複数辞典一括検索+

あた‐か【恰・宛】🔗🔉

あた‐か【恰・宛】 〔副〕=あたかも(恰)

あた‐かも【恰も・宛も】🔗🔉

あた‐かも【恰も・宛も】 〔副〕(近代では「あだかも」とも。「あた」は「当たる」の「あた」と同根。「ぴったり当たるかどうか」が原義かという) 1 (多く「似る」「如し」「よう」などの語をあとに伴って)よく似ている物事にたとえる場合に用いる語。さながら。まるで。まさしく。ちょうど。「あたかも夢の如し(ようだ)」*万葉‐四二〇四「安多可毛(アタカモ)似るか青き蓋(きぬがさ)」 2 ある時期や時刻にちょうど当たる。また、ある事とほとんど同時に、他の事が起こることを表わす語。ちょうど。ちょうどその時。「時あたかも九月一日の昼ごろ」 ●恰もしかり 「まさにその通り」の意。 ●恰もよし ちょうどいいことには。うまい具合に。

あ・つ【当つ・中つ・充つ・宛つ】🔗🔉

あ・つ【当つ・中つ・充つ・宛つ】 〔他タ下二〕⇒あてる(当)

あて【当・宛】🔗🔉

あて【当・宛】 (動詞「あてる(当)」の名詞化) 1 物事を行なうときの、目的や見込み。目あて。心づもり。→あてが違う・あてが外れる。*山家集‐上「五月雨はゆくべき道のあてもなし」 2 頼みになるもの。たより。*虎寛本狂言・米市「私もこなたをあてに致いて参りましたが」 3 借金などの保証とするもの。抵当。*史記抄‐一二「椹質はあての事ぞ」 4 物を打ったり切ったりなどする時、下に置く台。*書紀‐雄略一三年九月(前田本訓)「石を以て質(アテ)と為(し)」 5 補強したり保護したりするためにあてがうもの。「肩当て」「胸当て」「腹当て」など。 6 こぶしで、相手の急所を突くこと。当て身。 7 (宛)文書や手紙などの差し出し先。 8 食事のおかずをいう芝居者の隠語。 9 「あてもの(当物)5」の略。 10 「あてひ(当檜)」の略。 11 檜の樹皮でつくった火縄。 〔接尾〕(宛)品物などを等量配分することを表わす。 配分する物を示す数詞の下につける。ずつ。「一人千五百円あて」配分を受けるものの単位を示す数詞の下につける。あたり。「一人あて千五百円」 ●当てが違(ちが)う =あて(当)が外れる2 ●当てが付(つ)く 1 物事について、推測ができる。見当がつく。 2 物が手に入ったり、物事が解決したりする見込が立つ。 ●当てが外(はず)れる 1 ぶつけようとした目当ての物に当たらずにはずれる。 2 見込みがはずれる。予期に反する。あてが違う。*滑・七偏人‐三「一番ヤンヤと請ける気の当が外れて」 ●当てにする 見込みをたてて頼みとする。信用して頼りとする。 ●当てになる 信頼して頼りにすることができる。「あてにならない話」 ●当ての槌(つち) 目当て、または見込みなどをつけることの意。多く「あての槌が違う」「あての槌が外れる」などの形で、予期に反する、見込み違いになることにいう。 ●当てを付(つ)ける 1 推測する。見当を付ける。 2 あてこすりを言う。*洒・御膳手打翁曾我「当をつけても祐成は腹をたたぬが気質にて」

あて‐あて【宛宛・当当】🔗🔉

あて‐あて【宛宛・当当】 それぞれに割り当てること。*宇津保‐俊蔭「さるべきあてあてのいたやどもなど」

あて‐おこない【宛行・充行】(‥おこなひ)🔗🔉

あて‐おこない【宛行・充行】(‥おこなひ) あておこなうこと。特に、所領や俸禄を処分し、給与することにいう。あてがい。

あておこない‐じょう【宛行状・充行状】(あておこなひジャウ)🔗🔉

あておこない‐じょう【宛行状・充行状】(あておこなひジャウ) 中世、荘園制の下において、土地、財物、権利などを譲与する旨を記した証文。また。武家が家臣に土地または年貢などの知行を給与する時に出す文書。あてがいじょう。あてぶみ。宛状。

あて‐おこな・う【宛て行なう・充て行なう】(‥おこなふ)🔗🔉

あて‐おこな・う【宛て行なう・充て行なう】(‥おこなふ) 〔他ハ四〕 1 割り当てて事を行なわせる。または与える。割りふる。*落窪‐四「とかくせさすべきことあておこなふとても」 2 当て用いる。充用する。*太平記‐三三「軍勢の兵粮料所に充行(アテヲコナヒ)しに依て」 3 所領や俸禄を処分し、給与する。特に、荘園のもとで、領主が荘民(作人)などに土地を給与する。田畑、米銭などの財産を門弟、子息に譲与、分配する。また、荘官職、預所職などの諸職を与える。*高野山文書‐文永四年五月一〇日「地頭のはからひにて、下人に宛行了」

あて‐おび【宛帯・当帯】🔗🔉

あて‐おび【宛帯・当帯】 狩衣系の装束に用いる帯。腰にあてて前にまわし、前身を繰り下げて結ぶ。その衣と同じ地質を用いるのが普通だが、替帯(かえおび)といって、下襲(したがさね)の地質を用いることもある。宛腰(あてごし)。

あてがい【宛行・充行】(あてがひ)🔗🔉

あてがい【宛行・充行】(あてがひ) 1 割り当てて与えること。また、相手の要求によらないで、適当に見積もって与えること。また、そのもの。 品物、食物などを適当に与えること。また、そのもの。*浄・淀鯉出世滝徳‐下「有がたい神仏のあてがいか」ある状態にしてやること。ある状態が与えられること。また、その状態。*雑俳・軽口頓作「めいようじゃ・産むとたる乳はおあてがひ」所領、俸禄などを与えること。あておこない。近世では領主から家臣へ下給される知行、扶持。また、雇い主から雇い人へ渡される手当て。*浮・新色五巻書‐五「月に十五匁づつのあてがい受けて」 2 心をくばること。配慮。とりはからい。*風姿花伝‐二「此あてがひを能々心得べし」

あてがい‐ぶち【宛行扶持・充行扶持】(あてがひ‥)🔗🔉

あてがい‐ぶち【宛行扶持・充行扶持】(あてがひ‥) 1 所領、俸禄などを与えること。あてがい。 2 先方の要求に関係なく与える側が一方的な条件で与える金品。また、そのような与え方をすること。*雑俳・柳多留‐一五「初会にはあてがひぶちをくってゐる」

あてがい‐よう【宛行様】(あてがひヤウ)🔗🔉

あてがい‐よう【宛行様】(あてがひヤウ) 見込みの立て方。とりはからい方。

あてがい‐りょうじ【宛行療治】(あてがひレウヂ)🔗🔉

あてがい‐りょうじ【宛行療治】(あてがひレウヂ) 薬方にあわせて、あてずっぽうにする治療。

あて‐が・う【宛行う・充行う】(‥がふ)🔗🔉

あて‐が・う【宛行う・充行う】(‥がふ) 〔他ワ五(ハ四)〕(「当て交(か)う」の意) 1 割り当てて与える。分配する。また、相手の要求によらないで、適当に見積もって与える。 場所、品物、金銭などを与える。また、人を先方にさしむける。*栄花‐玉の飾「宮の御装束、女房の事などしげうおぼしあてがう」*浄・孕常盤‐二「それに金をあてがひ」役目、仕事等をきめて与える。*日葡辞書「ヤクヲ ateg(アテガウ)」連れ添わせる。「嫁をあてがう」 2 適当なものとしてさしあてる。うまくあてはめる。*風姿花伝‐六「この分目をばあてがはずして」*雑俳・柳多留拾遺‐巻八上「くびったけとはあてがったくどきやう」 3 ぴったりと当ててくっつける。「継ぎをあてがう」「物指をあてがう」

あて‐がき【充書・宛書】🔗🔉

あて‐がき【充書・宛書】 1 =あてどころ(充所)1 2 封書、葉書などの表に書く相手の氏名および住所。上書き。表書き。

あて‐ごし【宛腰・当腰】🔗🔉

あて‐ごし【宛腰・当腰】 直衣(のうし)や狩衣を着る時、腰に当てて結ぶ帯。その衣と同じ布を用いる。

あて‐さき【宛先】🔗🔉

あて‐さき【宛先】 手紙、書類などを受け取る先方。

あて‐じ【当字・宛字】🔗🔉

あて‐じ【当字・宛字】 漢字本来の意味に関係なく、その音、訓だけを借りて、ある語の表記に当てる漢字の用法。借字。「浅増(あさまし)」「目出度(めでたし)」の類。

あて‐しょ【宛所】🔗🔉

あて‐しょ【宛所】 郵便などのあて名の場所。

あて‐じょう【宛状・充状】(‥ジャウ)🔗🔉

あて‐じょう【宛状・充状】(‥ジャウ) =あてぶみ(宛文)

あて‐つ・ける【当て付ける・宛て付ける】🔗🔉

あて‐つ・ける【当て付ける・宛て付ける】 〔他カ下一〕あてつ・く〔他カ下二〕 1 あてがう。割り当てる。*古今著聞集‐一〇・三七七「おほゐ子が田にはあてつけざりける時」 2 皮肉ないい方をしたり皮肉な態度を示したりする。他のことにかこつけて不満、非難、恨みなどの感情を遠まわしに表現する。 3 (男女の仲のいいところなどを)見せつける。わざと見せびらかす。

あて‐どころ【充所・宛所・当所】🔗🔉

あて‐どころ【充所・宛所・当所】 1 (充所・宛所)文書を差し出す相手。宛名。書状、奉書形式の場合は文書の奥、日付の後に「殿」などの敬語を添えて書くが、符、牒、移、下文などの公文書では文書の袖の書き出し第一行に書く。宛名のほか、上所(あげどころ)、敬語、脇付を加えることもある。充書(あてがき)。 2 (当所)打ち当てる所。当てるべき所。*風姿花伝‐別紙口伝「拍子のあてどころ」 3 (当所)意図する所。目的。*至花道‐闌位の事「たがひのあて所(ドコロ)、黒白の違いなり」 4 あてになりうるところ。*浮・傾城禁短気‐六「江戸も抓取の当所(アテドコロ)にはならず」

あて‐な【宛名・当名】🔗🔉

あて‐な【宛名・当名】 1 手紙や書類などに書く先方の氏名、または住所氏名。 2 =あだな(渾名)

あてな‐いんさつき【宛名印刷機】🔗🔉

あてな‐いんさつき【宛名印刷機】 郵便物などの特定多数の宛名を印刷する機械。

あてな‐こうこく【宛名広告】(‥クヮウコク)🔗🔉

あてな‐こうこく【宛名広告】(‥クヮウコク) =ダイレクトメール

あて‐ぶみ【宛文・充文】🔗🔉

あて‐ぶみ【宛文・充文】 1 物資、土地などを官から給与する場合の通達書。 2 官職などに補任する辞令。 3 荘園領主が、作人の申請に対し、特定土地の用益を割りあてる文書。⇔請け文。 4 費用を割り当てる文書。割当高を記した文書。配符。 5 中世、所領をあてがう文書。あておこないじょう。 6 宛名を特定しないで「各位」「御中」などの披露状の体裁をとった書状。

あて‐もの【当物・中物・宛物】🔗🔉

あて‐もの【当物・中物・宛物】 1 隠してある物、なぞなどを考えて言い当てること。当て事。 2 駄菓子屋などで、くじを引かせ、当たると代金以上の菓子や玩具などを与えるもの。 3 射芸の一つで、折敷(おしき)、草木の葉、あわびの貝がらなどを的として射あてるもの。 4 近世末期にみられた門付(かどづけ)の一種。願人坊などが「出ました当て物」と市中を呼び歩き、商店の門口に立ってなぞを自問自答して、金銭をもらい歩くもの。 5 馬の気持を動揺させたり、驚かしたりするもの。あて。 6 物をあてがうこと。また、その物。 物を打ち、また、切りなどする時、下にあてがうもの。または、物を収納、包装する時、中身にあてがうもの。能面をかぶる時、左右の頬に張り付けて、面が顔にじかに当たるのを防ぐ枕状のもの。芝居の舞台の左右にある大臣柱の外側の張り物。かこい。酒、醤油などの醸造の時、廃水を出す際に中の白米、大豆などが流れ出ないように桶の内側に沿ってあてがう物。

あ・てる【当てる・中てる・充てる・宛てる】🔗🔉

あ・てる【当てる・中てる・充てる・宛てる】 〔他タ下一〕あ・つ〔他タ下二〕 物に触れさせるようにする。 1 勢いよくぶつける。打ちつける。*大智度論天安二年点‐一〇〇「執金剛神杵を以て之に擬(アツ)」*太平記‐二四「一鞭を当てたれば」 2 くっつける。あてがう。*土左「ひたひに手をあてて喜ぶこと」 3 風、光、熱などの作用を受けるようにする。さらす。*古事記‐中・歌謡「真火には阿弖(アテ)ず」 4 ある状態に直面させる。「ばちを当てる」*宇津保‐俊蔭「きんぢらをさへ罪にあてむといましめ給ひて」 5 人を扱う。*浮・傾城禁短気‐二「つらくあてられた事なく」 6 他のことにかこつけたりして遠まわしに悪口を言う。非難する。あてこする。*日葡辞書「Atete(アテテ)またはアテツケテ ユウ」 7 交渉してととのえる。調達する。*伎・法懸松成田利剣‐大詰「ちょっと五合、あてて来さっし」 8 飲食物や寒、暑、毒、不快な事などが、からだや気持に害を与える。多く「あてられる」の形で用いる。*地蔵十輪経元慶七年点‐一「種々の毒薬に中(アテ)らるることを」*人情・英対暖語‐四「かならず気に障(アテ)て被下(おくんな)さいますなへ」 9 こぶしなどで突く。当て身をくわせる。*伎・梅柳若葉加賀染‐四立「提灯を奪ひ取り、一つ当てる」 10 男女が、仲のよいところを見せつける。また、のろけ話を聞かせる。多く「あてられる」の形で用いる。「新婚さんにあてられる」 11 (2の意が、特殊な場合に用いられて) 座ぶとんを敷く。「どうぞおあてください」測るために物さしなどを物にあてがう。*笠懸聞書「定木をあつるに」 12 料理で、材料に塩をふって味をなじませる。「塩をあてる」 ある物に向けさせるようにする。ある状態、用途、方角などにあてはめる。 1 物をある目的、用途に使う。充当する。*南海寄帰内法伝平安後期点‐一「浄をは非時の飲用に擬(アツ)」 2 うまく対応するようにする。また、対応するように分け配る。*源氏‐橋姫「四季にあててし給ふ御念仏を」*大鏡‐二「供料をあてたびて我滅罪生善のいのり」 3 ある役目や仕事などを担当させる。*宇津保‐祭の使「よき御庄ある国々の受領にあてられたり」*日葡辞書「ヒトニ ヤクヲ aturu(アツル)」 4 ある方角にあるようにする。*平家‐七「山をまへにあつ」 5 (「目をあてる」の形で)ある物に視線を向ける。多く打消を伴って用いる。*方丈記「変りゆくかたちありさま、目もあてられぬこと多かり」 6 教室などで、何かをやらせたり、質問に答えさせるために指名する。 7 郵便物の送り先の人を指定する。「父にあてて送る」 うまく触れるようにする。的中させる。 1 矢や弾丸などをねらった所にうまくぶつける。命中させる。*源氏‐若菜下「柳の葉を百(もも)たび射あてつべき舎人どもの」 2 事実を正しく推測する。正しい答えを出す。*源氏‐葵「大将の君の御かよひ所ここかしことおぼしあつるに」 3 物事をうまくいかせる。事業、商売、興行などを予定どおりに成功させる。*伎・韓人漢文手管始‐一「おいらが太鼓を持て当(ア)てささにゃ成らぬ神事の趣向」 4 くじや懸賞の催しで、当籖(とうせん)する。

えん【宛】(ヱン)🔗🔉

えん【宛】(ヱン) 中国の地名。現在の河南省南陽。春秋時代の楚の街で、秦代には県。

えん‐ぜん【宛然】(ヱン‥)🔗🔉

えん‐ぜん【宛然】(ヱン‥) 〔形動タリ〕そっくりそのままであるさま。よくあてはまるさま。*中華若木詩抄‐下「昼中の景を宛然とありありしく云い出たされたる也」

えん‐てん【宛転】(ヱン‥)🔗🔉

えん‐てん【宛転】(ヱン‥) 〔形動タリ〕(「えんでん」とも) 1 (「宛」は、ねころぶの意)ころびまわるさま。まろぶさま。*本朝文粋‐一四「宛転不閑」 2 (「宛」は、まがるの意)ゆるやかに動きまわるさま。 ゆるやかな曲線をえがいて曲がるさま。*俳・世説‐三「宛転たる環の如し」眉がゆるく弧をえがいているさま。また、眉がゆるやかに動くさま。美人の眉の形容。*本朝無題詩‐二「宛転蛾眉残月細」(「蜿転」とも)虫などが、ゆるやかにくねって動くさま。*三教指帰‐下「蠢蠢万虫、宛転相連」言葉、声、また、話などが調子よく、すらすらとよどみないさま。*読・英草紙‐一「奥の一間より嬌声宛転とひびきて」

えん‐と‐して【宛として】(ヱン‥)🔗🔉

えん‐と‐して【宛として】(ヱン‥) 〔副〕あたかも。さながら。ちょうど。宛然。

日国−宛で始まるの検索結果 1-32