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うじ【氏】ウヂ🔗🔉

うじウヂ ①血縁関係のある家族群で構成された集団。氏族。万葉集20「大伴の―と名に負へる大夫ますらおの伴とも」 ②古代、氏族に擬制しながら実は祭祀・居住地・官職などを通じて結合した政治的集団。その内部は、姓かばねを異にする家族群に分かれ、上級の姓を持つ家族群が下級の姓の家族群を支配し、最下層には部民べみんおよび奴婢ぬひがある。 ③家々の血統に従って伝えて称する名。また、家の称号。 ④家がら。 ⑤近世、武士階級の間で、多く同輩以下に対して苗字に添えて用いた敬称。 ⑥姓・苗字の現行法上の呼称。→戸籍 ⇒氏無くして玉の輿 ⇒氏より育ち

うじ‐うど【氏人】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐うど氏人ウヂ‥ ウジヒトの音便。

うじ‐うぶすな【氏産土】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐うぶすな氏産土ウヂ‥ 祖先の霊を祀る氏神と、出生地の守護神たる産土神との併称。狂言、磁石「是を磁石が―に手向け、再び蘇生致させうと存ずる」

うじ‐うまれ【氏生れ】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐うまれ氏生れウヂ‥ その家系として生まれること。狂言、粟田口「此の―の者は、悉く粟田口と申す」

うじ‐がみ【氏神】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐がみ氏神ウヂ‥ ①氏の祖先の霊を神として祀ったもの。氏族神。藤原氏の祖神天児屋根命あまのこやねのみこと、斎部いんべ氏の祖神天太玉命あまのふとだまのみことの類。 ②氏に由緒ゆいしょある神。藤原氏の鹿島・香取神宮、平氏の厳島明神、源氏の八幡宮などの神。 ③住む土地の鎮守の神。産土神うぶすながみ

うじ‐くろうど【氏蔵人】ウヂクラウド🔗🔉

うじ‐くろうど氏蔵人ウヂクラウド 六位の蔵人の第3席の者。藤蔵人・源蔵人などと、氏の名を冠して称する。

うじ‐こ【氏子】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐こ氏子ウヂ‥ ①氏神うじがみすなわち祖神の子孫。藤原氏の春日神社における、橘氏の梅宮神社における類。うじびと。氏の子。 ②産土うぶすな神が守ってくれる地に住む人。 ⇒うじこ‐じゅう【氏子中】 ⇒うじこ‐そうだい【氏子総代】 ⇒うじこ‐ふだ【氏子札】

うじこ‐じゅう【氏子中】ウヂ‥ヂユウ🔗🔉

うじこ‐じゅう氏子中ウヂ‥ヂユウ 同一の氏神を祀る人々。 ⇒うじ‐こ【氏子】

うじこ‐そうだい【氏子総代】ウヂ‥🔗🔉

うじこ‐そうだい氏子総代ウヂ‥ 氏子中から選ばれ、その神社の願書などに連署し、神職と協力して神社の維持に尽力する者。 ⇒うじ‐こ【氏子】

うじこ‐ふだ【氏子札】ウヂ‥🔗🔉

うじこ‐ふだ氏子札ウヂ‥ 宮参りの際に氏神社から生児に与えた、氏子であることを証する札。 ⇒うじ‐こ【氏子】

うじ‐すじょう【氏素姓】ウヂ‥ジヤウ🔗🔉

うじ‐すじょう氏素姓ウヂ‥ジヤウ 生れや素姓。家がら。

うじ‐ち【氏地】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐ち氏地ウヂ‥ 氏神の鎮守の地。浄瑠璃、伊賀越道中双六「鎌倉八幡宮の―の生れ」

うじ‐でら【氏寺】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐でら氏寺ウヂ‥ 氏族が一族の冥福と現世の利益とを祈願するために建立した寺。藤原氏の興福寺、和気氏の神護寺の類。

うじ‐な【氏名】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐な氏名ウヂ‥ 苗字みょうじ

○氏無くして玉の輿うじなくしてたまのこし🔗🔉

○氏無くして玉の輿うじなくしてたまのこし 女は家柄が卑しくても、美貌で貴人の寵を得れば貴い地位になる。女は氏無うて玉の輿。 ⇒うじ【氏】 うし‐なべ牛鍋(→)「ぎゅうなべ」に同じ。仮名垣魯文、安愚楽鍋「―食はねば開けぬ奴」 うしなわれた‐せだい失われた世代ウシナハレタ‥ (Lost Generation)第一次大戦後に現れた一群の若いアメリカの作家たち。時代への幻滅から出発し、懐疑に傾く。ヘミングウェー・ドス=パソス・フィッツジェラルド・カミングスらを指す。アメリカの作家G.スタインが命名。

うじ‐の‐いん【氏院】ウヂ‥ヰン🔗🔉

うじ‐の‐いん氏院ウヂ‥ヰン 平安初期に有力な氏族が一門の子弟のために設けた大学の付属施設。藤原氏の勧学院など。大学別曹。→三院

うじ‐の‐おさ【氏長】ウヂ‥ヲサ🔗🔉

うじ‐の‐おさ氏長ウヂ‥ヲサ 「うじのかみ」参照。 ○牛の籠抜けうしのかごぬけ 鈍重なものには手ぎわのよいことはできないことのたとえ。 ⇒うし【牛】

うじ‐の‐かみ【氏上・氏長・氏宗】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐かみ氏上・氏長・氏宗ウヂ‥ 氏の首長。大化改新以後は朝廷によって任命されるようになり、平安時代にかけては一族の宗家として、氏人を統率して朝廷に仕え、祖神の祭祀や叙爵推薦・処罰などをつかさどった。平安初期には宣旨によって氏長者うじのちょうじゃまたは氏長うじのおさという称を源・平・藤・橘の諸氏に賜ったが、室町時代以後は藤原氏の摂関となった者および源氏の征夷大将軍となった者だけがこれを称した。うじのこのかみ。

うじ‐の‐きょ【氏挙】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐きょ氏挙ウヂ‥ 平安時代、正月6日の叙位の際、氏の長者がその氏人の叙位を申請したこと。→氏爵うじのしゃく

うじ‐の‐このかみ【氏上・氏長】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐このかみ氏上・氏長ウヂ‥ (→)「うじのかみ」に同じ。天武紀「因りて―賜ふ」

うじ‐の‐しゃく【氏爵】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐しゃく氏爵ウヂ‥ 氏挙うじのきょにより五位に叙せられること。

うじ‐の‐しん【氏の神】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐しん氏の神ウヂ‥ (→)氏神うじがみに同じ。狂言、拾ひ大黒「これは―より福の神を下されたと思ふが」

うじ‐の‐ちょうじゃ【氏長者】ウヂ‥チヤウ‥🔗🔉

うじ‐の‐ちょうじゃ氏長者ウヂ‥チヤウ‥ 「うじのかみ」参照。

うじ‐の‐やしろ【氏の社】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐やしろ氏の社ウヂ‥ 氏神を祀る神社。藤原氏の春日神社の類。

うじ‐の‐やつこ【氏賤】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐の‐やつこ氏賤ウヂ‥うじの共同財産である奴婢ぬひ。氏上うじのかみが管理し、分割相続は律令で禁ぜられた。うじのせん。しせん。

うじ‐びと【氏人】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐びと氏人ウヂ‥ 古代、氏うじを構成し、氏上うじのかみと同じ姓かばねを持つ階層の人。平時は氏上に率いられて氏神を奉祀し、氏の所有する部民べみんや賤民を駆使して農業などの生産に従い、戦時には部民や賤民を兵士として率いて戦った。うじうど。うじんど。

うじふさ【氏房】ウヂ‥🔗🔉

うじふさ氏房ウヂ‥ 江戸初期の刀工。美濃の関の系統。同名に数代ある。尾張移住の氏房は著名で、同国の信高・政常と並んで尾張三作と称。(1567〜1631)

うじ‐ぶみ【氏文】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐ぶみ氏文ウヂ‥ 古代における氏の由緒ゆいしょや祖先の功績などを記した文書。「高橋氏文」が著名。

うじ‐め【氏女】ウヂ‥🔗🔉

うじ‐め氏女ウヂ‥ 奈良・平安時代、諸氏から選んで後宮の女孺にょじゅとして貢進された女性。

うじゆい‐の‐しん【氏結の神】ウヂユヒ‥🔗🔉

うじゆい‐の‐しん氏結の神ウヂユヒ‥ (→)氏神うじがみに同じ。狂言、氏結「当社の―なるが」

○氏より育ちうじよりそだち🔗🔉

○氏より育ちうじよりそだち 氏素姓うじすじょうのよさより子供から大人になる間の環境・教育が人柄に影響するところが多い。 ⇒うじ【氏】 うし‐らん烏糸欄】 黒い細い罫けいを引いた用紙。昔、中国で、女子が艶書などを書くのに用いた。 うしろ後ろ】 ①物の正面・前面と反対の側。背後。背面。枕草子3「うたれじと用意して、つねに―を心づかひしたるけしき」。狂言、二人袴「御両所共に袴の―がござらぬ」。「―から来る人」 ②せなか。枕草子104「ひさしの柱に―をあてて」。「敵に―を見せる」 ③うしろ姿。源氏物語柏木「御ぐしは、をしみきこえて長うそぎたりければ、―は殊に、けぢめも見え給はぬ程なり」 ④順序で、あとの方。後部。「―の席」「列の―につく」 ⑤過去。「―を振り返る」 ⑥へだてられて見えない所。物のかげ。源氏物語賢木「ここかしこのものの―などにぞさぶらふ」。「机の―に落ちていた」 ⑦下襲したがさねのしり。裾きょ。源氏物語紅葉賀「御衣の御―ひきつくろひなど」 ⑧舞台の後方で役者にせりふをつけたり、役者の着つけを直したりする者。また、舞台のかげで役者の所作につれて歌う音曲にもいう。 ⑨物事の起こったあと。のち。源氏物語夕顔「なき御―に」 ⇒うしろ‐あかり【後ろ明り】 ⇒うしろ‐あがり【後ろ上がり】 ⇒うしろ‐あき【後ろ開き】 ⇒うしろ‐あし【後ろ足】 ⇒うしろ‐あたま【後ろ頭】 ⇒うしろ‐あゆみ【後ろ歩み】 ⇒うしろ‐あわせ【後ろ合せ】 ⇒うしろ‐うま【後馬】 ⇒うしろ‐えもん【後ろ衣紋】 ⇒うしろ‐おし【後ろ押し】 ⇒うしろ‐おび【後ろ帯】 ⇒うしろ‐がえり【後ろ返り】 ⇒うしろ‐かげ【後ろ影】 ⇒うしろ‐がみ【後ろ髪】 ⇒うしろ‐きず【後ろ疵・後ろ傷】 ⇒うしろ‐くび【後ろ頸】 ⇒うしろ‐げさ【後ろ袈裟】 ⇒うしろ‐ごし【後ろ腰】 ⇒うしろ‐ごし【後ろ輿】 ⇒うしろ‐ごと【後ろ言】 ⇒うしろ‐さがり【後ろ下がり】 ⇒うしろ‐ざし【後挿】 ⇒うしろ‐ざま【後方】 ⇒うしろ‐すがた【後ろ姿】 ⇒うしろ‐ぜめ【後ろ攻め】 ⇒うしろ‐せんりょう【後ろ千両】 ⇒うしろ‐だて【後立】 ⇒うしろ‐だて【後ろ楯・後ろ盾】 ⇒うしろ‐つき【後ろ付き】 ⇒うしろ‐づけ【後付】 ⇒うしろ‐つぶて【後ろ礫】 ⇒うしろ‐づめ【後詰】 ⇒うしろ‐で【後ろ手】 ⇒うしろ‐ど【後ろ戸】 ⇒うしろ‐どう【後堂】 ⇒うしろ‐とび【後ろ飛び】 ⇒うしろ‐ぬの【後ろ布】 ⇒うしろ‐の‐め【後ろの目】 ⇒うしろ‐はちまき【後ろ鉢巻】 ⇒うしろ‐はば【後ろ幅】 ⇒うしろ‐ばり‐おおくち【後張大口】 ⇒うしろ‐ひも【後ろ紐】 ⇒うしろ‐ぶね【後船】 ⇒うしろ‐べんてん【後ろ弁天】 ⇒うしろ‐まえ【後ろ前】 ⇒うしろ‐まき【後ろ巻き】 ⇒うしろ‐まく【後ろ幕】 ⇒うしろ‐まち【後ろ襠】 ⇒うしろ‐み【後見】 ⇒うしろ‐み【後ろ身】 ⇒うしろ‐みごろ【後ろ身頃】 ⇒うしろ‐むき【後ろ向き】 ⇒うしろ‐むすび【後ろ結び】 ⇒うしろ‐めん【後面】 ⇒うしろ‐や【後ろ矢】 ⇒うしろ‐ゆび【後ろ指】 ⇒後ろを切る ⇒後ろを付ける ⇒後ろを見せる うしろ‐あかり後ろ明り】 光線が後方からさすこと。また、その光線。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐あがり後ろ上がり】 鬢びんの後方が上がって見えるように月代さかやきを剃ったもの。元禄頃の風俗で、後ろ下がりより古風で野暮とされた。あとあがり。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐あき後ろ開き】 衣服の着脱のためのあきが背面にあること。背あき。↔前あき。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐あし後ろ足】 ①あとあし。 ②逃げ足。太平記9「―を踏んで、わづかの小城に立てこもらむと」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐あたま後ろ頭】 頭の後部。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐あゆみ後ろ歩み】 あとしざり。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐あわせ後ろ合せ‥アハセ ①背中あわせ。 ②あべこべ。反対。平家物語7「主と―に、東国へこそ落ち行きけれ」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐いぶせ・し後いぶせし】 〔形ク〕 将来のことが不安である。源平盛衰記46「頼朝も―・く思ふなりとて、追討の心をさしはさみ給へり」 うしろ‐うま後馬(→)「しりうま」に同じ。日葡辞書「ウシロウマニノル」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐えもん後ろ衣紋】 素襖すおうなどを着る時、袴の腰を腰骨より高く引き上げて着けること。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐おし後ろ押し】 あとおし。後援。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐おび後ろ帯】 ①背後で帯を結ぶこと。堅気の女や娘が用いた。好色一代女6「牡丹唐草の金入の帯前結びにせしを、…―に仕替へさすも気が付き過ぎてをかし」 ②若い女。または、眉毛を剃らず娘のような姿の若い女郎。↔前帯。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐がえり後ろ返り‥ガヘリ (体操などで)うしろの方へとんぼがえりすること。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐かげ後ろ影】 去って行く人のうしろ姿。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐がみ後ろ髪】 ①頭のうしろの方の髪。 ②(「―を引かれる」の形で)あとに心が残る、情にひかされて思い切れないの意。浄瑠璃、近頃河原達引「死にに行く身の―、弾く三味線は祇園町」。「―を引かれる思い」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐がろ・し後軽し】 〔形ク〕 あとに心残りがない。うしろやすし。 うしろ‐きず後ろ疵・後ろ傷】 逃げる際にからだのうしろ側に受けた疵。武士はこれを不名誉とした。↔向疵むこうきず⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ぎたな・い後ろ穢い・後ろ汚い】 〔形〕 することが卑劣でいさぎよくない。浄瑠璃、本朝廿四孝「―・い信玄に奉公しては、武士が立つまい」 うしろ‐くび後ろ頸】 くびのうしろがわ。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ぐら・い後ろ暗い】 〔形〕[文]うしろぐら・し(ク) ①あとの事が心にかかって安心できない。気がかりだ。平家物語3「君をも―・き御事に思ひ奉りて」 ②内心やましい点を持っている。うしろめたい。夏目漱石、虞美人草「―・い行ひさへなければ行つても差し支へない筈だ」 うしろ‐げさ後ろ袈裟】 背後から袈裟がけに斬ること。浄瑠璃、菅原伝授手習鑑「心得太郎が―、肩先四五寸切られながら」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろごう (「後子負」か)ねんねこばんてんの袖のないもの。紐で結ぶ。 うしろ‐ごし後ろ腰】 袴のうしろの腰紐の腰にあたる部分。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ごし後ろ輿】 輿をうしろ向きにかつぐこと。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ごと後ろ言】 ①過去のくりごと。ぐち。 ②かげで人をそしること。かげぐち。しりうごと。毛詩抄「鼻ひるは―をすると云ぞ」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐さがり後ろ下がり】 鬢びんの後方が下がって見えるように月代さかやきを剃り下げたもの。元禄頃の風俗。あとさがり。好色五人女5「あたまつきは所ならはしにして、―に髪先みぢかく」↔後ろ上がり。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ざし後挿】 かんざしを女の髷まげの後ろに挿すこと。また、そのかんざし。浮世床「―が少し流行におくれたれど」→前挿→中挿⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ざま後方】 (古くはウシロサマとも) ①うしろの方。枕草子212「―に行く」 ②うしろむき。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐すがた後ろ姿】 背面から見た、人の姿。うしろかげ。「―のしぐれてゆくか」(山頭火) ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ぜめ後ろ攻め】 敵の背後から攻めること。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐せんりょう後ろ千両‥リヤウ うしろ姿だけは美しいこと。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐だて後立】 兜かぶとの立物の一種。鉢の後部につけた月・御幣・大釘・鳥毛など。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐だて後ろ楯・後ろ盾】 ①背後を防ぐために楯となるもの。 ②かげにいて助けること。また、その人。うしろみ。後援。曾我物語9「―にはなり申すべし」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐たてやま後立山】 (富山県側から見て立山連峰の背後にあることから)富山県と長野県との境をなす飛騨山脈北東部の連峰の通称。白馬岳・鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳などが連なる。白馬連峰。 うしろ‐つき後ろ付き】 背後から見た姿。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐づけ後付】 俳諧の付合つけあいの一つ。付句から前句へ続けて意味を通じさせる付け方。逆付。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐つぶて後ろ礫】 逃げながらうしろ向きに礫を投げること。転じて、負けながらへらず口をたたくこと。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐づめ後詰】 ①後方に配置する陣立て。後続の軍隊。ごづめ。太平記19「―の勢は、八万余騎を五手に分け」 ②あとに控えて、代わって事に当たるもの。武家義理物語「―して残る所なく打ちとめさせ喜び帰る」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐で後ろ手】 ①うしろの方。うしろから見た姿。うしろつき。古事記「―は小楯おだてろかも」。「―にまわる」 ②両手を背にまわすこと。日葡辞書「ウシロデニシバラルル」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ど後ろ戸】 仏殿の須弥壇しゅみだんの後方にある戸。風姿花伝「仏力を受け、御―にて鼓・唱歌をととのへ」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐どう後堂‥ダウ 堂の後ろ側。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐とび後ろ飛び】 うしろの方へ飛ぶこと。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ぬの後ろ布】 ①幼児の衣服の背面に縫いつけた帯紐。 ②袴の背面の布。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐の‐め後ろの目】 自分では隠しているつもりでも、悪事や隠し事はあらわれやすいことのたとえ。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐はちまき後ろ鉢巻】 頭のうしろで結んだ鉢巻。→向う鉢巻→横鉢巻⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐はば後ろ幅】 和服で背の縫目から脇の縫目までの幅。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ばり‐おおくち後張大口‥オホ‥ 大口袴の一種。大口の背面を、大精好おおぜいこうとよぶ地厚の織物で後方に張り出したもの。武家または能楽に用いる。↔前張大口。→大口袴⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ひも後ろ紐】 ①袴の後部につけた紐。 ②着物の後ろに縫いつけ、前に回して結ぶようにした付け紐。うしろぬの。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐ぶね後船】 船の右舷。左舷を前船というのに対する。表おもて⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐べんてん後ろ弁天(→)「後ろ千両」に同じ。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐まえ後ろ前‥マヘ 後ろと前とが逆になること。「シャツを―に着る」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐まき後ろ巻き】 味方を攻め囲む敵軍を、さらにその背後から囲むこと。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐まく後ろ幕】 演芸者の座席の後方に張った幕。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐まち後ろ襠】 ①袴の後ろ布と前襠との間に入れる部分。また、その布。 ②羽織などの後ろ身頃の方に縫いつける襠。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐み後見】 かげにいて、人の世話をし、助けること。また、そうする人。うしろだて。こうけん。宇津保物語忠乞「―はいとよく仕へまつらむ」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐み後ろ身】 後ろ身頃の略。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐みごろ後ろ身頃】 衣服の身頃のうちで背の部分。↔前身頃。→和服(図)⇒うしろ【後ろ】 うしろ・みる後見る】 〔自上一〕 うしろみをする。後見こうけんをする。枕草子28「物知り顔にをしへやうなる事いひ、―・みたる、いとにくし」 うしろ・む後む】 〔自上二〕 (四段とも解せられ、上二段との別ははっきりしない)(→)「うしろみる」に同じ。紫式部日記「我は猶人をおもひ―・むべけれど」 うしろ‐むき後ろ向き】 ①背面を見せていること。 ②発展や進歩などに逆行すること。「―の施策」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐むすび後ろ結び】 帯をうしろで結ぶこと。堅気の女の風俗。うしろおび。好色一代女1「帯は三色左縄―にして」 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐めた・い後ろめたい】 〔形〕[文]うしろめた・し(ク) (「後目痛し」の意という) ①あとの事が気にかかる。こころもとない。古今和歌集「をみなへし―・くも見ゆるかな」 ②やましいところがあるので気がひける。「前にも迷惑をかけているので頼むのが―・い」 うしろ‐めた‐が・る後ろめたがる】 〔自五〕 うしろめたく思う。不安がる。源氏物語玉鬘「命堪へずなりぬる事と―・る」 うしろ‐めた・し後めたし】 〔形ク〕 ⇒うしろめたい うしろ‐めた‐な・し後めたなし】 〔形ク〕 (「なし」は甚だしい意)(→)「うしろめたし」に同じ。 うしろ‐めん後面】 歌舞伎舞踊の一趣向。後頭部に面をつけ、身体の前後でそれぞれ別役が踊っているようにみせる。狂言の「釣狐つりぎつね」を所作事化した、狐と白蔵主はくぞうすを一人で踊る長唄「後面」は1762年(宝暦12)初演。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐や後ろ矢】 敵に内通して味方の後方から射る矢。 ⇒うしろ【後ろ】 うしろ‐やす・し後安し】 〔形ク〕 あとの心配がない。あとに心残りがない。拾遺和歌集雑賀「すべらきの天の下こそ―・けれ」 うしろ‐ゆび後ろ指】 (「―を指す」の形で)人を背後から指さしてそしる、陰で悪口を言う、の意。「人に―をさされる」 ⇒うしろ【後ろ】

うじんど【氏人】ウヂンド🔗🔉

うじんど氏人ウヂンド ウジヒトの音便。

こ‐の‐かみ【兄・氏上】🔗🔉

こ‐の‐かみ兄・氏上】 (「子の上」の意) ①長男。総領。あに。清寧紀「長子このかみ磐城皇子」 ②兄弟姉妹の年長者。兄または姉。宇津保物語俊蔭「御―の右のおとど」 ③年上。年長の人。源氏物語柏木「かの君は五六年の程の―なりしかど」 ④氏うじの長者。氏の上かみ。天智紀「―には大刀を賜ふ」 ⑤上に立つ人。長。首魁。また、すぐれた人。持統紀「郡国くにぐにの長吏このかみつかさに勅みことのりして」 ⑥兄同様の人。義兄。雨月物語1「―来り給ふことの遅かりしに」 ⇒このかみ‐ごころ【兄心】 ⇒このかみ‐だ・つ【兄だつ】

し【氏】🔗🔉

】 ①同じ血族の集団。それを表示する名。うじ。姓せい。 ②嫁した女の実家の姓氏に添えて、出身を示す語。「妻紀―」 ③人名に添えて敬意を表す語。転じて、代名詞的に話題の人を表すのに用いる。「―は関西出身の実業家で」

し‐せい【氏姓】🔗🔉

し‐せい氏姓】 うじとかばね。姓氏。 ⇒しせい‐せいど【氏姓制度】

しせい‐せいど【氏姓制度】🔗🔉

しせい‐せいど氏姓制度】 大和政権の支配体制の基礎となっていた制度。支配階級に属する諸豪族は氏うじと総称される擬似的な血縁集団をつくり、氏は政治的な位置や世襲的な職業に応じて姓かばねと総称される尊称をもち、また経済的な基礎としては私有地や被支配階級である部民べみんや賤民である奴婢ぬひを所有していた。しかし推古朝前後から氏が個々の家に分裂する傾向が強まり、さらに大化改新後の律令制度では氏や家より個人の能力を尊重する建前となって、氏姓制度は崩壊した。 ⇒し‐せい【氏姓】

し‐ぞく【氏族】🔗🔉

し‐ぞく氏族】 共通の祖先を認め合うことによって連帯感をもつ人々で、氏族名で弁別される。一般に父系または母系のどちらか一方の出自関係をたどって帰属が決まる。クラン。→リネージ⇒しぞく‐せいど【氏族制度】

しぞく‐せいど【氏族制度】🔗🔉

しぞく‐せいど氏族制度】 氏族を構成単位とする社会制度。氏族への帰属によって、居住・協力関係・婚姻・財産相続・地位継承などの基本的な社会関係が規制を受けるような社会体制。日本でも中国・朝鮮の影響を受けて、これに類似した制度が一部の支配層に見られたが、本格的な氏族に根ざしたものではない。 ⇒し‐ぞく【氏族】

し‐ふ【氏譜】🔗🔉

し‐ふ氏譜】 氏族の系譜。

しめい‐けん【氏名権】🔗🔉

しめい‐けん氏名権】 人格権の一つ。自己の氏名の専用を他から害せられない権利。 ⇒し‐めい【氏名】

しめい‐てんこ【氏名点呼】🔗🔉

しめい‐てんこ氏名点呼】 氏名を順次に呼びあげて、人員をしらべること。 ⇒し‐めい【氏名】

[漢]氏🔗🔉

 字形  筆順 〔氏部0画/4画/教育/2765・3B61〕 〔音〕(漢) 〔訓〕うじ [意味] ①同じ血族の集団(の呼び名)。うじ。「氏族・氏名・姓氏せいし・しょうじ・源氏」▶今は、姓と氏とは区別なく使われることが多い。 ②人の名の下に添える敬称。「白氏文集はくしもんじゅう・釈氏・某氏・無名氏」▶単独で、代名詞的にも用いる。「氏は温厚な人柄で」「同氏・両氏」 [解字] 解字先のとがったさじの形を描いた象形文字。音を借りて代々伝わる血統の意を表す。 [下ツキ 華氏・源氏・釈氏・諸氏・姓氏・摂氏・杜氏・白氏・某氏・方相氏・列氏

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