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○内を出違ううちをでちがう🔗🔉

○内を出違ううちをでちがう 訪れてくる人を避けるため、入れ違いに家を出る。 ⇒うち【内】 うちんど内人】 ウチビトの音便。 うつ 獣の通り路。→うじ うつ鬱・欝】 気のふさぐこと。高橋太華、有馬竹「何がな―を遣るべき事あらずやと問へば」。「―を散ずる」 う・つ打つ・討つ・撃つ】 [一]〔他五〕 ➊ある物を他の物に瞬間的に強くあてる。 ①《打・撃》勢いよく当てる。古事記「ささのはに―・つや霰の」。大鏡伊尹「手をはたと―・ちて」。日葡辞書「カヲヲウツ」 ②たたいて鳴らす。万葉集4「皆人を寝よとの鐘は―・つなれど」。土佐日記「舟子どもは腹つづみを―・ちて」。日葡辞書「ツヅミヲウツ」。「時計が3時を―・つ」 ③砧きぬたでたたいて光沢を出す。源氏物語野分「朽葉のうすもの、今様色の二なく―・ちたるなど引き散らし給へり」 ④石などを強くたたいて火を出す。貫之集「をりをりに―・ちて焚く火の煙あらば」。日葡辞書「ヒヲウツ」 ⑤強い感動を与える。「心を―・つ」「胸を―・つ」 ⑥むち打って、馬を走らせる。平家物語9「二日路を一日に―・つて」 ⑦電報を発信する。「電報を―・つ」 ⑧舌をならす。日葡辞書「シタツヅミヲウツ」 ⑨綿弓ではじく。「古綿を―・ち直す」 ⑩たたいて伸ばす。「金箔を―・つ」 ⑪材料を鍛えて製品をつくる。大鏡頼忠「かねの御器ども―・たせ給へりしかば」。日葡辞書「ウマノクラヲウツ」「ユミヲウツ」。仮名草子、国町の沙汰「近江が―・ちし紫檀の三味線」 ⑫そば・うどんなどをつくる。日葡辞書「キリムギヲウツ」。ひさご「うどん―・つ里のはづれの月の影」(荷兮) ⑬たがやす。すきかえす。古事記「木鍬もち―・ちしおほね」。日葡辞書「タヲウツ」 ⑭土地を測量する。日葡辞書「サヲヲウツ」 ⑮墨縄を使う。万葉集11「飛騨人の―・つ墨縄のただ一道に」 ⑯伐り採る。万葉集14「佐野山に―・つや斧音おのとの遠かども寝もとか子ろが面に見えつる」 ➋《打》 ①釘や杙くいをたたきこむ。古事記「こもりくの初瀬の川の上つ瀬に斎杙いくいを―・ち下つ瀬に真杙を―・ち」。大鏡師輔「胸に釘は―・ちてき」 ②針などをさし入れる。狂言、雷「之を痛い所へ―・ち込みまする。…―・つてくれい」。「注射を―・つ」 ③釘を打つなどして、とめる。はりつける。平家物語1「御墓所の廻に我寺々の額を―・つ事あり」。日葡辞書「ウラヲウツ」 ④筆などで印をつける。「点を―・つ」「番号を―・つ」 ⑤非難する。なじる。「非の―・ちどころがない」 ➌《撃・討》きずつけたおす。 ①武器などで打撃を与え、敵をたおす。ころす。斬る。古事記「久米の子が頭椎くぶつつい石椎いもち―・ちてしやまむ」。日葡辞書「ヒトヲウツ」。「首を―・つ」 ②矢・弾丸などをあてて殺す。「獣を―・つ」 ③敵を攻める。攻めほろぼす。日葡辞書「テキヲウツ」。「不意を―・つ」 ➍《打》(遠くへ投げる意から) ①投げてあてる。投げる。宇津保物語蔵開中「南のおとどよりかうじを一つ投げて大将を―・つ人あり」。宇治拾遺物語3「石を取りて―・ちたれば当りて」。日葡辞書「ツブテヲウツ」 ②投げ広げる。日葡辞書「ナゲアミヲウツ」 ③網で鳥をとらえる。日葡辞書「トリヲウツ」「ウチアミ」 ④まく。狂言、文相撲「水を―・たせて置け」 ⑤おろす。日葡辞書「イカリヲウツ」 ⑥(「射つ」とも書く)発射する。日葡辞書「テッポウヲウツ」 ⑦纏頭はななどを与える。浄瑠璃、心中二枚絵草紙「いつやらの紙花も思の外に遅なはり面目ない…今改めてこりやばつと―・ちなほすわ」 ⑧身を、なげだす。すてる。ほろぼす。浄瑠璃、生玉心中「命惜しい程なら高で身を―・つ事もない」 ⑨巡礼する。歌舞伎、傾情吾嬬鑑「西国を―・つ気はないか」 ⑩〔仏〕伝法灌頂をうける。 ➎《打》物を組み合わせる。 ①仮に構え設ける。門・幕などを、とざす。しめる。宇津保物語藤原君「賀茂川の辺にさじき―・ちて」。奉公覚悟之事「幕之事…常は張るといふべし。敵を見かけては―・つといふべし」。浄瑠璃、仮名手本忠臣蔵「表御門裏御門両方―・ちたる館の騒動」 ②ひも・糸状のものを組む。編む。日葡辞書「ムシロヲウツ」「ヲヲウツ」 ③罪人になわをかける。 ➏《打》転じて、あることを行う意。 ①芝居や相撲を興行する。「芝居を―・つ」 ②碁・将棋・すごろくなどの遊戯を行う。古今和歌集「碁―・ちける人のもとに」 ③ばくちをする。徒然草「ばくちの負けきわまりて残りなく―・ち入れむとせんに相手は―・つべからず」 ④ある方策を行う。手段を講ずる。「新しい手を―・つ」「広告を―・つ」 ⑤物事のきまりがついたことを祝って手をたたく。手をしめる。 ⑥総金額のうち幾分かを渡す。品物の交換などの場合、不足金を補いはらう。「手金を―・つ」 ⑦あるしぐさをする。狂言、瓜盗人「夜瓜を取るにはころびを―・つて取るものぢや」 ⑧勢いよく動く。進んで事を行う。「文壇に―・って出る」 [二]〔自下二〕 (打たれるの意) ①打撃を受ける。押しつぶされる。太平記13「五百余人一人も残らず圧おしに―・てて死にけり」 ②負ける。古今著聞集16「又よりあひて取るにこのたびは壇光―・てにけり」 ③誓約を破って罰を受ける。平家物語12「起請には早くも―・てたるぞかし」 ④気を呑まれる。けおされる。浄瑠璃、五十年忌歌念仏「大坂の娘子達に交りても―・てずおされず」 ⑤承服する。納得する。合点がいく。浄瑠璃、心中天の網島「さすがの武士も―・てぬ顔」 ⑥魚などが腐る。 ⇒打たれても親の杖 ⇒打って一丸となる ⇒打てば響く う・つ棄つ】 〔他下二〕 捨てる。古事記「葦船に入れて流し―・てき」 うつ】 〔接頭〕 「全部」「まるまる」の意を表す。神代紀「―剥ぎ」 うつ空・虚】 〔接頭〕 「うつろ」の意を表す。「―木」 うつ‐うつ 半ば覚め、半ば眠っているさま。うとうと。うつらうつら。 うつ‐うつ鬱鬱】 ①草木の盛んに茂っているさま。 ②気が盛んにのぼるさま。 ③心がふさいで楽しくないさま。気分の晴々しないさま。「―として暮らす」「―たる日々」 う‐づえ卯杖‥ヅヱ 正月の上卯の日に邪鬼じゃきを払うまじないとした杖。宮中では大学寮または諸衛府から天皇・中宮などに奉った。桃・梅・椿・ひいらぎの木などを5尺3寸ずつに切って束とする。正倉院宝物にある。神社や民間でも贈答した。祝の杖。〈[季]新年〉 ⇒うづえ‐の‐ほがい【卯杖の祝】 うづえ‐の‐ほがい卯杖の祝‥ヅヱ‥ホガヒ 卯杖を奉るときに奏する寿詞よごと。うづえのことぶき。栄華物語つぼみ花「人々は…うちさざめき、―などいふ心地こそすれ」 ⇒う‐づえ【卯杖】 うつおウツホ ①中がからであること。岩屋や木のほらなど、中がからなもの。うつろ。うつぼ。宇津保物語俊蔭「この木の―をこの子にゆづりて」 ②上着だけで、下にかさねて着る衣服のないこと。源氏物語玉鬘「山吹のうちぎの袖口いたくすすけたるを―にてうちかけ給へり」 ③葱ねぎの異称。 ⇒うつお‐ぎ【空木】 ⇒うつお‐ぐさ【空草】 ⇒うつお‐ばしら【空柱】 ⇒うつお‐ぶね【空舟】 うつお‐ぎ空木ウツホ‥ 幹の中が腐ってうつろになった木。うつろ木。宇治拾遺物語1「わがゐたる―の前にゐまはりぬ」 ⇒うつお【空】 うつお‐ぐさ空草ウツホ‥ねぎの異称。 ⇒うつお【空】 うつお‐ばしら空柱ウツホ‥ 清涼殿殿上の間の南にあり、雨水を通すために中をうつろにした柱。平家物語1「―より内、鈴の綱の辺に布衣の者の候ふは何者ぞ」 ⇒うつお【空】 うつお‐ぶね空舟ウツホ‥ 大木の中をくりぬいて造った舟。うつろぶね。平家物語4「かの変化へんげのものをば―に入れて流されけるとぞきこえし」 ⇒うつお【空】 うっ‐かい鬱懐‥クワイ 心がむすぼれ、ふさいだ思い。晴々しない思い。 う‐つかい鵜使い‥ツカヒ 鵜をつかって鮎あゆなどを捕らえる人。鵜飼。鵜匠。〈[季]夏〉 うっか‐と 〔副〕 ウカトの促音化。狂言、梟「―なつて、むさとわづらうて」 うつ‐から・ぶ相携ぶ】 〔他四〕 手をたずさえる。雄略紀「手を―・びて後宮に入りましぬ」 うっかり (ウカリの促音化)気抜けして、ぼんやりしたさま。物事に気づかず、不注意であるさま。日葡辞書「ウッカリトシタモノ」。「―忘れた」「―して乗り過ごす」 ⇒うっかり‐もの【うっかり者】 うっかり‐ものうっかり者】 うっかりしている者。ぼんやり者。 ⇒うっかり うっ‐き鬱気】 気のふさぐこと。心の晴々しないこと。 うつ‐ぎ空木・卯木】 ユキノシタ科の落葉低木。各地の山野に自生。高さ1〜2メートル。樹皮は淡褐色・鱗片状。幹が中空なための名。初夏、鐘状の白色五弁花をつけ、球形の蒴果さくかを結ぶ。生垣などに植える。材は極めて固く木釘に用い、枝葉の煎汁は黄疸おうだんにきくという。広くはマルバウツギ・ヒメウツギなどの総称。ウノハナ。カキミグサ。〈[季]夏〉。〈本草和名〉 ウツギ(花) 提供:ネイチャー・プロダクション う‐づき卯月】 (十二支の卯の月、また、ナエウエヅキ(苗植月)の転とも)陰暦4月の異称。うのはなづき。〈[季]夏〉 ⇒うづき‐どり【卯月鳥】 ⇒うづき‐の‐いみ【卯月の忌】 ⇒うづき‐の‐はな【卯月の花】 ⇒うづき‐の‐みしめ【卯月の御標】 うつぎ‐だけ空木岳】 長野県南部の駒ヶ根市西方、木曾山脈中部にある山。標高2864メートル。 うづき‐どり卯月鳥】 ホトトギスの異称。(藻塩草) ⇒う‐づき【卯月】 うづき‐の‐いみ卯月の忌】 4月の賀茂祭に関係する者が潔斎すること。 ⇒う‐づき【卯月】 うづき‐の‐はな卯月の花】 ウツギの花。 ⇒う‐づき【卯月】 うづき‐の‐みしめ卯月の御標】 卯月の忌に籠もる時に引き渡すしめなわ。 ⇒う‐づき【卯月】 うづきのもみじ卯月の紅葉‥モミヂ 浄瑠璃。近松門左衛門作の世話物。1706年(宝永3)初演。大坂心斎橋の古道具商笠屋の娘お亀と婿与兵衛との夫婦心中に取材。続編に「卯月の潤色いろあげ」がある。 →文献資料[卯月の紅葉] うっ‐きょう有興】 (ウキョウの促音化)物好き。狂言、呼声「頼うだ御人は―な御方」 うつ・く空く・虚く】 〔自下二〕 ⇒うつける(下一) うつ・く弼く】 〔他四〕 いつく。たすける。〈字鏡集〉 うつくし・い美しい・愛しい】 〔形〕[文]うつく・し(シク) (肉親への愛から小さいものへの愛に、そして小さいものの美への愛に、と意味が移り変わり、さらに室町時代には、美そのものを表すようになった) ①愛らしい。かわいい。いとしい。万葉集5「妻子めこみればめぐし―・し」。枕草子151「何も何もちひさきものはいと―・し」 ②㋐形・色・声などが快く、このましい。きれいである。大鏡道長「色濃く咲きたる木のやうたい―・しきが侍りしを」。「―・い花」 ㋑行動や心がけが立派で、心をうつ。栄華物語布引滝「御年の程よりはものを―・しうの給はせ」。「―・い友情」 ③いさぎよい。さっぱりして余計なものがない。日葡辞書「ウツクシュウハテタ」「ネコガウツクシュウクウタ」 うつくし‐が‐はら美ヶ原】 長野県中部、松本市東方にある溶岩台地。最高点は標高2034メートル。高原牧場、観光・保養地として発展。 美ヶ原 美しの塔 撮影:佐藤 尚 うつくし‐が・る愛しがる】 〔他四〕 愛らしいと思う。かわいがる。枕草子104「誰も誰も―・り聞え給ふ」 うつくしび慈愛(→)「うつくしみ」に同じ。三蔵法師伝永久点「沢ウツクシビを比ぶるに多きに非ず」 うつくし‐びと寵人】 寵愛をうけている人。播磨風土記「―但馬君小津、寵みめぐみを蒙かがふりて」 うつくし・ぶ愛しぶ・慈しぶ】 〔他上二〕 「うつくしむ」に同じ。顕宗紀「兄このかみうつくしび弟おとといやまふ」 うつくしみ慈愛】 うつくしむこと。いつくしみ。 うつくし・む愛しむ・慈しむ】 〔他四〕 慈愛を垂れる。かわいがる。いつくしむ。源氏物語東屋「若君いだきて、―・みおはす」 うっ‐くつ鬱屈】 ①気が晴れないで、ふさぎこむこと。「―した心情」 ②地勢が曲がりくねっているさま。 うつけ空け・虚け】 (動詞ウツクの連用形から) ①中がうつろになっていること。から。空虚。 ②気がぬけてぼんやりしていること。また、そのような人。まぬけ。おろか。好色一代男7「銀かねつかふ者、今此目からは―のやうに思はれ侍る」。「この―め」 ⇒うつけ‐もの【空け者・呆気者】 うっ‐けつ鬱血】 (鬱はとどこおる意)局所に静脈血が増している状態。暗紫色を呈して腫大し、慢性化すると浮腫、線維増生を伴う。 うっ‐けつ鬱結】 気が晴れないで、ふさぎこむこと。 うつけ‐もの空け者・呆気者】 おろか者。のろま。うっかり者。〈日葡辞書〉 ⇒うつけ【空け・虚け】 うつ・ける空ける・虚ける】 〔自下一〕[文]うつ・く(下二) ①中がうつろになる。〈類聚名義抄〉 ②気がぬけてぼんやりする。ぼける。狂言、庖丁聟「世間には―・けた者がござる」 うっ‐こ鬱乎】 ①草木の茂るさま。 ②物事の盛んなさま。 うっこん‐こう鬱金香‥カウ チューリップの異称。 うっ‐さん鬱散】 鬱気を散らすこと。きばらし。うさばらし。歌舞伎、傾情吾嬬鑑「なかなか―いたした」 うつし写し】 ①本物のほかに、控えとして写した文書。謄本とうほん。副本。「―をとる」 ②原品になぞらえて造った品。模造品。「牧谿もっけい―の猿」 ③写真・映画などにうつすこと。「大おお―」 ⇒うつし‐え【写し絵】 ⇒うつし‐ぞめ【写し染め】 うつし移し】 ①薫物たきものの香を衣類などにたきしめること。源氏物語匂宮「わざとよろづのすぐれたる―をしめ給ひ」 ②移馬うつしうまの略。宇津保物語初秋「中将―に乗りて」 ③移花うつしばなの略。万葉集8「秋の露は―にありけり」 ④移鞍うつしぐらの略。源氏物語夕霧「足疾き馬に―置きて」 ⇒うつし‐いろ【移し色】 ⇒うつし‐うま【移馬】 ⇒うつし‐え【移し絵】 ⇒うつし‐がみ【移し紙】 ⇒うつし‐ぐさ【移し草】 ⇒うつし‐ぐら【移鞍】 ⇒うつし‐ごころ【移し心】 ⇒うつし‐どの【移殿・遷殿】 ⇒うつし‐の‐はい【移しの灰】 ⇒うつし‐ばな【移し花】 ⇒うつし‐ぶみ【移文】 うつ・し現し・顕し】 〔形シク〕 ①現実にある。現に生きている。古事記「―・しき青人草」 ②意識がたしかである。正気である。万葉集15「おくれ居て君に恋ひつつ―・しけめやも」 うつし現し】 (形容詞語幹) ⇒うつし‐おみ【現人】 ⇒うつし‐くにたま‐の‐かみ【現国玉神】 ⇒うつし‐ごころ【現し心】 ⇒うつし‐ごと【現し事】 ⇒うつし‐ざま【現し様】 ⇒うつし‐びと【現し人】 ⇒うつし‐まこ【現し真子】 ⇒うつし‐み【現し身】 ⇒うつし‐よ【現世】 ウッジŁódź】 ポーランド中央部、ワルシャワの南西にある同国第2の都市。工業都市としては最大。綿を中心に繊維工業が発達。人口77万6千(2004)。英語名ルージ。ドイツ語名ロッチ。 うつし‐いろ移し色】 移し花で染めた色。ツユクサの花の色。浜松中納言物語2「―なる織物を着たり」 ⇒うつし【移し】 うつし‐うま移馬】 諸国の牧場から左右馬寮めりょうに徴発した馬。官人の供奉ぐぶなどの時に乗換え用として支給した。うつし。宇津保物語藤原君「御厩より―ども引きたり」 ⇒うつし【移し】 うつし‐え写し絵‥ヱ ①本物をうつした絵。写生の絵。浄瑠璃、双生隅田川「はあ、これはまことの鯉、―とはさら思はれず」 ②(「映し絵」とも書く)写真や幻灯の古い言い方。嬉遊笑覧「今の硝子に絵をかきて彩色したる―も」 ⇒うつし【写し】 うつし‐え移し絵‥ヱ 水に溶ける糊のりを台紙に塗り、その上に模様または絵画を印刷したもの。これを水にぬらして物に貼り、徐々にはがすと印刷した部分だけが転写される。金属・ガラス・陶器などの模様の印刷に用い、また玩具にも応用。 ⇒うつし【移し】 うつし‐え映し絵‥ヱ ⇒うつしえ(写し絵)2 うつし‐おみ現人】 この世の人。古事記「恐かしこし、我が大神、―にましまさむとは」→うつせみ⇒うつし【現し】 うつし‐かた・る移し語る】 〔他四〕 聞いたとおりをまねて語る。口うつしに取り次ぐ。源氏物語夢浮橋「かくなんと―・れども」 うつし‐がみ移し紙】 移し花にした紙。 ⇒うつし【移し】 うつし‐ぐさ移し草】 (染料に用いるからいう)ツユクサの別称。 ⇒うつし【移し】 うつし‐くにたま‐の‐かみ現国玉神】 現実の国土の神霊。古事記「大国主神…亦の名は―と謂ひ」 ⇒うつし【現し】 うつし‐ぐら移鞍】 左右馬寮めりょうの官馬につけた鞍。諸衛府の官人などが行幸供奉などに際して用いた。のちには貴顕の私用にもつけた。うつし。うつしのくら。 ⇒うつし【移し】 うつし‐ごころ移し心】 変わりやすい心。移り気。 ⇒うつし【移し】 うつし‐ごころ現し心】 明らかに目ざめている心。正気。万葉集11「健男ますらおの―も我はなし」 ⇒うつし【現し】 うつし‐ごと現し事】 正気ですること。意識してすること。とりかへばや「年ごろの御有様は―とやおぼしつる」 ⇒うつし【現し】 うつし‐ざま現し様】 ①気のたしかな有様。正気のさま。源氏物語賢木「み心皆乱れて―にもあらず」 ②平気な様子。いつもと変わらぬさま。源氏物語須磨「おほやけにかしこまりなる人の―にて世の中にあり経るは」 ⇒うつし【現し】 うつし‐ぞめ写し染め】 型染めの一種。染料を含ませた糊または紙を、生地の上に置いて染めること。 ⇒うつし【写し】 うつし‐だ・す写し出す・映し出す】 〔他五〕 ①映像をスクリーンの上などに現す。 ②形や様子を、絵や文章で表現する。「スラムの生活を克明に―・した報告」 うつし‐どの移殿・遷殿】 神社の社殿改築のとき、臨時に神体を安置する仮社殿。かりどの。 ⇒うつし【移し】 うつし‐と・る写し取る】 〔他五〕 ①原物をまねて書く。書きとる。模写する。 ②さながら同じもののように再現する。源氏物語藤裏葉「ほかほかにては、同じ顔を―・りたると見ゆるを」 ③習って自分のものとする。宇津保物語忠乞「かしこき智慧なりければ、いとかしこき人にて、皆―・りて行ふ」 うつし‐の‐はい移しの灰‥ハヒ 紅色に染める時に用いる灰。堀河百首「白露の―や染めつらむ」 ⇒うつし【移し】 うつし‐ばな移し花】 ツユクサの花の汁を紙に移して染料に用いたもの。うつし。あおばな。 ⇒うつし【移し】 うつし‐びと現し人】 ①(死者に対し)この世に生きている人。源氏物語若菜下「―にてだにむくつけかりし人」 ②(出家に対し)普通の人。在俗の人。 ⇒うつし【現し】 うつし‐ぶみ移文】 ①(→)「い(移)」に同じ。 ②回状。まわしぶみ。 ⇒うつし【移し】 うつし‐まこ現し真子】 真実の子。万葉集19「鶯の―かも」 ⇒うつし【現し】 うつし‐み現し身】 現世の人の身。生きている身。(近世以後の語) ⇒うつし【現し】 うつし‐よ現世】 この世。げんせ。↔隠世かくりよ ⇒うつし【現し】 うつ・す移す・遷す・映す・写す】 〔他五〕 物の形・状態・内容を、そのまま他の所にあらわれさせる意。 ➊《移・遷》事物をそのままある所から他の所へ移動させる。 ①物をある場所から他の場所へ置きかえる。また、中のものを他へそっくり移動させる。大和物語「宿近く―・して植ゑしかひもなく待ち遠にのみ見ゆる花かな」。今昔物語集24「海賊来りて船の物を皆―・し取り」。「机を窓辺に―・す」「都を―・す」 ②人の心・関心の対象などを変える。転ずる。源氏物語竹河「人はみな花に心を―・すらむ独りぞまどふ春の夜の闇」。「注意を他へ―・す」「視線を―・す」 ③地位・配置などを変える。特に、左遷する。配流する。平家物語2「末代といふとも、いかでか我が山の貫首かんじゅをば他国へは―・さるべき」。「人事異動で別の部署に―・された」 ④(花や葉などから)色や香りを紙・布などにすりつけてしみこませる。古今和歌集「梅むめが香を袖に―・してとどめてば」。拾遺和歌集「秋の野の花の色々とりすべてわが衣手に―・してしがな」 ⑤次の次元・段階へ事を進めはこぶ。「計画を実行に―・す」 ⑥物怪もののけなどを「よりまし」につかせる。栄華物語後悔大将「物怪ただいできに出でくればいとかたはらいたしと思し召してなほ人に―・さばやと」 ⑦病気などを、他に伝染させる。「風邪を―・す」 ⑧(時を)過ごす。経過させる。徒然草「無益なる事をして時を―・す」。「時を―・さず実施する」 ➋《映・写》物の影、光などをそのまま他の物の上にあらわす。 ①鏡や水面などに物の姿などが現れるようにする。投影する。拾遺和歌集「水うみに秋の山辺を―・してははたはり広き錦とぞみる」。源氏物語蓬生「大空の星の光をたらひの水に―・したる心地して」。「鏡に姿を―・す」 ②スクリーンやテレビ画面などに映像をあらわす。映写する。「映画を―・す」 ③他からの影響を具体的な姿としてあらわし示す。反映する。「流行歌は世相を―・すものである」 ➌《写》元の事物をまねてつくる。 ①文字・絵図などを原物になぞらえて書きとる。模写する。転写する。仏足石歌「釈迦のみあと石に―・しおきゆきめぐり敬ひまつり吾がよは終へむ」。日葡辞書「キャウヲカキウツス」。「ノートを―・す」 ②原物になぞらえて作る。模造する。源氏物語澪標「源氏の大納言の御顔二つに―・したらむやうに見え給ふ」。大鏡道長「唐の西明寺の一院を…大安寺に―・さしめ給へるなり」 ③ある人・物事をまねて、同じようにする。模倣する。狭衣物語3「打わらひ物などの給へるもあさましきまで―・しとり給へるに」。源氏物語藤裏葉「御前の作法―・して君達なども参りつどひて」 ④見聞きしたことなどを文章や絵などにする。描写する。今昔物語集25「頭の形を見て―・してもて参るべし」。「世の人情と風俗を―・した小説」 ⑤(「撮す」とも書く)写真にとる。撮影する。「写真を―・す」 うっすら薄ら】 〔副〕 量や程度がわずかで薄いさま。かすかに。ほのかに。「―雪が積もる」「―と覚えている」 うっすり薄り】 〔副〕 「うっすら」に同じ。 うっ・する鬱する】 [文]鬱す(サ変) [一]〔自サ変〕 心が晴れない。気持がふさぐ。「気が―・する」 [二]〔他サ変〕 ①ふさぐ。閉じる。 ②(麹などを)むす。ねかす。 うつせ】 ①から。うつろ。浄瑠璃、根元曾我「そろりと抜け、―になして」 ②「うつせ貝」の略。源氏物語蜻蛉「いづれの底の―にまじりけむ」 ⇒うつせ‐がい【虚貝】 ウッセイBernardo Alberto Houssay】 アルゼンチンの生理学者。内分泌を研究、糖代謝に対する脳下垂体前葉の意義を解明。ノーベル賞。ウサイ。(1887〜1971) うつせ‐がい虚貝‥ガヒ ①肉の脱けた、空の貝殻。むなしいことのたとえ。万葉集11「すみのえの浜に寄るとふ―」 ②ツメタガイの古称。 ⇒うつせ【虚】 うっ‐せき鬱積】 ふさがりつもること。不平や不満のはけ口がなくて心にたまること。「疲労が―する」「―した感情」 うつせみ現人】 (ウツシ(現)オミ(臣)の約ウツソミが更に転じたもの。「空蝉」は当て字) ①この世に現存する人間。生存している人間。万葉集1「―も妻を争ふらしき」 ②この世。現世。また、世間の人。世人。万葉集4「―の世の人なれば」。万葉集14「―の八十やそ言の葉は繁くとも」 ⇒うつせみ‐の【現人の・空蝉の】 うつ‐せみ空蝉】 (「現人うつせみ」に「空蝉」の字を当てた結果、平安時代以降にできた語) ①蝉のぬけがら。〈[季]夏〉。古今和歌集哀傷「―は殻を見つつも慰めつ」 ②転じて、蝉。後撰和歌集「―の声聞くからに物ぞ思ふ」 ③魂がぬけた虚脱状態の身。新内節、藤葛恋柵「身は―の心地して」 ④源氏物語の巻名。また、その女主人公の名。伊予介の妻。源氏に言い寄られるが、その身分や立場のゆえに悩む。夫の死後は尼となり、やがて二条院に引き取られる。 うつせみ‐の現人の・空蝉の】 〔枕〕 「身」「命」「世」「人」「妹」にかかる。万葉集1「―命を惜しみ」 ⇒うつせみ【現人】 うつ‐ぜん鬱然・蔚然】 ①草木の盛んに茂っているさま。 ②物事の盛んなさま。 ③心のむすぼれて晴れないさま。「―として憂いに閉ざされる」 うつ‐そ打麻⇒うちそ うっ‐そう鬱葱】 ①草木の青々と盛んに茂るさま。 ②気の盛んなさま。 うっ‐そう鬱蒼‥サウ 樹木の青々と盛んに茂るさま。「―とした森」「―たる密林」 うっ‐そく鬱塞】 気分がこもって、ふさがること。 うつそみ現人⇒うつせみ うっそり ぼんやりするさま。うっかり。また、そのような人。浄瑠璃、桂川連理柵「長右衛門の―が贋とも知らずに研ぎにかけ」 うつ‐た打つ田】 打ち耕す田。万葉集11「―には稗ひえはあまたに有りといへど」 うった・う訴ふウツタフ 〔他下二〕 ⇒うったえる(下一) うったえ訴えウツタヘ うったえること。訴訟。「―を起こす」「―を退ける」 ⇒うったえ‐の‐りえき【訴えの利益】 うつ‐たえ‥タヘ ⇒うちたえ うつたえ‐にウツタヘ‥ 〔副〕 (反語・否定と呼応する)いちずに。ひたすら。万葉集4「―人妻と云へば触れぬものかも」。土佐日記「―忘れなむとにはあらで」 うったえ‐の‐りえき訴えの利益ウツタヘ‥ 〔法〕国家の裁判機関を用いて紛争を解決するに価するだけの利益・必要性。原告適格、判決の具体的必要性などの点から評価される。訴訟要件の一つで、これを欠く訴えは不適法として却下される。行政訴訟でしばしば争点となる。 ⇒うったえ【訴え】 うった・える訴えるウツタヘル 〔他下一〕[文]うった・ふ(下二) (ウルタフの音便) ①物事の曲直の解決を権威ある第三者に求める。特に、裁判所に申し出て判決を請う。訴訟する。平家物語1「さらば山門へ―・へんとて」。「人権侵害で会社を―・える」 ②事情を申し述べる。言上する。浄瑠璃、出世景清「右大将頼朝公南都の大仏御再興ましまし、すでに成就と―・ふれば」 ③(支持・同情・救助を得るために)不平や苦痛を人に告げる。「腹痛を―・える」 ④ある手段によって解決を求める。「腕力に―・える」 ⑤感覚または心にはたらきかける。「視覚に―・える」「誠意に―・える」 うっ‐た・つ打っ立つ】 〔自四〕 出発する。いでたつ。天草本平家物語「やがて二十日に東国に―・たれた」 うったらそう鬱多羅僧】 (梵語uttarāsaṅga 上衣と訳す)三衣さんえの一種。七条の袈裟けさウッタランチャルUttaranchal】 インド北部の州。中国・ネパールに接する。2000年ウッタル‐プラデシュ州から分離して成立。森林・水力資源が豊富。州都デラドゥーン。 うったり‐もうたり打ったり舞うたり‥マウタリ 鼓を打ったり舞を舞ったり。ひとりで何もかもして忙しいさま。浄瑠璃、心中宵庚申「半兵衛、料理に心はせく、―身は一つ」 ウッタル‐プラデシュUttar Pradesh】 インド北部の州。ガンジス川中流域の大平原に位置し、北部はネパールに接する。主要産業は農業。州都ラクナウ。 う‐づち卯槌】 平安時代、卯杖うづえと同じく正月の上卯の日の祝に用いた小さい槌。邪鬼を払うといわれ、糸所から内裏に奉り、昼御座ひのおましの南西の柱にかける。民間でも贈答して用いた。玉・犀角・象牙または桃・梅・椿などを四角に切った長さ3寸、幅1寸ぐらいのもので、縦に孔をあけ、五色の組糸を通して垂らす。漢代の剛卯ごうぼうに模したと見られる。 卯槌 ウッチェロPaolo Uccello】 (ウッチェロは「鳥」の意。本名Paolo di Dono)イタリア‐ルネサンスの画家。遠近法を駆使し、現実的な自然の再現を超えて幻想的な世界を生み出した。作「サン‐ロマーノの戦い」など。(1397〜1475) 「サン‐ロマーノの戦い」 提供:Photos12/APL うっちゃら‐か・す打遣らかす】 〔他五〕 手をつけずにほうっておく。ほったらかしにする。「仕事を―・して遊びに行く」 うっちゃり (ウッチャルの連用形から) ①相撲の手の一つ。相手の寄ってくるのを、土俵ぎわで身をそらせながら、逆に相手の体を土俵外へ投げ出すもの。 ②転じて、最後の土壇場で形勢を逆転させること。「―をくわす」 ③海中に石・泥・塵芥を捨てる場所。 うっちゃ・る打遣る・打棄る】 〔他五〕 (ウチヤル(打ち遣る)の転) ①なげすてる。ほうり出す。「紙屑を―・る」 ②ほったらかしにする。打ち捨てておく。「仕事を―・って遊びに行く」 ③(→)「うっちゃり」1をくわす。 うつつ】 (ウツウツの約か) ①(死んだ状態に対して)生きている状態。更級日記「―にありしさまにてありと見て」 ②(夢に対して)目が覚めている状態。現実。伊勢物語「君や来し我や行きけむ思ほえず夢か―か寝てか覚めてか」。天草本平家物語「俊寛はその時やうやうと―であると思ひさだめて」 ③気が確かな状態。正気なさま。枕草子99「―の人の乗りたるとなむ更にみえぬ」。「―に返る」 ④(「夢うつつ」と続けていうところから誤り用いて)心がうつらうつらとして正気でないこと。夢心地。また、その状態の人。好色五人女1「魂身の内を離れ、清十郎が懐に入り、我は―が物言ふごとく」 ⇒うつつ‐がお【現顔】 ⇒うつつ‐ごころ【現心】 ⇒うつつ‐ぜめ【現責め】 ⇒うつつ‐の‐やみ【現の闇】 ⇒うつつ‐の‐ゆめ【現の夢】 ⇒現を抜かす うつ・つ打棄つ】 〔他下二〕 (ウチウツの約)捨てる。見捨てる。万葉集5「五月蠅さばえなす騒く児どもを―・てては死には知らず」 うっつ・い美い】 〔形〕 (ウツクシイの転)きれいである。かわいい。誹風柳多留3「―・い女郎がきたない無心なり」 うつつ‐がお現顔‥ガホ (目がさめて)おきている状態・顔つき。新勅撰和歌集「契りしも見しも昔の夢ながら―にも濡るる袖かな」 ⇒うつつ【現】 うつつがわ‐やき現川焼‥ガハ‥ 長崎市現川で作られた陶磁器。元禄(1688〜1704)年間の創始。刷毛目はけめ文様を主とし、京焼風の優美な作風。 うつつ‐ごころ現心】 生きている心地。正気。うつしごころ。 ⇒うつつ【現】 うつつ‐ぜめ現責め】 睡眠をとらせない拷問ごうもん⇒うつつ【現】 うつつ‐な・し現無し】 〔形ク〕 正気しょうきを失っている。物狂おしい。徒然草「物狂ひともいへ、―・し、情なしとも思へ」 うつつ‐の‐やみ現の闇】 真実がおおわれている、闇のような現実の世。無明むみょうの闇におおわれた生活をいう。新拾遺和歌集哀傷「世の中の―に見る夢の驚くほどは寝てかさめてか」 ⇒うつつ【現】 うつつ‐の‐ゆめ現の夢】 この世の現実が夢のようにはかないこと。また、逢ってすぐに別れることを夢のはかないことにたとえていう語。続後撰和歌集「逢ふと見てさめにしよりもはかなきは―の名残なりけり」 ⇒うつつ【現】

広辞苑 ページ 1862 での○内を出違う単語。