球上に生きるすべての━に幸いあれ」 「洗い━・続き━・生き━」 ◇上に連体修飾語を伴うことも多い。 具体的な存在から離れて、物事や事物を広くとらえていう。考え・知識・言葉や、その他の事柄など、はっきりとはとらえ難いが、確かに意識の対象となる存在。 「━を思う」 「━を言う」 「━には順序がある」 悪霊など、得体えたいが知れず、恐ろしい存在。 「━に憑かれる」 「━の怪」 ◇直接指すことを避けていったもの。 考慮・注目・問題視すべき対象となる存在。 「遠路を━ともしない」 「━の数にも入らない」 《多く「━の」の形で》対象をはっきりと示さず、漠然ばくぜんととらえていう。 「━の五分とたたないうちに…」 「━のはずみ」 《連体修飾語を受けて》それによって特徴づけられるさまざまの、抽象的な物事や事物を表す。 「これは誰にでもできる━ではない」 「死因は出血による━だ」 「あれだけできれば大した━だ」 「心のどこかに寂しい━がある」 《主に「…という━」の形で》物事を抽象概念としてではなく、具体的な事物としてとらえていることを明示する。 「年老いて初めて若さという━の貴重さを知った」 《「…ような[みたいな]━だ」の形で、助動詞的に》ある事態を比喩ひゆ的に述べたり、近似値で述べたりする。言ってしまえば(だいたい)こうだ。 「それは猫に鰹節かつおぶしを預けるような━だ」 《「…━だ」の形で、活用語の連体形を受けて》 《助動詞的に》本性、当然、当為などを表す。 「だいたいにおいて、夏は暑い━だ」 「見られないとなると、かえって見たくなる━だ」 「苦労は買ってでもする━だ」 否定の言い方は「━では[じゃ]ない」。「本来的に暴力は許される━ではない」など、本性、不適当、禁止の意を表す。 《終助詞的に》感動・詠嘆を表す。 「世の中にはすごい人がいる━だ」 「いやあ、よくもそんなに食べられる━だ」 《「…━だ」の形で、過去の助動詞「た(だ)」を受けて、助動詞的に》過去の経験を感慨を込めて回想・確認する。 「昔は体重も尺貫法でいった━だ」 「子供のころはよくあの川で泳いだ━だなあ」 《「…たい[…てほしい]━だ」の形で、助動詞的に》感慨を込めた願望を表す。 「たまにはゆっくり休みたい━だなあ」 「今年は何としても優勝してほしい━だ」 《「…そうな━だ」の形で、動詞連用形を受けて、助動詞的に》事態が成立しそうに見えて、なかなか成立しないことを感慨を込めていう。 「それとなく察しがつきそうな━だが」 《「…━ではない」の形で、過去の助動詞「た(だ)」を受けて、終助詞的に》押しつけや通念に対する強い反発や反論を表す。とても…ではない。 「あの薬は苦くて飲めた━ではない」 「土足で乗り込まれたのではたまった━ではない」 《「…という━だ」の形で、終助詞的に》→言う 「これこそ本当の幸福という━だ」 《「━とする」の形で、活用語の連体形を受けて》そういう規定や仮定を設ける意を表す。 「委員は互選によって選出される━とする」 「かりに人間は死なない━とする」 《名詞に付いて複合語を作る》 それに所属する・関係する、などの意を表す。 「春━の服」 「男━・女━」 「縁起━・時代━」 まさにそれに相当する、の意を表す。 「冷や汗━・表彰━・眉唾まゆつば━」 接頭《形容詞・形容動詞の上に付いて》何となくそのようなようすである意を表す。 「━悲しい」 「━静かだ」 ◆は、一般にかな書き。は、漢字書きが一般的だが、近年かな書きが増えた。 には、「もんだ(くだけた俗語的な言い方)」「ものです(丁寧な言い方)」などのバリエーションがある。→もの(終助)ものかものでものならもののものを

明鏡国語辞典 ページ 6114 での単語。