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おもい【思い・念い・想い】オモヒ🔗🔉

おもい思い・念い・想いオモヒ ➊思う心の働き・内容・状態。 ①その対象について、これこれだ、こうだ、こうなるだろう、または、こうだったと、心を働かせること。竹取物語「―のごとくものたまふかな」。「―をめぐらす」 ②あれこれ心に掛けてわずらい、または嘆くこと。心配。源氏物語若菜上「よろづの事なのめにめやすくなれば、いとなむ―なくうれしき」。「―に沈む」 ③何物・何事かに働き掛ける気持。 ㋐慕う、特に異性に心を寄せる気持。万葉集3「―そあがするあはぬ子ゆゑに」。「―を遂げる」 ㋑こうしたい、ありたいとの願い。奥の細道「片雲の風に誘はれて漂泊の―やまず」。「―がかなう」 ㋒執心。執念。うらみ。「人の―は恐ろしい」 ➋物事から自然に感じられる心の状態。更級日記「花もみぢの―もみな忘れて」。「わびしい―がする」「―を新たにする」 ➌(悲しい嘆きで)喪に服すること。喪の期間。古今和歌集哀傷「女の親の―にて山寺に侍りけるを」 ⇒思い内にあれば色外にあらわる ⇒思いがつのる ⇒思い半ばに過ぐ ⇒思いも寄らない ⇒思い邪なし ⇒思いを致す ⇒思いを懸ける ⇒思いを馳せる ⇒思いを晴らす ⇒思いを寄せる

おもい‐あ・う【思い合う】オモヒアフ🔗🔉

おもい‐あ・う思い合うオモヒアフ 〔自五〕 ①互いに恋いしたう。愛し合う。 ②偶然、考えが一致する。狂言、三人夫「これは―・うた事ぢや」

おもい‐あがり【思い上がり】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐あがり思い上がりオモヒ‥ 思い上がること。つけあがること。うぬぼれ。

おもい‐あが・る【思い上がる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐あが・る思い上がるオモヒ‥ 〔自五〕 (平安時代にはきりっとした態度で高貴性を保持しようとつとめることを意味した) ①心に誇りをもつ。自負する。源氏物語桐壺「初めより我はと―・り給へる御方々」 ②うぬぼれる。つけあがる。「入賞して―・る」

おもい‐あた・る【思い当たる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐あた・る思い当たるオモヒ‥ 〔自五〕 自分の経験や記憶が思い出されて、なるほどと気づく。「―・るふしがある」

おもい‐あわ・せる【思い合わせる】オモヒアハセル🔗🔉

おもい‐あわ・せる思い合わせるオモヒアハセル 〔他下一〕[文]おもひあは・す(下二) ①あれとこれとを思いくらべて考える。源氏物語横笛「ありつるところの有様―・するに、おほくかはりたり」。「先日のことと―・せて納得がいった」 ②思い当たる。源氏物語「―・する事どもありける」

おもい‐いた・る【思い至る】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐いた・る思い至るオモヒ‥ 〔自五〕 心がゆきわたる。考え及ぶ。

おもい‐いり【思い入り】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐いり思い入りオモヒ‥ 〔副〕 (→)「思い入れ」[二]に同じ。

おもい‐いれ【思い入れ】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐いれ思い入れオモヒ‥ [一]〔名〕 ①思惑おもわく。予想。予定。日本永代蔵1「夜のうちの―にて売る人あり買ふ人あり」 ②思いつき。思案。傾城禁短気「旦那の今の御機嫌如何と計らひかねて、―を胸にもつて罷りしさる」 ③信頼。人気。西鶴織留4「人の―もよろしく」 ④俳優がせりふを言わずに、ある感情を表す演技。また、単にしぐさをもいう。こころいき。 ⑤深く心をかけること。日葡辞書「ゼンノミチニヲモイイレノアルヒト」。「―が深い」 ⑥思いをかけた人。思い人。浄瑠璃、今宮の心中「何処ぞに―がなあるかいの」 [二]〔副〕 思うさま。思う存分。おもいれ。おもいいり。歌舞伎、お染久松色読販「―喰はう」

おもい‐うた【思い歌】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐うた思い歌オモヒ‥ 思いを述べた歌。浄瑠璃、心中天の網島「思ひ思ひの―」

○思い内にあれば色外にあらわるおもいうちにあればいろほかにあらわる🔗🔉

○思い内にあれば色外にあらわるおもいうちにあればいろほかにあらわる [大学]心中に思っていることがあれば、顔色や挙動に自然とあらわれる。 ⇒おもい【思い・念い・想い】 おもい‐うつ・る思ひ移るオモヒ‥ 〔自四〕 心が他に移る。心がわりする。源氏物語総角「さればよ―・りにけりとうれしくて」 おもい‐うと・む思ひ疎むオモヒ‥ 〔他四〕 いとわしく思う。嫌う。源氏物語胡蝶「―・み給はばいと心憂くこそあるべけれ」 おもい‐う・む思ひ倦むオモヒ‥ 〔自四〕 物思いしていやになる。おもいうんず。新拾遺和歌集哀傷「なべて世を―・みにしたなばたの糸」 おもい‐うらぶ・る思ひうらぶるオモヒ‥ 〔自下二〕 物思いして力を失う。万葉集17「ぬえ鳥のうら泣けしつつ下恋ひに―・れ」 おもい‐うん・ず思ひ倦んずオモヒ‥ 〔自サ変〕 (オモヒウミスの音便)「おもいうむ」に同じ。 おもい‐えが・く思い描くオモヒヱガク 〔他五〕 心に思い浮かべる。「将来の自分の姿を―・く」 おもい‐おき思い置きオモヒ‥ さきざきのことを考えること。かねての思い。浄瑠璃、傾城反魂香「老木の末の―は由なやな」 おもい‐おき・つ思ひ掟つオモヒ‥ 〔他下二〕 先のことを心にきめる。源氏物語少女「宮仕へやがてせさすべく―・てたり」。徒然草「よろづに見ざらん世までを―・てんこそ」 おもい‐お・く思ひ置くオモヒ‥ 〔他四〕 ①心にきめておく。源氏物語帚木「つひの頼み所には―・くべかりける」 ②あとに心を残す。思い残す。拾遺和歌集「あやしや何に―・きけむ」 おもい‐おく・る思ひ後るオモヒ‥ 〔自下二〕 気おくれする。源氏物語若菜下「たどり薄かるべき女方にだに皆―・れつつ」 おもい‐おこ・す思い起こすオモヒ‥ 〔他五〕 ①心を奮い起こす。竹取物語「からうじて―・して弓矢をとりたてむと」 ②(記憶をさぐるようにして)思い出す。「―・せば5年前」 おもい‐おこ・す思ひ遣すオモヒ‥ 〔他下二〕 思いをはせる。思いやる。源氏物語賢木「伊勢までたれか―・せむ」 おもい‐おこた・る思ひ怠るオモヒ‥ 〔自四〕 考えがゆるむ。疎略に考える。源氏物語椎本「一言ひとことにてもうけたまはりおきてしかば、さらに思ひ給へおこたるまじくなん」 おもい‐おご・る思ひ驕るオモヒ‥ 〔自四〕 うぬぼれる。自慢に思う。源氏物語紅梅「人に劣らじと―・れど」 おもい‐おと・す思ひ貶すオモヒ‥ 〔他四〕 劣ったものに思う。見さげる。源氏物語澪標「昔より人には―・し給へれど」 おもい‐おと・る思ひ劣るオモヒ‥ 〔自四〕 自分は劣っていると思う。源氏物語紅梅「―・り、卑下せむもかひなかるべし」 おもい‐おもい思い思いオモヒオモヒ めいめい思うとおりにするさま。こころごころ。てんでん。源氏物語梅枝「葦手・歌絵を、―に書け、との給へば」。「―の服装」 おもい‐おも・う思ひ思ふオモヒオモフ 〔他四〕 ①思いに思う。深く思う。落窪物語2「わびしと―・ふ」 ②互いに思い合う。人情本、春色辰巳園「―・ふたその中を」 おもい‐およ・ぶ思い及ぶオモヒ‥ 〔自五〕 思考や意向がそこまでいく。考えつく。源氏物語行幸「宮仕へは…上も下も―・び出で立つこそ心高きことなれ」。「私には―・ばない発想だ」 おもい‐がい思い甲斐オモヒガヒ 思っただけの効果。心配したしるし。 おもい‐かえ・す思い返すオモヒカヘス 〔他五〕 ①過ぎ去った事を再び思う。「―・すとぞっとする」 ②考えなおす。非と知って改心する。「―・してあきらめる」 おもい‐かえ・る思ひ返るオモヒカヘル 〔自四〕 考えや気持がもとにかえる。後撰和歌集「はじめの人に―・りて程へにければ」 おもい‐がお思い顔オモヒガホ (助詞「と」「を」を介して) ①(…のように)心に思っている顔つき、様子。源氏物語若菜上「我もおとらじと―なる中に」 ②恋しく思っているような顔つき、様子。また、そのようにふるまうこと。源氏物語総角「思はぬ人を―にとりなす言の葉」 おもい‐かか・る思ひ掛るオモヒ‥ 〔自四〕 心を寄せるようにする。枕草子268「めでたしと思はん(女)を死ぬばかりも―・れかし」 おもい‐かぎ・る思ひ限るオモヒ‥ 〔他四〕 思いきる。源氏物語手習「今はかかる方に―・りつるありさまになむ」 おもい‐か・く思ひ掛くオモヒ‥ 〔他下二〕 ①心にかける。思いつめる。源氏物語夕顔「ゐなかの通ひも―・けねば」 ②恋しく思う。懸想けそうする。伊勢物語「―・けたる女の、え得まじうなりての世に」 ③予想する。枕草子25「―・けぬことに得たるをば、いとかひありと思ふべし」 おもい‐がけ‐ず思い掛けずオモヒ‥ 思いもよらず。予期しなかったのに。 おもいがけ‐な・い思い掛け無いオモヒ‥ 〔形〕[文]おもひがけな・し(ク) 予期しない。意外である。思い設けない。「―・い出来事」 おもい‐かしず・く思ひ傅くオモヒカシヅク 〔他四〕 大切に思って付き添い護る。心にかけて大切に世話する。源氏物語橋姫「これを限なくあはれと―・き聞え給ふに」 おもい‐かた・む思ひ固むオモヒ‥ 〔他下二〕 心にきめる。決心する。覚悟する。発心集「ゆるぎなく―・めたる事と見えければ」

おもい‐おき【思い置き】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐おき思い置きオモヒ‥ さきざきのことを考えること。かねての思い。浄瑠璃、傾城反魂香「老木の末の―は由なやな」

おもい‐おこ・す【思い起こす】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐おこ・す思い起こすオモヒ‥ 〔他五〕 ①心を奮い起こす。竹取物語「からうじて―・して弓矢をとりたてむと」 ②(記憶をさぐるようにして)思い出す。「―・せば5年前」

おもい‐おもい【思い思い】オモヒオモヒ🔗🔉

おもい‐おもい思い思いオモヒオモヒ めいめい思うとおりにするさま。こころごころ。てんでん。源氏物語梅枝「葦手・歌絵を、―に書け、との給へば」。「―の服装」

おもい‐おも・う【思ひ思ふ】オモヒオモフ🔗🔉

おもい‐おも・う思ひ思ふオモヒオモフ 〔他四〕 ①思いに思う。深く思う。落窪物語2「わびしと―・ふ」 ②互いに思い合う。人情本、春色辰巳園「―・ふたその中を」

おもい‐およ・ぶ【思い及ぶ】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐およ・ぶ思い及ぶオモヒ‥ 〔自五〕 思考や意向がそこまでいく。考えつく。源氏物語行幸「宮仕へは…上も下も―・び出で立つこそ心高きことなれ」。「私には―・ばない発想だ」

おもい‐がい【思い甲斐】オモヒガヒ🔗🔉

おもい‐がい思い甲斐オモヒガヒ 思っただけの効果。心配したしるし。

おもい‐がお【思い顔】オモヒガホ🔗🔉

おもい‐がお思い顔オモヒガホ (助詞「と」「を」を介して) ①(…のように)心に思っている顔つき、様子。源氏物語若菜上「我もおとらじと―なる中に」 ②恋しく思っているような顔つき、様子。また、そのようにふるまうこと。源氏物語総角「思はぬ人を―にとりなす言の葉」

おもい‐がけ‐ず【思い掛けず】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐がけ‐ず思い掛けずオモヒ‥ 思いもよらず。予期しなかったのに。

おもいがけ‐な・い【思い掛け無い】オモヒ‥🔗🔉

おもいがけ‐な・い思い掛け無いオモヒ‥ 〔形〕[文]おもひがけな・し(ク) 予期しない。意外である。思い設けない。「―・い出来事」

○思いがつのるおもいがつのる🔗🔉

○思いがつのるおもいがつのる 恋しく思う気持が高まってくる。 ⇒おもい【思い・念い・想い】 おもい‐がな・し思ひ愛しオモヒ‥ 〔形シク〕 思うと切ない。いとしい。万葉集15「家にある妹し―・しも」 おもいかね‐の‐かみ思金神・思兼神オモヒ‥ 記紀神話で高皇産霊神たかみむすびのかみの子。天照大神が天の岩戸に隠れた時、謀を設けて誘い出した、思慮のある神。思金命。 おもい‐か・ねる思い兼ねるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひか・ぬ(下二) ①思慕の情を抑えきれない。万葉集15「さをしか鳴きつ妻―・ねて」 ②分別がつかない。考えが及ばない。万葉集15「行かむたどきも―・ねつも」 おもい‐かま・う思ひ構ふオモヒカマフ 〔他下二〕 計画する。企てる。源氏物語玉鬘「いみじきことを―・へて出で立つ」 おもい‐がわ思川オモヒガハ ①思いが深く絶えないことを、川にたとえていう語。後撰和歌集「―たえず流るる水の泡のうたかた人にあはで消えめや」 ②福岡県太宰府市内、御笠川の上流。(歌枕) おもい‐かわ・す思い交わすオモヒカハス 〔自五〕 互いに心をかよわせる。思いあう。伊勢物語「いとかしこく―・して」 おもい‐きお・う思ひ競ふオモヒキホフ 〔自四〕 互いに負けまいと思う。源氏物語蓬生「深き心ざしを御覧ぜられむとのみ―・ふ」 おもい‐きっ‐て思い切ってオモヒ‥ 〔副〕 ①かたく心を定めて。断然。「―打ち明ける」 ②思う存分。 おもい‐き‐や思いきやオモヒ‥ (オモフの連用形に過去助動詞キと反語助詞ヤの付いた語) ①思ったろうか、決して思わない。古今和歌集「―雪踏みわけて君を見むとは」 ②(「…と」を受けて)そう思ったところ(実は…)。意外にも。「当選だと―、次点だった」 おもい‐き・ゆ思ひ消ゆオモヒ‥ 〔自下二〕 心も消え入るばかりに思う。古今和歌集「山里は住む人さへや―・ゆらむ」 おもい‐きり思い切りオモヒ‥ [一]〔名〕 思い切ること。あきらめ。断念。「―が悪い」「―よく立ち上がる」 [二]〔副〕 十分に。思う存分。「―遊ぶ」 おもい‐き・る思い切るオモヒ‥ 〔自他五〕 ①あきらめる。断念する。「計画の実行を―・る」 ②(「―・った」の形で)大胆なことをする。「―・った提案をする」→思い切って おもい‐ぐさ思草オモヒ‥ ①(物思いするように見える草というところから)ナンバンギセルの古名。リンドウ・ツユクサ・オミナエシなどの古名ともいう。〈[季]秋〉。万葉集10「道の辺の尾花が下の―」 ②タバコの異称。 おもい‐ぐさ思い種オモヒ‥ ①物思いのたね。心配のたね。千載和歌集「繁さはまさる―」 ②思い人。思いもの。 おもい‐くだ・く思ひ砕くオモヒ‥ 〔自四・下二〕 あれこれ思い乱れる。新拾遺和歌集「人知れぬ涙の玉のおのれのみ―・けて年ぞ経にける」 おもい‐くた・す思ひ腐すオモヒ‥ 〔他四〕 心の中でけなす。軽蔑する。源氏物語帚木「いかがは推し量り―・さむ」 おもい‐く・つ思ひ朽つオモヒ‥ 〔自上二〕 思いを果たさずに朽ち果てる。続後拾遺和歌集「くちなしの下ぞめごろも下にのみいはでやつひに―・ちなむ」 おもい‐くっ・す思ひ屈すオモヒ‥ 〔自サ変〕 おもいよわる。憂鬱ゆううつになる。源氏物語椎本「いかにうひうひしく古めきたらむなど―・し給へり」 おもい‐ぐま思ひ隈オモヒ‥ 心のゆきとどくこと。思慮分別。また、同情の深いこと。浜松中納言物語4「―ありて心ぐるしうものせさせ給ふべきなりとて」 ⇒おもいぐま‐な・し【思ひ隈無し】 おもいぐま‐な・し思ひ隈無しオモヒ‥ 〔形ク〕 思慮分別がない。一方的である。思いやりがない。源氏物語行幸「―・くけざやかなる御もてなしなど」 ⇒おもい‐ぐま【思ひ隈】 おもい‐くら・す思い暮らすオモヒ‥ 〔他五〕 物思いに日を暮らす。源氏物語真木柱「男、胸つぶれて、―・し給ふ」 おもい‐くら・べる思い比べるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひくら・ぶ(下二) ①考え比べる。徒然草「いづれかまさるとよく―・べて」 ②思いが交わり通う。蜻蛉日記「死なば―・べてもいかがあらむ」 おもい‐く・る思ひ暮るオモヒ‥ 〔自下二〕 思いつつ月日が暮れる。古今和歌集六帖3「―・れ嘆きあかしの」 おもい‐ぐる・し思ひ苦しオモヒ‥ 〔形シク〕 心が苦しい。なやましい。万葉集14「物言はず来にて―・しも」 おもい‐くん・ず思ひ屈ずオモヒ‥ 〔自サ変〕 「思いくっす」に同じ。更級日記「かくのみ―・じたるを」 おもい‐け・す思ひ消すオモヒ‥ 〔他四〕 「思いけつ」に同じ。 おもい‐け・つ思ひ消つオモヒ‥ 〔他四〕 ①しいて忘れるようにする。源氏物語宿木「よろづを―・ちつつ、お前にては物思ひなきさまを作り給ふ」 ②無視する。軽蔑してあえて問題にしない。源氏物語「人の―・ち、なきものにもてなすさまなりし」 おもい‐ご思い子オモヒ‥ かわいく思う子。 おもい‐こ・う思ひ恋ふオモヒコフ 〔他上二〕 恋い慕う。万葉集17「心には火さへ燃えつつ―・ひ」 おもい‐こが・れる思い焦がれるオモヒ‥ 〔自下一〕[文]おもひこが・る(下二) 恋い慕って思い悩む。いちずに恋しく思う。 おもい‐こ・す思ひ越すオモヒ‥ 〔他四〕 先の事をあれこれ考える。続古今和歌集「いでぬまの山のあなたを―・す心やさきに月を見るらむ」 おもい‐ごと思い事オモヒ‥ 願い望んでいること。 おもい‐こな・す思ひこなすオモヒ‥ 〔他四〕 あなどる。〈日葡辞書〉。「此たねと―・さじ唐がらし」(芭蕉) おもい‐こぼ・る思ひ零るオモヒ‥ 〔自下二〕 感情が動作にまであらわれる。浄瑠璃、当流小栗判官「しばし詞はなかりしが―・れてつつと寄り」 おもい‐こみ思い込みオモヒ‥ 思い込むこと。固く信じて疑わないこと。「―の強い男」 おもい‐こ・む思い込むオモヒ‥ 〔自五〕 ①深く愛する。強くひかれる。浄瑠璃、用明天皇職人鑑「―・うだる妹背の中」 ②固く決心する。浄瑠璃、曾我五人兄弟「―・んだる思ひの思ひ晴らして思ひ出と」。「―・んだら命がけ」 ③すっかり信じてしまう。深く心に思う。男色大鑑「悪にくやとばかり―・み」。「親切な人だと―・む」 おもい‐こ・む思ひ籠むオモヒ‥ 〔他下二〕 心中に隠して、外に表さない。後撰和歌集「恋しきも―・めつつあるものを」 おもい‐こ・る思ひ懲るオモヒ‥ 〔自上二〕 二度とすまいと思う。源氏物語帚木「―・りなむと思ひ給へて」 おもい‐ざし思ひ差しオモヒ‥ その人にと思う相手に盃さかずきをさすこと。義経記7「熊井や片岡に―せん」↔思ひ取り おもい‐さだ・める思い定めるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひさだ・む(下二) 心にしかときめる。決心する。源氏物語帚木「多かる中にも、えなむ―・むまじかりける」 おもい‐さま・す思ひ醒すオモヒ‥ 〔他四〕 心をしずめる。あきらめる。源氏物語椎本「―・さむかたなき夢に」 おもい‐ざめ思い覚めオモヒ‥ 思いつめたあげくに、逆に気持がさめること。一説に、心配ごとで目がさめること。浄瑠璃、冥途飛脚「思ひ思ひて思ひがつもり、―にも覚むるもの」 おもい‐しお・る思ひ萎るオモヒシヲル 〔自下二〕 思い沈み元気がなくなる。源氏物語帚木「むげに―・れて心細かりければ」 おもい‐しず・む思い沈むオモヒシヅム 〔自五〕 深く考え込む。気がふさぐ。源氏物語玉鬘「生きたらじと―・み給へる」 おもい‐しず・む思ひ鎮むオモヒシヅム 〔他下二〕 心を落ち着かせる。源氏物語夕顔「しばし―・めよ」 おもい‐しな・ゆ思ひ萎ゆオモヒ‥ 〔自下二〕 「思いしおる」に同じ。万葉集2「夏草の―・えて偲ふらむ妹が門見む」 おもい‐じに思い死にオモヒ‥ 思いつづけて死ぬこと。こがれ死に。宇津保物語菊宴「―に死に給ひなば恐しくもこそ」 おもい‐し・ぬ思ひ死ぬオモヒ‥ 〔自ナ変〕 恋い思うあまりに死ぬ。万葉集4「紅くれないの色にな出でそ―・ぬとも」 おもい‐し・む思ひ染むオモヒ‥ [一]〔他四〕 心にしみこんで忘れない。深く思いつめる。源氏物語桐壺「いとあはれと物を―・みながら」 [二]〔他下二〕 深く心にしみこます。源氏物語賢木「昔より―・めきこえてし心の思ひなしにや」 おもい‐しめ・る思ひ湿るオモヒ‥ 〔自四〕 物思いにしずむ。源氏物語若菜上「衛門督はいといたく―・りて」 おもい‐しら・せる思い知らせるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひしら・す(下二) なるほどと思わせる。身にしみて感じさせる。源氏物語総角「桜こそ―・すれ…花も紅葉も常ならぬ世を」。「今に―・せてやるぞ」 おもい‐し・る思い知るオモヒ‥ 〔他五〕 なるほどと思う。身にしみてわかる。さとり知る。源氏物語帚木「むげに世を―・らぬやうにおぼほれ給ふなむ」。「無力を―・らされる」「どうだ、―・ったか」 おもい・ず思ひづオモヒヅ 〔他下二〕 (オモヒイヅの約)思い出す。古事記「本辺は君を―・で末辺は妹を―・で」 おもい‐すぎ思い過ぎオモヒ‥ 度を越して考えること。おもいすごし。 おもい‐す・ぐ思ひ過ぐオモヒ‥ 〔自上二〕 思いが消える。忘れる。万葉集3「―・ぐべき君にあらなくに」 おもい‐すぐ・す思ひ過すオモヒ‥ 〔他四〕 ①(→)「おもいすごす」に同じ。 ②思いながら時をすごす。とりかへばや「待ちわたり―・さんこそ、あいなく心づくしなるべけれ」 おもい‐すごし思い過しオモヒ‥ おもいすごすこと。考えすぎること。邪推。 おもい‐すご・す思い過ごすオモヒ‥ 〔他五〕 ①心にとめずにすごす。万葉集14「愛かなしけ児ろを―・さむ」 ②余計なことまで考える。邪推する。梅暦「男の身のうへ―・してくよくよと」。「何事も―・す性分」 おもい‐す・つ思ひ捨つオモヒ‥ 〔他下二〕 思いきる。見捨てる。源氏物語少女「かかる人をも人は―・て給はざりけりな」 おもい‐すま・す思ひ澄ますオモヒ‥ 〔他四〕 ①心を落ち着けて考える。心を鎮める。源氏物語絵合「いみじき物の上手の心の限り―・して」 ②俗世を離れてもっぱら修行する。悟りきる。源氏物語賢木「世を―・したる尼君たち」 おもい‐そ・う思ひ添ふオモヒソフ 〔他下二〕 その上になお思う。源氏物語夕霧「御心のつらさを―・ふるに」 おもい‐そ・む思ひ染むオモヒ‥ 〔他下二〕 心に深く思う。「思ひ初む」にかけることが多い。拾遺和歌集雑恋「をとめごが袖ふる山の瑞垣みずがきの久しき世より―・めてき」 おもい‐そ・める思い初めるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひそ・む(下二) ①心にかけはじめる。万葉集18「誰に見せむと―・めけむ」 ②恋しはじめる。古今和歌集「―・めてむ人は忘れじ」 おもい‐たがい思ひ違ひオモヒタガヒ 考えちがいをすること。おもいちがい。 おもい‐たが・う思ひ違ふオモヒタガフ 〔他四・下二〕 考えちがいをする。思いあやまる。おもいちがえる。源氏物語明石「目の前に―・へむもいとほしく」 おもい‐たけ・ぶ思ひ健ぶオモヒ‥ 〔自上二〕 たけく思う。いきおいこむ。心が高揚する。万葉集11「ますらをの―・びて隠せるその妻」 おもいだし‐わらい思い出し笑いオモヒ‥ワラヒ なにかを思い出してひとりで笑うこと。 おもい‐だ・す思い出すオモヒ‥ 〔他五〕 忘れていたことを心によみがえらせる。前にあった事を、今また思う。閑吟集「―・すとは、忘るるか、―・さずや、忘れねば」。「用事を―・す」「子供の頃を―・す」 おもい‐ただよ・う思ひ漂ふオモヒタダヨフ 〔自四〕 心が落ち着かない。思案に暮れる。源氏物語若菜上「中ごろ―・はれしことは」 おもい‐た・つ思い立つオモヒ‥ 〔他五〕 ある事をしようと新たに考えを起こす。決心する。徒然草「大事を―・たん人は」。「急に―・って旅に出る」 ⇒思い立つ日が吉日 おもい‐た・つ思ひ断つオモヒ‥ 〔他四〕 思いきる。あきらめる。断念する。

おもい‐か・ねる【思い兼ねる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐か・ねる思い兼ねるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひか・ぬ(下二) ①思慕の情を抑えきれない。万葉集15「さをしか鳴きつ妻―・ねて」 ②分別がつかない。考えが及ばない。万葉集15「行かむたどきも―・ねつも」

おもい‐かわ・す【思い交わす】オモヒカハス🔗🔉

おもい‐かわ・す思い交わすオモヒカハス 〔自五〕 互いに心をかよわせる。思いあう。伊勢物語「いとかしこく―・して」

おもい‐きっ‐て【思い切って】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐きっ‐て思い切ってオモヒ‥ 〔副〕 ①かたく心を定めて。断然。「―打ち明ける」 ②思う存分。

おもい‐き‐や【思いきや】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐き‐や思いきやオモヒ‥ (オモフの連用形に過去助動詞キと反語助詞ヤの付いた語) ①思ったろうか、決して思わない。古今和歌集「―雪踏みわけて君を見むとは」 ②(「…と」を受けて)そう思ったところ(実は…)。意外にも。「当選だと―、次点だった」

おもい‐きり【思い切り】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐きり思い切りオモヒ‥ [一]〔名〕 思い切ること。あきらめ。断念。「―が悪い」「―よく立ち上がる」 [二]〔副〕 十分に。思う存分。「―遊ぶ」

おもい‐き・る【思い切る】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐き・る思い切るオモヒ‥ 〔自他五〕 ①あきらめる。断念する。「計画の実行を―・る」 ②(「―・った」の形で)大胆なことをする。「―・った提案をする」→思い切って

おもい‐ぐさ【思い種】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ぐさ思い種オモヒ‥ ①物思いのたね。心配のたね。千載和歌集「繁さはまさる―」 ②思い人。思いもの。

おもい‐ご【思い子】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ご思い子オモヒ‥ かわいく思う子。

おもい‐こが・れる【思い焦がれる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐こが・れる思い焦がれるオモヒ‥ 〔自下一〕[文]おもひこが・る(下二) 恋い慕って思い悩む。いちずに恋しく思う。

おもい‐ごと【思い事】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ごと思い事オモヒ‥ 願い望んでいること。

おもい‐こみ【思い込み】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐こみ思い込みオモヒ‥ 思い込むこと。固く信じて疑わないこと。「―の強い男」

おもい‐こ・む【思い込む】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐こ・む思い込むオモヒ‥ 〔自五〕 ①深く愛する。強くひかれる。浄瑠璃、用明天皇職人鑑「―・うだる妹背の中」 ②固く決心する。浄瑠璃、曾我五人兄弟「―・んだる思ひの思ひ晴らして思ひ出と」。「―・んだら命がけ」 ③すっかり信じてしまう。深く心に思う。男色大鑑「悪にくやとばかり―・み」。「親切な人だと―・む」

おもい‐さだ・める【思い定める】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐さだ・める思い定めるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひさだ・む(下二) 心にしかときめる。決心する。源氏物語帚木「多かる中にも、えなむ―・むまじかりける」

おもい‐ざめ【思い覚め】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ざめ思い覚めオモヒ‥ 思いつめたあげくに、逆に気持がさめること。一説に、心配ごとで目がさめること。浄瑠璃、冥途飛脚「思ひ思ひて思ひがつもり、―にも覚むるもの」

おもい‐しず・む【思い沈む】オモヒシヅム🔗🔉

おもい‐しず・む思い沈むオモヒシヅム 〔自五〕 深く考え込む。気がふさぐ。源氏物語玉鬘「生きたらじと―・み給へる」

おもい‐じに【思い死に】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐じに思い死にオモヒ‥ 思いつづけて死ぬこと。こがれ死に。宇津保物語菊宴「―に死に給ひなば恐しくもこそ」

おもい‐しら・せる【思い知らせる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐しら・せる思い知らせるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひしら・す(下二) なるほどと思わせる。身にしみて感じさせる。源氏物語総角「桜こそ―・すれ…花も紅葉も常ならぬ世を」。「今に―・せてやるぞ」

おもい‐し・る【思い知る】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐し・る思い知るオモヒ‥ 〔他五〕 なるほどと思う。身にしみてわかる。さとり知る。源氏物語帚木「むげに世を―・らぬやうにおぼほれ給ふなむ」。「無力を―・らされる」「どうだ、―・ったか」

おもい‐すぎ【思い過ぎ】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐すぎ思い過ぎオモヒ‥ 度を越して考えること。おもいすごし。

おもい‐すごし【思い過し】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐すごし思い過しオモヒ‥ おもいすごすこと。考えすぎること。邪推。

おもい‐すご・す【思い過ごす】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐すご・す思い過ごすオモヒ‥ 〔他五〕 ①心にとめずにすごす。万葉集14「愛かなしけ児ろを―・さむ」 ②余計なことまで考える。邪推する。梅暦「男の身のうへ―・してくよくよと」。「何事も―・す性分」

おもい‐そ・める【思い初める】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐そ・める思い初めるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひそ・む(下二) ①心にかけはじめる。万葉集18「誰に見せむと―・めけむ」 ②恋しはじめる。古今和歌集「―・めてむ人は忘れじ」

おもいだし‐わらい【思い出し笑い】オモヒ‥ワラヒ🔗🔉

おもいだし‐わらい思い出し笑いオモヒ‥ワラヒ なにかを思い出してひとりで笑うこと。

おもい‐だ・す【思い出す】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐だ・す思い出すオモヒ‥ 〔他五〕 忘れていたことを心によみがえらせる。前にあった事を、今また思う。閑吟集「―・すとは、忘るるか、―・さずや、忘れねば」。「用事を―・す」「子供の頃を―・す」

おもい‐ちがい【思い違い】オモヒチガヒ🔗🔉

おもい‐ちがい思い違いオモヒチガヒ おもいちがうこと。実際と違うことを事実と思いこむこと。考えちがい。勘ちがい。「―で抗議する」

おもい‐ちがえ【思い違え】オモヒチガヘ🔗🔉

おもい‐ちがえ思い違えオモヒチガヘ (→)「おもいちがい」に同じ。

おもい‐ちが・える【思い違える】オモヒチガヘル🔗🔉

おもい‐ちが・える思い違えるオモヒチガヘル 〔他下一〕[文]おもひちが・ふ(下二) 考えちがいをする。おもいあやまる。「別の事柄と―・える」

おもい‐つづ・ける【思い続ける】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐つづ・ける思い続けるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひつづ・く(下二) ①一つの事を絶えず思う。源氏物語帚木「君は人一人の御有様を心のうちに―・け給ふ」 ②思いを述べる。述懐する。平家物語6「君かくれさせ給ひぬと承つて、かうぞ―・けける」

おもい‐づま【思い夫・思い妻】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐づま思い夫・思い妻オモヒ‥ いとしい夫。また、いとしい妻。万葉集13「―心に乗りて」。古事記「仲さだめる―あはれ」

おもい‐つ・める【思い詰める】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐つ・める思い詰めるオモヒ‥ 〔他下一〕[文]おもひつ・む(下二) 一途いちずに深く思う。ひたすらにそのことを思って悩む。伊勢物語「おぼつかなく―・めたること、すこしはるかさん」。「―・めて死を選ぶ」

おもい‐で【思い出・想い出】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐で思い出・想い出オモヒ‥ (オモヒヅの連用形から) ①前にあった事柄で深く心に残っていることが思い出されること。また、その事柄。また、そのきっかけとなるもの。源氏物語総角「空しくなりなん後の―にも」。「初恋の―」「―の品」 ②後々まで思い出しても楽しくなること。また、そのさま。日本永代蔵4「―なる人心」 ⇒おもいで‐ばなし【思い出話】

おもいで‐ばなし【思い出話】オモヒ‥🔗🔉

おもいで‐ばなし思い出話オモヒ‥ 昔を思い出してする話。回想談。 ⇒おもい‐で【思い出・想い出】

おもい‐どおり【思い通り】オモヒドホリ🔗🔉

おもい‐どおり思い通りオモヒドホリ 思ったとおり。思うまま。「―に生きる」

おもい‐とどま・る【思い止まる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐とどま・る思い止まるオモヒ‥ 〔他五〕 考えて(ある行為を)やめる。あきらめる。おもいとまる。

おもい‐とま・る【思い止まる】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐とま・る思い止まるオモヒ‥ [一]〔自五〕 思いがそこに残って他へ移らない。源氏物語帚木「見そめつる契りばかりを捨てがたく―・る人は物まめやかなりと見え」 [二]〔他四〕 「思いとどまる」に同じ。源氏物語行幸「げに折しも便なう―・り侍るに」

おもい‐なお・す【思い直す】オモヒナホス🔗🔉

おもい‐なお・す思い直すオモヒナホス 〔他五〕 考え直す。思い改める。「―・して行くのをやめる」

おもい‐なや・む【思い悩む】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐なや・む思い悩むオモヒ‥ 〔他五〕 心の中で考え苦しむ。おもいわずらう。「一人で―・む」

おもい‐の‐かすみ【思いの霞】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐かすみ思いの霞オモヒ‥ 思いのはれやらぬことを、空をおおう霞にかけていった語。

おもい‐の‐きずな【思いの絆】オモヒ‥キヅナ🔗🔉

おもい‐の‐きずな思いの絆オモヒ‥キヅナ 人の心の情につながれること。心のほだし。

おもい‐のこ・す【思い残す】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐のこ・す思い残すオモヒ‥ 〔他五〕 心残りを感ずる。未練を残す。おもいおく。「―・すことは何もない」

おもい‐の‐そこ【思いの底】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐そこ思いの底オモヒ‥ 思いの最も深いところ。心底。拾遺和歌集愚草員外「秋の夜の―に露は残りて」

おもい‐の‐たけ【思いの丈】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐たけ思いの丈オモヒ‥ 思いのありたけ。思いの限り。

おもい‐の‐たね【思いの種】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐たね思いの種オモヒ‥ 心配のたね。苦労のもと。

おもい‐の‐ひ【思いの火】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐ひ思いの火オモヒ‥ もえたつ思い。もえたつ苦悶。

おもい‐の‐ふち【思いの淵】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐ふち思いの淵オモヒ‥ 積もる思いを、淵の深いことにたとえていう語。深い思い。

おもい‐の‐ほか【思いの外】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐ほか思いの外オモヒ‥ (多く副詞的に)予想と違って。意外。案外。「―筆が進まない」

おもい‐の‐まま【思いの儘】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐まま思いの儘オモヒ‥ 心に思うとおり。思う存分。

おもい‐の‐みち【思いの道】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐みち思いの道オモヒ‥ 深い思いの長く続くことを、道にたとえていう語。内裏名所百首「ゆく末のをだえの橋は聞くもうし―の奥も知られで」

おもい‐の‐やま【思いの山】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐やま思いの山オモヒ‥ 積もる思いを、山にたとえていう語。夫木和歌抄20「あはれわが―を築きおかば富士の高ねも麓ならまし」

おもい‐の‐やみ【思いの闇】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐の‐やみ思いの闇オモヒ‥ 物思いのために分別を失うこと。心の闇。

おもい‐ば【思い羽】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ば思い羽オモヒ‥ オシドリの尾の両脇にあるイチョウの葉形の羽。銀杏羽。つるぎば。おもいばね。〈[季]冬〉 ⇒おもいば‐づつみ【思い羽包み】

おもいば‐づつみ【思い羽包み】オモヒ‥🔗🔉

おもいば‐づつみ思い羽包みオモヒ‥ 香道具の一つ。組香くみこうの香包みや香銘の短冊を入れる包みの一種。7枚重ねの鳥の子紙を折って作り、金地に極彩色で春秋の花卉かきと長尾鶏ながおどりを画く。裏は金箔。志野折。 思い羽包み 提供:ポーラ文化研究所 ⇒おもい‐ば【思い羽】

おもい‐ばね【思い羽根】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ばね思い羽根オモヒ‥ (→)「思い羽に同じ。

おもい‐はらから【思い同胞】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐はらから思い同胞オモヒ‥ むつまじい兄弟姉妹。宇津保物語蔵開下「大納言殿の北の方はいづれとも、もとよりいみじき―にて」

おもい‐びと【思い人】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐びと思い人オモヒ‥ 心に思う人。愛人。こいびと。枕草子265「たのもしきもの…心地などのむつかしきころ、まことまことしき―のいひなぐさめたる」

おもい‐ふけ・る【思い耽る】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ふけ・る思い耽るオモヒ‥ 〔自五〕 考えに没頭する。考えをめぐらす。

おもい‐ぶり【思い振り】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐ぶり思い振りオモヒ‥ その人をおもっているようす。情愛。昨日は今日の物語「色々さまざまの御―の文体ぶんていの中に」

おもい‐まわ・す【思い回す】オモヒマハス🔗🔉

おもい‐まわ・す思い回すオモヒマハス 〔他五〕 さまざまに考える。思いめぐらす。昔を追想する。源氏物語「かやうの御返しを―・さむもねぢけたれば」

おもい‐めぐら・す【思い巡らす】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐めぐら・す思い巡らすオモヒ‥ 〔他五〕 さまざまに考える。思いまわす。熟考する。源氏物語空蝉「いかにしてかかることぞと、後に―・さむも」。「自分の将来を―・す」

おもい‐もう・ける【思い設ける】オモヒマウケル🔗🔉

おもい‐もう・ける思い設けるオモヒマウケル 〔他下一〕[文]おもひまう・く(下二) かねてから考えておく。予期する。用意する。枕草子35「兵衛の佐、返し―・けよ」。「―・けぬ障害」

おもい‐もの【思い者】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐もの思い者オモヒ‥ ①(多く男の側から見ていう)恋人。情人。おもいびと。平家物語12「学頭がむすめ二人あり。ともに蔵人くらんどの―なり」 ②愛妾。浄瑠璃、孕常盤「―にせんといふ」 ○思いも寄らないおもいもよらない 全く予想できない。全く意外である。思いもかけない。思いも及ばない。 ⇒おもい【思い・念い・想い】

○思いも寄らないおもいもよらない🔗🔉

○思いも寄らないおもいもよらない 全く予想できない。全く意外である。思いもかけない。思いも及ばない。 ⇒おもい【思い・念い・想い】 おもい‐やす・む思ひ休む・思ひ息むオモヒ‥ 〔自四〕 思うことをしないでいる。心にかけない。忘れる。万葉集6「人皆の―・みてつれも無くありし間に」 おもい‐やすら・う思ひ休らふオモヒヤスラフ 〔自四〕 心中にためらう。躊躇ちゅうちょする。源氏物語夕顔「いさよふ月にゆくりなくあくがれむことを女は―・ひ」 おもい‐や・む思ひ止むオモヒ‥ 〔自四〕 思うのをやめる。忘れる。万葉集2「人はよし―・むとも」 おもい‐や・む思ひ病むオモヒ‥ 〔自四〕 心労のあまり病気になる。思いなやむ。万葉集16「使も来ねば―・む吾が身ひとつそ」 おもい‐やり思い遣りオモヒ‥ ①思いやること。想像。源氏物語蓬生「―のさびしければにや、此の宮をば不用のものに踏み過ぎて」 ②気のつくこと。思慮。源氏物語槿「いと―もなく人の心も見知らぬさまに」 ③自分の身に比べて人の身について思うこと。相手の立場や気持を理解しようとする心。同情。「―のある人」 おもい‐や・る思い遣るオモヒ‥ [一]〔他五〕 ①思いをはせる。はるかに思う。伊勢物語「その河のほとりに群れ居て―・れば」。「故郷の母を―・る」 ②おしはかる。推量する。古今和歌集「―・る越の白山しらねども」 ③人の身をおしはかって、同情する。「友人の悲しみを―・る」 ④(「―・られる」の形で)よくない状態になるのではないかと案じられる。心配である。「先が―・られる」 [二]〔自四〕 胸の思いをはらす。万葉集12「―・る術すべのたどきも吾はなし」 おもい‐ゆず・る思ひ譲るオモヒユヅル 〔他四〕 人にまかせる。源氏物語東屋「思ふ人具したるは、おのづからと―・られて」 おもい‐ゆる・す思ひ許すオモヒ‥ 〔他四〕 心の中で許す。源氏物語夢浮橋「罪重き御心をば僧都に―・し聞えて」

おもい‐やり【思い遣り】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐やり思い遣りオモヒ‥ ①思いやること。想像。源氏物語蓬生「―のさびしければにや、此の宮をば不用のものに踏み過ぎて」 ②気のつくこと。思慮。源氏物語槿「いと―もなく人の心も見知らぬさまに」 ③自分の身に比べて人の身について思うこと。相手の立場や気持を理解しようとする心。同情。「―のある人」

おもい‐や・る【思い遣る】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐や・る思い遣るオモヒ‥ [一]〔他五〕 ①思いをはせる。はるかに思う。伊勢物語「その河のほとりに群れ居て―・れば」。「故郷の母を―・る」 ②おしはかる。推量する。古今和歌集「―・る越の白山しらねども」 ③人の身をおしはかって、同情する。「友人の悲しみを―・る」 ④(「―・られる」の形で)よくない状態になるのではないかと案じられる。心配である。「先が―・られる」 [二]〔自四〕 胸の思いをはらす。万葉集12「―・る術すべのたどきも吾はなし」

○思い邪なしおもいよこしまなし🔗🔉

○思い邪なしおもいよこしまなし [詩経魯頌・駉・論語為政]心情をありのままに吐露していつわり飾ることがない。 ⇒おもい【思い・念い・想い】 おもい‐よ・す思ひ寄すオモヒ‥ 〔他下二〕 他の事にひきつけて思う。比べて思う。思い合わせる。源氏物語帚木「もてはなれたる事をも―・せて疑ふも」 おもい‐よそ・う思ひ寄そふオモヒヨソフ 〔他下二〕 なぞらえて思う。思い比べる。源氏物語若菜上「猫…らうたげにうち鳴くも、なつかしく―・へらるるぞ」 おもい‐より思い寄りオモヒ‥ 思いつくこと。また、その事柄。狂言、鬮罪人「いづれもの―を言うて御覧ごろうぜ」 おもい‐よ・る思い寄るオモヒ‥ 〔自五〕 ①思いあたる。考えつく。源氏物語若紫「人は―・らぬ事なれば」 ②心がひかれる。源氏物語匂宮「―・れる人はいざなはれつつ」 おもい‐よわ・る思ひ弱るオモヒ‥ 〔自四〕 心が弱くなる。落胆する。源氏物語薄雲「渡り給ひてばまさるべしとのみいへば―・りにたり」 おもいれ思入れ】 〔副〕 (オモヒイレの約)思いをこめるさま。思う存分。思うさま。洒落本、色深猍睡夢いろふかみそらねのゆめ「呉服屋・香具屋をよびつけて―買い込み」 おもい‐わ・く思ひ分くオモヒ‥ 〔他四・下二〕 ①分別する。考えをきめる。源氏物語藤袴「何事も―・かぬ心には」 ②区別する。差別する。源氏物語東屋「他人ことひとと―・けたること」 おもい‐わずら・う思い煩うオモヒワヅラフ 〔自五〕 いろいろと考え苦しむ。思いなやむ。万葉集5「かにかくに―・ひ哭のみし泣かゆ」。「子供の行く末を―・う」 おもい‐わた・す思ひ渡すオモヒ‥ 〔他四〕 考えおよぼす。思いやる。連想する。源氏物語紅葉賀「―・さるるにやあらむいとよくこそおぼえたれ」 おもい‐わた・る思ひ渡るオモヒ‥ 〔自四〕 長い間思い続ける。万葉集4「心には―・れど縁よしをなみ」 おもい‐わ・ぶ思ひ侘ぶオモヒ‥ 〔自上二〕 思い悩む。つらく思う。万葉集15「われゆゑに―・ぶらむいもがかなしさ」

おもい‐より【思い寄り】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐より思い寄りオモヒ‥ 思いつくこと。また、その事柄。狂言、鬮罪人「いづれもの―を言うて御覧ごろうぜ」

おもい‐よ・る【思い寄る】オモヒ‥🔗🔉

おもい‐よ・る思い寄るオモヒ‥ 〔自五〕 ①思いあたる。考えつく。源氏物語若紫「人は―・らぬ事なれば」 ②心がひかれる。源氏物語匂宮「―・れる人はいざなはれつつ」

○思いを致すおもいをいたす🔗🔉

○思いを致すおもいをいたす そのことに思いをめぐらす。思う。「先人の労苦に―」 ⇒おもい【思い・念い・想い】

○思いを懸けるおもいをかける🔗🔉

○思いを懸けるおもいをかける ①異性を恋い慕う。 ②心配をかける。 ③望みをかける。 ⇒おもい【思い・念い・想い】

○思いを馳せるおもいをはせる🔗🔉

○思いを馳せるおもいをはせる 遠く離れているもののことを思う。 ⇒おもい【思い・念い・想い】

○思いを晴らすおもいをはらす🔗🔉

○思いを晴らすおもいをはらす ①うらみやうさをはらす。 ②ずっと抱いてきた望みを遂げる。 ⇒おもい【思い・念い・想い】

○思いを寄せるおもいをよせる🔗🔉

○思いを寄せるおもいをよせる あるものに関心を持つ。特に、異性に恋愛感情をいだく。 ⇒おもい【思い・念い・想い】 おも・う思う・想う・憶う・念うオモフ 〔他五〕 (「重い」の語幹オモと同源か。一説に、「面おも」を活用させた語という) ①…の顔つきをする。…という顔をする。表情をする。万葉集4「物悲しらに―・へりし吾子の刀自を」。大鏡師尹「興ありげに―・ひたれば」。平家物語12「よに心苦しげに―・ひ、涙押しのごひ」 ②物事の条理・内容を分別するために心を働かす。判断する。思慮する。心に感ずる。万葉集19「うらうらに照れる春日に雲雀あがり心悲しも独りし―・へば」。竹取物語「翁ことわりに―・ふに」。日葡辞書「タノモシュウヲモウ」。「―・っていることを口に出す」「論旨は正しいと―・う」 ③もくろむ。ねがう。期待する。土佐日記「疾く都へもがなと―・ふ心あれば」。源氏物語紅葉賀「らうらうしうをかしき御心ばへを―・ひしことかなふと思す」。「世の中すべて―・うようにはいかぬ」「―・う目が出る」 ④おしはかる。予想する。想像する。予期する。万葉集5「―・はぬに横風よこしまかぜのにふぶかに覆ひ来れば」。源氏物語帚木「いかではたかかりけむと―・ふよりたがへることなむあやしく心とまるわざなるべき」。「―・ったほどおもしろくなかった」「将来を―・う」 ⑤心に定める。決心する。万葉集3「万世よろずよに絶えじと―・ひて通ひけむ君をば」。「―・うことありげに席を立った」 ⑥心にかける。憂える。心配する。万葉集4「今更に何をか―・はむうち靡き心は君に縁りにしものを」。竹取物語「人の聞き笑はむことを日に添へて―・ひ給ひければ」。「我が子の上を―・う」「君のことを―・って言うのだ」 ⑦愛する。慕う。いつくしむ。大切にする。万葉集17「吾が―・ふ君をなつかしみせよ」。伊勢物語「まめに―・はむといふ人につきて人の国へいにけり」。「子を―・う親の心」 ⑧過去の事を思いおこす。思い出す。回想する。徒然草「逢はでやみにしうさを―・ひ」。「亡き母を―・う」 ⇒思うこと言わぬは腹膨る ⇒思う仲の小いさかい ⇒思うに任せない ⇒思うに別れ思わぬに添う ⇒思う念力岩をも通す おもう‐おもう思ふ思ふオモフオモフ 〔副〕 ①思いながら。思いつつ。源氏物語宿木「憂き事出で来むものぞとは―過ごしつる世ぞかし」 ②思うものの。源氏物語真木柱「いとかろきぞやとは―なほ心げさうはすすみて」 おもう‐げ‐に思ふげにオモフ‥ 思う存分に。義経記5「―取り散らして」 おもう‐こ思う子オモフ‥ 恋しく思う少女。恋人。万葉集6「―が宿に今宵は明して行かむ」

おもう‐おもう【思ふ思ふ】オモフオモフ🔗🔉

おもう‐おもう思ふ思ふオモフオモフ 〔副〕 ①思いながら。思いつつ。源氏物語宿木「憂き事出で来むものぞとは―過ごしつる世ぞかし」 ②思うものの。源氏物語真木柱「いとかろきぞやとは―なほ心げさうはすすみて」

[漢]思🔗🔉

 字形  筆順 〔心(忄・)部5画/9画/教育/2755・3B57〕 〔音〕(呉)(漢) 〔訓〕おもう・おぼす [意味] ①心をはたらかせて考える。おもう。「思考・思案・思索・沈思・熟思」 ②おもいやる。いとしくおもう。「思慕・相思」 ③心に感ずるしみじみとしたおもい。感情。「秋思・詩思・旅思」 [解字] 本字は。会意。上半部「」は、あたまの象形。「心」を加えて、あたまと心で考える意。 [下ツキ 意思・客思・再思・三思・愁思・秋思・熟思・所思・静思・千思万考・相思・沈思 [難読] 思召おぼしめし

[漢]思🔗🔉

 〔田部4画〕 ⇒心部

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