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お【▽御】🔗⭐🔉
お【▽御】
用例引き
A 尊敬の「お」
先生からのお手紙
・お送り下さる
・お使いください(命令)
・お使いになれます(可能)
B 謙譲の「お」
先生へのお手紙
・お伝えします
・お送りできます(可能)
C 美化語の「お」
私のお洋服
D その他
お疲れさま
・お千代
・お粗末

接頭
《名詞、動詞連用形、形容(動)詞などの上に付く。基本的に和語に付くが、一部の漢語・外来語に付くこともある》
尊敬
Aに関係する事物・状態や、Aが行う動作について、Aを高める。
名詞の上に付く。
「先生からのお手紙」
「お体の具合はいかがですか」
「お心遣いをありがとうございました」
「お…だ[です]」「お…て[で]いらっしゃる」「お…下さる」「お…なさる」「お…になる」などの形で、間に動詞連用形、漢語サ変動詞語幹、形容(動)詞などが入る。
「先生もお喜びだ」
「佐藤さんはオペラについてお詳しいですね」
「お元気でいらっしゃるご様子、何よりです」
「これは山田さんがお送り下さった本です」
「先生が私にお命じ[お返事]なさいました」
「先生はもうお帰りになりました」
→だ(助動)
・です(助動)
・いらっしゃる

・下さる
・なさる
・成る
・遊ばす
・あらせられる
《「お」+動詞連用形の形で》やわらかな命令を表す。
「はやくお行き」
「ちょっとお待ち」
◇「なさい」の省略された形。
二つ以上の尊敬表現を「て」でつないだ「お[ご]…になっていらっしゃる(もうお休みになっていらっしゃいます)」「お[ご]…になって下さる(お書きになって下さいました)」などの形でも使う。これらは冗長に感じられる場合もあるが、より丁寧な尊敬表現として使う。
「お」「ご」を用いた尊敬の依頼・命令表現には、「お[ご]…下さい」「お[ご]…なさい」「お[ご]…あれ」などがある。「好きなだけお使い下さい」「先生にご挨拶あいさつなさい」「どうぞご安心あれ」「冗談はおよしあそばせ」「おやめになって下さい」「お好きになさって下さい」→下さい
・なさい
・在る
・遊ばす
「お」「ご」を用いた尊敬の可能表現には、「お[ご]…になれる」「お[ご]…になられる」などがある。「会員の方はご自由にお使いになれます」「どなたもご参加になれます」「これならあなたもお読みになられるでしょう」→なれる
・成る
(注意)
謙譲
Aに差し向ける事物や、Aに及ぶ動作について、Aを高める。
名詞の上に付く。
「先生へのお手紙」
「心ばかりのお礼を差し上げる」
「奥様にお願いがあって伺いました」
「お…する[します]」「お…申し上げる」などの形で、間に動詞連用形、漢語サ変動詞語幹、形容(動)詞などが入る。
「私から佐藤さんにお伝えします」
「心よりお詫び申し上げます」
→する
・申し上げる
「(私は)Aさんに新作をお目にかける」「A先生のお眼鏡にかなう」「A先生にお許しいただいた」などは句全体では自分側の動作についていう謙譲表現だが、「お目」「お眼鏡」「お許し」の「お」は、Aを高めていう尊敬用法である。
「お」「ご」を用いた謙譲の可能表現には、「お[ご]…できる」「お[ご]…いただける」などがある。「(あなたに)明日にはお送りできます」「(小社は会員に)特別料金でご使用いただけます」→できる
・いただける
謙譲の「お」「ご」を、「いたす」「申す」などの丁重語と合わせて使い、動作や事物の及ぶ人物を高めるとともに、相手(=聞き手・読み手)に対して改まった気持ちを表す。「佐藤さん、私が先生をご案内いたします」相手が動作や事物の及ぶ人物と同一人物であることもある。「あなたの気持ちはお察し申します」→致す
・申す
美化語
美しく上品な言い方をすることで、自分の品位を高める。いろいろな物事について言う。
「江戸時代のお手紙を集めた展覧会」
「私のお洋服」
「うちにはお米もお味
みそもあるわ」
「お
油しょうゆ?
それともおソース?」
「おトイレに行ってくる」
「この頃野菜がお高いわね」
「おしとやかな女性になりたいです」
→する



の最初の用例のように、同じ「お手紙」でも、尊敬語・謙譲語・美化語になる場合がある。
《「お…様」「お…さん」の形で、他人の状態を表す語を入れて》他人に対するねぎらい・慰めの気持ちを表す。
「お疲れ様でした」
「お気の毒様」
「おあいにく様」
《人を表す語の上に付いて》軽い尊敬・親愛の気持ちを表す。
「お千代」
「お政さん」
「おちびちゃん」
「おバカさん」
◇女性の名に付けるのはやや古い言い方。
からかいや自
じちょう、ふざけの意を表す。
「よっ、お熱いね!」
「お粗末な出来だ」
「お恥ずかしい限りです」
本来の敬意が失われて、形式的に添える語。
「姉のお古を着る」
「菓子のおまけ」
「ご飯のお代わり」
◆「おほん(御)」が変化した「おん」の省略形「お」に由来する語。古くは貴人の持ち物や行為についていう尊敬の用法に限られたが、のち、動作の及ぶ先を高める気持ちで、自分側の事物・行為に「お」を付ける用法が生まれた。
「お」と「ご」の使い分け
基本的に、和語には「お」が付き、漢語には「ご」が付く。「お体・お気遣い・お寂しい・お名前・お会いする・お使いになる」「ご恩・ご家族・ご住所・ご立派・ご案内する・ご使用になる」
ただし、漢語であっても、日常的に使うものには「お」が付くことがある。「お医者様・お加減・お勘定かんじょう・お客・お行儀・お化粧・お砂糖・お散歩・お時間・お邪魔・お正月・お食事・お歳暮・お節介・お洗濯・お葬式・お代だい・お達者・お駄賃・お天気・お電話・お人形・お便所・お弁当・お夕飯・お料理・お礼れい」
まれに、和語であっても、「ご」が付くものがある。「ごもっとも・ごゆっくり・ごゆるり」
同じ漢語でも、場面によって「お」と「ご」を使い分けることがある。「お」は口頭語ややわらかい日常的な場面に、「ご」は改まった文章や固い場面に使われる傾向がある。「お慈悲/ご慈悲」「お相伴しょうばん/ご相伴」「お説教/ご説教」「お誕生/ご誕生」「お返事/ご返事」「お勉強/ご勉強」
外来語でも、日常的に使うものには「お」の付くことがある。「おズボン・おソース・おトイレ・おニュー・おビール」
注意すべき「お」「ご」の用法
1 「ご」(「お」)を付けるのが一般的な語に「お」(「ご」)を付けるのは不適切。
「×
お案内・お意見・お遠慮・お近所さん・お苦労・お自宅・お冗談・お心配・お注文・お伝言・お夫婦・お本ほん・お迷惑・お友人・お両親・お連絡」「×
ご体からだ・ご父上・ご手紙・ご名前」
2 「和語=お」「漢語=ご」の原則通りで、他人に関わる動作や状態を表す表現であっても、「お」「ご」を付けるのが慣用になじまないものがある。
「×
おさすが・おしっとり・おそっくり」「×
ご学生・ご華麗・ご貴重・ご事故・ご繊細・ご便利」「×
お死にになる→○
お亡くなりになる・亡くなられる」「×
ご運転になる→○
運転なさる・運転される」→成る
の注意
3 「父上・尊顔・令嬢」などの尊敬語や「逝去」「亡くなる」などの婉曲えんきょく表現に「お」「ご」を付けて、より敬意の高い言い方をするのは適切。
「○
お父上・ご尊顔・ご令嬢・ご逝去・お亡くなりになる」
4 自分側の事物や動作で、他人に及ばないものに「お」「ご」を付けるのは誤り(美化語用法は除く)。「私の
×お考え(→○考え)を聞いてください」「身内の
×ご法要(→○法要)があり、恐縮ながら欠席します」
5 自分側の事物や動作に「お」「ご」を付けたり、「お[ご]…する」「お[ご]…申し上げる」を用いたりしても、それが他人に及ぶものであれば、適切な謙譲用法。
「〔披露宴で司会者が〕○
ここで新郎よりご挨拶申し上げます」
6 「和語=お」「漢語=ご」の原則に適っていて、自分側の動作を表す表現であっても、「お」「ご」を付けるのが慣用になじまないものがある。
「×
お上げする→○
差し上げる」「×
お憧れする→○
憧れ申し上げる」「×
ご賛成申し上げる→○
賛成申し上げる」
7 美化語の「お」は、過剰に付けると幼稚・慇懃いんぎん無礼・冗長に感じられたり、自分側に尊敬の「お」を使っていると受け取られたりする場合もある。
「△
ご希望のお日にちをお知らせください」「△
お出口はあちらです」「×
お書類を提出します」「〔取引先に対して〕これ、うちの山田が担当した
×お仕事(→○仕事)です」
8 固定した成句などに美化語の「お」を付けるのは不適切。「×
お金の切れ目が縁の切れ目」
9 美化語の「お」を付けないと乱暴な言葉遣いに感じられる場合がある。
「先生、△茶(→○お茶)でも飲みませんか」
10 「お父さん・お姉さん・お祖父さん」などは、親しみを表す呼び名でもあるが、敬称でもある。他人に対して、自分の身内をこれらの語でいうのは一般に不適切。
「〔お父様は元気ですか、と尋ねられて〕はい、×お父さん(→○父)は元気にしております」
11 「お[ご]…ください」などで、やりもらいでない動作について、動詞連用形・サ変動詞語幹のあとに「を」を入れるのは、一般的でない。
「△
ご注意をください」「△
あちらの席でお休みをください」「○
お許しをいただく」
12 「ちょっとお散歩してきます」「(私は)会社をお休みする」など、動作の及ぶ人物のない「お…する」は、新しい用法。→する
の語法
13 「お[ご]」を付けず動詞連用形・サ変動詞語幹に直接「ください」を続けるのは誤り。
「×
取り寄せください→○
お取り寄せください」「×
使用ください→○
ご使用ください」→ください
の注意
14 サ変動詞として使わない(「○○する」と言わない)名詞を「ご[お]…ください」とするのは誤り。「×
ご参考ください→○
参考になさってください・ご参考になってください」→ください
の注意
15 尊敬の「お…になる」に尊敬の助動詞「れる」を続けた「お…になられる」は二重敬語で、敬意過剰。「×
お亡くなりになられた」「×
ゆっくりお休みになられてください」→成る
の注意
・れる
の注意
16 「使いやすい」「理解しにくい」など「動詞+形容詞」の複合語を尊敬語にするには、動詞を尊敬語にして形容詞を続ける。単に「動詞+形容詞」の先頭に「お」を付けることはしない。
「×
お使いやすい→○
お使いになりやすい」「×
ご理解しにくい→○
ご理解になりにくい」
17 謙譲の「お[ご]…する」を、尊敬表現として他人の動作について使うのは誤り。
「×ご利用する(→○ご利用になる)サービスをお選びください」「先生、この問題について
×ご説明してください(→○ご説明ください)」→する
の注意
18 「お[ご]…できる」を他人の行為について使うのは誤り。
「×
会員はご利用できます」「○
明日までに私どもでご用意できます」→できる
の注意
19 「お[ご]…いただける」は、場面によって適切・不適切な場合の両方がある。
「○
ご説明いただけますか」「×
会員の方はご利用いただけます」→頂ける
20 謙譲「お[ご]…いただく」の「…」の部分に謙譲語を用いるのは誤り。
「×
ご拝読いただきありがとうございます」→頂く
の注意
21 丁重語「いたす」「申す」などは、自分または自分側の行為について使うものなので、尊敬語と組み合わせるのは誤り。
「×
お読みいたしてください→○
お読みになってください」

























































































































































明鏡国語辞典 ページ 743 での【御】単語。