【利益】 リエキ もうけ。また、とくになること。リヤク〔仏〕仏の教えに従うことによって得られる恵み。他人を救うこと。御利益ゴリヤク。

【利害】 リガイ 利益と損害。損得。

【利器】 リキ 鋭い刃物。鋭い武器。『利兵リヘイ』便利な器械。すぐれた人物。天子の権力。軍隊を動かす権力。〔→老子〕

【不利】 リアラズ →「不利フリ」

【力】 2画　力部　［一年］ 区点=4647　16進=4E4F　シフトJIS=97CD 《常用音訓》リキ／リョク／ちから 《音読み》　リョク／リキ〈l〉 《訓読み》　ちから／つとめる（つとむ）／つとめて／りきむ／りき 《名付け》　いさお・いさむ・お・か・ちか・ちから・つとむ・よし 《意味》 ｛名｝ちから。もと、筋力のこと。のち、広く働きをおこすちから。「能力」「尽力＝力ヲ尽クス」「力抜山兮気蓋世＝力ハ山ヲ抜キ気ハ世ヲ蓋フ」〔→史記〕 ｛名｝ちから。勢い。「勢力」「権力」 ｛名｝ちから。力仕事。労働。「不事力而養足＝力ヲ事メズシテ養ヒ足ル」〔→韓非〕 ｛名｝ちから。腕前。力量。「筆力」 ｛動｝つとめる（ツトム）。ちからをこめてがんばる。筋肉のすじめが目だつほどちからを入れる。「努力」「百姓当家則力農工＝百姓家ニ当タレバスナハチ農工ニ力ム」〔→史記〕 ｛副｝つとめて。努力して。「力説」「子力行之＝子力メテコレヲ行フ」〔→孟子〕 〔国〕りきむちからをこめる。▽力の字音を活用させたことば。りき。仕事量の単位。「十人力」「三馬力」 《解字》 象形。手の筋肉をすじばらせてがんばるさまを描いたもの。 《単語家族》 仂ロク（ちからを入れる）勒ロク（ぐいと力を入れて引く手綱）と同系。また「すじめを入れる」という点では、肋ロク（すじめがたって並んだ骨）・里（田や町のくぎり）・理（すじめ）・陵（山のすじめ）と縁が近い。 《類義》 務は、むりに困難をおかしてちからを尽くすこと。努は、じわじわとたゆまないで、がんばること。労はちからを出し尽くして働く。勤は、こまめに手を尽くす。勉はむりをして力む意。 《熟語》 →熟語 →下付・中付語 →故事成語

【力争】 リキソウ・リョクソウ 力ずくで争う。＝力諍。強くいさめる。『力諫リョッカン・リキカン』

【力役】 リョクエキ・リキエキ 体力を必要とするわざ。あら仕事。政府が人民に要求する、税金がわりの労働。えだち。『力政リョクセイ・リキセイ』〔→孟子〕

【力作】 リキサク 力のはいったできばえのよい作品。リョクサク 努力して仕事をする。

【力学】 リョクガク 努力して学ぶ。勉学。リキガク 物理学の一分野。物体間に働く力と、それによって生じる運動について研究する学問。

【吏人】 リジン 下っぱの役人。下級役人。▽一般に、「吏人」は中央から任命される官の下で、役所の実務・雑役につく。官は天子から任命されるのに対して、吏は官庁の長から任命される。『吏員リイン・吏卒リソツ』「雨歇吏人稀＝雨歇ミテ吏人稀ナリ」〔→梅尭臣〕

【吏才】 リサイ 役人としての才能。官吏として事をさばく能力。『吏幹リカン・吏能リノウ』

【吏議】 リギ 役人の相談。官吏が事をはかること。〔→史記〕裁判官が法律によって罪を定めること。

【李下不正冠】 リカニカンムリヲタダサズ〈故事〉すももの実を盗んだと疑われるから、すももの木の下では冠をかぶり直さない。疑われやすい言動は避けなければならないというたとえ。「瓜田不納履＝カデンにくつをいれず」とも。〔古楽府〕

【李淵】 リエン〈人名〉→「高祖コウソ（唐）」

【李延年】 リエンネン〈人名〉漢の武帝の李夫人の兄。音楽に通じ協律都尉となったが、夫人の死後殺された。

【李華】 リカ〈人名〉７１５？〜６６　盛唐の文人。字アザナは遐叔カシュク。玄宗のとき、監察御史となった。『李遐叔文集』がある。

【李賀】 リガ〈人名〉７９０〜８１６　中唐の詩人。字アザナは長吉、昌谷ショウコクに住んだ。表現は奇抜であったが二七歳で死んだ。『昌谷集』がある。→「白玉楼ハクギョクロウ」・→「錦嚢キンノウ」

【李開先】 リカイセン〈人名〉１５０１〜８８　明ミン代の劇作家。章邱ショウキュウ県（山東省）の人。字アザナは伯華、号は中麓チュウロク。民間文芸の収集・整理に功績があった。著に『宝剣記』『登壇記』などがある。

【梨花一枝春帯雨】 リカイッシハルアメヲオブ〈故事〉梨ナシの花が一枝、春の雨にぬれている。美人が涙ぐむさまにたとえる。「玉容寂寞涙闌干、梨花一枝春帯雨＝玉容寂寞トシテ涙闌干、梨花一枝春雨ヲ帯ブ」〔→白居易〕

【梨雲】 リウン 梨ナシの花が一面に咲いているさまを白雲にたとえていうことば。

【梨園】 リエン 梨ナシの木を植えた庭。〈故事〉演劇界のこと。▽唐の玄宗ゲンソウが、梨を植えた宮中の庭で、青年や宮女に音楽や芝居を学ばせたことからいう。また、役者や俳優のことを「梨園弟子リエンノテイシ」という。「梨園弟子白髪新＝梨園ノ弟子白髪新タナリ」〔→白居易〕

【理化】 リカ 物事の道理の変化。人民を感化してみちびく。政治と教化。治理教化。物理学と化学。

【理会】 リカイ 物事の道理をさとる。

【理気】 リキ 呼吸をととのえる。宋学ソウガクで、宇宙の根本原理である理と、そのあらわれである気。

【理気合一】 リキゴウイツ 朱子学で区別された理と気とについての明ミンの王陽明の説。理は気（現象・物事）がこの世に存在するためのすじみちであり、気は理のあらわれで、がんらい一つであるとする。

【理学】 リガク 宋ソウ代、心の本体である性と宇宙の根本である理とを重視した学問。宋学。→「性理学」自然科学のこと。

【理官】 リカン 裁判官。おさめる官。役人のこと。

【理解】 リカイ 物事の道理・意義がよくわかること。

【理義】 リギ 一般原理と、その場で妥当だと考えられる道理。物事のすじみち・道理のこと。

【礼拝】 レイハイ・ライハイ 神仏をおがむ。リイパイ〔俗〕一週間。日曜日。▽回教徒の習慣から。「礼拝日」

【籬垣】 リエン かきね。まがき。『籬藩リハン・籬牆リショウ』

【籬菊】 リキク かきねのそばにさく菊の花。「籬菊有残花＝籬菊残花有リ」〔→白居易〕

【罹災】 リサイ 災難にあう。『罹厄リヤク・罹難リナン・罹禍リカ』

【里長】 リチョウ 里の長。『里正リセイ・里宰リサイ・里尹リイン』「去時里正与裹頭、帰来頭白還戍辺＝去キシ時ニハ里正ノ与ニ頭ヲ裹ミタリシニ、帰リ来タレバ頭白キニ還タ辺ヲ戍ル」〔→杜甫〕

【里魁】 リカイ 後漢・南宋ナンソウの制度で、里の長。

【釐改】 リカイ きちんとおさめ改める。制度などを改正すること。『釐革リカク』

【離会】 リカイ 二国の君主が会見すること。会合する。「離合」と同じ。

【離合】 リゴウ わかれて離れることと、あうこと。また、離れることと集まること。「離合集散」「人生有離合＝人生離合有リ」〔→杜甫〕『離会リカイ』

【離声】 リセイ 別れを惜しむ歌声。『離曲リキョク・離歌リカ』「祖帳離声咽管絃＝祖帳ノ離声管絃咽ブ」〔→白居易〕

【離別】 リベツ 人とわかれて離れること。〈類義語〉別離。夫婦が婚姻関係をたつこと。『離婚リコン・離縁リエン』

【離奇】 リキ 曲がりねじれている。めずらしい。〈類義語〉珍奇。

【離跂】 リキ 大衆から離れて、ひとりだちすること。世俗から離れて超然としていること。▽「跂」は、つま先で高くたつ。〔→荘子〕

【離間】 リカン 仲たがいさせること。仲をさく。「挑発離間」

【離筵】 リエン 別れを惜しんで行う送別の宴会。別れのさかもり。『離宴リエン』

【離隔】 リカク 間を離し隔てる。また、間が離れ隔たる。

【離懐】 リカイ 人にわかれるときの悲しい気持ち。別離の悲しみ。

【離闊】 リカツ 遠く間をあけて離れている。長い間便りもなく離れていること。

【驪姫】 リキ〈人名〉春秋時代、晋シンの献公の夫人。献公に滅ぼされた驪戎リジュウの娘。自分のうんだ子を太子にしようとして太子の申生シンセイを謀殺した。麗姫とも。