【商】 11画　口部　［三年］ 区点=3006　16進=3E26　シフトJIS=8FA4 《常用音訓》ショウ／あきな…う 《音読み》　ショウ（シャウ）〈shng〉 《訓読み》　あきなう（あきなふ）／あきない（あきなひ）／あきんど／はかる 《名付け》　あき・あつ・ひさ 《意味》 ｛動・名｝あきなう（アキナフ）。あきない（アキナヒ）。商売する。商売。▽もと、行商を商、店を構えるのを賈コといったが、のち広く商売を商という。「商易」 ｛名｝あきんど。商人。「天下之商」〔→孟子〕 ｛動｝はかる。物事を比べ考える。▽値段の駆け引きをする意から。「商議」「商量」 ｛名｝中国古代の王朝名。殷商インショウともいう。湯トウ王が夏カの桀ケツ王を滅ぼしてたて、商と自称した。商は、遠祖の契セツが都を置いたと伝えられる地名。もと河南の亳ハクに都を置き、のち今の河南省安陽県小屯ショウトンに移った。その遺跡が殷墟インキョである。紂チュウ王のとき周の武王に滅ぼされた。周人は彼らを殷と呼んだ。 ｛名｝五音の一つ。五行では金、季節では秋、方角では西に当てる。 ｛名｝星座の名。心宿のこと。 ｛名｝割り算の答え。 《解字》 形声。「高い台の形＋音符章の略体」で、もと、平原の中の明るい高台。殷人は高台に聚落シュウラクをつくり商と自称した。周に滅ぼされたのち、その一部は工芸品を行商するジプシーと化し、中国に商業がはじまったので、商国の人の意から転じて、行商人の意となった。 《単語家族》 陽（明るい高台）敞ショウ（広く高い所）場（広い台地）と同系。 《熟語》 →熟語 →下付・中付語 →故事成語 →主要人名

【商人】 ショウニン 商売をする人。あきんど。▽ショウジンとも読む。〔→左伝〕自分の名義で商行為をする人。ショウヒト 商の国の人。

【商山】 ショウザン 山名。陝西センセイ省商県の東にある。秦シン代に、四皓シコウ（東園公・夏黄公・角里ロクリ先生・綺里季キリキの四老人）が乱を避けて隠れた山。『商嶺ショウレイ』

【商女】 ショウジョ 遊女。「商女不知亡国恨＝商女ハ知ラズ亡国ノ恨ミ」〔→杜牧〕

【商声】 ショウセイ 五音の一つ。強く清くさえて聞こえる音。

【商況】 ショウキョウ 取り引きの状況。景気。

【商秋】 ショウシュウ 秋のこと。▽「商」は、五行で秋に当てる。

【商度】 ショウタク はかり考える。協議する。『商討ショウトウ』

【商風】 ショウフウ 秋の（西から吹く）風。西風。〈類義語〉金風。▽「商」は、五行で秋に当てる。「商風道清気＝商風清気ヲ道ク」〔→李賀〕

【商家】 ショウカ 殷インの朝廷のこと。人民の家。民家。商人の家。

【商校】 ショウコウ ＝商較。比較して考える。はかり比べる。

【商旅】 ショウリョ 旅あきんど。行商人。商人と旅人。「山岳潜形商旅不行＝山岳形ヲ潜メ商旅行カズ」〔→范仲淹〕

【商販】 ショウハン 商売。また、商売すること。商人。〔俗〕行商人。

【商埠】 ショウフ 外国と通商するための港。開港場。

【商略】 ショウリャク はかりごと。また、はかりごとを巡らす。討論する。比べはかる。品定めすること。商売上の駆け引き。

【商量】 ショウリョウ 引き比べて考える。斟酌シンシャクする。協議相談する。

【商量多】 ショウリョウタ 文章の上達の三つの条件（三多）の一つ。じゅうぶんに考えてから文章をつくること。

【商意】 ショウイ 秋のけはい。▽「商」は、五行で秋に当てる。『商気ショウキ』

【商業】 ショウギョウ 商人。生産者・消費者の間にいて、商品を売買して利益を得ること。また、そのような業務。あきない。

【商賈】 ショウコ 商人。あきんど。▽「商」は、行商。「賈」は、店を構えてする商売。『商估ショウコ』「商賈皆欲蔵於王之市＝商賈皆王ノ市ニ蔵セント欲ス」〔→孟子〕

【商頌】 ショウショウ「詩経」の三頌の一つ。周のとき、滅亡した殷イン（＝商）の子孫が、先祖をまつって歌った詩。▽「頌」は、神をたたえて歌う歌。

【商歌】 ショウカ〈故事〉悲しい調子の歌。▽晋シンの[ネイ]戚ネイセキが斉セイの桓公カンコウにあって任用を認めてもらおうとするがあうことができず、牛を引いてあきないをしていると桓公の外出にあい、歌を歌って桓公に認められたという故事から。〔→淮南子〕転じて、人に認められたくて訴えるときの歌。「中宵尚孤征、商歌非吾事＝中宵ナホ孤リ征ク、商歌ハ吾ガ事ニアラズ」〔→陶潜〕

【商暮】 ショウボ 秋の夕暮れ。秋が終わる。▽「商」は、五行で秋に当てる。

【商確】 ショウカク 他と比べて定める。はかり定める。

【商談】 ショウダン 商業上の取り引きの話。

【商敵】 ショウテキ つきあわせて比べる。〔国〕商売上の競争相手。商売敵ショウバイガタキ。

【商標】 ショウヒョウ〔国〕自分の会社・製造所が製造・販売する商品であることを示すために、営業者が商品につける標章。トレードマーク。

【商館】 ショウカン 商店。特に、開港場で外国人の経営する商店。

【商機】 ショウキ〔国〕商売で、取り引きするためによい機会。商業上の機密。

【商議】 ショウギ 相談。協議。

【商鑑不遠】 ショウカントオカラズ〈故事〉商（＝殷イン）の国としての戒めとすべき手本は遠い昔に求める必要はない。滅亡・失敗の実例がすぐ手近なところにあるということ。「殷鑑不遠＝インカンとおからず」とも。〔胡銓〕

【商鞅】 ショウオウ〈人名〉？〜前３３８　戦国時代、衛の人。姓は公孫。衛の公室から出た政治家。秦シンの孝公に仕えた。商に封ぜられたので商鞅・商君・商子ともいう。著に『商君書』がある。衛鞅とも。