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おと【弟・乙】🔗🔉

おと弟・乙】 (「落とす」「劣る」のオトと同源) [一]〔名〕 ①同性の年下のきょうだい。おとうと、また、いもうと。古事記「其の―木の花のさくや姫」↔兄。 ②いちばん末の子。おとご。 ③「乙娘」「乙御前」から出た娘の通名。狂言、枕物狂「其ややではなうて、ややが妹に―というて有るは」 ④狂言面の一つ。若い醜女の面だが、瓢ふくべの神・蛤はまぐりの精などにも用いる。 乙 乙御前 撮影:神田佳明(所蔵:山本東次郎家) [二]〔接頭〕 ①「末」「次」「幼い」などの意を表す。 ②「愛らしい」「美しい」などの意を表す。 ⇒弟は血の緒

おとう‐づき【弟月】🔗🔉

おとう‐づき弟月】 陰暦12月の異称。おとづき。おとごづき。

おと‐うと【弟】🔗🔉

おと‐うと】 (オトヒトの音便) ①同じ親から生まれた年下の者、特に男子。おと。おとと。古くは、同性の間で言い、妹をも言った。日本紀竟宴歌「おのが―名はおと姫」 ②義弟。妻の弟。夫の弟。妹の夫。 ③年少の男を親しんでいう称。 ④自分より後に入門した人。 ⇒おとうと‐ご【弟御】 ⇒おとうと‐でし【弟弟子】 ⇒おとうと‐なおし【弟直し】 ⇒おとうと‐ぶん【弟分】 ⇒おとうと‐むすめ【弟娘】

おとうと‐ご【弟御】🔗🔉

おとうと‐ご弟御】 他人の弟の尊敬語。 ⇒おと‐うと【弟】

おとうと‐でし【弟弟子】🔗🔉

おとうと‐でし弟弟子】 同じ師匠のもとに後から入門した弟子。後進の弟子。↔兄弟子。 ⇒おと‐うと【弟】

おとうと‐なおし【弟直し】‥ナホシ🔗🔉

おとうと‐なおし弟直し‥ナホシ 嫁が亡夫の弟と再婚すること。 ⇒おと‐うと【弟】

おとうと‐ぶん【弟分】🔗🔉

おとうと‐ぶん弟分】 かりに弟ときめた者。義弟。 ⇒おと‐うと【弟】

おとうと‐むすめ【弟娘】🔗🔉

おとうと‐むすめ弟娘】 妹に当たる娘。 ⇒おと‐うと【弟】

おとぎり‐そう【弟切草】‥サウ🔗🔉

おとぎり‐そう弟切草‥サウ オトギリソウ科の多年草。山地に広く自生。高さ約50センチメートル。葉に細かい油点がある。夏秋、黄色・5弁の花を開き、蒴果さくかを結ぶ。全草を乾燥して止血薬・含嗽がんそう剤とする。その薬効をもらした弟を切り殺した鷹匠の伝説がある。茎葉からオトギニンを製し、神経痛・リウマチ・関節炎などに使用。コオトギリなど近似種の総称ともする。漢名、小連翹しょうれんぎょう。〈[季]秋〉。〈日葡辞書〉 おとぎりそう

おとくに‐の‐みや【弟国宮】🔗🔉

おとくに‐の‐みや弟国宮】 継体天皇が越前から大和に入るまでの仮の皇居の一つ。所在は山城国乙訓おとくに郡。一説に今の京都府長岡京市今里の辺。

おと‐ご【弟子・乙子】🔗🔉

おと‐ご弟子・乙子】 末に生まれた子。末子。おと。今昔物語集16「子あまた有る中に―なる女童めのわらわ⇒おとご‐づき【乙子月】 ⇒おとご‐の‐いわい【乙子の祝い】 ⇒おとご‐の‐もち【乙子の餅】

おとたちばな‐ひめ【弟橘媛】🔗🔉

おとたちばな‐ひめ弟橘媛】 日本武尊やまとたけるのみことの妃。穂積氏忍山宿祢ほづみのうじおしやまのすくねの女むすめ。記紀の伝説で尊東征の時、相模海上(浦賀水道の辺)で風波の起こった際、海神の怒りをなだめるため、尊に代わって海に投じたと伝える。橘媛。

おと‐たなばた【弟棚機】🔗🔉

おと‐たなばた弟棚機】 年若く美しいたなばたひめ。古事記「あめなるや―のうながせる玉のみすまる」

おと‐づき【弟月】🔗🔉

おと‐づき弟月⇒おとうづき

おと‐つづみ【弟鼓】🔗🔉

おと‐つづみ弟鼓】 こつづみ。↔兄鼓えつづみ

おと‐と【弟】🔗🔉

おと‐と】 (オトウトの約) ①(同性の)おとうと。また、いもうと。更級日記「あね―(妹)の中につとまとはれて」 ②(中世以後)兄または姉から見て、年下のきょうだい。 ⇒おとと‐い【弟兄】 ⇒おとと‐え【弟兄】 ⇒おとと‐むすめ【弟娘】

おとと‐い【弟兄】🔗🔉

おとと‐い弟兄】 (オトトエの転)兄弟。また、姉妹。平家物語1「祇王・祇女とて―あり」 ⇒おと‐と【弟】

おとと‐え【弟兄】🔗🔉

おとと‐え弟兄】 きょうだい。はらから。 ⇒おと‐と【弟】

おとと‐むすめ【弟娘】🔗🔉

おとと‐むすめ弟娘(→)「おとうとむすめ」に同じ。続詞花和歌集「―の十一二ばかりなるが」 ⇒おと‐と【弟】

○弟は血の緒おとはちのお🔗🔉

○弟は血の緒おとはちのお 末子は最もかわいいの意。 ⇒おと【弟・乙】 おと‐ひ弟日】 弟また妹。顕宗紀「―、僕やつこらま」 おと‐ひと】 (オト(弟)ヒト(人)の意)おとうと。 おと‐ひめ弟姫・乙姫】 ①(姉妹の中の)妹の姫。皇極紀「―父かその憂ふる色を怪しびて」↔兄姫えひめ。 ②年若い姫。 ③竜宮に住むという美しい姫。→浦島の子⇒おとひめ‐えび【乙姫海老】 ⇒おとひめ‐の‐はながさ【乙姫の花笠】 おとひめ‐えび乙姫海老】 オトヒメエビ科のエビ。体は半透明白色に鮮やかな赤褐色の縞をもち、殻表は小棘で密に覆われる。体長約6センチメートル。岩のくぼみや造礁サンゴの間などに生息し、接近する魚類の体表の寄生虫や菌類をとって食べる。本州中部以南から熱帯域に分布。 ⇒おと‐ひめ【弟姫・乙姫】 おとひめ‐の‐はながさ乙姫の花笠】 ヒドロ虫目(ハナクラゲ亜目)のヒドロ虫類。体長1.5メートルで、単体のポリプとしては世界最大。長い柄部の上に、ヒドロ花と呼ばれる周囲に多数の長い触手を垂れ下げた径20センチメートルほどの主体部がある。美しい淡紅色。数百〜数千メートルの深海底に生息し、相模湾に多い。 おとひめのはながさ ⇒おと‐ひめ【弟姫・乙姫】 おと‐ぼね音骨】 (いやしめていう語) ①あごの骨。あご。口。浄瑠璃、近江源氏先陣館「―切つて切つ下ぐる」 ②声。音声。東海道中膝栗毛3「水をくらやアがつた時は、たすけてくれろと、かなしい―を出しおつた」 おと‐まさり弟優り】 弟や妹が、兄や姉にまさっていること。宇津保物語蔵開下「蔵人の少将の―になりわかれぬべかめるかな」 おと‐まし・い 〔形〕 (ウトマシの転) ①いとわしい。浄瑠璃、嫗山姥こもちやまうば「―・しい世につれて心までが腐つたか」 ②(静岡県西部で)難儀である。疲れる。 おとみお富】 歌舞伎「与話情浮名横櫛よわなさけうきなのよこぐし」中の人物。河竹黙阿弥による書替狂言「処女翫浮名横櫛むすめごのみうきなのよこぐし」では切られお富として登場。 おと‐み乙見・弟見】 ①乳離れしない子のいるうちに次の子をはらむこと。 ②弟見悪阻の略。 ⇒おとみ‐づわり【弟見悪阻】 おどみ澱みヲドミ おどむこと。おどんだもの。よどみ。 おとみ‐づわり弟見悪阻‥ヅハリ 小児の病の名。母親が妊娠してつわりとなったため乳離れさせられた子に起こる病気。おとみわずらい。おとみよわり。おとみまけ。(和訓栞) ⇒おと‐み【乙見・弟見】 おと‐みみ音耳】 自然に耳に入る音。うわさ。大和物語「ここかしこ求むれども―にも聞えず」 おと‐みや弟宮】 弟または妹の宮。大鏡道長「―のうぶやしなひを、あね宮のしたまふ」 おど・む澱むヲドム 〔自四〕 水底に沈んでたまる。流れないでとどこおる。よどむ。 おと‐むすこ弟息子・乙息子】 長男に対して、その下の男子。また、末のむすこ。浄瑠璃、曾我五人兄弟「某は故河津が―」↔弟娘 おと‐むすめ弟娘・乙娘】 長女に対して、その下の娘。また末娘。転じて、愛嬢。催馬楽、我が門に「あやめの郡こおりの大領の愛まな娘といへ―といへ」↔弟息子 おと‐め夫妻・夫婦ヲトメ 夫と妻。めおと。神代紀「遘合みとのまぐわいして―と為る」 おと‐め少女・乙女ヲトメ (「をと(若)め(女)」の意。「をと(若)こ(子)」に対する) ①年若い女子。少女しょうじょ。むすめ。 ②未婚の少女。きむすめ。処女。万葉集9「未通女おとめ壮士おとこの行き集ひ」 ③五節の舞姫。能因歌枕「―とは舞する女を云ふ」 ④源氏物語の巻名。光源氏が長男夕霧に大学寮の教育を受けさせる顛末、および夕霧と雲居雁との幼な恋を描いた巻。 ⇒おとめ‐ご【少女子】 ⇒おとめ‐ごころ【少女心・乙女心】 ⇒おとめ‐ざ【乙女座】 ⇒おとめ‐さび【少女さび】 ⇒おとめ‐づか【処女塚】 ⇒おとめ‐つばき【乙女椿】 ⇒おとめ‐みこ【少女神子・乙女巫】 ⇒おとめら‐に【少女等に】 お‐どめ緒止めヲ‥ (→)「緒締め」に同じ。 オドメーターodometer】 自動車などの走行距離計。路程計ろていけいおとめ‐ご少女子ヲトメ‥ 未婚の少女。万葉集11「人の親の未通女児おとめご据ゑて」 ⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめ‐ごころ少女心・乙女心ヲトメ‥ 少女の感じやすい心。「―を傷つける」 ⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめ‐ざ乙女座ヲトメ‥ (Virgo ラテン)黄道上の第7星座。獅子座ししざの東、天秤座てんびんざの西にある。首星スピカ。秋分点を含む。初夏の夕暮に南中。 乙女座 ⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめ‐さび少女さびヲトメ‥ 少女らしくなること。少女らしいふるまい。万葉集5「少女らが―すと」↔男さび。 ⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめ‐づか処女塚ヲトメ‥ 妻争い伝説の処女の墓。板挟みとなって投身した原処女うないおとめの墓を中に、後を追ってともに沈んだ二人の求婚者、原壮子うないおとこ・血奴壮士ちぬおとこの塚を左右に作ったという。後世、訛って求女塚もとめづかという。→生田いくた⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめ‐つばき乙女椿ヲトメ‥ ツバキの園芸品種。冬から早春に桃色の重弁の花を葉腋につける。庭樹として普通に栽培。 オトメツバキ(花) 撮影:関戸 勇 ⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめ‐なし (「おと」は幼い者、「なし」は成すの意。福島県いわき地方で)産婦。 お‐とめば御留場】 (一般の狩猟を禁止する場所の意)江戸時代、将軍の鷹狩した場所。 おとめ‐みこ少女神子・乙女巫ヲトメ‥ 少女のみこ。 ⇒おと‐め【少女・乙女】 おとめら‐に少女等にヲトメ‥ 〔枕〕 (「逢ふ」から)「逢坂」に、また「行き逢ふ」にかかる。万葉集13「―逢坂山に手向草」 ⇒おと‐め【少女・乙女】 お‐とも御供・御伴】 ①つき従って行くこと。また、その人。 ②料理屋などで、帰る客の乗用によぶ車。 ⇒おとも‐ぐら【御供鞍】 ⇒おとも‐しゅう【御伴衆】 おとも‐ぐら御供鞍】 供奉ぐぶの人の乗る鞍。 ⇒お‐とも【御供・御伴】 おと‐もじ乙文字】 (モジは接尾語)(→)乙御前おとごぜんに同じ。 おとも‐しゅう御伴衆】 ①多数の従者の尊敬語。 ②室町幕府の職制で、将軍に近侍し、外出の際はおともしたもの。 ⇒お‐とも【御供・御伴】 おどもり ①返済金などが、とどこおり、つかえること。とどこおり。 ②積もり積もった最後の結果。傾城禁短気「年々の湿気の―出まして」 おと‐や乙矢・弟矢】 一手ひとての矢のうち、甲矢はやに続いて射る第2本目の矢。↔甲矢 おど‐やき尾戸焼ヲ‥ 高知市で作られる陶器。土佐藩の藩窯はんようとして、承応2年(1653)高知城下の尾戸(現、小津町)に開窯。京焼風の雅な茶陶などを焼く。 おと‐よめ弟嫁・乙嫁】 弟の妻。おとうとよめ。また、若い嫁。〈倭名類聚鈔2おどらかし踊らかしヲドラカシ 魚釣りの擬餌鉤ぎじばり。化かし鉤。 おとら‐ぎつねおとら狐】 (東海地方で)憑き物霊となる狐の名。→とうびょう おどら・す踊らす・躍らすヲドラス 〔他五〕 ①仕向けて踊るようにする。踊らせる。 ②人を意のままにあやつる。「黒幕に―・される」「かげで―・す奴がいる」 ③(「胸を―・す」「心を―・す」の形で)喜びや期待のためにわくわくする。「デートの約束に胸を―・す」 ④(「身を―・す」の形で)高い所から思い切って跳躍する。「崖から身を―・す」 ◇ふつう1・2に「踊」、3・4に「躍」を使う。 おとり劣り】 劣ること。劣るもの。竹取物語「いかでか―まさりは知らん」 ⇒おとり‐ざま【劣り様】 ⇒おとり‐ばら【劣り腹】 お‐とり囮・媒鳥ヲトリ (ヲキトリ(招鳥)の略か) ①他の鳥獣を誘い寄せて捕らえるための鳥獣。〈[季]秋〉。〈新撰字鏡9〉 ②他の者を誘い寄せるために利用する手段。「景品を―にする」 ⇒おとり‐そうさ【囮捜査】 お‐とり雄鳥ヲ‥ おすの鳥。おんどり。〈倭名類聚鈔18おどり踊り・躍りヲドリ ①おどること。とびはねること。 ②《踊》 ㋐音楽・歌曲にあわせて、足を踏み鳴らし、手振り・身振りをして舞うこと。舞踏。舞踊。また、その歌。俳諧では、特に盆踊りをいう。〈[季]秋〉。「雀百まで―を忘れず」 ㋑特に日本の伝統舞踊で、旋回動作を基調とする舞に対し、跳躍動作を基調とするもの。 ③泉門(ひよめき)の異称。〈日葡辞書〉 ④動悸のすること。浄瑠璃、曾我扇八景「もはやきづかひなけれども、胸の―はまだやまず」 ⑤江戸時代の高利貸の一つで、利子を二重にとること。返済期日を25日頃とし、これにおくれた場合、月末までの数日で1カ月の利子を加算する。浮世草子、浮世親仁形気「利足を一―づつをどらせ、一年十二ヶ月に十七ヶ月の利を取つて」 ⇒おどり‐うた【踊歌】 ⇒おどり‐がらす【踊烏】 ⇒おどり‐ぐい【躍り食い】 ⇒おどり‐くどき【踊口説】 ⇒おどり‐こ【踊り子】 ⇒おどりこ‐そう【踊り子草】 ⇒おどり‐ことば【踊り言葉】 ⇒おどり‐じ【踊地】 ⇒おどり‐じ【踊り字】 ⇒おどり‐だいこ【踊太鼓】 ⇒おどり‐だいもく【踊題目】 ⇒おどり‐て【踊り手】 ⇒おどり‐どう【踊堂】 ⇒おどり‐にわ【踊り庭】 ⇒おどり‐ねんぶつ【踊念仏】 ⇒おどり‐ば【踊り場】 ⇒おどり‐ぶ【踊り歩】 ⇒おどり‐やたい【踊り屋台】 おどり‐あが・る躍り上がるヲドリ‥ 〔自五〕 勢いよくとびあがる。はねあがる。「壇上へ―・る」「―・って喜ぶ」 おどり‐い・る躍り入るヲドリ‥ 〔自五〕 勢いこんではいる。身をおどらせてはいる。今昔物語集26「滝の中に―・りて失せぬれば」 おどり‐うた踊歌ヲドリ‥ おどりに歌う歌。風流ふりゅう踊の歌。俳諧では特に、盆踊歌をいう。〈[季]秋〉 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐かか・る躍り掛かるヲドリ‥ 〔自五〕 勢いよく飛びかかる。「犯人に―・る」 おどり‐がらす踊烏ヲドリ‥ 踊りに精通した人。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐ぐい躍り食いヲドリグヒ 生きているシロウオなどを鉢に泳がせて、合せ酢につけて食べること。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐くどき踊口説ヲドリ‥ 踊りに用いる口説節の唄。道念節など。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐こ踊り子ヲドリ‥ ①踊り、特に盆踊りをする少女。〈[季]秋〉 ②踊りを職業とする女性。ダンサー。 ③泉門(ひよめき)の異称。 ④(もと僧侶の隠語)どじょう。 ⑤「ししこま」の異称。 ⇒おどり【踊り・躍り】 お‐とりこし御取越】 親鸞の正忌陰暦11月28日を引き上げて、それ以前に法事を行うこと。引上会いんじょうえとも。〈[季]冬〉。→報恩講 おどりこ‐そう踊り子草ヲドリ‥サウ シソ科の多年草。東アジアの温帯に広く分布。日陰に多く、茎は四角、高さ30〜45センチメートル。春から初夏、葉のつけ根に大きな淡紅または白色の唇形花を輪状につける。花の形を笠をかぶった踊り子に見立てての名。若芽は食用、根は煎じて飲めば腰痛に効くという。〈[季]夏〉 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐ことば踊り言葉ヲドリ‥ 同音の語を重ねた語。「ぴかぴか」の類。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐こ・む躍り込むヲドリ‥ 〔自五〕 ①身をおどらせて勢いよくはいる。「室内に―・む」 ②強盗にはいる。浄瑠璃、釜淵双級巴「―・む相談に暮方から金蔵所へ寄合ひます」 お‐とり‐さま御酉様(→)とりの市いちのこと。〈[季]冬〉 おとり‐ざま劣り様】 劣った様子。また、劣っている方。源氏物語梅枝「よろづの事、昔には―に」 ⇒おとり【劣り】 おどり‐じ踊地ヲドリヂ ①歌舞伎囃子の一つ。郭・揚屋・茶屋の場などで、にぎやかな太鼓・三味線などを用いるもの。 ②歌舞伎舞踊およびその伴奏三味線音楽で、はなやかな手踊りの部分の名称。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐じ踊り字ヲドリ‥ 同一の漢字または仮名を重ねることをあらわす符号。「々」(二の字点)・「々」(同の字点)・「ゝ」(一の字点)・「」(くの字点)など。おくり字。かさね字。畳字。繰返し符号。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おとり‐そうさ囮捜査ヲトリサウ‥ 捜査機関またはその協力者が身分をかくして囮となり、詐術を用いて犯罪者を検挙する捜査方法。 ⇒お‐とり【囮・媒鳥】 お‐とりぞめ御取初】 蓬莱飾ほうらいかざりのこと。→蓬莱5 おどり‐だいこ踊太鼓ヲドリ‥ 踊りにあわせて打つ太鼓。〈[季]秋〉 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐だいもく踊題目ヲドリ‥ 踊りながら法華ほっけの題目を唱えること。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐て踊り手ヲドリ‥ 踊りをする人。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり・でる躍り出るヲドリ‥ 〔自下一〕 ①勢いよく外に出てくる。飛び出す。「一人の男が壇上に―・でた」 ②はなやかに人前に姿をあらわす。目立った場所・地位に立つ。「トップに―・でる」 おどり‐どう踊堂ヲドリダウ 踊りなどをする集会所。「―が見たくは北嵯峨へおりやれの」(狂言歌謡) ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐にわ踊り庭ヲドリニハ (九州などで)炭竈すみがまの前庭。炭場すば⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐ねんぶつ踊念仏ヲドリ‥ 空也くうや念仏のこと。太鼓や鉦を打ち念仏・和讃を高唱する所作が踊るのに似るからいう。時宗の一遍により広まる。また、京都の六斎念仏、大阪四天王寺の念仏会などの称。踊躍ゆやく念仏・大念仏・念仏踊などともいう。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐ば踊り場ヲドリ‥ ①おどる場所。 ②階段の中途を広くして、足休めとした所。 ③比喩的に、物事の上昇が一時停滞すること。「復調景気の―感」 ⇒おどり【踊り・躍り】 おとり‐ばら劣り腹】 身分の低い方の妻の生んだ子。めかけばら。源氏物語手習「この大将殿の御後のちのは―なるべし」 ⇒おとり【劣り】 おどり‐ぶ踊り歩ヲドリ‥ 高利貸の貸金などで、二重に支払う利息。→「踊り」5⇒おどり【踊り・躍り】 おどり‐やたい踊り屋台ヲドリ‥ 祭礼などに引き出して踊りをする屋台。 ⇒おどり【踊り・躍り】 おと・る劣る】 〔自五〕 ①他に比べて及ばない。 ㋐価値・力量などが低い。ひけをとる。枕草子226「ほととぎす鶯に―・るといふ人こそ」。「性能が―・る」「負けず―・らず互いに強情だ」 ㋑身分・位などが低い。枕草子146「―・りたる人の、ゐずまひもかしこまりたるけしきにて」 ㋒年齢などが低い。年月が後である。今昔物語集5「年われより少し―・りたるをば弟の如くあはれび」 ②減る。損失する。皇極紀「―・り費ゆること極めて甚だし」 おど・る踊る・躍る・跳るヲドル 〔自五〕 ①手・足をあげなどしてはねる。飛び上がる。はねあがる。万葉集19「椙すぎの野にさ―・る雉きぎしいちしろく音にしも鳴かむ」。日葡辞書「ウマガヲドル」 ②はげしく動揺する。仁徳紀「匏ひさこ浪の上にまひつつ沈まず。則ち潝潝とくすみやかに汎うきおどりつつ遠く流る」。「凸凹道で車体が―・る」 ③《踊》踊りを演じる。舞踊する。狂言、水論聟「雨ごひにはをどりを―・らうの、いや相撲をとらうと」。「―・る阿呆に見る阿呆」 ④喜び・驚き・発憤などで動悸が激しくなる。わくわくする。沢庵書簡「路次の儀は…乗物早め申す儀、なかなか成り申すまじく候。胸―・り申して成り申さず候」。「希望に胸が―・る」「血わき肉―・る」 ⑤踊り歩となる。高利貸などの貸金で利息が二重になる。浄瑠璃、丹波与作待夜の小室節「借銭の利を一月に二月に―・る松坂越えて」 ⑥《踊》人の意のままに行動する。「黒幕にあやつられて―・っている」→おどらす2。 ⑦(活字や書いた文字などが)乱れる。「字が―・っている」 ◇舞踊の意には「踊」を使う。躍動・跳躍の意にはふつう「躍」を用い、「跳」も使う。 おどれ】 〔代〕 (オノレの転)相手をののしっていう語。きさま。おんどれ。おどりゃ。狂言、花子「やい―さへ花子さまとぬかすか」 おどろ棘・荊棘】 ①草木の乱れ茂ること。また、その場所。源氏物語浮舟「山がつの垣根の―むぐらのかげに」 ②髪などの乱れたさま。「―髪」 ⇒おどろ‐が‐のき【荊棘が軒】 ⇒おどろ‐の‐みち【棘路】 おとろ・う衰ふオトロフ 〔自下二〕 ⇒おとろえる(下一) おとろえ衰えオトロヘ おとろえること。衰弱。「力の―を技で補う」 おとろ・える衰えるオトロヘル 〔自下一〕[文]おとろ・ふ(下二) ①生命力や活動力がすっかり弱った状態になる。衰弱する。万葉集12「おのが齢の―・へぬれば」。「体力が―・える」「火の勢いが―・える」「記憶力が―・える」 ②(容貌などが)やつれる。宇津保物語国譲下「かく物をのみ思ほしなげき、日日に御かたちの―・へおはしますこと」 ③勢力をなくした状態になる。おちぶれる。伊勢物語「昔―・へたる家に藤の花植ゑたる人ありけり」 おどろ‐おどろし・い 〔形〕[文]おどろおどろ・し(シク) ①耳目を驚かすさまである。仰山ぎょうさんである。竹取物語「あななひに―・しく、二十人の人ののぼりて侍れば」 ②気味が悪い。恐ろしい。今昔物語集31「風いと―・しく吹きて」。「―・い演出の舞台」 ③いかめしい。大鏡時平「まことに―・しきことはさるものにて」 おどろかし驚かし】 農作物を守るため、鳥獣を驚かして追いはらうもの。鳴子・案山子かかしなどの類。後撰和歌集「小山田の―にも来ざりしを」 おどろか・し驚かし】 〔形シク〕 驚くべきさまである。おどろおどろし。宇津保物語俊蔭「―・しき声いでて驚き給ひて」 おどろか・す驚かす】 〔他五〕 ①目をさまさせる。起こす。源氏物語若紫「君は何心もなく寝給ひつるを抱き―・し給ふに」 ②注意・関心を呼び起こさせる。はっと気づかせる。源氏物語初音「うち忘れたらんことも―・し給へかし」 ③(関心を呼び起こさせるために)たよりする。訪れる。源氏物語「通ひたまひし所々よりはうらめしげに―・しきこえ給ひなどすれば」 ④びっくりさせる。土佐日記「海をさへ―・して波立てつべし」。「大声を立てて―・す」 ⑤(「目を―・す」「耳―・す」などの形で)目や耳を通して人に衝撃を与える。強い関心をひきつける。続日本紀27「事を神異に仮りて人の耳目を―・す事を得ざれ」。奥の細道「かねて耳―・したる二堂開帳す」 おどろ‐が‐のき荊棘が軒】 いばらの生い茂った軒。あばら屋。 ⇒おどろ【棘・荊棘】 おどろき驚き・愕き・駭き】 おどろくこと。びっくりすること。 ⇒おどろき‐あし【驚き足】 ⇒おどろき‐うま【驚き馬】 ⇒おどろき‐ばん【驚盤】 ⇒驚き桃の木山椒の木 おどろき‐あし驚き足】 大股に歩くこと。 ⇒おどろき【驚き・愕き・駭き】 おどろき‐い・る驚き入る】 〔自五〕 (「入る」は強意)全く驚く。「―・った話」 おどろき‐うま驚き馬】 驚いて跳ね上がる馬。癇かんの強い馬。あがりうま。落窪物語1「―のやうに手なふれ給ひそ」 ⇒おどろき【驚き・愕き・駭き】 おどろき‐ばん驚盤】 運動体の毎一定時の状態を描いた紙を順番に円盤に貼り、回転させながら周囲の孔からのぞくと画が動くように見える装置。きょうばん。ゾートロープ。 驚盤 ⇒おどろき【驚き・愕き・駭き】

おと‐ひ【弟日】🔗🔉

おと‐ひ弟日】 弟また妹。顕宗紀「―、僕やつこらま」

おと‐ひと【弟】🔗🔉

おと‐ひと】 (オト(弟)ヒト(人)の意)おとうと。

おと‐ひめ【弟姫・乙姫】🔗🔉

おと‐ひめ弟姫・乙姫】 ①(姉妹の中の)妹の姫。皇極紀「―父かその憂ふる色を怪しびて」↔兄姫えひめ。 ②年若い姫。 ③竜宮に住むという美しい姫。→浦島の子⇒おとひめ‐えび【乙姫海老】 ⇒おとひめ‐の‐はながさ【乙姫の花笠】

おと‐まさり【弟優り】🔗🔉

おと‐まさり弟優り】 弟や妹が、兄や姉にまさっていること。宇津保物語蔵開下「蔵人の少将の―になりわかれぬべかめるかな」

おと‐み【乙見・弟見】🔗🔉

おと‐み乙見・弟見】 ①乳離れしない子のいるうちに次の子をはらむこと。 ②弟見悪阻の略。 ⇒おとみ‐づわり【弟見悪阻】

おとみ‐づわり【弟見悪阻】‥ヅハリ🔗🔉

おとみ‐づわり弟見悪阻‥ヅハリ 小児の病の名。母親が妊娠してつわりとなったため乳離れさせられた子に起こる病気。おとみわずらい。おとみよわり。おとみまけ。(和訓栞) ⇒おと‐み【乙見・弟見】

おと‐みや【弟宮】🔗🔉

おと‐みや弟宮】 弟または妹の宮。大鏡道長「―のうぶやしなひを、あね宮のしたまふ」

おと‐むすこ【弟息子・乙息子】🔗🔉

おと‐むすこ弟息子・乙息子】 長男に対して、その下の男子。また、末のむすこ。浄瑠璃、曾我五人兄弟「某は故河津が―」↔弟娘

おと‐むすめ【弟娘・乙娘】🔗🔉

おと‐むすめ弟娘・乙娘】 長女に対して、その下の娘。また末娘。転じて、愛嬢。催馬楽、我が門に「あやめの郡こおりの大領の愛まな娘といへ―といへ」↔弟息子

おと‐や【乙矢・弟矢】🔗🔉

おと‐や乙矢・弟矢】 一手ひとての矢のうち、甲矢はやに続いて射る第2本目の矢。↔甲矢

おと‐よめ【弟嫁・乙嫁】🔗🔉

おと‐よめ弟嫁・乙嫁】 弟の妻。おとうとよめ。また、若い嫁。〈倭名類聚鈔2

だい【弟鷹】🔗🔉

だい弟鷹】 大鷹おおたかのめす。鷹狩に用いた。↔兄鷹しょう

てい【弟】🔗🔉

てい】 (呉音はダイ、慣用音はデ) ①おとうと。「兄けいたりがたく―たりがたし」 ②師につかえて教えをうけるもの。「―子ていし・でし」 ③自己の謙称。 ④(「悌」の通用字)兄または年長者につかえて柔順なこと。

てい‐し【弟子】🔗🔉

てい‐し弟子】 でし。門弟。

てい‐まい【弟妹】🔗🔉

てい‐まい弟妹】 おとうとといもうと。

で‐し【弟子】🔗🔉

で‐し弟子】 (弟や子のように師に従う者の意)師に従って教えを受ける人。教え子。門人。門弟。枕草子87「仏の御―にさぶらへば」。「愛まな―」「兄―」「―をとる」「―になる」

でし‐いり【弟子入り】🔗🔉

でし‐いり弟子入り】 弟子となること。入門すること。「―を許される」

てしかが‐おんせん【弟子屈温泉】‥ヲン‥🔗🔉

てしかが‐おんせん弟子屈温泉‥ヲン‥ 北海道東部、釧路支庁弟子屈にある温泉。泉質は塩化物泉。阿寒国立公園の入口に当たる。

でし‐ご【弟子子】🔗🔉

でし‐ご弟子子】 おさない弟子。子供の弟子。また一般に、徒弟。浄瑠璃、菅原伝授手習鑑「―といへばわが子も同然」

でし‐とり【弟子取り】🔗🔉

でし‐とり弟子取り】 師が弟子をとること。弟子入りを引き受けること。

でし‐ぶみ【弟子文】🔗🔉

でし‐ぶみ弟子文】 弟子入りの名簿みょうぶ

でし‐ぶん【弟子分】🔗🔉

でし‐ぶん弟子分】 弟子としての地位・身分。

[漢]弟🔗🔉

 字形  筆順 〔弓部4画/7画/教育/3679・446F〕 〔音〕テイ(漢) ダイ(呉) (慣) 〔訓〕おとうと・おと [意味] ①おとうと。(対)兄。「兄たり難く弟たり難し」(優劣がつけにくい)「兄弟けいてい・きょうだい・ひんでい・弟妹・従弟・異母弟」 ②師について習う者。門人。(対)師。「師弟・高弟・門弟・弟子でし」 ③おとうと分。自分の謙称。「小弟・弟子ていし」 ④兄や年上の人に従順である。(同)悌。「孝弟」 [解字] 会意。「第」の原字。棒にひもがまきついてたれた形を示し、低い位置、順序が下位である意を表す。慣用音「デ」は唐音「デイ」の転。 [下ツキ 凱弟・義弟・兄弟・愚弟・賢弟・孝弟・高弟・直弟・実弟・子弟・師弟・舎弟・従兄弟・従弟・小弟・少弟・徒弟・末弟・法弟・門弟・令弟 [難読] 弟切草おとぎりそう

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