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〔格助〕(体言または体言に準ずるものを受けて「より」と同様に用いられる上代語) 1 動作・作用の起点を示す。時間的な場合と空間的な場合とがある。*書紀‐景行一七年三月・歌謡「はしきよし我家の方由(ユ)雲居立ち来(く)も」 2 動作の行われる場所・経由地を示す。時間的・空間的・抽象的な用法がある。*書紀‐神武即位前・歌謡「伊那佐の山の木の間由(ユ)もいゆきまもらひ」 3 動作の手段を示す。*万葉‐三三九六「小筑波のしげき木の間よ立つ鳥の目由(ユ)か汝(な)を見むさ寝ざらなくに」 4 比較の基準を示す。*万葉‐二四三八「海従(ゆ)まさりて深くしそ思ふ」 [補注]「書紀‐歌謡」と「万葉集」に用例が見られるのみである。語源に関しては格助詞「ゆり」を参照。

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〔助動〕(活用は「え・え・ゆ・ゆる・ゆれ・○」。四段・ラ変動詞の未然形に付く)自発・受身・可能の助動詞。中古の「る」に当たる。 1 自発。ある動作が自然に行われること、無意識的にある行為をしてしまうことを表す。*万葉‐三七三二「ぬば玉の夜はすがらにねのみし泣か由(ユ)」 2 受身。他から動作を受ける意を表す。動作の受け手(「ゆ」が付いた動詞に対する主語)は、人間・動物など有情のものであるのがふつうで、また、その動作を受けることによって、被害や迷惑、または恩恵などを受ける意味をも含むことが多い。動作の行い手は、「…に」の形で表現される例が多い。*万葉‐八〇四「か行けば人に厭(いと)は延(エ)かく行けば人に憎ま延(エ)」 3 (打消の助動詞を伴って)不可能の意を表す。*書紀‐斉明四年一〇月・歌謡「おもしろき今城のうちは忘ら(ユ)ましじ」 [補注](1)「らゆ」とともに、中古以降の「る」―「らる」に対応する。ただし、上代にも「る」の例は少数ある。命令形は現れない。(2)語源上、「見ゆ、燃ゆ、消ゆ、絶ゆ」など、いわゆる他動詞を対応形にもつヤ行下二段動詞の語尾と同じもので、作用を自然に発動する変化またはその状態としてとらえるのが原義と考えられる。それが、「見ゆ」にも「人に見ゆ」などの用法のあるように、受身の意味を明らかにするために用いられた。(3)四段活用動詞の未然形に付くものを助動詞として取り扱うが、「思ふ」、「聞く」に付いた場合のように、早く「思ほゆ」(さらに「おぼゆ」)、「聞こゆ」となって、一動詞の語尾として扱われるものがある。(4)上一段活用動詞「射る」について、「射ゆ」の受身用法の例があり、「見ゆ」と考え合わせると、古くは上一段動詞にも「ゆ」が付いたと見られる。(5)中古には、漢文訓読に「地蔵十輪経元慶七年点‐七」の「当来に有ら所(エ)む罪咎を防護すべし」のように、多少引き継がれ、また、「あらゆる」「いはゆる」のように連体詞として固定したものが後世まで用いられたほかは、一般に「る」に代わった。

ゆ【ゆ・ユ】🔗🔉

ゆ【ゆ・ユ】 五十音図の第八行第三段(ヤ行ウ段)に置かれ、五十音順で第三十七位(同音のかなの重複を含めるとき、第三十八位)のかな。いろは順では第三十九位で、「き」のあと、「め」の前に位置する。現代標準語の発音では、硬口蓋と前舌との間を狭めて発する有声の半母音jと母音uとの結合した音節juにあたる。イ段のかなに添えてウ段の拗音を表すことがある。現代かなづかいでは拗音の場合「ゆ」を小文字で添える。「ゆ」の字形は、「由」の草体から出たもの、「ユ」の字形は、同じく「由」の末二画(中のたて画と下の横画)からできたものの変形である。ローマ字では、yuと書く。

ゆ【弓】🔗🔉

ゆ【弓】 ゆみ。他の語の上に付いて、複合語を構成する。「ゆずえ(弓末)」「ゆはず(弓弭)」など。

ゆ【夜】🔗🔉

ゆ【夜】 「よ(夜)」の上代東国方言。→ゆとこ(夜床)

ゆ【斎】🔗🔉

ゆ【斎】 神聖であること。清浄であること。助詞「つ」を伴って、または、直接に接頭語的に名詞の上に付いて用いられ、その物が神事に関する物であることを表す。「ゆ庭」「ゆ鍬(くわ)」など、神、または、神をまつるための物を表す名詞に付く場合と、「ゆ笹」「ゆ槻」など、植物の名を表す名詞に付く場合とがある。い。→斎(ゆ)つ

ゆ【揺】🔗🔉

ゆ【揺】 琴(きん)や箏(そう)などで、余韻を波うたせるために左の手の指先で絃を左右(琴)、または上下(箏)に幾回かゆすること。また、その音。*源氏‐明石「手づかひ、いといたう唐めき、ゆの音ふかう澄ましたり」

ゆ【湯】🔗🔉

ゆ【湯】 1 水を沸かして熱くしたもの。熱くなった水。*万葉‐三八二四「さし鍋に湯(ゆ)沸かせ子ども」 2 1のうち、特に入浴に用いるもの。また、入浴することや入浴する所。ゆあみ。湯殿。「湯に入る」「湯に行く」*蜻蛉‐中「ゆのこといそがして」 3 温泉。いでゆ。*万葉‐三三六八「足柄の刀比の河内に出づる湯(ゆ)の」 4 薬湯(くすりゆ)。薬風呂。*続詞花‐雑上「大斎院御あしなやませ給をすきのゆにてゆてさせ給へきよし申けれは」 5 せんじ薬。薬湯(やくとう)。*宇津保‐国譲下「かき起こして、ゆまゐり給ふを」 6 船中に浸み入ってたまった水をいう、忌みことば。あか。ふなゆ。*拾遺‐五七一「浪ぢにいたく行き通ひゆも取りあへずなりにける」 7 鋳造するために熱して溶かした金属。*日葡辞書「ナマリヲ yuni(ユニ) ナス」 8 小便。ゆばり。 ●湯の=泡(あわ)[=垢(あか)] 硫黄(いおう)。 ●湯の神(かみ) 温泉をつかさどる神。大己貴(おおなむち)・少名毘古那(すくなびこな)の二神をまつる所が多い。 ●湯の器(き) 平安時代、禁中の台盤所の台盤の上にすえる器の一つ。多く銀製で、湯を入れるもの。 ●湯の子(こ) ⇒親見出し ●湯の辞宜(じぎ)は水(みず)になる 入浴を遠慮して互いに譲り合えば、その間にせっかく沸かした湯が水になる。遠慮も時と場合によるべきであるとのたとえ。 ●湯の花(はな) 1 温泉の成分の一部が沈殿して取り出されたもの。温泉が地表にわき出し、温度や圧力の低下、蒸発、周囲の岩石や動植物の作用などによって溶けていた成分の一部が沈殿したまったもの。硫黄華、石灰華、珪華など。 2 湯垢(ゆあか)。 3 =ゆばな(湯花)2 ●湯を引(ひ)く ゆあみをする。入浴する。 ●湯を沸(わ)かして水(みず)に=入(い)る[=する] 折角の苦労をむだにすることのたとえ。

ゆ【柚】🔗🔉

ゆ【柚】 「ゆず(柚)」の別称。また、ユズの実。 ●柚の葉(は) 1 ユズの葉のような形の鏃(やじり)。 2 染色の名。柚葉色(ゆばいろ)。

ゆ【喩】🔗🔉

ゆ【喩】 1 =ひゆ(譬喩)1 2 因明(いんみょう)で、命題を成立させるための例証・実例をいう。論理学の大前提にあたるもの。

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