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えん【遠】ヱン🔗⭐🔉
えん【遠】ヱン
(呉音はオン)
①とおいこと。大きくへだたっていること。↔近。
②遠江国とおとうみのくにの略。
えん‐いき【遠域】ヱンヰキ🔗⭐🔉
えん‐いき【遠域】ヱンヰキ
遠くの地域。平家物語4「我等―にあつて」
えん‐いん【遠因】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐いん【遠因】ヱン‥
遠い原因。間接の原因。「戦争の―」↔近因
えん‐えい【遠泳】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐えい【遠泳】ヱン‥
水泳で、遠距離を泳ぐこと。多く集団で行う。〈[季]夏〉
えん‐かい【遠海】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐かい【遠海】ヱン‥
陸地を遠く離れた海。「―魚」
えん‐かく【遠隔】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐かく【遠隔】ヱン‥
遠くへだたっていること。かけはなれていること。「―の地」
⇒えんかく‐さよう【遠隔作用】
⇒えんかく‐しんだん【遠隔診断】
⇒えんかく‐そうさ【遠隔操作】
⇒えんかく‐ち【遠隔地】
えんかく‐さよう【遠隔作用】ヱン‥🔗⭐🔉
えんかく‐さよう【遠隔作用】ヱン‥
二つの物体の相互作用の一形態。一つの物体の運動状態が空間を隔てて直接的・瞬間的に他の物体に影響を及ぼすという機構。万有引力は遠隔作用とされたが、現代の物理学では、これも近接作用から導かれるとする。↔近接作用。
⇒えん‐かく【遠隔】
えんかく‐しんだん【遠隔診断】ヱン‥🔗⭐🔉
えんかく‐しんだん【遠隔診断】ヱン‥
有線・無線の情報通信メディアを利用して遠隔の場所にいる患者の臨床データの送信を受け、それによって行う診断。
⇒えん‐かく【遠隔】
えんかく‐そうさ【遠隔操作】ヱン‥サウ‥🔗⭐🔉
えんかく‐そうさ【遠隔操作】ヱン‥サウ‥
離れたところから機械や装置の運転・制御を行うこと。遠隔制御。リモート‐コントロール。リモコン。
⇒えん‐かく【遠隔】
えんかく‐ち【遠隔地】ヱン‥🔗⭐🔉
えんかく‐ち【遠隔地】ヱン‥
遠くはなれた土地。
⇒えん‐かく【遠隔】
えん‐かん【遠感】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐かん【遠感】ヱン‥
〔心〕(→)テレパシーに同じ。
えん‐がん【遠眼】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐がん【遠眼】ヱン‥
(→)遠視2に同じ。
⇒えんがん‐きょう【遠眼鏡】
えんがん‐きょう【遠眼鏡】ヱン‥キヤウ🔗⭐🔉
えんがん‐きょう【遠眼鏡】ヱン‥キヤウ
遠視眼に用いるめがね。凸レンズを用いる。
⇒えん‐がん【遠眼】
えん‐き【遠忌】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐き【遠忌】ヱン‥
⇒おんき
えん‐きょう【遠境】ヱンキヤウ🔗⭐🔉
えん‐きょう【遠境】ヱンキヤウ
遠く離れた土地。遠国。太平記10「近代―動ややもすれば武命に随はず」
えん‐きょり【遠距離】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐きょり【遠距離】ヱン‥
遠い距離。「―通勤」↔近距離
えん‐きん【遠近】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐きん【遠近】ヱン‥
遠いことと近いこと。遠い所と近い所。おちこち。「―両用眼鏡」「―を問わず多くの信者が集まる」
⇒えんきん‐ほう【遠近法】
えんきん‐ほう【遠近法】ヱン‥ハフ🔗⭐🔉
えんきん‐ほう【遠近法】ヱン‥ハフ
(perspective)絵画などで、自然の物象を眼に見えるのと同じような距離感で画面に描写する法。森鴎外、即興詩人「望み瞻る方嚮に従ひて無遠慮なるまで肢体の尺を縮めたる―は」
⇒えん‐きん【遠近】
えん‐けい【遠計】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐けい【遠計】ヱン‥
①遠い将来のはかりごと。
②遠大なはかりごと。
えん‐けい【遠景】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐けい【遠景】ヱン‥
遠くの景色。「―描写」↔近景
えん‐けん【遠見】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐けん【遠見】ヱン‥
①遠くを見渡すこと。とおみ。平家物語5「漫々たる海上を―して」
②能楽で、動作によって広い遠景を想像させるような演技効果。また間接的な効果。申楽談儀「申楽は、―を本にして、ゆくやかにたぶたぶとあるべし」
えん‐こう【遠行】ヱンカウ🔗⭐🔉
えん‐こう【遠行】ヱンカウ
①遠くへ行くこと。
②死ぬこと。遠逝えんせい。
えん‐こう【遠候】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐こう【遠候】ヱン‥
(→)「とおものみ(遠物見)」に同じ。
えんこう‐きんこう【遠交近攻】ヱンカウ‥🔗⭐🔉
えんこう‐きんこう【遠交近攻】ヱンカウ‥
中国、戦国時代に魏の范雎はんしょの唱えた外交政策。遠い国と親しく交際を結んでおいて、近い国々を攻め取る策。秦はこれを採用して他の6国を滅ぼした。
えん‐ぽ【遠浦】ヱン‥🔗⭐🔉
えん‐ぽ【遠浦】ヱン‥
遠くに連なって見える浦。
お‐ち【遠・彼方】ヲチ🔗⭐🔉
お‐ち【遠・彼方】ヲチ
(コチ・ソチの対。ヲトトシのヲトと同源か。一説に、海の意を表すワタの母音交替によってできたとする)
①遠い所。遠方。おちかた。源氏物語椎本「川より―に」↔こち。
②それより以前。遠い昔。拾遺和歌集雑賀「きのふより―をば知らず」
③それ以後。以外。万葉集15「この頃は恋ひつつもあらむ玉くしげ明けて―よりすべなかるべし」
おち‐こち【遠近・彼方此方】ヲチ‥🔗⭐🔉
おち‐こち【遠近・彼方此方】ヲチ‥
①遠い所と近い所。あちらこちら。ここかしこ。万葉集17「若き子どもは―に騒き泣くらむ」
②将来と現在。万葉集4「ま玉つく―兼ねて言ことはいへど」
⇒おちこち‐びと【遠近人】
おちこち‐びと【遠近人】ヲチ‥🔗⭐🔉
おちこち‐びと【遠近人】ヲチ‥
あちこちの人。伊勢物語「信濃なる浅間のたけに立つ煙―の見やはとがめぬ」
⇒おち‐こち【遠近・彼方此方】
おち‐つ‐とし【彼つ年・遠つ年】ヲチ‥🔗⭐🔉
おち‐つ‐とし【彼つ年・遠つ年】ヲチ‥
先年。
おと【彼方・遠】ヲト🔗⭐🔉
おと【彼方・遠】ヲト
(→)「おち(遠)」に同じ。古事記下「大宮の―つ鰭手はたで」。「―とい(一昨日)」
おんが‐がわ【遠賀川】ヲン‥ガハ🔗⭐🔉
おんが‐がわ【遠賀川】ヲン‥ガハ
福岡・大分両県の県境にある英彦山ひこさんなどに発源し、北流して響灘に注ぐ川。流域に筑豊炭田があり、石炭輸送に利用された。長さ58キロメートル。
⇒おんががわ‐しき‐どき【遠賀川式土器】
おんががわ‐しき‐どき【遠賀川式土器】ヲン‥ガハ‥🔗⭐🔉
おんががわ‐しき‐どき【遠賀川式土器】ヲン‥ガハ‥
弥生時代前期の土器の総称。遠賀川の河床の立屋敷遺跡からの出土品による命名。西日本から中部地方にかけて分布し、北部九州からの弥生文化伝播を裏付ける資料とされた。
⇒おんが‐がわ【遠賀川】
おん‐き【遠忌】ヲン‥🔗⭐🔉
おん‐き【遠忌】ヲン‥
死者に対する十三年忌以上、十七年・二十五年・五十年・百年などの遠い年忌法会。遠年忌。太平記40「後白河法皇の御―追賁ついひの御為に」
とお【遠】トホ🔗⭐🔉
とお【遠】トホ
遠いこと。万葉集5「大君の―のみかどと」
とお・い【遠い】トホイ🔗⭐🔉
とお・い【遠い】トホイ
〔形〕[文]とほ・し(ク)
①空間のへだたりが大きい。距離がはるかだ。古事記上「結ひし髪を解かす間に―・く逃げたまひき」。万葉集15「大和をも―・く離さかりて」。「駅まで―・い」
②時間のへだたりが大きい。久しい。長い。万葉集9「―・き代にありける事」。源氏物語薄雲「生ひ先―・き人の御うへも」。「降る雪や明治は―・くなりにけり」(草田男)
③ある数量や状態などとのへだたりが大きい。「一万人には―・くおよばない」
④仲が親しくない。うとい。万葉集11「石橋の―・き心は思ほえぬかも」。枕草子166「近うて―・きもの。宮のまへの祭思はぬ。はらから・親族の中」
⑤交渉が少ない。源氏物語総角「斯く山深き御あたりなれば人に―・く物深くて」
⑥血縁関係がうすい。「―・い親戚」
⑦関係があまりない。切実でない。源氏物語少女「学問などに身を苦しめむ事はいと―・くなむ覚ゆべかめる」。「海外旅行などは私には―・い話だ」
⑧よくは知らない。源氏物語橋姫「世の常の女しくなよびたる方は―・くやと推し量らるる御有様なり」。源氏物語東屋「をかしきさまに琴笛の道は―・く、弓をなむいとよくひきける」
⑨はっきりせず働きが鈍い。「耳が―・い」「気が―・くなる」
⇒遠き慮なければ必ず近き憂えあり
⇒遠きに行くは必ず邇きよりす
⇒遠きは花の香近きは糞の香
⇒遠くて近いは男女の仲
⇒遠くの火事、背中の灸
⇒遠くの親類より近くの他人
とお‐えん【遠縁】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐えん【遠縁】トホ‥
遠い血縁。遠いつづきあい。また、その人。「―にあたる」
とお‐がく・る【遠隠る】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐がく・る【遠隠る】トホ‥
〔自下二〕
遠いところに隠れる。落窪物語2「少し―・れて見たるに」
とお‐がけ【遠駆け】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐がけ【遠駆け】トホ‥
馬などで遠方まで疾駆すること。
とお‐かさがけ【遠笠懸】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐かさがけ【遠笠懸】トホ‥
小笠懸に対して、普通の笠懸をいう。
○十日の菊とおかのきく
(菊は9月9日の節句のものだからいう)時機に遅れて役立たないもののたとえ。
▷しばしば「六日の菖蒲あやめ」と対にしていう。
⇒とお‐か【十日】
とおから‐ず【遠からず】トホカラ‥🔗⭐🔉
とおから‐ず【遠からず】トホカラ‥
近いうち。間もなく。「―判明するだろう」
とお‐かり【遠雁】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐かり【遠雁】トホ‥
(→)「とおかりがね」に同じ。
とお‐かりがね【遠雁】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐かりがね【遠雁】トホ‥
①遠い空を飛ぶ雁。
②遠く飛ぶ雁の姿をえがいた模様。「人」の字を逆さにしたような形。
とお‐かわず【遠蛙】トホカハヅ🔗⭐🔉
とお‐かわず【遠蛙】トホカハヅ
(静かな夜に)遠くから聞こえてくるカエルの声。〈[季]春〉
○遠き慮なければ必ず近き憂えありとおきおもんぱかりなければかならずちかきうれえあり🔗⭐🔉
○遠き慮なければ必ず近き憂えありとおきおもんぱかりなければかならずちかきうれえあり
[論語衛霊公]遠い将来のことまでよく考えて行動しないと、必ず近くに困ることが起こる。
⇒とお・い【遠い】
とお‐ぎき【遠聞き】トホ‥
①遠方で聞くこと。また、間接的に聞くこと。
②武家の職名。ひそかに敵陣または人家に入り込んで事情をさぐり聞く者。ものぎき。
トー‐キック【toe kick】
サッカー・ラグビーで、ボールを爪先で蹴ること。
○遠きに行くは必ず邇きよりすとおきにゆくはかならずちかきよりす🔗⭐🔉
○遠きに行くは必ず邇きよりすとおきにゆくはかならずちかきよりす
[中庸]事を行うには、順序を追って手近なところから着実に進まねばならない。
⇒とお・い【遠い】
○遠きは花の香近きは糞の香とおきははなのかちかきはくそのか🔗⭐🔉
○遠きは花の香近きは糞の香とおきははなのかちかきはくそのか
遠いものを尊び、近いものを賤しめるのが人情である、の意。
⇒とお・い【遠い】
トーキング‐ドラム【talking drum】
打ち方や音高を変えることで意味の伝達に用いる太鼓。
とおく【遠く】トホク
(形容詞「遠い」の連用形から)
①遠い所。遠方。「―から来る」
②(副詞的に)へだたりの大きいさま。はるか。「兄には―及ばない」
トーク【talk】
はなし。おしゃべり。「―番組」
⇒トーク‐ショー【talk show】
トーク【toque フランス・ イギリス】
縁無しの円筒形婦人帽。トック。
トーク‐ショー【talk show】
有名人・芸人などのおしゃべりを楽しむ興行。
⇒トーク【talk】
とおく【遠く】トホク🔗⭐🔉
とおく【遠く】トホク
(形容詞「遠い」の連用形から)
①遠い所。遠方。「―から来る」
②(副詞的に)へだたりの大きいさま。はるか。「兄には―及ばない」
○遠くて近いは男女の仲とおくてちかいはだんじょのなか🔗⭐🔉
○遠くて近いは男女の仲とおくてちかいはだんじょのなか
男女の仲の意外に結ばれやすいことにいう。
⇒とお・い【遠い】
○遠くの火事、背中の灸とおくのかじせなかのきゅう🔗⭐🔉
○遠くの火事、背中の灸とおくのかじせなかのきゅう
自分に関係のない大事よりも、自分に関係した小事の方が多く心を悩ます。
⇒とお・い【遠い】
○遠くの親類より近くの他人とおくのしんるいよりちかくのたにん🔗⭐🔉
○遠くの親類より近くの他人とおくのしんるいよりちかくのたにん
[明心宝鑑下、省心「遠水は近火を救い難く、遠親は近隣に如しかず」]いざというときには遠く離れた親類よりも近くに住む他人の方が役立つ。疎遠な親類よりも親密な他人の方が頼りになる。
⇒とお・い【遠い】
とお‐けみ【遠検見】トホ‥
(→)遠見検見とおみけみに同じ。
トーゴ【Togo】
アフリカ西部、ギニア湾に面する共和国。フランス信託統治領から1960年独立。面積5万6000平方キロメートル。人口509万(2004)。首都ロメ。→アフリカ(図)
とお‐ごう‐さん【十五三】トヲ‥
給与所得は10割捕捉され課税されるのに対し、自営業は5割、農業は3割程度であるという、サラリーマンの重税感を表した俗語。→九六四くろよん
とお‐ごえ【遠声】トホゴヱ
遠くから聞こえる声。遠くでする声。
とお‐ざか・る【遠ざかる】トホ‥
〔自五〕
(サカルは離れる意)
①遠くに離れる。とおのく。万葉集7「鳴くたづの声―・る」
②疎遠になる。うとくなる。「学問から―・る」
とお‐ざ・ける【遠ざける】トホ‥
〔他下一〕[文]とほざ・く(下二)
①遠くへ離れさせる。とおのかせる。「野次馬を―・ける」
②疎遠にする。近寄らないようにする。論語嘉元点「容貌を動かして斯ここに暴慢を遠トヲサク」。「敬して―・ける」
とお‐ざと【遠里】トホ‥
遠くへだたった里。曾我物語5「梢まばらの―は」
とお‐さぶらい【遠侍】トホサブラヒ
鎌倉時代以後、武家の建築で本殿より遠く中門や玄関の近くなどに設け、取次・警備に任じた当番の武士の詰所。外侍とさぶらい。↔内侍
とお‐さむらい【遠侍】トホサムラヒ
(→)「とおさぶらい」に同じ。
とおし【通し】トホシ
①はじめから終りまで。終始一貫。「―でけいこする」
②急行する時、宿場で人馬を継ぎ替えたり車輿を乗り換えたり宿泊したりしないで行くこと。浄瑠璃、丹波与作待夜の小室節「殊に其方そちは―ぢやげな」
③(注文の品を帳場に通したしるしの意)料理屋で、客の注文した料理ができる前に出す簡単な食品。お通し。
④「通し狂言」の略。
⇒とおし‐うま【通し馬】
⇒とおし‐うら【通し裏】
⇒とおし‐かご【通し駕籠】
⇒とおし‐がも【通し鴨】
⇒とおし‐がら【通し柄】
⇒とおし‐きっぷ【通し切符】
⇒とおし‐きょうげん【通し狂言】
⇒とおし‐ぎり【通し錐】
⇒とおし‐だな【通棚】
⇒とおし‐ちがい‐だな【通違棚】
⇒とおし‐なわしろ【通し苗代】
⇒とおし‐にわ【通し庭】
⇒とおし‐ぬき【通し貫】
⇒とおし‐ばしら【通し柱】
⇒とおし‐ばんごう【通し番号】
⇒とおし‐びきゃく【通し飛脚】
⇒とおし‐ひやとい【通し日雇】
⇒とおし‐ボルト【通しボルト】
⇒とおし‐や【通し矢】
とおし【簁】トホシ
米穀の糠ぬかなどをふるうため、網の目を竹または銅線で粗く編んだ大形の篩ふるい。→千石通し
とお・し【遠し】トホシ
〔形ク〕
⇒とおい
とお‐じ【遠方】トホヂ
とおい方。遥かなところ。遠方。おち。とおち。玉葉集夏「夕立の―を過ぐる雲の下に降り来ぬ雨ぞよそに見え行く」
どおし【通し】ドホシ
〔接尾〕
物事の継続する意を表す語。「働き―」「叱られ―」「夜―」
とおし‐うま【通し馬】トホシ‥
出発地から目的地まで継ぎ替えずに、同じ馬を雇いづめにして行くこと。また、その馬。好色一代女6「講参の―を引き込み」
⇒とおし【通し】
とおし‐うら【通し裏】トホシ‥
着物の裏に全部同じ布を用いたもの。
⇒とおし【通し】
とおし‐かご【通し駕籠】トホシ‥
出発地から目的地まで継ぎ替えずに、同じ駕籠に乗り通して行くこと。また、その駕籠。好色五人女2「―か乗掛で参らすに」↔替駕籠かえかご。
⇒とおし【通し】
とおし‐がも【通し鴨】トホシ‥
夏になっても北地へ帰らないで残り、営巣して雛を育てる鴨。ただし、カルガモには言わない。〈[季]夏〉
⇒とおし【通し】
とおし‐がら【通し柄】トホシ‥
女帯の文様の一種。丸帯や博多帯のように、丈たけ全体に文様があるもの。
⇒とおし【通し】
とおし‐きっぷ【通し切符】トホシ‥
①出発地から目的地まで、営業主の異なる交通機関にも通して乗ることのできる切符。
②興行などで数回または昼夜を通じて通用する切符。
⇒とおし【通し】
とおし‐きょうげん【通し狂言】トホシキヤウ‥
一つの歌舞伎狂言を最初(序幕)から最終(大切り)まで一度に通して演ずること。江戸時代の興行はこれが普通だった。通し。
⇒とおし【通し】
とおし‐ぎり【通し錐】トホシ‥
(→)壺錐つぼぎりに同じ。
⇒とおし【通し】
とおし‐だな【通棚】トホシ‥
⇒とおりだな。
⇒とおし【通し】
とおし‐ちがい‐だな【通違棚】トホシチガヒ‥
⇒とおりちがいだな。
⇒とおし【通し】
とおし‐なわしろ【通し苗代】トホシナハ‥
連年または通年、苗代にだけ用いる水田。苗を取ったあと他の作物を作らず、緑肥を入れて土を肥やす。東北地方に多かった。
⇒とおし【通し】
とおし‐にわ【通し庭】トホシニハ
家の表入口から裏口へ通り抜けのできる土間。
⇒とおし【通し】
とおし‐ぬき【通し貫】トホシ‥
数本の柱などを連ねる貫ぬき。
⇒とおし【通し】
とおし‐ばしら【通し柱】トホシ‥
2階以上の建物で、土台から軒桁まで、継ぎ足しせず1本で通っている柱。↔管柱くだばしら。
⇒とおし【通し】
とおし‐ばんごう【通し番号】トホシ‥ガウ
始めから終りまで一続きの番号。「―をつける」
⇒とおし【通し】
とおし‐びきゃく【通し飛脚】トホシ‥
途中で継ぎ替えることなく、出発点から目的地まで一人で通して行く飛脚。↔継つぎ飛脚。
⇒とおし【通し】
とおし‐ひやとい【通し日雇】トホシ‥ヤトヒ
江戸時代、旅行期間中、人足などを雇いづめにしたこと。また、その人足。とおしひよう。
⇒とおし【通し】
とおし‐ボルト【通しボルト】トホシ‥
頭付きの最も普通のボルト。互いに締め付ける両部分に通し孔をうがち、一端をナットで締め付けるもの。
⇒とおし【通し】
とお‐じま【遠島】トホ‥
遠方にある島。
とおし‐や【通し矢】トホシ‥
①歩射ぶしゃで、矢継早やつぎばやの練習として遠距離の的に矢を多数射通すこと。また、その矢。
②江戸時代、京都三十三間堂の軒下を矢通やどおりとして矢継早に数矢かずやを射通したこと。陰暦4、5月ころ行なった。江戸浅草の三十三間堂でも行われた。〈[季]夏〉。
→矢数
⇒とおし【通し】
トー‐シューズ【toe shoes】
舞踊靴の一種。トー‐ダンス用。かかとはなく、爪先を固く平らに作ってある。
トーション‐メーター【torsion meter】
(→)捩ねじり動力計。
とお‐しろ・しトホ‥
〔形ク〕
①雄大である。偉大である。万葉集3「山高み河―・し」
②(平安時代以後、歌論用語として)壮大な美を表す。俊秘抄「気高く―・きをひとつのこととすべし」
とお・す【通す・徹す】トホス
〔他五〕
➊途中つかえることなく一方から他方まで至らせる。
①こちら側からあちら側までつきぬく。万葉集11「隠処こもりどの沢泉なる石が根も―・して思ふわが恋ふらくは」。徒然草「木のあはひより紙ひねりを―・してゆひつく」。日葡辞書「ムネヲトヲスヤウナイタミ」。「針に糸を―・す」
②通じさせる。源氏物語胡蝶「南の池はこなたに―・しかよはしなさせ給へるを」。「鉄道を―・す」「火を―・す」
③経由する。介する。「仲人を―・して申し入れる」
④(「透す」とも書く)すかす。透き通す。万葉集7「玉垂の小簾の間―・し独りゐて見る験しるしなき夕月夜かも」。「ガラス戸を―・して内が見える」
⑤あるものをくぐらせて濾こす。「油こしを―・してかすをとる」
⑥下痢する。
➋終りまでつづける。
①ある期間を経へつくす。枕草子198「夏―・したる綿衣のかかりたるを」。「夜を―・して話す」
②あることを終りまで行いつづけてなしとげる。万葉集19「ほととぎす飼ひ―・せらば」。日葡辞書「イキドヲリヲトヲス」「ノゾミヲトヲス」。「長編小説を読み―・す」
③人馬を継ぎ替えずに行く。途中で泊まらずに目的の所に行く。
➌あるところを通過させる。
①通行させる。平家物語12「只一騎おめいてかけ給へば五十騎ばかりのもの共中をあけてぞ―・しける」
②玄関から座敷へ導く。室内に入れる。「奥へ―・す」
③会議や審査を通過させる。「議案を―・す」
④抵抗を押しのけて事を進める。「無理を―・す」
➍他人に通じかよわせる。
①ゆきとどかせる。知らせる。玉葉集雑「いかにして心に思ふことわりを―・すばかりも人に語らむ」
②料理屋などで、客の注文品を帳場に知らせる。
➎(隠語)贓物ぞうぶつを処分する。
◇広く一般には「通」を使う。➊4、➋1・2、➌4では「徹」も用いる。
ドーズ‐あん【ドーズ案】
1924年8月に採択されたドイツの賠償金に関する計画。ドーズ(C. Dawes1865〜1951)を長とする国際専門委員会が提案。支払年額の大幅削減とアメリカ資本の導入を主な内容とするが、暫定的性格が強かった。→ヤング案
トースカン
(語源未詳。罫引けびきの意のフランス語trusquinからか)けがき針を任意の高さに固定して、定規と工作物の高さとを比較し、また工作物に定盤の面と平行な線を引く工具。台付きけがき。
トースター【toaster】
パンを焼いてトーストを作るための電気器具。
トースト【toast】
薄く切った食パンを軽く焼いたもの。また、食パンを焼くこと。
とお‐すめろぎ【遠皇】トホ‥
(古くは清音)天皇の先祖。
とお‐ぜめ【遠攻め】トホ‥
①遠方から攻めること。遠巻きにして攻めること。
②歌舞伎囃子の一つ。遠方から軍勢などが攻め寄せてきたことを表現する鳴物。鉦と太鼓とを用いる。歌舞伎、三十石艠始ト書「これよりタテになり、―の鉦・太鼓になる」
とおせん‐ぼう【通せん坊】トホセンバウ
①子供などが両手をひろげて、人の行先をふさぐこと。また、その遊戯。とおせんぼ。
②通路をふさいで通行をさえぎること。「ごみの山が―をしている」
とお‐そ・く【遠退く】トホ‥
〔自四〕
遠ざかる。遠く離れる。とおのく。万葉集14「妹が門いや―・きぬ」
ドーソン【Abraham C. M. d'Ohsson】
アルメニア系のスウェーデンの外交官・歴史家。諸語の史料を駆使して「モンゴル帝国史」を著す。(1780〜1855)
とお‐たび【遠旅】トホ‥
遠方へ行く旅行。また、その旅路。
トータル【total】
①合計。総計。総額。
②全体的。総合的。「―に考える」
とお‐だんご【十団子】トヲ‥
駿河国宇津谷うつのや峠の麓で売った名物の団子。小さく、色は白・黄・赤の3種で、10個ずつ竹串に貫く。とおだご。好色一代男7「―売る女さへ美しく見えて」
トー‐ダンス【toe dance】
足をつまだてながら行う舞踊。
とお‐ち【遠方】トホ‥
⇒とおじ
トーチ【torch】
たいまつ。特に、儀式用のものをいう。
⇒トーチ‐ランプ
トーチカ【tochka ロシア】
(点の意)コンクリートで堅固に構築して、内に重火器などを備えた防御陣地。特火点。火点。
トーチ‐ランプ
(和製語)鉛管工事などに用いる携帯用バーナー。
⇒トーチ【torch】
とお‐つ‐おうみ【遠つ淡海・遠江】トホ‥アフミ
(トホツアハウミの転)浜名湖、また遠江とおとうみの古称。万葉集14「―引佐いなさ細江のみをつくし」↔近つ淡海
とお‐つ‐おおじ【遠つ祖父】トホ‥オホヂ
曾祖父母の父。高祖父。
とお‐つ‐おおば【遠つ祖母】トホ‥オホバ
曾祖父母の母。高祖母。
とお‐つ‐おき【遠つ沖】トホ‥
遠い沖。遥かな沖。玉葉集雑「―にあまた浮べる舟」
とお‐つ‐おや【遠つ祖】トホ‥
①先祖。神代紀上「中臣連の―天児屋命」
②祖父母の祖父。高祖父。〈倭名類聚鈔2〉
とお‐つ‐かみ【遠つ神】トホ‥
[一]〔名〕
(人に遠く神にまします御方の意か)遠い昔の神。歴代の天皇。
[二]〔枕〕
「おほきみ(大君)」にかかる。万葉集1「―我ご大君の行幸いでましの」
とお‐つ‐かむおや【遠つ神祖】トホ‥
神である遠い先祖。遠つ祖おやの尊称。万葉集18「大伴の―の奥津城は」
とお‐つ‐くに【遠つ国】トホ‥
①遠方の国。
②よみのくに。黄泉こうせん。万葉集9「―よみのさかひに」
とおっ‐ぱしり【遠っ走り】トホツ‥
車で遠くに出かけること。
とお‐つ‐ひと【遠つ人】トホ‥
[一]〔名〕
遠方にいる人。遠い昔の人。
[二]〔枕〕
「まつ(待つ)」「まつ(松)」「かり(雁)」にかかる。万葉集5「―松浦の川に」
とお‐づま【遠夫】トホ‥
①遠い所にいる夫。転じて、逢うことのまれな夫。
②牽牛星けんぎゅうせいのこと。
とお‐づま【遠妻】トホ‥
①遠い所にいる妻。転じて、逢うことのまれな妻。万葉集4「―のここにあらねば」
②織女星しょくじょせいのこと。万葉集10「年にありて今か纏まくらむぬばたまの夜霧がくりに―の手を」
とお‐つら【十列】トヲ‥
平安時代以降、神社への行幸や賀茂の祭の時に、左右近衛の官人の奉仕した一種の競馬くらべうま。舞楽を奏した後、馬を10頭ならべて駆けたものとも、20人が2騎ずつ足なみを揃えて駆けたものともいう。一説に舞人の行う騎射とも。大鏡道兼「―の馬ならねども」
とお‐で【遠出】トホ‥
①遠方へ出かけること。「休日に―する」
②芸者が一定の営業区域以外の客の席に出ること。また、客の旅行に同伴すること。
ドーデ【Alphonse Daudet】
フランスの作家。プロヴァンスの生れ。豊かな感受性をもって郷土の風物に取材。長編小説「サフォー」、短編集「風車小屋便り」、「タルタラン」三部作、戯曲「アルルの女」など。(1840〜1897)
ドーティ【dhoti ヒンディー】
インドの民族衣装の一種。ヒンドゥー教徒の男性が着用する腰布。細長い白綿布を股の下をくぐらせて着付ける。
トーテミズム【totemism】
親族集団をそれぞれ特定の自然物(トーテム)と象徴的に同定することによって社会の構成単位として明瞭に識別される社会認識の様式。トーテムに対する儀礼やタブーの遵守が個人の社会認知の機会として重視される。→トーテム
トーテム【totem】
社会の構成単位となっている親族集団が神話的な過去において神秘的・象徴的な関係で結びつけられている自然界の事物。主として動物・植物が当てられ、集団の祖先と同定されることも多い。→トーテミズム→トーテム‐ポール。
⇒トーテム‐ポール【totem pole】
トーテム‐ポール【totem pole】
北アメリカ北西海岸の先住民の間で、自集団の神話的起源をトーテム動物などの彫刻によって標示した柱状のもの。家屋や集会所の門前あるいは墓前に立てる。
トーテム-ポール
⇒トーテム【totem】
とお‐と【遠音】トホ‥
遠くで聞こえる音。とおね。万葉集4「梓弓つまひく夜音よとの―にも」
とおとうみ【遠江】トホタフミ
(「遠つ淡海おうみ」の転)旧国名。今の静岡県の西部。遠州。近江おうみに対する。
ドードー【dodo】
ハト目ドードー科の鳥の総称。飛翔力のない大形の鳥で、少なくとも3種知られる。マダガスカル島東方のマスカリン諸島に生息したが、17世紀に船人の食料として捕獲され、絶滅。完全な標本は残っていない。
ドードー
ドードー
撮影:小宮輝之
とお‐どお・し【遠遠し】トホドホシ
〔形シク〕
①甚だ遠い。古事記上「―・し高志の国に」
②ひどく疎遠である。久しく音信がない。源氏物語総角「うたて―・しくのみもてなさせ給へば」
トート‐バッグ【tote bag】
(トートは持ち運ぶ意)大きな角型の手提げバッグ。
トートロジー【tautology】
〔論〕
①(→)同語反復に同じ。
②ある命題がその要素的部分命題の真偽いかんにかかわらず常に真と解釈される時、その恒真性をいう。記号論理学とくに命題論理の分野で、ウィトゲンシュタイン以来普及した概念。恒真命題。恒真式。
とお‐な【遠名】トホ‥
遠くまで広まる評判。万葉集11「人の―を立つべきものか」
とお‐なが・し【遠長し】トホ‥
〔形ク〕
①遠くはるかである。万葉集14「富士の嶺のいや―・き山路をも」
②永遠である。永久である。万葉集2「天地のいや―・く偲ひゆかむ」
とお‐なげ【遠投・遠射】トホ‥
矢で遠くのものを射ること。遠矢とおや。〈倭名類聚鈔4〉
とお‐なだ【遠洋】トホ‥
遠方の海。沖。
ドーナツ【doughnut】
小麦粉に砂糖・バター・卵・ベーキング‐パウダーまたはイーストなどをまぜてこね、輪形・円形などに作って油で揚げた洋菓子。
⇒ドーナツ‐げんしょう【ドーナツ現象】
⇒ドーナツ‐ばん【ドーナツ盤】
⇒ドーナツ‐めん【ドーナツ面】
ドーナツ‐げんしょう【ドーナツ現象】‥シヤウ
大都市の居住人口が郊外に移り、中心部が空洞化し、人口配置がドーナツ状になること。ドーナツ化現象。
⇒ドーナツ【doughnut】
ドーナツ‐ばん【ドーナツ盤】
直径17.5センチメートル、1分間45回転のレコードの俗称。EPレコード。中心部の穴が大きく、その形状がドーナツに似ているからいう。
⇒ドーナツ【doughnut】
ドーナツ‐めん【ドーナツ面】
〔数〕(→)トーラスに同じ。
⇒ドーナツ【doughnut】
トーナメント【tournament】
①中世ヨーロッパで行われた騎士の馬上試合。多くは、二組に分かれた勝抜き式のもの。
②競技で、回を重ねるごとに敗者を除外し、最後に残った二者で優勝を決する方式。勝抜き式。→リーグ戦
とお‐なり【遠鳴り】トホ‥
遠くから、また遠くまで鳴りひびくこと。また、その音。「潮の―」
とお‐ね【遠音】トホ‥
遠くの音。遠方に聞こえる音。とおと。
とおの【遠野】トホ‥
岩手県南東部の市。遠野盆地の中心、北上盆地と三陸海岸とを結ぶ交通上の要地。柳田国男の「遠野物語」で知られる。人口3万1千。
遠野 かっぱ淵
撮影:関戸 勇
とお‐の‐いましめ【十の戒め】トヲ‥
十戒じっかいをいう。
とお‐の・く【遠退く】トホ‥
[一]〔自五〕
①遠ざかる。へだたる。とおそく。「危険が―・く」
②疎遠になる。「足が―・く」
[二]〔他下二〕
⇒とおのける(下一)
とお‐の‐くに【遠の国】トホ‥
遠い所にある国。えんごく。万葉集15「―未だも着かず」
とお‐の・ける【遠退ける】トホ‥
〔他下一〕[文]とほの・く(下二)
遠のかせる。遠ざける。「人を―・けて話す」
とお‐の‐さかい【十の界】トヲ‥サカヒ
十界じっかいをいう。
とお‐の‐ねぶり【遠の眠り】トホ‥
深い眠り。長唄、宝船「長き夜の―の皆目ざめ…波乗り船の音のよきかな」
とお‐の‐みかど【遠の朝廷】トホ‥
①都から遠い地にある官府。万葉集17「大君の―そみ雪ふる越と名におへる」
②大宰府だざいふ。万葉集5「大君の―としらぬひ筑紫の国に」
③新羅しらぎに置かれた官家。万葉集15「すめろきの―と韓国に渡るわが背は」
とお‐の‐みや【遥宮】トホ‥
本宮から離れた場所にある別宮。すなわち後世の遥拝所・里宮さとみや。延喜式「滝原宮一座、大神―」
とお‐のり【遠乗り】トホ‥
車馬などで遠方まで出かけて遊ぶこと。「―に出る」「自転車で―する」
ドーハ【Doha】
アラビア半島東岸、カタール国の首都。ペルシア湾に臨む。交易都市として発展。人口34万(2004)。
ドーハ
撮影:田沼武能
ドーパミン【dopamine】
カテコール‐アミンの一種。分子式C6H3(OH)2CH2CH2NH2 神経伝達物質として作用する。生体内でチロシンから合成され、ノル‐アドレナリン・アドレナリンの前駆体となる。パーキンソン病と関連。
とお‐び【遠火】トホ‥
①遠方で焚く火。
②火から遠く離すこと。「―で焼く」
とお‐ひがた【遠干潟】トホ‥
遠方まで潮が引いた潟。
とお‐びき【遠引き】トホ‥
①軍勢を遠くまで引き揚げること。太平記38「敵は今朝の軍いくさに―して気疲れ、勢ひ尽きはてけるぞ」
②鷹が鳥を捕らえるのに遠く飛びかけること。また、道に迷うこと。日葡辞書「トヲビキヲスル、また、トヲハヲヒク」
とお‐びし【遠菱】トホ‥
間を隔てておいた菱形の織模様。
とお‐ひと【遠人】トホ‥
高齢の人。長命の人。仁徳紀「汝なこそは世の―」
トービン【James Tobin】
アメリカの経済学者。イェール大教授。ケネディ大統領顧問。「トービンのq理論」として知られる投資理論やトービン税を提唱。著「国民経済政策」など。ノーベル賞。(1918〜2002)
⇒トービン‐ぜい【トービン税】
ドーピング【doping】
(「麻薬を与える」の意)
①スポーツ選手が運動能力を高めるため、筋肉増強剤・興奮剤・覚醒剤・鎮静剤など薬物を使用する不正行為。
②少量の不純物を添加することによって必要な性質を得ること。
⇒ドーピング‐コントロール【doping control】
ドーピング‐コントロール【doping control】
スポーツ選手が競技場内または日常生活において、禁止薬物を使用していないかどうかを検査すること。陽性反応が確定した場合は、厳罰に処される。
⇒ドーピング【doping】
トービン‐ぜい【トービン税】
投機的な短期資本移動を抑制する目的で、すべての外国為替取引に対し課される低率の税。トービンが提唱。
⇒トービン【James Tobin】
トーフル【TOEFL】
(Test of English as a Foreign Language)米国やカナダへの留学希望者を対象に、学術的な英語運用能力を評価するテスト。米国の非営利教育団体ETS(Educational Testing Service)が主催。
ドーベルマン【Dobermann】
イヌの一品種。1860年頃ドイツ人ドーベルマンが作出。大形で、肩高60〜70センチメートル。短毛で、毛色は黒から黒褐色。番犬・警察犬・軍用犬とする。ドーベルマン‐ピンシェル。
ドーベルマン
とお‐ぼえ【遠吠え】トホ‥
①犬や狼が、遠くまで聞こえるような長く引いた声でほえること。また、その声。
②比喩的に、弱者が相手に直接向かわず、遠くからののしること。かげで虚勢をはること。「負け犬の―」
トーマ【Thomas】
⇒トマ
⇒トマス
ドーマー
(dormer window)屋根裏部屋の採光のため、傾斜した屋根から突出して垂直に設けた窓。屋根窓。
とお‐まき【遠巻き】トホ‥
遠くからまわりを取り巻くこと。遠寄せ。「喧嘩を―に見る」
ドーマク【Gerhard Domagk】
ドイツの病理・細菌学者。1935年プロントジルの抗菌作用を発見、化学療法の新しい発展を導く。ノーベル賞。(1895〜1964)→プロントジル
とお‐まけ【遠負け】トホ‥
敵がまだ近寄らないのに、自分は負けだときめこむこと。平家物語9「叶はじとや思ひけん、―にして引き退き」
とお‐まと【遠的】トホ‥
遠方に的をおいて射ること。
とお‐まわし【遠回し】トホマハシ
露骨でないようにすること。間接にすること。黒岩涙香、電気「―に意見せしことも幾度」
とお‐まわり【遠回り】トホマハリ
①ことさらに遠い道をまわって行くこと。「―して帰る」
②まわりどおいこと。迂遠。「―の方法」
とお‐み【遠見】トホ‥
①遠くを見渡すこと。また、遠くから見ること。「―がきく」
②高所に昇って、遠方の敵情などを窺い見張ること。また、その人。平家物語11「判官は高き所に登り上がつて、敵かたきや寄すると―し給へば」
③(→)遠物見とおものみに同じ。
④㋐歌舞伎の背景画で遠景をかいたもの。
㋑歌舞伎の演出法で、ある役者が遠方にいることを表すため、同じ扮装ふんそうをした子役を使うもの。
⑤遠見検見とおみけみの略。
⇒とおみ‐けみ【遠見検見】
⇒とおみ‐ばん【遠見番】
⇒とおみ‐ばんしょ【遠見番所】
⇒とおみ‐やぐら【遠見櫓】
ドーミー【dormie】
ゴルフのマッチ‐プレーで、残りのホール数と勝ち越したホールの数が同じになること。
ドーミエ【Honoré Daumier】
フランスの画家。政治に取材した諷刺画や庶民の生活を油彩で描くとともに石版画を多く残し、19世紀リアリズムの一翼を担った。(1808〜1879)
とお‐みけ【遠御食】トホ‥
供御くごをたたえていう語。祝詞、祈年祭「長御食の―と赤丹のほに聞しめすが故に」
とおみ‐けみ【遠見検見】トホ‥
検見の一種。全体の作柄さくがらを見ることがむずかしい場合、またはその必要のない場合などに、手近の一部分の検査や内見ないけん帳だけで全体の税額を定めるもの。遠検見とおけみ。
⇒とお‐み【遠見】
とお‐みち【遠道】トホ‥
①遠い道。
②長い道のりを歩くこと。遠出。源氏物語手習「―の名残こそ、しばし患ひ給ひけれ」
③遠回りの道。まわりみち。
とおみ‐ばん【遠見番】トホ‥
遠見の番に当たる人。
⇒とお‐み【遠見】
とおみ‐ばんしょ【遠見番所】トホ‥
①遠見番の詰所。
②江戸幕府が、外国船の出入・通過などの動静を観望・報告させるため、辺海各地に設けた番所。
⇒とお‐み【遠見】
とお‐みみ【遠耳】トホ‥
遠方の音をもよく聞きとることができること。また、その耳。
とおみ‐やぐら【遠見櫓】トホ‥
敵軍の動静などを見張るために設けた櫓。
⇒とお‐み【遠見】
とお・む【撓む】トヲム
〔自四〕
(トヲはタワの転)たわむ。万葉集19「沖つ波―・む眉引まよびき」
ドーム【dome イギリス・Dom ドイツ】
①半球形の屋根または天井。円屋根。穹窿きゅうりゅう。
②いただきの円い峰。円頂丘。
⇒ドーム‐きゅうじょう【ドーム球場】
ドーム‐きゅうじょう【ドーム球場】‥キウヂヤウ
屋根付きの野球場。1965年アメリカのヒューストンに建設されたアストロドームが世界初。日本では88年の東京ドームが初。
⇒ドーム【dome イギリス・Dom ドイツ】
とお‐め【遠目】トホ‥
①遠方から見ること。遠望。源氏物語総角「蔦つたの色なども物深げに見えて、―さへすごげなるを」。「―がきく」「夜目―」
②遠方の物がよく見える眼。遠視。
③(→)遠物見とおものみに同じ。
とお‐めがね【遠眼鏡】トホ‥
遠方の物が明らかに見える眼鏡、すなわち望遠鏡・双眼鏡。好色一代男1「亭ちんの―を取り持ちて」。樋口一葉、若葉かけ「―ものしてみ渡せば此高どのゝしたこぎ行やうにぞみゆる」
とお‐めずら【遠珍】トホメヅラ
きわめて稀まれで珍しいこと。夫木和歌抄36「たなばたも年に一夜はあふものをなど我が恋の―なる」
とお‐めつけ【遠目付】トホ‥
(→)遠物見とおものみに同じ。
とお‐ものみ【遠物見】トホ‥
武家時代の戦闘で、敵の動静を探るため、敵陣間近く進出すること。また、その役、その人。遠目。遠見。遠目付。遠候えんこう。
とお‐もん【遠文】トホ‥
①間隔をあけて一面に散らした文様。
②地下じげ所用の冠。繁文しげもんの冠に対し、文を巾子こじの上部にだけ配し、纓えいの先端に霞かすみと呼ぶ筋だけを入れた冠をいう。
とお‐や【遠矢】トホ‥
矢で遠距離のものを射ること。とおなげ。また、その矢。平家物語11「われにすぎて―射るものなし」
とお‐やま【遠山】トホ‥
①遠くにある山。遠くに見える山。えんざん。「―に夕日一すぢ時雨かな」(蕪村)
②(茶道用語)
㋐茶壺の肩にある紐通しの四つの孔をいう。形が1に似ているところからの名。
㋑遠山灰の略。
⇒とおやま‐かげ【遠山陰】
⇒とおやま‐げさ【遠山袈裟】
⇒とおやま‐ざくら【遠山桜】
⇒とおやま‐ざと【遠山里】
⇒とおやま‐ずり【遠山摺】
⇒とおやま‐どり【遠山鳥】
⇒とおやま‐ばい【遠山灰】
とおやま【遠山】トホ‥
姓氏の一つ。
⇒とおやま‐きんしろう【遠山金四郎】
⇒とおやま‐ひらく【遠山啓】
とおやま‐かげ【遠山陰】トホ‥
遠山のふもと。
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐きんしろう【遠山金四郎】トホ‥ラウ
江戸後期の江戸町奉行。左衛門尉。名は景元。下情に通じ、名奉行をもって聞こえ、「遠山の金さん」として親しまれ、歌舞伎狂言や講釈などに脚色。( 〜1855)
⇒とおやま【遠山】
とおやま‐げさ【遠山袈裟】トホ‥
青・緑・黄などの色糸で遠山の景を刺繍した袈裟。本来は、色や織り方の異なる各種の裂地きれじを綴じ合わせた結果生ずる自然な文様を遠山に見立てて言ったもの。
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐ざくら【遠山桜】トホ‥
遠山に咲いている桜。続後撰和歌集春「―さきにけらしも」
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐ざと【遠山里】トホ‥
遠方にある山里。赤染衛門集「―は耳馴れぬらむ」
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐ずり【遠山摺】トホ‥
遠山の景色を青く摺り出した衣。続拾遺和歌集秋「月に行く―のかり衣」
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐どり【遠山鳥】トホ‥
ヤマドリ2の別称。源氏物語総角「例の―にて明けぬ」
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐ばい【遠山灰】トホ‥バヒ
風炉ふろの灰仕様の一様式。五徳の足の向う側の右か左に、灰を山形に盛りあげたもの。山の数は2・3・5などに作る。遠山。
⇒とお‐やま【遠山】
とおやま‐ひらく【遠山啓】トホ‥
数学者。熊本県出身。東北大卒。東京工業大教授。算数・数学教育の方法を追究し、水道方式を提唱。著「数学入門」「無限と連続」。(1909〜1979)
⇒とおやま【遠山】
とお‐よせ【遠寄せ】トホ‥
①(→)「遠巻き」に同じ。
②歌舞伎囃子の一つ。遠巻きの軍勢を表現する鳴物。大太鼓や法螺ほら・銅鑼どらなどを用いる。
とお‐よそ【遠余所】トホ‥
①遠く離れていて、直接には関係しないこと。史記抄「しかと其下の兵ではなうて―に控へて居て」
②かけ隔たっていること。また、その所。他郷。
とお‐よ・る【撓よる】トヲ‥
〔自四〕
(トヲはタワの転)しなう。一説に、たわみよる。万葉集2「なよ竹の―・る子」
トーラー【Torah】
〔宗〕(→)律法2に同じ。
とお‐ら・う【撓らふ】トヲラフ
〔自四〕
(トヲはタワの転)揺れ動く。ゆれる。万葉集9「釣船の―・ふ見れば」
トーラス【torus】
円を、その円と同一平面上にあり、その円と交わらない直線のまわりに回転して得られる曲面。円環面。輪環面。ドーナツ面。
トーラス
ドーラン【Dohran ドイツ】
(ドイツのドーラン社製のものが多く使われたからいう)俳優などが使う、舞台・映画撮影の化粧用の油性練り白粉おしろい。
とおり【通り】トホリ
①とおること。
㋐通行。通過。
㋑つきぬけること。通じること。達すること。「風の―」「―のいい声」「九分―できあがる」「一―揃う」
㋒通り雨。歌舞伎、幼稚子敵討おさなごのかたきうち「先刻さっきの―で釜の底が湿つたのぢや」
②通路。人や車などが通るための、まちなかの道。狂言、人馬「―へ出てよささうな者があらば見つくらうて抱へて来い」
▷接尾語的に使い、ドオリと濁ることがある。「銀座―」
③往来。ゆきき。狂言、木六駄「大雪で里の―が無いに依つてどうも才覚はならぬ」。「人の―が絶えない」
④世間に行われること。
㋐通用。流通。「―ことば」「―が悪い」
㋑受け入れられること。了解されること。「世間での―がよい」
⑤それと同じ経過をたどる、また同じ状態にあること。それと同様なこと。日葡辞書「ツカイノトヲリヲイウ」。「習った―に作る」「その―」
⑥方法・様式の種類を数える語。「やり方は幾―もある」
⇒とおり‐あめ【通り雨】
⇒とおり‐いっぺん【通り一遍】
⇒とおり‐がかり【通り掛り】
⇒とおり‐かぐら【通り神楽】
⇒とおり‐がけ【通り掛け】
⇒とおり‐かぜ【通り風】
⇒とおり‐きって【通切手】
⇒とおり‐く【通り句】
⇒とおり‐ぐも【通り雲】
⇒とおり‐ことば【通り詞】
⇒とおり‐じ【通り字】
⇒とおり‐すがり【通りすがり】
⇒とおり‐すじ【通り筋】
⇒とおり‐そうば【通り相場】
⇒とおり‐だな【通棚】
⇒とおり‐ちがい‐だな【通違棚】
⇒とおり‐てがた【通手形】
⇒とおり‐な【通り名】
⇒とおり‐ぬけ【通り抜け】
⇒とおり‐ね【通り値】
⇒とおり‐ふちょう【通り符牒】
⇒とおり‐ま【通り魔】
⇒とおり‐みち【通り道・通り路】
⇒とおり‐むかい‐だな【通向棚】
⇒とおり‐め【通り目】
⇒とおり‐もの【通り物】
⇒とおり‐もの【通り者】
⇒とおり‐や【通り矢】
ドーリア【Doria】
⇒ドリス
とおり‐あめ【通り雨】トホリ‥
一しきり降ってすぐに晴れ上がる雨。
⇒とおり【通り】
とおり‐あわ・せる【通り合わせる】トホリアハセル
〔自下一〕[文]とほりあは・す(下二)
たまたまそのそばを通りかかる。
とおり‐いっぺん【通り一遍】トホリ‥
①通りがかりに立ち寄っただけで、平素からの馴染なじみでないこと。「―の客」
②ただ義理・形式・表面だけで、実意のこもらないこと。「―の挨拶」
⇒とおり【通り】
トーリー‐とう【トーリー党】‥タウ
(Tories)イギリスの政党。1680年頃からこの名で呼ばれ、ホイッグ党と対立。王権を擁護して、主に地方の地主や国教会の聖職者によって支持された。1832年の選挙法改正以後、保守党と改称。
とおり‐がかり【通り掛り】トホリ‥
通りかかること。道のついで。通りがけ。「―の人」「―に立ち寄る」
⇒とおり【通り】
とおり‐かか・る【通り掛かる】トホリ‥
〔自五〕
他へ行く途中、ちょうどそこを通る。「―・った人に助けられる」
とおり‐かぐら【通り神楽】トホリ‥
歌舞伎囃子の一つ。太神楽だいかぐらの流しの太鼓を聞かせる鳴物で、桶胴おけどうと竹笛を用いる。
⇒とおり【通り】
とおり‐がけ【通り掛け】トホリ‥
通るついで。通りすがり。「―に見る」
⇒とおり【通り】
とおり‐かぜ【通り風】トホリ‥
ひとしきり吹く風。吹き過ぎる風。
⇒とおり【通り】
とおり‐きって【通切手】トホリ‥
(→)通手形とおりてがたに同じ。浄瑠璃、平家女護島「海上改めの関所々々―」
⇒とおり【通り】
とおり‐く【通り句】トホリ‥
①広く一般に通じ用いられる文句。諺のように用いられる文句。
②雑俳や万句合まんくあわせなどの付合つけあいに応募して選に入り、世に知られている句。
⇒とおり【通り】
とおり‐ぐも【通り雲】トホリ‥
停滞せず、通過してなくなる雲。
⇒とおり【通り】
とおり‐こ・す【通り越す】トホリ‥
〔自五〕
①とまらずに通って先へ行く。通り過ぎる。
②ある程度を越える。「冷たいのを―・して痛い」
③比喩的に、困難・障害などを切り抜ける。突破する。
とおり‐ことば【通り詞】トホリ‥
広く一般に通用することば。また、特定の仲間うちで通用することば。
⇒とおり【通り】
とおり‐じ【通り字】トホリ‥
①祖先から代々伝えられて人の実名に付ける文字。平氏の忠盛・清盛・宗盛の「盛」の字の類。つうじ。狂言、比丘貞「家に伝はる―とやらいふ事があるげなが」
②世間に広く通用している字。俗字。
⇒とおり【通り】
とおり‐すがり【通りすがり】トホリ‥
たまたま通りあわせること。通るついで。通りがけ。「―の人」
⇒とおり【通り】
とおり‐すが・る【通りすがる】トホリ‥
〔自五〕
たまたま来かかって、そこを通る。通りかかる。
とおり‐す・ぎる【通り過ぎる】トホリ‥
〔自上一〕[文]とほりす・ぐ(上二)
ある場所を通って先へ行く。通りこす。「家の前を―・ぎる」「雷雨が―・ぎる」
とおり‐すじ【通り筋】トホリスヂ
本通りの道筋。大通り。根無草「大名小路は勿論、―などの様子は存ぜず」
⇒とおり【通り】
とおり‐そうば【通り相場】トホリサウ‥
一般に通用している値段。また、世間一般の評価。通り値。「切れ者というのが―だ」
⇒とおり【通り】
とおり‐だな【通棚】トホリ‥
床脇の棚の一形式。両端までまっすぐに棚板を通した棚。通常、上に袋戸棚が付く。一文字棚。とおしだな。
⇒とおり【通り】
とおり‐ちがい‐だな【通違棚】トホリチガヒ‥







とお‐けみ【遠検見】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐けみ【遠検見】トホ‥
(→)遠見検見とおみけみに同じ。
とお‐ざか・る【遠ざかる】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐ざか・る【遠ざかる】トホ‥
〔自五〕
(サカルは離れる意)
①遠くに離れる。とおのく。万葉集7「鳴くたづの声―・る」
②疎遠になる。うとくなる。「学問から―・る」
とお‐ざ・ける【遠ざける】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐ざ・ける【遠ざける】トホ‥
〔他下一〕[文]とほざ・く(下二)
①遠くへ離れさせる。とおのかせる。「野次馬を―・ける」
②疎遠にする。近寄らないようにする。論語嘉元点「容貌を動かして斯ここに暴慢を遠トヲサク」。「敬して―・ける」
とお・し【遠し】トホシ🔗⭐🔉
とお・し【遠し】トホシ
〔形ク〕
⇒とおい
とお‐すめろぎ【遠皇】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐すめろぎ【遠皇】トホ‥
(古くは清音)天皇の先祖。
とお‐ぜめ【遠攻め】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐ぜめ【遠攻め】トホ‥
①遠方から攻めること。遠巻きにして攻めること。
②歌舞伎囃子の一つ。遠方から軍勢などが攻め寄せてきたことを表現する鳴物。鉦と太鼓とを用いる。歌舞伎、三十石艠始ト書「これよりタテになり、―の鉦・太鼓になる」
とお‐つ‐おうみ【遠つ淡海・遠江】トホ‥アフミ🔗⭐🔉
とお‐つ‐おうみ【遠つ淡海・遠江】トホ‥アフミ
(トホツアハウミの転)浜名湖、また遠江とおとうみの古称。万葉集14「―引佐いなさ細江のみをつくし」↔近つ淡海
とお‐つ‐おおじ【遠つ祖父】トホ‥オホヂ🔗⭐🔉
とお‐つ‐おおじ【遠つ祖父】トホ‥オホヂ
曾祖父母の父。高祖父。
とお‐つ‐おおば【遠つ祖母】トホ‥オホバ🔗⭐🔉
とお‐つ‐おおば【遠つ祖母】トホ‥オホバ
曾祖父母の母。高祖母。
とお‐つ‐おき【遠つ沖】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐つ‐おき【遠つ沖】トホ‥
遠い沖。遥かな沖。玉葉集雑「―にあまた浮べる舟」
とお‐つ‐おや【遠つ祖】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐つ‐おや【遠つ祖】トホ‥
①先祖。神代紀上「中臣連の―天児屋命」
②祖父母の祖父。高祖父。〈倭名類聚鈔2〉
とお‐つ‐かみ【遠つ神】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐つ‐かみ【遠つ神】トホ‥
[一]〔名〕
(人に遠く神にまします御方の意か)遠い昔の神。歴代の天皇。
[二]〔枕〕
「おほきみ(大君)」にかかる。万葉集1「―我ご大君の行幸いでましの」
とお‐つ‐かむおや【遠つ神祖】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐つ‐かむおや【遠つ神祖】トホ‥
神である遠い先祖。遠つ祖おやの尊称。万葉集18「大伴の―の奥津城は」
とお‐つ‐くに【遠つ国】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐つ‐くに【遠つ国】トホ‥
①遠方の国。
②よみのくに。黄泉こうせん。万葉集9「―よみのさかひに」
とおっ‐ぱしり【遠っ走り】トホツ‥🔗⭐🔉
とおっ‐ぱしり【遠っ走り】トホツ‥
車で遠くに出かけること。
とお‐つ‐ひと【遠つ人】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐つ‐ひと【遠つ人】トホ‥
[一]〔名〕
遠方にいる人。遠い昔の人。
[二]〔枕〕
「まつ(待つ)」「まつ(松)」「かり(雁)」にかかる。万葉集5「―松浦の川に」
とお‐と【遠音】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐と【遠音】トホ‥
遠くで聞こえる音。とおね。万葉集4「梓弓つまひく夜音よとの―にも」
とおとうみ【遠江】トホタフミ🔗⭐🔉
とおとうみ【遠江】トホタフミ
(「遠つ淡海おうみ」の転)旧国名。今の静岡県の西部。遠州。近江おうみに対する。
とお‐どお・し【遠遠し】トホドホシ🔗⭐🔉
とお‐どお・し【遠遠し】トホドホシ
〔形シク〕
①甚だ遠い。古事記上「―・し高志の国に」
②ひどく疎遠である。久しく音信がない。源氏物語総角「うたて―・しくのみもてなさせ給へば」
とお‐ね【遠音】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐ね【遠音】トホ‥
遠くの音。遠方に聞こえる音。とおと。
とお‐の‐くに【遠の国】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐の‐くに【遠の国】トホ‥
遠い所にある国。えんごく。万葉集15「―未だも着かず」
とお‐の‐ねぶり【遠の眠り】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐の‐ねぶり【遠の眠り】トホ‥
深い眠り。長唄、宝船「長き夜の―の皆目ざめ…波乗り船の音のよきかな」
とお‐の‐みかど【遠の朝廷】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐の‐みかど【遠の朝廷】トホ‥
①都から遠い地にある官府。万葉集17「大君の―そみ雪ふる越と名におへる」
②大宰府だざいふ。万葉集5「大君の―としらぬひ筑紫の国に」
③新羅しらぎに置かれた官家。万葉集15「すめろきの―と韓国に渡るわが背は」
とお‐び【遠火】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐び【遠火】トホ‥
①遠方で焚く火。
②火から遠く離すこと。「―で焼く」
とお‐ひがた【遠干潟】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐ひがた【遠干潟】トホ‥
遠方まで潮が引いた潟。
とお‐びき【遠引き】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐びき【遠引き】トホ‥
①軍勢を遠くまで引き揚げること。太平記38「敵は今朝の軍いくさに―して気疲れ、勢ひ尽きはてけるぞ」
②鷹が鳥を捕らえるのに遠く飛びかけること。また、道に迷うこと。日葡辞書「トヲビキヲスル、また、トヲハヲヒク」
とお‐まき【遠巻き】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐まき【遠巻き】トホ‥
遠くからまわりを取り巻くこと。遠寄せ。「喧嘩を―に見る」
とお‐まわし【遠回し】トホマハシ🔗⭐🔉
とお‐まわし【遠回し】トホマハシ
露骨でないようにすること。間接にすること。黒岩涙香、電気「―に意見せしことも幾度」
とお‐まわり【遠回り】トホマハリ🔗⭐🔉
とお‐まわり【遠回り】トホマハリ
①ことさらに遠い道をまわって行くこと。「―して帰る」
②まわりどおいこと。迂遠。「―の方法」
とお‐み【遠見】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐み【遠見】トホ‥
①遠くを見渡すこと。また、遠くから見ること。「―がきく」
②高所に昇って、遠方の敵情などを窺い見張ること。また、その人。平家物語11「判官は高き所に登り上がつて、敵かたきや寄すると―し給へば」
③(→)遠物見とおものみに同じ。
④㋐歌舞伎の背景画で遠景をかいたもの。
㋑歌舞伎の演出法で、ある役者が遠方にいることを表すため、同じ扮装ふんそうをした子役を使うもの。
⑤遠見検見とおみけみの略。
⇒とおみ‐けみ【遠見検見】
⇒とおみ‐ばん【遠見番】
⇒とおみ‐ばんしょ【遠見番所】
⇒とおみ‐やぐら【遠見櫓】
とお‐みけ【遠御食】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐みけ【遠御食】トホ‥
供御くごをたたえていう語。祝詞、祈年祭「長御食の―と赤丹のほに聞しめすが故に」
とおみ‐けみ【遠見検見】トホ‥🔗⭐🔉
とおみ‐けみ【遠見検見】トホ‥
検見の一種。全体の作柄さくがらを見ることがむずかしい場合、またはその必要のない場合などに、手近の一部分の検査や内見ないけん帳だけで全体の税額を定めるもの。遠検見とおけみ。
⇒とお‐み【遠見】
とおみ‐ばん【遠見番】トホ‥🔗⭐🔉
とおみ‐ばん【遠見番】トホ‥
遠見の番に当たる人。
⇒とお‐み【遠見】
とおみ‐ばんしょ【遠見番所】トホ‥🔗⭐🔉
とおみ‐ばんしょ【遠見番所】トホ‥
①遠見番の詰所。
②江戸幕府が、外国船の出入・通過などの動静を観望・報告させるため、辺海各地に設けた番所。
⇒とお‐み【遠見】
とおみ‐やぐら【遠見櫓】トホ‥🔗⭐🔉
とおみ‐やぐら【遠見櫓】トホ‥
敵軍の動静などを見張るために設けた櫓。
⇒とお‐み【遠見】
とお‐めがね【遠眼鏡】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐めがね【遠眼鏡】トホ‥
遠方の物が明らかに見える眼鏡、すなわち望遠鏡・双眼鏡。好色一代男1「亭ちんの―を取り持ちて」。樋口一葉、若葉かけ「―ものしてみ渡せば此高どのゝしたこぎ行やうにぞみゆる」
とお‐よせ【遠寄せ】トホ‥🔗⭐🔉
とお‐よせ【遠寄せ】トホ‥
①(→)「遠巻き」に同じ。
②歌舞伎囃子の一つ。遠巻きの軍勢を表現する鳴物。大太鼓や法螺ほら・銅鑼どらなどを用いる。
[漢]遠🔗⭐🔉
遠 字形
筆順
〔辶(辶)部10画/13画/教育/1783・3173〕
[
] 字形
〔辶(辶)部10画/14画〕
〔音〕エン〈ヱン〉(漢) オン〈ヲン〉(呉)
〔訓〕とおい (名)とお
[意味]
①へだたりが大きい。とおい(所・将来)。おくふかい。(対)近。「遠方・遠足・遠流おんる・久遠くおん・永遠・望遠鏡・疎遠・深遠」
②とおざける。とおざかる。(対)近。「敬遠・遠心力」
③「遠江とおとうみ国」の略。「遠州・駿遠すんえん」
[解字]
形声。「辶」+音符「袁」(=長い)。長く歩いて行く意。転じて、道のりがとおい意。
[下ツキ
以遠・迂遠・永遠・久遠・敬遠・宏遠・荒遠・高遠・尚遠・深遠・陬遠・疎遠・僻遠・望遠鏡・幽遠・悠遠・遥遠・遼遠
[難読]
遠近おちこち・遠方おち・おちかた・遠江とおとうみ




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