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あし【葦・蘆・葭】🔗🔉

あし [1] 【葦・蘆・葭】 イネ科の多年草。温帯および暖帯に広く分布し,水辺に自生する。地下の長い根茎から高さ2メートル以上に達する稈(カン)(茎)を出し,群生する。葉は二列に互生し,ササの葉に似る。秋,ススキに似た大きな穂を出す。稈は簾(スダレ)やよしずにする。「あし」が「悪し」に通ずるのを忌んで,「よし」ともいう。ハマオギ。[季]秋。

あし=をふくむ雁(カリ)🔗🔉

――をふくむ雁(カリ) 海を越える時,海上で休むのに用いるため,葦の葉を口にくわえていくという雁。 →雁風呂(ガンブロ)

あしか【海驢・葦鹿】🔗🔉

あしか [0] 【海驢・葦鹿】 (1)食肉目アシカ科の海獣の総称。アシカ・トド・オットセイ・オタリアなどを含む。 (2){(1)}の一種。体長は雄が約2メートル,雌は約1.5メートル。毛は暗褐色。四肢は遊泳に適するよう,魚のひれ状に変化している。一夫多妻で,群れをなして生活し,警戒心が強い。太平洋に広く分布。うみうそ。 (3)〔アシカは眠りを好むと信じられたことから〕 眠たがる人。特に,よく眠る若い遊女。「―の名代席料を三分捨/柳多留 102」

あし-がき【葦垣】🔗🔉

あし-がき 【葦垣】 〔上代は「あしかき」〕 (1)葦で結った垣根。「―の隈処(クマト)に立ちて/万葉 4357」 (2)催馬楽(サイバラ)の曲名。「声いとなつかしくて―うたふ/源氏(藤裏葉)」

あしがき-の【葦垣の】🔗🔉

あしがき-の 【葦垣の】 (枕詞) 〔上代は「あしかきの」〕 葦垣が外と内とを隔てすき間のないことから,また,古くなりやすいことから,「古る」「乱る」「間近し」「外(ホカ)」にかかる。「難波の国は―古りにし里と/万葉 928」「―外に嘆かふ我(アレ)し悲しも/万葉 3975」

あし-が-ちる【葦が散る】🔗🔉

あし-が-ちる 【葦が散る】 (枕詞) 葦の多かった難波(ナニワ)の実景から,地名「難波」にかかる。「―難波の御津に/万葉 4331」

あし-がも【葦鴨】🔗🔉

あし-がも 【葦鴨】 〔葦辺に群れているところから〕 鴨。「渚には―騒き/万葉 3993」

あしがも-の【葦鴨の】🔗🔉

あしがも-の 【葦鴨の】 (枕詞) 葦辺に鴨が群れいることから,「うち群れ」にかかる。「―うち群れて/土左」

あし-かり【葦刈り・蘆刈り】🔗🔉

あし-かり 【葦刈り・蘆刈り】 葦を刈ること。また,その人。[季]秋。「―に堀江漕ぐなる楫(カジ)の音は/万葉 4459」

あしかり-おぶね【葦刈り小舟】🔗🔉

あしかり-おぶね ―ヲ― 【葦刈り小舟】 葦を刈って積む小舟。あしぶね。「―所々に棹さして/東関紀行」

あし-げ【芦毛・葦毛】🔗🔉

あし-げ [0][3] 【芦毛・葦毛】 馬の毛色の名。体の一部や全体に白い毛が混生し,年齢とともにしだいに白くなる。はじめは栗毛や鹿毛にみえることが多い。原毛色の残り方から赤芦毛・連銭芦毛など種々ある。

あしげ-ひばり【葦毛雲雀】🔗🔉

あしげ-ひばり [4] 【葦毛雲雀】 馬の毛色の名。葦毛に雲雀(ヒバリ)毛のまじったもの。

あし-ごい【葦五位】🔗🔉

あし-ごい ―ゴ [3] 【葦五位】 鳥ヨシゴイの異名。

あし-すだれ【葦簾】🔗🔉

あし-すだれ [3] 【葦簾】 (1)葦の茎を編んだすだれ。よしず。 (2)鈍色(ニビイロ)のへりをつけた,葦のすだれ。中古,諒闇(リヨウアン)の時,天皇のこもる倚廬(イロ)に掛けた。

あし-たず【葦田鶴】🔗🔉

あし-たず ―タヅ 【葦田鶴】 鶴(ツル)の異名。「湯の原に鳴く―は/万葉 961」

あしたず-の【葦田鶴の】🔗🔉

あしたず-の ―タヅ― 【葦田鶴の】 (枕詞) 「ねのみし泣く」「泣く」にかかる。「―音(ネ)のみし泣かゆ朝夕(アサヨイ)にして/万葉 456」

あし-つき【葦付】🔗🔉

あし-つき [0] 【葦付】 藍藻類ユレモ目の淡水藻。じゅず状に連なった細胞列が寒天質に包まれて塊となり,浅瀬の石に付着する。食用。アシツキノリ。

あし-づの【葦角】🔗🔉

あし-づの [0] 【葦角】 早春,水辺に生い出た葦の新芽。あしのつの。あしかび。あしわか。

あし-で【葦手】🔗🔉

あし-で [0] 【葦手】 (1)文字を絵画風にくずして,水辺の葦を中心に水流・岩・草・鳥などをかたどったもの。平安時代に行われた。文字絵。葦手書き。 (2){(1)}に描かれているような文字の書体。 (3)「葦手絵」に同じ。 葦手(1) [図]

あしで-え【葦手絵】🔗🔉

あしで-え [3] 【葦手絵】 大和絵の一。中世に葦手{(1)}から発展して,絵の中に葦手の文字を組み込んだり,葦手の文字と絵とで一つの歌を表したりした装飾的絵画。料紙の下絵や蒔絵(マキエ)の意匠に用いられた。

あしで-がき【葦手書き】🔗🔉

あしで-がき [0] 【葦手書き】 「葦手{(1)}」に同じ。

あしで-もじ【葦手文字】🔗🔉

あしで-もじ [4] 【葦手文字】 「葦手{(2)}」に同じ。

あしね-はう【葦根延ふ】🔗🔉

あしね-はう ―ハフ 【葦根延ふ】 (枕詞) 葦の根は水の下や(ウキ)をはうので,「下」「憂き」にかかる。「―下にのみこそ沈みけれ/拾遺(雑下)」

あし-の-つの【葦の角】🔗🔉

あし-の-つの [1] 【葦の角】 「あしづの(葦角)」に同じ。[季]春。《やゝありて汽艇の波や―/水原秋桜子》

あしのね-の【葦の根の】🔗🔉

あしのね-の 【葦の根の】 (枕詞) (1)「ね」の音を繰り返して,「ねもころ」にかかる。「―ねもころ思ひて/万葉 1324」 (2)根に節(ヨ)のあることから,「夜」「世」などにかかる。「―夜の短くて/後撰(恋四)」 (3)根が分かれていることから,「分けても」にかかる。「―分けても人に逢はむとぞ思ふ/後撰(恋二)」 (4)根が(ウキ)の中にあることから,「憂き」にかかる。「―憂き身のほどと知りぬれば/後拾遺(恋四)」

あしのは-がれい【葦の葉鰈】🔗🔉

あしのは-がれい ―ガレヒ [5] 【葦の葉鰈】 「木の葉鰈」に同じ。

あし-の-ほわた【葦の穂綿・蘆の穂絮】🔗🔉

あし-の-ほわた [1] 【葦の穂綿・蘆の穂絮】 晩秋,熟した葦の花穂に生じる白い細毛。風に乗って飛ぶ。昔,綿の代わりに着物や布団の中に入れた。[季]秋。

あし-の-や【葦の矢】🔗🔉

あし-の-や 【葦の矢】 葦の茎で作った矢。朝廷で追儺(ツイナ)の式の時,桃の弓につがえて,鬼を射るのに使った。

あし-はら【葦原】🔗🔉

あし-はら [0][2] 【葦原】 葦が生い茂っている原。あしわら。

あしはら-の-くに【葦原の国】🔗🔉

あしはら-の-くに 【葦原の国】 「葦原の中つ国」に同じ。「―へたちにしいさをなりけり/日本紀竟宴和歌」

あしはら-の-ちいおあき-の-みずほのくに【葦原の千五百秋の瑞穂の国】🔗🔉

あしはら-の-ちいおあき-の-みずほのくに ―チイホアキ―ミヅホノクニ 【葦原の千五百秋の瑞穂の国】 豊饒(ホウジヨウ)の永続する国の意で,「葦原の中つ国」の美称。「―は,これ吾が子孫の王たるべき地なり/日本書紀(神代下訓)」

あしはら-の-なかつくに【葦原の中つ国】🔗🔉

あしはら-の-なかつくに 【葦原の中つ国】 日本の,神話的名称。「―に遣はせる天の菩比(ホヒ)の神/古事記(上訓)」 →中つ国

あしはら-の-みずほのくに【葦原の瑞穂の国】🔗🔉

あしはら-の-みずほのくに ―ミヅホノクニ 【葦原の瑞穂の国】 「葦原の千五百(チイオ)秋の瑞穂の国」に同じ。「―を天降り知らしめしける皇祖(スメロキ)の/万葉 4094」

あしはら-の-しこお【葦原醜男・葦原色許男】🔗🔉

あしはら-の-しこお ―シコヲ 【葦原醜男・葦原色許男】 記紀神話では大己貴神(オオナムチノカミ)(大国主)の別称とされるが,本来は別神。「播磨国風土記」には天日槍(アマノヒボコ)と土地の占有をめぐって争う神と伝えられる。

あし-び【葦火】🔗🔉

あし-び [2] 【葦火】 葦刈りの人が暖をとるために刈った葦を燃やす焚き火。[季]秋。《菅の火は蘆の火よりも尚弱し/虚子》

あし-ぶえ【葦笛】🔗🔉

あし-ぶえ [0][3] 【葦笛】 (1)葦の葉を巻いて作った草ぶえ。 (2)葦の茎で作った,たて笛。 →ケーナ

あし-ぶき【葦葺き】🔗🔉

あし-ぶき [0] 【葦葺き】 屋根を葦で葺(フ)くこと。また,その屋根や家。

あし-ぶね【葦舟・葦船】🔗🔉

あし-ぶね [0][2] 【葦舟・葦船】 (1)葦を編んで作った舟。記紀神話で,蛭子(ヒルコ)をのせて流した。 (2)水に浮いている葦の葉を舟にたとえていう。

あし-べ【葦辺・蘆辺】🔗🔉

あし-べ [0][3] 【葦辺・蘆辺】 アシの生えている水辺。

あしや-の-うないおとめ【葦屋菟原処女】🔗🔉

あしや-の-うないおとめ ―ウナヒヲトメ 【葦屋菟原処女】 ⇒うないおとめ(菟原処女)

あし-わけ【葦分け・葦別け】🔗🔉

あし-わけ 【葦分け・葦別け】 (名・形動ナリ) 葦の茂った中をおしわけて舟を漕いで行くこと。また,舟が進むのにはさわりがあることから,物事にさしさわりがあるさまにもいう。「過ぎぬる夜は―なる事のありしなり/頼政集」

あしわけ-おぶね【葦別け小舟】🔗🔉

あしわけ-おぶね ―ヲ― 【葦別け小舟】 葦の生い茂った中を漕いで行く小舟。さしさわりのあるさまにたとえる。「湊(ミナト)入りの―障(サワ)り多み/万葉 2745」

あし-わら【葦原】🔗🔉

あし-わら ―ハラ [0][2] 【葦原】 ⇒あしはら(葦原)

よし【葦・蘆・葭】🔗🔉

よし [1] 【葦・蘆・葭】 〔「あし」が「悪し」に通ずるのを忌んで言い換えた語〕 植物アシのこと。[季]秋。

よし=の=髄(ズイ)(=管(クダ))から天井(テンジヨウ)を覗(ノゾ)く🔗🔉

――の=髄(ズイ)(=管(クダ))から天井(テンジヨウ)を覗(ノゾ)く 葦の茎の管を通して天井を見ても全体が見えないように,狭い見識に基づいて物事を判断することのたとえ。

よし-えび【葦海老】🔗🔉

よし-えび [2] 【葦海老】 海産のエビ。体長約18センチメートル。全身淡褐色で,微小な毛におおわれる。食用。本州中部以南に分布。スエビ。

よし-がも【葦鴨】🔗🔉

よし-がも [3][0] 【葦鴨】 カモ目カモ科の水鳥。全長約46センチメートル。雄は頭部の金属光沢のある黒色の羽毛と翼の三列風切羽が長くのびて美しい。雌は地味な褐色。アジア東北部に分布。日本では北海道で繁殖。冬は本州以南の各地や台湾に渡る。ミノガモ。ミノヨシ。

よし-きり【葦切・葦雀】🔗🔉

よし-きり [0][3] 【葦切・葦雀】 (1)スズメ目ウグイス科のオオヨシキリとコヨシキリの総称。一般にはオオヨシキリをさす。中国南部から夏鳥として渡来する。そのそうぞうしい鳴き声から「行々子(ギヨウギヨウシ)」ともいう。葦原雀(ヨシワラスズメ)。[季]夏。《―や漸暮れて須磨の浦/蓼太》 (2)早口で多弁な人。

よしきり-ざめ【葦切鮫】🔗🔉

よしきり-ざめ [4] 【葦切鮫】 ネズミザメ目の海魚。全長6メートルに達する。体はやや細長く,胸びれは長い。背面は藍青色で,腹面は白い。性質は獰猛(ドウモウ)。肉は蒲鉾(カマボコ)など練り製品の材料,ひれは「鱶(フカ)ひれ」として中国料理に使われる。熱帯から亜寒帯まで広く分布。ミズブカ。

よし-ご【葦子・葭子】🔗🔉

よし-ご [2] 【葦子・葭子】 葦の若芽。あしづの。

よしご-ぶえ【葦子笛】🔗🔉

よしご-ぶえ [3][4] 【葦子笛】 葦子でつくった笛。

よし-ごい【葦五位】🔗🔉

よし-ごい ―ゴ [2] 【葦五位】 コウノトリ目サギ科の鳥。全長約35センチメートルで小形。全体が黄褐色で頭上と翼の一部が黒い。水辺の葦原にすみ,水生昆虫や小魚を食べる。アシやマコモの間にひそみ,敵が近づくと首を上にのばし,くちばしを立てて,アシの茎に似せて体をゆらす習性がある。アジアの東部から南に分布。日本には夏鳥として渡来し,各地で繁殖する。

よし-ず【葦簀・葭簀】🔗🔉

よし-ず [0] 【葦簀・葭簀】 葦の茎を編んで作った,すだれ状のもの。立てかけて日除け,目隠しなどに用いる。よしすだれ。[季]夏。

よしず-がこい【葦簀囲い】🔗🔉

よしず-がこい ―ガコヒ [4] 【葦簀囲い】 葦簀で囲うこと。また,その囲い。

よしず-ばり【葦簀張(り)】🔗🔉

よしず-ばり [0] 【葦簀張(り)】 葦簀で囲うこと。また,囲った小屋。

よし-すだれ【葦簾・葭簾】🔗🔉

よし-すだれ [3] 【葦簾・葭簾】 「よしず」に同じ。[季]夏。

よし-たけ【葦竹・葭竹】🔗🔉

よし-たけ [2] 【葦竹・葭竹】 ダンチクの別名。

よし-ど【葦戸・葭戸】🔗🔉

よし-ど [2] 【葦戸・葭戸】 よしずを張った戸。夏,襖(フスマ)・障子などを外して代わりに使う。簾戸(スド)。葭障子。[季]夏。

よし-のぼり【葦登】🔗🔉

よし-のぼり [3] 【葦登】 スズキ目の淡水魚。全長約9センチメートル。淡水産のハゼの一種で,腹びれは吸盤状。体色や斑紋は生息地により変化に富む。美味で佃煮(ツクダニ)とする。日本各地と朝鮮半島・中国に分布。ゴリ。 →ハゼ

よし-ぶえ【葦笛】🔗🔉

よし-ぶえ [3][0] 【葦笛】 葦で作った笛。あしぶえ。

よし-わら【葦原】🔗🔉

よし-わら ―ハラ [2] 【葦原】 葦の生い茂っている原。

よしわら-すずめ【葦原雀】🔗🔉

よしわら-すずめ ―ハラ― [5] 【葦原雀】 ヨシキリの別名。[季]夏。

あし【葦】(和英)🔗🔉

あし【葦】 a reed;→英和 a rush.→英和

あしげ【葦毛】(和英)🔗🔉

あしげ【葦毛】 a gray (horse).→英和

よし【葦】(和英)🔗🔉

よし【葦】 《植》a reed.→英和

よしきり【葦切り】(和英)🔗🔉

よしきり【葦切り】 《鳥》a reed warbler.

よしず【葦簾】(和英)🔗🔉

よしず【葦簾】 a marsh-reed screen.

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