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お・ちる【落ちる・墜ちる・堕ちる】🔗🔉

お・ちる落ちる・墜ちる・堕ちる】 〔自上一〕[文]お・つ(上二) ➊支えるものもなく、ものが加速度的に下に移動する意。 ①上から下へ急に位置が変わる。落下する。墜落する。万葉集14「筑波嶺の岩もとどろに―・つる水」。大鏡道長「星の―・ちて石となるに」。「階段から―・ちる」 ②降る。新拾遺和歌集神祇「紅にぬれつつ今日や匂ふらむ木の葉移りて―・つるしぐれは」。「白いものが―・ちて来る」 ③花・葉などが散る。また、涙などがこぼれる。古今和歌集「枝よりもあだに散りにし花なれば―・ちても水のあわとこそなれ」。宇津保物語梅花笠「つきせず―・ちしわが涙かな」 ④日・月が沈む。没する。頼政集「―・ちかかる山のは近き月影は」。「日が―・ちる」 ⑤光や視線などが、あるものに注がれる。また、影などが物の上に映る。新古今和歌集「冬がれの森の朽葉の霜のうへに―・ちたる月の影のさむけさ」。「一座の視線は彼の上に―・ちた」「地面に―・ちた樹木の影」 ⑥勢いよく降りる。また、風が吹きおろす。平家物語9「男鹿二つ妻鹿一つ、平家の城郭一谷へぞ―・ちたりける」。海道記「嵐ぞ―・つる足柄の山」 ⑦くずれおちる。こわれる。平家物語灌頂「枢とぼそ―・ちては、月常住の灯をかかぐ」。「土蔵が焼け―・ちた」 ➋物事の程度が急にさがる。 ①おちぶれる。零落する。源氏物語蓬生「やむごとなき筋ながらかうまで―・つべき宿世すくせ有りければにや」。「それぐらいの金策に難儀するなんて彼も―・ちたものだ」「―・ちる所まで―・ちる」 ②堕落する。古今和歌集「名にめでて折れるばかりぞ女郎花われ―・ちにきと人に語るな」。徒然草「万の戒を破りて地獄に―・つべし」 ③衰える。減る。今昔物語集5「水漸く―・ちて本の河に成りぬ」。莫切自根金生木きるなのねからかねのなるき「煤掃時分の切落しの如く借手の入りは―・ちけれども」。「夕刻から風も―・ちた」「スピードが―・ちる」 ④低くなる。劣る。「品質が―・ちる」「話が―・ちた」「人後に―・ちない」 ➌物・事柄・人などがある所からなくなる。他へいってしまう。 ①ついていたものがとれてなくなる。欠ける。古事記「足結あゆいの小鈴―・ちにきと」。「色が―・ちる」「垢が―・ちる」「つきが―・ちる」 ②もれる。ぬける。古事記「かき廻る磯の崎―・ちず若草の妻持たせらめ」。万葉集15「おもひつつ寝ればかもとなぬばたまのひと夜も―・ちず夢にし見ゆる」。「名簿から名前が―・ちる」 ③熱・つきものなどがとれる。癒える。今鏡「瘧心地おこりごこちわづらひ給ひけるに、白河院より…祈らせ給ひけるに、―・ちたりける」。「瘧おこりが―・ちる」 ④力などがぬけてなくなる。失せる。消える。浄瑠璃、国性爺合戦「今まで勇む国性爺はつとばかり目も眩み力も―・ちて打ち萎れ」。「つやが―・ちる」 ⑤戦いに負けなどして逃げ去る。また、都から離れて地方へくだる。平家物語8「いくさにおそれて下人ども皆―・ちうせたれば」。平家物語7「平家は運つきすでに都を―・ちぬ」 ⑥落伍する。落第する。落選する。「試験に―・ちた」「選挙に―・ちる」 ➍《堕》(穴などにおちこむ意から)仕かけ・はかりごと・罪悪など、また、抜きさしならない状態、昏睡状態などにはまりこむ。欽明紀「汝等いましたちみだりに信けてすでに人の権はかりことに堕ちき」。源氏物語明石「罪に―・ちて都を去りにし人」。「敵の策に―・ちる」「深い眠りに―・ちる」 ➎《落・墜》物事がある終局にまで達する。 ①精進が終わる。土佐日記「かぢとりの昨日釣りたりし鯛に…―・ちられぬ」 ②問いつめられて自白する。今昔物語集16「暫しは―・ちざりけれども責めて問ひければつひにありのままに言ひけり」。日葡辞書「トウニハヲチイデ、カタルニヲツル」。「犯人が―・ちる」 ③城が攻めとられる。陥る。太平記29「何となくとも今宵か明日か心落ちに―・ちんずる城を」 ④くどかれて意に従う。なびく。浮世草子、新色五巻書「男畜生いたづら者、―・ちよ―・ちよと落しておいて」 ⑤けもの・鳥・魚などが死ぬ。浄瑠璃、心中宵庚申「献立は三汁九菜―・ちた肴を吟味の役人」 ⑥柔道で、気絶する。「首を締められて―・ちる」 ➏《落》物・事柄の所属・結果がきまる。 ①帰する。落ち着く。きまる。源氏物語藤袴「人の推し量る案に―・つることもあらましかば、いとくちをしく」。太平記11「官軍戦ひに負けて、天下久しく武家の権威に―・ちぬ」。浄瑠璃、傾城反魂香「人をはぐの欺すのと―・つる所は廓の難」。「入札が―・ちる」 ②その人の所有となる。天草本伊曾保物語「鷸蚌いっぽうがあひ争うて二つながら漁人の手に―・つる」。日葡辞書「ソノヒトニヲチタ」。「家が人手に―・ちる」 ③(多く「心に―・ちる」「胸に―・ちる」などの形で)納得する。了解する。浄瑠璃、国性爺後日合戦「曾て以て心腹に―・ちがたし」。「腑に―・ちない」 ④収支決算がきちんと合う。 ⑤(隠語)判決が確定して入監が決定する。 ◇一般には「落」。墜落などの意には「墜」も、堕落などの意には「堕」も使う。

お・つ【落つ・墜つ・堕つ】🔗🔉

お・つ落つ・墜つ・堕つ】 〔自上二〕 ⇒おちる(上一)

おろし‐ぐすり【下ろし薬・堕薬】🔗🔉

おろし‐ぐすり下ろし薬・堕薬】 妊婦にのませて堕胎させる薬。 ⇒おろし【下ろし・卸】

だ‐ごく【堕獄】🔗🔉

だ‐ごく堕獄】 現世の悪業によって死後地獄へおちること。堕地獄。日葡辞書「インヘルノ(地獄)ニダゴクスル」。歌舞伎、鳴神「だらくした―した」

だ‐ざい【堕罪】🔗🔉

だ‐ざい堕罪】 罪におちること。罪人になること。

だ・する【堕する】🔗🔉

だ・する堕する】 〔自サ変〕[文]堕す(サ変) よくない状態・傾向に陥る。堕落する。「貴族趣味に―・する」

だ‐たい【堕胎】🔗🔉

だ‐たい堕胎】 胎児を自然の分娩期に先立って人為的に母体外に排出させること。こおろし。→人工妊娠中絶⇒だたい‐ざい【堕胎罪】

だたい‐ざい【堕胎罪】🔗🔉

だたい‐ざい堕胎罪】 堕胎する、またはさせる罪。ただし母体保護法に基づく人工妊娠中絶は許されている。 ⇒だ‐たい【堕胎】

だ‐てんし【堕天使】🔗🔉

だ‐てんし堕天使】 もとは天使であったが神に反逆して悪魔となったものたち。→ルシフェル

だ‐らく【堕落】🔗🔉

だ‐らく堕落】 ①落ちること。墜落。 ②品行の修まらないこと。身をもちくずすこと。また一般に、不健全になること。「政治の―」 ③おちぶれること。零落。大鏡道隆「この内侍のちにはいといみじう―せられにしも」 ④〔仏〕道心を失って悪道に落ちること。

だ‐るい【堕涙】🔗🔉

だ‐るい堕涙】 なみだをこぼすこと。落涙。

[漢]堕🔗🔉

 字形  筆順 〔土部9画/12画/常用/3436・4244〕 [墮] 字形 〔土部12画/15画/5256・5458〕 〔音〕(呉) 〔訓〕おちる・おろす [意味] おちる。おとす。おろす。くずれる。「堕胎・堕落」 [解字] 形声。「土」+音符「隋」。は異体字。

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