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それ【其・夫】🔗🔉

それ其・夫】 [一]〔代〕 空間的・時間的または心理的に、相手の近くにあるものを指し示す語。 ①相手の近くにあるもの。相手のしていること。万葉集7「―をだに君が形見に見つつしのはむ」。「ほら―だよ」「―が済んだらおやつを上げましょうね」 ②今、相手の関心が向いていると思われる物・事・人・時。伊勢物語「女御、多賀幾子と申すみまそかりけり。―うせ給ひて」。「―をいつ聞いたの」「―以来10年もたった」「―まで辛抱しろ」 ③相手を指す語。あなた。天草本伊曾保物語「何とて―には見えられぬぞ」 ④相手のいる所。その所。そこ。狂言、福渡し「おのれも―に臥せり居ろ」 ⑤(「某」とも書く)ある物・事を(具体的な判定は相手に委ねる気持で)漠然と指し示す語。土佐日記「―の年のしはすの二十日余りひと日のいぬの時に門出す」 [二]〔感〕 ①(漢文の「夫」の訓読から)改まった気持で文をおこし、または物事を述べ立てるのに用いる語。地蔵十輪経元慶点「其ソレ、易やすくあるべけむや」。平家物語1「―雄剣を帯し」。「もし―自由あらずんば」 ②励ましたり注意を向けさせたりする時、掛け声のように発する語。平治物語「―防げ、侍ども」。狂言、仏師「―御見やれ」。「―行け」 ⇒其かあらぬか ⇒其からそれまで ⇒其来た ⇒其御覧 ⇒其でいて ⇒其とはなしに ⇒其にしては ⇒其にしても ⇒其につけても ⇒其にとりて ⇒其はさておき ⇒其はそうと ⇒其はそれとして ⇒其はともあれ ⇒其見たことか ⇒其見ろ

広辞苑 ページ 11684 での単語。