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か【下】🔗🔉

】 (呉音はゲ) ①したの方。しも。また、表に現れない部分。「意識―」 ②わるいこと。劣っていること。「下の下」 ③順序で、あとの方。「下巻げかん」「―記」 ④(接尾語的に)「…の影響のもとで」の意を表す。「戦時―」「県―」 ⑤相手に属するものの下にいる意で、敬意を表す。「殿―」

ください【下さい】🔗🔉

ください下さい】 (「くださる」の命令形「くだされ」の口語形) ①いただきたい、頂戴したいなど相手に事物を請い求める意を表す。「小遣いを―」「誠意のある返答を―」 ②動詞の連用形または漢語に添えて、相手に懇願する意を表す。 ㋐尊敬を表す接頭語「お」「御」の付いた動詞の連用形または漢語の下に付く。「新聞をお読み―」「あれを御覧―」「ごめん―」 ㋑助詞「て」を伴うこともある。「本を買って(読んで)―」

くださ・る【下さる】🔗🔉

くださ・る下さる】 [一]〔他五〕 (下二段活用が近世以後四段活用化したもの) ①お与えになる。下賜なさる。狂言、墨塗「太郎冠者を御使にも―・らぬものを」。「陛下がお言葉を―・った」 ②いただく。頂戴する。特に、飲食物をいただくの意で、「食う」「飲む」をへりくだって言うのにも使われる。狂言、唐相撲「お暇を―・らうずる」。東海道中膝栗毛5「ハイ酒は好きで、一升酒を―・ります」 ③(動詞の連用形に助詞「て」を伴ったもの、または、動詞の連用形に「お」を冠したものなどに付いて)動作の主体に対して敬意を表し、その動作によって恩恵をうけることを意味する語。狂言、餅酒「よろしう仰せあげられて―・りませ」。東海道中膝栗毛5「どふぞこれへお出―・りませ」。「先生が読んで―・る」「早速御承知―・ってありがとうございました」 [二]〔他下二〕 ⇒くだされる(下一)

くだされ‐もの【下され物】🔗🔉

くだされ‐もの下され物】 賜ったもの。いただいた物。頂戴物。

くださ・れる【下される】🔗🔉

くださ・れる下される】 〔他下一〕[文]くださ・る(下二) (近世以降は四段活用「下さる」となり、「下される」は書簡などのやや格式ばった表現に用いられる) ①お与えになる。平家物語4「主上御感のあまりに、師子王といふ御剣を―・れけり」 ②いただく。頂戴する。特に飲食物をいただくの意で、「食う」「飲む」をへりくだって言うのにも使われる。平家物語7「経正御硯―・れて」。浄瑠璃、堀川波鼓「拙者も深うは―・れぬが、ちと御酒を好む故、方々吟味致せども」 ③(「―・れた」の形で)いいことをしてもらった。浄瑠璃、聖徳太子絵伝記「提灯…さし上ぐる鼻の先…やあ、―・れた、暗闇にしてよい気味せんと、ふつと吹き消し」 ④(動詞の連用形に助詞「て」を伴ったもの、または、動詞の連用形に「お」を冠したものなどに付いて)動作の主体に対して敬意を表し、その動作によって恩恵をうけることを意味する語。狂言、靱猿「その様な無体な事は云はぬものぢやというて―・れい」。「命をお助け―・れた御礼として」

くださん・す【下さんす】🔗🔉

くださん・す下さんす】 〔他サ変〕 (本来は遊里語)クダサレマスの転とも、「下さる」に「んす」が付いてできた語ともいう。くださいます。多く江戸時代の女性が用いた。浄瑠璃、鑓の権三重帷子「なんと合点して―・すか」

くだし【下し】🔗🔉

くだし下し】 ①くだすこと。 ②「下し薬」の略。「―を掛ける」 ⇒くだし‐ぐすり【下し薬】 ⇒くだし‐ぶみ【下文】

くだし‐ぐすり【下し薬】🔗🔉

くだし‐ぐすり下し薬(→)下剤げざいに同じ。 ⇒くだし【下し】

くだ・す【下す・降す】🔗🔉

くだ・す下す・降す】 〔他五〕 ①高い所にあるものを一気に低い所に移す。肥前風土記「篠原の弟姫の子ぞさ一夜ひとゆも率寝てむ時しだや家に―・さむ」 ②川上から川下へ一気に流す。拾遺和歌集「大井河―・す筏のみなれ棹」 ③(雨などを)降らせる。拾遺和歌集雑秋「杣山にたつけぶりこそ神無月時雨を―・す雲となりけれ」 ④価値・地位などを低くする。さげる。「位を―・す」 ⑤都から他の地方へつかわす。源氏物語若菜上「これより―・し給ふ人ばかりにつけてなむ、一くだりにても尼君にさるべき折節の事も通ひける」。「使を各地へ―・す」 ⑥(貴人から物を)賜る。下賜する。平家物語(延慶本)「今度は御衣おんぞを―・させ給ふ」 ⑦最終的な意志をうちだす。命令・判決などを申し渡す。大鏡伊尹「辰の時に人々参れと宣旨―・させ給ふを」。「判決を―・す」「判断を―・す」「結論を―・す」 ⑧打ち勝って自分に従わせる。降参させる。「朝に一塁を屠り夕に一城を―・す」。「大差で―・す」 ⑨実際にその行為をする。「手を―・す」 ⑩筆を紙上におろして書く。源氏物語梅枝「かかる御なかに、おもなく―・す筆の程、さりともとなむ思ひ給ふる」 ⑪(動詞の連用形に付いて)物事を次へ進めて行く。源氏物語手習「髪は尼君のみけづり給ふを…ただすこしとき―・して」。「読み―・す」 ⑫(「瀉す」とも書く)下痢を起こす。「腹を―・す」 ⑬(隠語)紙幣入れや鞄などの中身だけ抜き取る。 ◇一般には「下」を使うが、4・8では「降」を用いることも多い。

くだっ‐て【下って】🔗🔉

くだっ‐て下って】 (「くだりて」の転) ①手紙などで、自分に関することをへりくだって言うとき、前置きにする語。「―私どもも大過なく過ごしております」 ②後の世となって。「―江戸も終りの頃になると」

げ【下】🔗🔉

⇒か(下)

げ‐げ【下下】🔗🔉

げ‐げ下下】 ①しもじも。身分の低い者ども。〈日葡辞書〉 ②下等の中の下等。甚だしく劣っていること。下の下。「―も―、―の下国の涼しさよ」(一茶) ③(下々の者の草履の意)藁草履。芥下げげ。平家物語9「馬にものらず―をはき」

げ‐の‐げ【下の下】🔗🔉

げ‐の‐げ下の下】 最低であること。最も劣っていること。

さがり【下がり】🔗🔉

さがり下がり】 ①上から下へ、または前から後へ位置のかわること。 ②程度や価値の低くなること。莫切自根金生木きるなのねからかねのなるき「たくさんの米の買置をして、―を見て売りはらひ」。「物価の上がり―に応じて」 ③(「お―」の形で)神仏の前から下げた供え物。また、客に出した食べ物の残り。転じて、目上の者から譲り与えられた物。「お―を頂戴する」「兄のお―の服」 ④掛買代金の支払いの済まないもの。さがりがね。文武二道万石通「三万両の―が出来」 ⑤ある時刻を過ぎること。太平記31「日已に酉とりの―に成つて」。「昼―」 ⑥「おくみ(衽)さがり」の略。 ⑦相撲取りが褌みつの前に飾りに垂れさげるもの。 ⑧和船で、舳みよしの先端に垂れさげる黒い縄の飾り。かもじ。たれ。→和船(図)⇒さがり‐がね【下がり銀】 ⇒さがり‐くち【下がり口】 ⇒さがり‐ぐも【下がり蜘蛛】 ⇒さがり‐ごけ【下がり苔】 ⇒さがり‐しお【下がり潮】 ⇒さがり‐ねこ【下がり猫】 ⇒さがり‐は【下破・下端】 ⇒さがり‐ば【下がり端】 ⇒さがり‐ばな【下がり花】 ⇒さがり‐ばら【下がり腹】 ⇒さがり‐ふじ【下がり藤】 ⇒さがり‐ふすべ【懸疣】 ⇒さがり‐まつ【下がり松】 ⇒さがり‐め【下がり目】 ⇒下がりを請く

さがり‐いす【下がりいす】🔗🔉

さがり‐いす下がりいす】 (「下がります」の意)江戸吉原で、2階から杯盤などを階下に下げる時、禿かぶろなどがその合図として呼ぶ言葉。さがりんす。

さがり‐がね【下がり銀】🔗🔉

さがり‐がね下がり銀(→)「さがり」4に同じ。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐くち【下がり口】🔗🔉

さがり‐くち下がり口】 物価が下落しかける時期。また、物事のおとろえかかる初め。さがりめ。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ぐも【下がり蜘蛛】🔗🔉

さがり‐ぐも下がり蜘蛛】 天井などから糸を引いて垂れ下がった蜘蛛。俗に朝の下がり蜘蛛は吉兆という。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ごけ【下がり苔】🔗🔉

さがり‐ごけ下がり苔】 〔植〕 ①サルオガセの異称。 ②ヒカゲノカズラの異称。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐しお【下がり潮】‥シホ🔗🔉

さがり‐しお下がり潮‥シホ (→)引潮ひきしおに同じ。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ねこ【下がり猫】🔗🔉

さがり‐ねこ下がり猫】 尾が長くさがっている猫。不運を招くという。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ば【下がり端】🔗🔉

さがり‐ば下がり端】 平安時代以後、女性の垂髪の額髪を肩の辺で揃えて切った端はし。また、その髪のさま。源氏物語空蝉「髪は…―肩のほどいときよげに」 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ばな【下がり花】🔗🔉

さがり‐ばな下がり花】 サガリバナ科の常緑高木。旧大陸の熱帯・亜熱帯の海岸などに生える。日本では奄美大島以南の南西諸島に自生。高さ10メートルに達し、大きな楕円形の葉を互生。夏に長さ数十センチメートルの長い花穂を垂下して、淡紅色か白色の花を多数つける。多数の長い雄しべが目立つ。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ばら【下がり腹】🔗🔉

さがり‐ばら下がり腹】 正妻以外の女から生まれること。妾腹。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐ふじ【下がり藤】‥フヂ🔗🔉

さがり‐ふじ下がり藤‥フヂ 紋所の名。二房の藤の花を組み合わせ、左右に垂らして輪を描いたもの。↔上がり藤。→藤(図)⇒さがり【下がり】

さがり‐まつ【下がり松】🔗🔉

さがり‐まつ下がり松】 枝の垂れさがった松。 ⇒さがり【下がり】

さがり‐め【下がり目】🔗🔉

さがり‐め下がり目】 ①目尻のさがった目。たれめ。 ②(→)「下がり口」に同じ。 ↔上がり目 ⇒さがり【下がり】

○下がりを請くさがりをうく🔗🔉

○下がりを請くさがりをうく 買置きした品物の値が下がって損をする。「さがりを得る」とも。日本永代蔵6「買置すればさがりを請け」↔上がりを請く ⇒さがり【下がり】 さか・る逆る】 〔自四〕 さからう。もとる。神武紀「此れ天道かみのみちに―・れり」 さか・る盛る】 〔自五〕 ①勢いがさかんになる。たけなわになる。後撰和歌集「我がために思はぬ山の音にのみ花―・りゆく春を恨みむ」。「火が燃え―・る」 ②獣類が発情する。交尾する。日葡辞書「ネコガサカル」 ③繁栄する。繁昌する。「店が―・る」 ④流行する。はやる。 さか・る離る】 〔自四〕 (一説に、「離く」の自動詞形)はなれる。へだたる。遠ざかる。万葉集15「やまとをも遠く―・りて」 さが・る下がる】 〔自五〕 ➊物の一部が固定されていて他の部分は不安定な状態で下方に垂れる。 ①ぶらさがる。つりさがる。万葉集5「風雑まじへ…布肩衣の海松みるのごとわわけ―・れる」。「つららが―・る」 ②一方の端または一部が他より低い位置にある。大鏡師尹「御眼の尻の少し―・り給へるがいとどらうたくおはするを」 ➋前から後へ位置が変わる。 ①後の位置へ行く。すさる。平治物語(金刀比羅本)「少し―・りたらばあやふくぞ見えられける」。「一歩―・った所で見物する」 ②あとになる。おくれる。落伍する。平治物語「若者どもは―・りぬるかと宣へば各々これに候と」。平家物語4「―・らうものをば、弓の筈にとりつかせよ」 ③きまった時刻よりあとになる。おくれる。時が過ぎる。宇治拾遺物語11「辰の時とこそ催しはありしか、―・るといふ定、午未の時には、渡らんずらんものを」。狂言、鬼の養子「七つ―・れば鬼が出て」。「ぐっと時代が―・る」 ④代価の支払いがおくれ、掛になってたまる。誹風柳多留3「桶伏せになるほど今は―・らせず」 ➌高い所から低い所へ位置が変わる。 ①位置が低いところになる。くだる。おりる。下方へ向く。平家物語4「揚る矢をばつい潜り、―・る矢をば跳り越え」。天草本伊曾保物語「鳥の餌を…下げば、鳥もまた―・るやうに習はせて」。「水位が―・る」「胃が―・る」「あの人には頭が―・る」 ②貴人の前から退出する。「御前を―・る」 ③(内裏が北にある京都では)南へ行く。(大阪では)大阪城と反対の方へ行く。保元物語(金刀比羅本)「京極を下りに三条まで―・りて」。浮世草子、好色万金丹「阿波座を上へあがり新町を西へ―・る所」 ④主家から暇を取り我が家へ帰る。遊女が、楼に登るのに対して家へ帰る。誹風柳多留3「―・る乳母亭主にこにこ櫃をしよい」。洒落本、辰巳婦言「此頃は久しく―・らねえわ」 ⑤(4から転じて)勤め先・学校などから帰る。また、そこへ通うのをやめる。浮世風呂「おいらなんさアお師匠様から―・ると毎日行きまアす」。「学校を―・って働きに出る」 ⑥官庁から給与や許可証などが渡される。「営業の許可がやっと―・った」 ➍物事の程度などが他に比して低くなる。 ①(勢力・声望などが)おとろえる。宇津保物語国譲上「かう―・りてよろづの下衆などにかくまさなく言はるれば」。「人気が―・る」 ②(価値・技量などが)低下する。劣る。風姿花伝「もし極めずは、四十より能は―・るべし」。玉塵抄29「左はあがるぞ。右はその次ぞ。―・る心ぞ」。「練習不足で腕が―・った」「成績が―・る」 ③(位・階級が)低くなる。「地位が―・る」 ④(物価・相場などが)安くなる。日葡辞書「ネガサガル」 ⑤(温度などが)低くなる。「熱が―・る」 ➎魚・肉などがくさる。日葡辞書「イヲ、また、ニクガサガル」。誹風柳多留19「番町を肴の―・る程尋ね」 ➏鷹の死ぬことにいう忌詞いみことばサガレンSaghalien】 サハリンの、欧米での古い呼び方。ツングース語に由来。 さか‐ろ逆艪】 ①船尾を先にして船を漕ぎ進めること。また、そのために逆向きに取りつける艪。平家物語11「梶原申しけるは、今度の合戦には舟に―を立て候はばや」 ②浄瑠璃「ひらかな盛衰記」3段目「難波福島の船頭権四郎住家」の段の俗称。また、歌舞伎での同場面の通称。 →文献資料[ひらかな盛衰記] さか‐わ逆輪(→)逆鰐口さかわにぐちに同じ。 さかわ‐がわ酒匂川‥ガハ 神奈川県西部を流れる川。富士山東麓より発し、小田原市の東で相模湾に注ぐ。全長46キロメートル。 さか‐わにぐち逆鰐口】 槍・小刀などの柄つかの先端を包み、割れるのを防ぐ管状の金物。さかわに。さかわ。 さかん盛ん】 (サカリの音便) ①勢いのたけなわなこと。勢いの強いさま。〈日葡辞書〉。「火が―に燃えている」 ②繁栄しているさま。繁昌しているさま。「農業が―な国」 ③(「壮」とも書く)活力のあるさま。「老いてますます―」 ④しきりに行うさま。「―に合図する」 さ‐かん主典‥クワン (「佐官」の字音。「佐」はたすける意)律令制の四等官しとうかんの最下位。公文書の授受や作成を担当。官司によって文字を異にし、太政官・神祇官では「史」、省では「録」、弾正台では「疏」、使では「主典」、職・坊・寮では「属」、司・署では「令史」、近衛府では「将曹」、兵衛府・衛門府では「志」、大宰府では「典」、鎮守府では「軍曹」、国司では「目」、郡司では「主帳」などと書く。→四等官(表) さ‐かん左官‥クワン (宮中の修理に、仮に木工寮の属さかんとして出入りさせたからいう)壁を塗る職人。かべぬり。壁大工。泥工でいこう。しゃかん。 さ‐かん佐官‥クワン ①僧官の一つ。僧綱そうごうの下にあって記録などの事務をつかさどる。 ②将官と尉官の中間に位する武官。陸海軍の大佐・中佐・少佐の総称。また、自衛隊の一佐・二佐・三佐の総称。 さ‐がん左岸】 川の下流に向かって左の岸。↔右岸 さ‐がん砂岩】 (sandstone)堆積岩の一種。砂が固まってできた岩石。建築・土木用の石材、砥石といしの材料とする。しゃがん。 さ‐がん鎖龕】 ①葬式の時、死骸を納めた棺の蓋をして封ずること。また、その時の誦経ずきょう。太平記40「荼毘だびの規則を調へて仏事の次第厳重なり。―は東福寺長老信義堂」 ②厨子ずしの扉を閉じること。 サガンFrançoise Sagan】 フランスの女性作家。作「悲しみよ、こんにちは」など。(1935〜2004) ざ‐かん座棺・坐棺‥クワン 死者をすわった姿勢で納める棺。 さき先・前】 ①突き出た部分。また、その端。「指の―」↔もと。 ②物や作用の向かう所。 ㋐進んで行く前方。「一寸―も見えない」「―を急ぐ」 ㋑行き着く目的地。「荷物の送り―」 ㋒交渉の相手。先方。「―の言い分」「―様次第」 ㋓前途。将来。「―が案じられる」「3年―の完成」 ㋔さきがけ。先陣。平家物語9「内々は―に心をかけたりければ」。「―を争う」 ㋕さきを追うこと。また、その人、その声。さきばらい。源氏物語少女「追ひののしる御―の声」 ③時間的に前であること。↔あと。 ㋐予あらかじめのこと。「運賃を―に払う」 ㋑以前。むかし。万葉集11「吾妹子に恋ひざる―に死なましものを」。「―に着く」 ㋒さきにすべきこと。第一の事。優先事。平家物語12「御学問おこたらせ給はず正理を―とせさせ給ひしかば」 ㋓幸先さいさきの略。前兆。狂言、河原太郎「此酒を誰が物ぢやと思うて、其様な―のわるいことをおしやるぞ」 ④(取引用語)先物さきものの略。 ⇒先がある ⇒先が無い ⇒先が見える ⇒先に立つ ⇒先を争う ⇒先を追う ⇒先を折る ⇒先を駆く ⇒先を越す さき】 さいわい。繁栄。万葉集18「大君のみことの―を聞けばたふとみ」 さき咲き】 花の開くこと。万葉集10「萩の花―のををりを見よとかも」。「今年は―が早い」 さき】 (先さきの意) ①陸地が海や湖に突き出た先端。岬みさき。 ②山が突き出た先端。万葉集20「丘の―い廻むるごとに」 さき】 もろはの鋤すき。〈新撰字鏡12さ‐き左記】 縦書きの文書の左方、すなわち後の方に書いてある文句。「―の通り」 さ‐き左揆】 左大臣の唐名。 サキSaki】 (本名Hector Hugh Munro)スコットランドの作家。ビルマ生れ。幻想的な短編を得意とした。(1870〜1916) さぎ】 コウノトリ目サギ科の鳥の総称。形はツルに似、やや小さく、飛翔時に首を縮める。眼の周囲は裸出し、尾羽は短い。樹上に巣を営み、主に魚類を捕食。世界に約60種、日本には約15種が分布。雪客せっかく。万葉集16「白―の杵ほこ啄ひ持ちて飛びわたるらむ」 アオサギ 撮影:小宮輝之 ⇒鷺を烏 さぎ】 能。勅命に従って下り立った鷺が五位に叙され、嬉しげに舞う。 さ‐ぎ詐偽】 真実でないこと。いつわり。 さ‐ぎ詐欺】 ①いつわりあざむくこと。 ②〔法〕他人をだまして錯誤におとしいれ、財物などをだましとったり、瑕疵かしある意思表示をさせたりする行為。「―を働く」 さぎ‐あし鷺足】 ①鷺の歩むように足を高くあげて歩く歩きよう。ぬきあし。 ②田楽の道具。1本の長い棒の中程に横木をつけたもの。これに両足を掛けて乗り演技する。また、その舞。高足こうそく。 ③たけうま。 ④調度などの足の形状の一つ。湾曲して高く長いもの。 鷺足 さき‐あや先綾】 さいたま市の岩槻いわつき付近に産する高級の白綿織物。上等の真岡もおか木綿。岩槻木綿。 さき‐あんない先案内】 先だって案内すること。また、その人。先導。 さき‐いき先行き⇒さきゆき さき‐い・ず咲き出づ‥イヅ 〔自下二〕 花が咲きはじめる。万葉集14「貌かおが花な―・でそね隠めて偲しのはむ」 さき‐いだ・す咲き出す】 〔自四〕 (→)「さきいず」に同じ。 さきいれ‐さきだし‐ほう先入れ先出法‥ハフ 棚卸資産の評価法の一つ。最初に仕入れた原材料で作った製品や商品から順に払い出されたとみなして、期末に残った原材料・商品などの有高ありだかを評価する方法。↔後入れ先出法 さき‐うち先打ち】 馬に乗って先頭に立つこと。また、その者。平家物語9「―せさせて案内者にこそ具せられけれ」 さき‐うま先馬】 騎馬で行列の先頭を進むこと。さきのり。さきだち。〈日葡辞書〉 さき‐うり先売】 先物さきものを売ること。将来受渡しする品物の売約定うりやくじょうをすること。↔先買 さき‐おい先追い・前追い‥オヒ (→)「先払い」3に同じ。 さき‐お・う先追ふ・前追ふ‥オフ 〔自四〕 先払いをする。源氏物語夕顔「一日ひとひ―・ひて渡る車の侍りしを」 さき‐おお・る咲き撓る‥ヲヲル 〔自四〕 枝もたわむほどに花が咲く。万葉集6「春べは花―・り」 さき‐おくり先送り】 判断や処理をその時点でせず、先に延ばすこと。「議論を―にする」 さき‐おとつい一昨昨日‥ヲトツヒ (→)「さきおととい」に同じ。 さき‐おととい一昨昨日‥ヲトトヒ 一昨日の前日。いっさくさくじつ。さきおとつい。 さき‐おととし一昨昨年‥ヲトトシ 一昨年の前年。いっさくさくねん。 さき‐おり裂織・割織】 細く裂いた布・絹地を緯よこいととして織り込んだ織物。つづれ。さっこり。さっくり。好色一代男4「―の肌馴れしを木曾の麻衣に着替へさせ」

さが・る【下がる】🔗🔉

さが・る下がる】 〔自五〕 ➊物の一部が固定されていて他の部分は不安定な状態で下方に垂れる。 ①ぶらさがる。つりさがる。万葉集5「風雑まじへ…布肩衣の海松みるのごとわわけ―・れる」。「つららが―・る」 ②一方の端または一部が他より低い位置にある。大鏡師尹「御眼の尻の少し―・り給へるがいとどらうたくおはするを」 ➋前から後へ位置が変わる。 ①後の位置へ行く。すさる。平治物語(金刀比羅本)「少し―・りたらばあやふくぞ見えられける」。「一歩―・った所で見物する」 ②あとになる。おくれる。落伍する。平治物語「若者どもは―・りぬるかと宣へば各々これに候と」。平家物語4「―・らうものをば、弓の筈にとりつかせよ」 ③きまった時刻よりあとになる。おくれる。時が過ぎる。宇治拾遺物語11「辰の時とこそ催しはありしか、―・るといふ定、午未の時には、渡らんずらんものを」。狂言、鬼の養子「七つ―・れば鬼が出て」。「ぐっと時代が―・る」 ④代価の支払いがおくれ、掛になってたまる。誹風柳多留3「桶伏せになるほど今は―・らせず」 ➌高い所から低い所へ位置が変わる。 ①位置が低いところになる。くだる。おりる。下方へ向く。平家物語4「揚る矢をばつい潜り、―・る矢をば跳り越え」。天草本伊曾保物語「鳥の餌を…下げば、鳥もまた―・るやうに習はせて」。「水位が―・る」「胃が―・る」「あの人には頭が―・る」 ②貴人の前から退出する。「御前を―・る」 ③(内裏が北にある京都では)南へ行く。(大阪では)大阪城と反対の方へ行く。保元物語(金刀比羅本)「京極を下りに三条まで―・りて」。浮世草子、好色万金丹「阿波座を上へあがり新町を西へ―・る所」 ④主家から暇を取り我が家へ帰る。遊女が、楼に登るのに対して家へ帰る。誹風柳多留3「―・る乳母亭主にこにこ櫃をしよい」。洒落本、辰巳婦言「此頃は久しく―・らねえわ」 ⑤(4から転じて)勤め先・学校などから帰る。また、そこへ通うのをやめる。浮世風呂「おいらなんさアお師匠様から―・ると毎日行きまアす」。「学校を―・って働きに出る」 ⑥官庁から給与や許可証などが渡される。「営業の許可がやっと―・った」 ➍物事の程度などが他に比して低くなる。 ①(勢力・声望などが)おとろえる。宇津保物語国譲上「かう―・りてよろづの下衆などにかくまさなく言はるれば」。「人気が―・る」 ②(価値・技量などが)低下する。劣る。風姿花伝「もし極めずは、四十より能は―・るべし」。玉塵抄29「左はあがるぞ。右はその次ぞ。―・る心ぞ」。「練習不足で腕が―・った」「成績が―・る」 ③(位・階級が)低くなる。「地位が―・る」 ④(物価・相場などが)安くなる。日葡辞書「ネガサガル」 ⑤(温度などが)低くなる。「熱が―・る」 ➎魚・肉などがくさる。日葡辞書「イヲ、また、ニクガサガル」。誹風柳多留19「番町を肴の―・る程尋ね」 ➏鷹の死ぬことにいう忌詞いみことば

さ・ぐ【下ぐ】🔗🔉

さ・ぐ下ぐ】 〔他下二〕 ⇒さげる(下一)

さげ【下げ】🔗🔉

さげ下げ】 ①さげること。「箸のあげ―」 ②下緒さげおの略。 ③落語などのおち。 ④日本音楽で、下行する定型的な節。例えば、謡曲の中さげ・一字さげなど。↔上げ。 ⑤「下げ潮」の略。引き潮。 ⑥大田植おおたうえの総指揮者。 ⑦⇒おさげ

さげ‐あし【下げ足】🔗🔉

さげ‐あし下げ足】 下足取さげあしどりの略。相場が下落に向かうこと。

さげ‐おび【下げ帯・提げ帯】🔗🔉

さげ‐おび下げ帯・提げ帯】 ①幅を狭く仕立てた帯。武家女子上級者は唐織・錦・繻珍などを、下級者は繻子その他を生地とした。 ②江戸中期、女の帯の、結んだ両端を鳥が翼を張ったように垂れ下げたもの。 ○酒が酒を飲むさけがさけをのむ 酒飲みは酔いがまわるに従ってますます大酒を飲む。 ⇒さけ【酒】

さげ‐かじ【下げ舵】‥カヂ🔗🔉

さげ‐かじ下げ舵‥カヂ 潜水艦を下降させるかじの取り方。↔上げ舵

さげ‐がみ【下げ紙】🔗🔉

さげ‐がみ下げ紙】 公文書などに貼り下げて意見・理由などを書きつけた紙。つけがみ。付箋ふせん。下札さげふだ

さげ‐がみ【下げ髪・垂髪】🔗🔉

さげ‐がみ下げ髪・垂髪】 ①女の髪型。髻もとどりをたばねて背後に垂れ下げたもの。江戸時代、貴婦人・宮女などが晴れの時などに結んだ。すべらかし。 ②少女の髪型。髪を左右に分け、編んで垂らしたもの。おさげ。 ③歌舞伎の鬘かつらの一つ。1の形にしたもの。

さげ‐ぎり【下げ斬り】🔗🔉

さげ‐ぎり下げ斬り】 ①上から斬りおろすこと。狂言、朝比奈「古郡が筒抜き・―」 ②片手で宙にひっさげ、もう一方の手で斬ること。つるしぎり。提斬り。

さげ‐ごし【下げ輿】🔗🔉

さげ‐ごし下げ輿】 轅ながえを腰のあたりに持ちあげて運ぶ輿。

さげ‐しお【下げ潮】‥シホ🔗🔉

さげ‐しお下げ潮‥シホ (→)「ひきしお」1に同じ。↔上げ潮

さげ‐したじ【下げ下地】‥ヂ🔗🔉

さげ‐したじ下げ下地‥ヂ 女の髪の結い方。前髪をつくり、鬢びんをふくらませ、髱たぼを左右で二つに割り、髷まげを島田のようにし、髪の余りを笄こうがいに巻きつけたもの。笄を抜けば下げ髪になるのでいう。江戸幕府の奥女中や大名の妻などの髪型。

さげ‐しぶり【下げ渋り】🔗🔉

さげ‐しぶり下げ渋り】 (取引用語)相場が下落しそうで下落しないこと。

さげ‐しまだ【下げ島田】🔗🔉

さげ‐しまだ下げ島田(→)「投げ島田」に同じ。

さげ‐ぜに【下げ銭】🔗🔉

さげ‐ぜに下げ銭】 (緡ぜにさしや棒などに銭を通して腰にさげたからいう)日雇職人などが身につけているはした銭。誹風柳多留23「―でくどいたを下女憤り」

さげ‐だな【下げ棚】🔗🔉

さげ‐だな下げ棚】 つりさげた棚。

さげ‐づえ【下げ杖】‥ヅヱ🔗🔉

さげ‐づえ下げ杖‥ヅヱ 大田植おおたうえの総指揮者さげの携える竹杖。

さげ‐づと【下げ髱】🔗🔉

さげ‐づと下げ髱】 女の髪の結い方。髱たぼを下げて結うもの。江戸時代、奥女中の使番つかいばん以下の間に行われた。

さげ‐どまり【下げ止り】🔗🔉

さげ‐どまり下げ止り】 物価・相場などが下がり続けて、これ以上下がらない水準になること。

さげ‐なわ【下げ縄】‥ナハ🔗🔉

さげ‐なわ下げ縄‥ナハ ①土蔵の木舞こまいに結び下げた縄。これを壁の中に塗り込んでその剥落を防ぐもの。 ②(大工の隠語)上方で、うどん。江戸で、そば。 ○酒に呑まれるさけにのまれる 酒を飲んで本心を失う。 ⇒さけ【酒】 ○酒に別腸ありさけにべっちょうあり [通俗篇飲食]酒量の多少は体躯の大小にはかかわりないこと。また、酒飲みには酒専用の別の内臓がある意。 ⇒さけ【酒】 ○酒の酔い本性忘れずさけのえいほんしょうわすれず 酒に酔ってもその人本来の性質はかわらない。生酔なまえい本性たがわず。 ⇒さけ【酒】

さげ‐はり【下げ針】🔗🔉

さげ‐はり下げ針】 糸でつり下げた針。的まととして射あてるのに極めて小さなもの。古今著聞集9「季武は第一の手ききにて、―をもはづさず射ける者なりけり」

さげ‐ふだ【下げ札】🔗🔉

さげ‐ふだ下げ札】 ①(→)下紙さげがみに同じ。 ②年貢割付ねんぐわりつけの通称。

さげ‐ふり【下げ振り】🔗🔉

さげ‐ふり下げ振り】 ①振子ふりこのこと。 ②錘重すいじゅうの俗称。 ③(→)下墨さげすみ1に同じ。

さげ‐まえがみ【下げ前髪】‥マヘ‥🔗🔉

さげ‐まえがみ下げ前髪‥マヘ‥ 少女などの前髪を額に垂れさげたもの。

さげ‐まく【下げ幕】🔗🔉

さげ‐まく下げ幕】 内部が見えないよう下げた幕。垂幕。「―があがる」

さげ‐もどし【下げ戻し】🔗🔉

さげ‐もどし下げ戻し】 政府に差し出した願書などを、そのまま本人に戻しわたすこと。

さげ‐よく【下げ翼】🔗🔉

さげ‐よく下げ翼】 飛行機の主翼の後ろの一部に取り付けた可動の小翼。翼の揚力を増加させる。フラップ。

さ・げる【下げる】🔗🔉

さ・げる下げる】 〔他下一〕[文]さ・ぐ(下二) ➊物の一部を固定して他は下方へ垂らす。 ①つるす。ぶらさげる。大鏡兼家「くれなゐの袴に赤き色紙の物忌いと広きつけて土とひとしう―・げられたりしかば」。「看板を―・げる」 ②(「提げる」とも書く)手に持ってぶらぶらさせる。転じて、たずさえる。ひき連れる。源氏物語若紫「よべ縫ひし御衣どもひき―・げて、みづからもよろしき衣着かへて」。「かばんを―・げる」「土産物を―・げてやってきた」 ③ぶらさげて持つ意から、「持つ」「有する」の意をいやしめていう語。浄瑠璃、女殺油地獄「人間の根性なぜ―・げぬ」 ④一方の端または一部を他より低くする。徒然草「倚廬いろの御所のさまなど、板敷を―・げ、葦の御簾をかけて」。「目尻を―・げる」 ➋後へ退かせる。源氏物語藤裏葉「中宮の御母御息所の車押し―・げられ給へりし折の事」。「椅子をうしろへ―・げる」 ➌高い所から低い所へ位置をかえる。 ①低い位置へ移す。くだす。おろす。下方へ向ける。竹取物語「鼎の上より手とり足とりして―・げおろし奉る」。天草本伊曾保物語「首こうべを地に―・げへりくだつたれば」。日葡辞書「アタマヲサグル」。「棚板を1段―・げる」 ②目上の者の前から退かせる。しりぞける。のける。源氏物語帚木「心地なやましければ、人々―・げずおさへさせてなむ」。歌舞伎、傾情吾嬬鑑「コレ、お伝、この新造めを―・げてくりやれ」。「供物を―・げる」 ③勤務場所・学校などから帰らせる。また、そこをやめさせる。 ④目上の者から目下の者へ物を渡す。また、役所が書類などを下付する。梅暦「随分金子は―・げつかはすが…さし引き残り千両は早速に上納いたせ」。「役所から鑑札を―・げてもらう」 ➍物事の程度などを低くする。 ①地位・格式などを低くする。平家物語1「我身に過つ事は無けれども、すてられたてまつるだにあるに、座敷をさへ―・げらるる事の心うさよ」 ②価値・値段などを低くする。劣った状態にする。炭俵「茶の買置きを―・げて売り出す」(孤屋)。「値段を―・げる」「評判を―・げる」「男を―・げる」 ③高低・強弱の度合を低くする。また、(速度を)おとす。「温度を―・げる」「もっとスピードを―・げろ」 ④見さげる。けなす。平家物語7「さては互ひに好い敵かたきぞ。但わ殿を―・ぐるにはあらず」。日葡辞書「ヒトヲサグル」。「人を上げたり―・げたりする」 ➎銀行などから金を引き出す。おろす。

さげ‐わた・す【下げ渡す】🔗🔉

さげ‐わた・す下げ渡す】 〔他五〕 官府から民間に下付する。また、目上の者から目下の者に渡す。 ○酒を煮るさけをにる 冬・春に作った酒を、5月に入って、殺菌するために火入れをすることをいう。〈[季]夏〉 ⇒さけ【酒】

した【下】🔗🔉

した】 ➊上部・表面から遠い部分。 ①裏。底。うち。表面の対。万葉集12「人言の繁かる時は吾妹子し衣きぬにありせば―に着ましを」。万葉集14「あすか川―濁れるを知らずして背ななと二人さ寝てくやしも」。日葡辞書「シタノハカマ」。「上着の―」 ②下方。上の対。万葉集1「吾背子は仮廬かりほ作らす草かやなくは小松が―の草を刈らさね」。日葡辞書「ウエシタ」。「橋の―」「パリの空の―」 ③こころ。こころの奥。内心。心底。万葉集12「隠沼こもりぬの―ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく」 ④ひそか。内々。源氏物語絵合「おとどの―にすすめ給へるやうやあらむ」 ⑤目上の者の指導・庇護のもとにある事。源氏物語須磨「をさめ、みかはやうどまで、ありがたき御顧みの―なりつるを」 ➋事物の程度が低いこと。 ①他より地位・格式・能力などが低いこと。また、そのような位置・人。しも。浄瑠璃、国性爺合戦「猛き者は上に立ち弱き者は―につき」。「人物は彼より―だ」 ②年齢が若いこと。世間子息気質「未だ二十より―の三兄弟」。「彼には三つ―の弟がいる」 ➌前の対。 ①すぐ後。直後。浄瑠璃、太平記菊水之巻「物ないはせそ打殺せと下知の―よりむらがる大勢」。「言う―からぼろを出す」 ②使い古しの品物。おさがり。食べ残しのもの。日葡辞書「ヲシタヲタベウズ」 ➍後の対。現在より前。 ①さき。以前。倭名類聚鈔2「前夫、和名、之太乎」 ②前もってすること。準備。試み。竹取物語「守り戦ふべき―くみをしたりとも」。「―調べ」「―準備」 ➎買物の代金の一部に充てるために渡す品物。浮世風呂3「あれを―に遣つて、挿込みのある簪と取つ替へたがの」。「―取り」 ⇒下に居る ⇒下に下に ⇒下に出す ⇒下にも置かぬ

した‐じた【下下】🔗🔉

した‐じた下下】 ①卑しい者ども。しもじも。下民。 ②部下のものども。恨之介「三十余人の女房たちを始めとして、御―面々も」

した‐つ‐いわね【下つ磐根】‥イハ‥🔗🔉

した‐つ‐いわね下つ磐根‥イハ‥ (→)「底つ磐根」に同じ。

した‐つ‐くに【下つ国】🔗🔉

した‐つ‐くに下つ国】 「よみのくに」に同じ。祝詞、鎮火祭「吾は―を知らさむ」→黄泉よみ

したっ‐ぱ【下っ端】🔗🔉

したっ‐ぱ下っ端】 地位の低い者をあなどっていう語。「―役人」

したっ‐ぱら【下っ腹】🔗🔉

したっ‐ぱら下っ腹】 下腹したはらを強めていう語。「―に力を入れる」

した‐つ‐みち【下つ道】🔗🔉

した‐つ‐みち下つ道】 地下を掘って作った道。地下道。雄略紀「険を鑿うがちて地道したつみちを為つくりて」

○下に居るしたにいる🔗🔉

○下に居るしたにいる すわる。ひざまずく。土下座どげざをする。浄瑠璃、ひらかな盛衰記「まあ下に居て聞いて下さんせ」 ⇒した【下】

○下に下にしたにしたに🔗🔉

○下に下にしたにしたに (「下に居よ」の意)江戸時代に、将軍・大名の行列の先払いが庶民に土下座をうながした掛け声。 ⇒した【下】

○下に出すしたにだす🔗🔉

○下に出すしたにだす 物を買う時、代価の一部にあてるため、不用品を払い渡す。下取りさせる。 ⇒した【下】

○下にも置かぬしたにもおかぬ🔗🔉

○下にも置かぬしたにもおかぬ 丁重に取り扱って下座しもざに置かない。「―もてなし」 ⇒した【下】 した‐ぬい下縫い‥ヌヒ 本式に縫う前に仮に縫っておくこと。また、その衣服。かりぬい。 した‐ぬき下抜き・下貫】 ①カルタ賭博で、よい札をこっそり抜いて切り、その札で勝つこと。 ②転じて、人をごまかして利を得ること。浮世草子、世間娘容気「こちの嚊は嘘つかぬ者とばかり心得て、―食はるる人多し」 した‐ぬり下塗り】 上塗りの前に、下地したじを塗ること。また、その塗ったもの。 した‐ね下値】 ①(取引用語)今までよりも安い値段。↔上値うわね。 ②買物の代金の一部として代りに出した品物の値。下取値段。 した‐ね下根】 下方の根。また、物の下にある根。後拾遺和歌集「たづの住む沢べの蘆の―解け」 した‐ねぎ下祢宜】 下級の祢宜。 した‐の‐おび下の帯(→)「したおび」に同じ。鹿の巻筆「―、羽織はお主のか」 した‐の‐さき舌の先】 言葉の上だけ。口先。 した‐の‐たふさぎ下の褌・褌】 ふんどし。〈新撰字鏡12した‐の‐つるぎ舌の剣】 言葉が人を傷つけるのを剣にたとえていう語。 ⇒舌の剣は命を絶つ

した‐の‐おび【下の帯】🔗🔉

した‐の‐おび下の帯(→)「したおび」に同じ。鹿の巻筆「―、羽織はお主のか」

した‐の‐はかま【下の袴】🔗🔉

した‐の‐はかま下の袴(→)「したばかま」に同じ。〈新撰字鏡4

した‐の‐もの【下の物】🔗🔉

した‐の‐もの下の物】 (女房詞)ふんどし。したおび。

しも【下】🔗🔉

しも】 ➊一つづきの事や物の、上部または初めから隔たった部分。「かみ」に対する。 ①(空間的に)高い所に対して低い所。 ㋐下部。下方。した。源氏物語若紫「ただこのつづらをりの―に」 ㋑川の下流。川下。万葉集2「飛ぶ鳥の飛鳥あすかの河の上つ瀬に生ふる玉藻は―つ瀬に流れ触らばふ」 ㋒身体の腰部より下の部分。特に陰部を指すこともある。「―半身に火傷を負う」「―の病」 ㋓転じて、糞。大小便。また、月経。俚言集覧「月水の―と云、―を見るなどいへり」。「―肥ごえ」 ②(時間的に、または順序で)後の方。終り。末。 ㋐近代。現代。千載和歌集「上正暦のころほひより、―文治の今に至るまで」 ㋑月の下旬。源氏物語順集「長月の―の十日に今二日おきての事なり」 ㋒ある期間を二つに分けた後の方。「―半期」 ㋓和歌の終りの方。主に後半の2句。下の句。 ➋階級の劣っていること。また、そのような人。 ①官位・身分の卑しいもの。源氏物語帚木「―のきざみといふきはになれば、殊に耳立たずかし」 ②年下。年少者。 ③(君主・朝廷に対して)臣下。人民。平家物語3「―として上に逆ふること、あに人臣の礼たらんや」 ④(主人・長官などに対して)部下・雇人。源氏物語玉鬘「この頼もし人なる介、弓矢もちたる人二人、さては―なる者、童など三四人…とぞある」。浮世草子、御前義経記「わざと―に引下げられ、小童なみの草履をつかみ」。「―使い」 ⑤貴人の座からはなれたところ。下座。源氏物語空蝉「床ゆかの―に二人ばかりぞふしたる」 ⑥宮中や貴人の家などで女房たちの詰めている局つぼね。源氏物語帚木「―に湯におりて、只今まゐらむと侍り」 ⑦京からはなれた地方。特に西国地方。いなか。地方。浮世草子、御前義経記「是れをだに見出しなば早速―へ下くだるべし」 ⑧内裏だいりからはなれたところ。南。浮世草子、好色産毛「この―よりの伽羅のあぶらや」

しも‐が‐しも【下が下】🔗🔉

しも‐が‐しも下が下】 身分の最も卑しい者。下の下。源氏物語帚木「―の中には、なでふことか聞しめし所侍らむ」

しも‐け【下け】🔗🔉

しも‐け下け】 北風。↔かみけ

しも‐じも【下下】🔗🔉

しも‐じも下下】 身分の低い者ども。一般の庶民。また、その社会。狂言、抜殻「はてさて憎い奴でござる。―と申す者は皆あれでござる」。「―の事情にうとい」↔上上うえうえ

しも‐つ‐え【下つ枝】🔗🔉

しも‐つ‐え下つ枝(→)「しもつえだ」に同じ。古事記「中つ枝の枝の末葉うらばは―に落ちふらばへ」

しも‐つ‐えだ【下つ枝】🔗🔉

しも‐つ‐えだ下つ枝】 下方の枝。したえだ。しずえ。

しも‐つ‐かた【下つ方】🔗🔉

しも‐つ‐かた下つ方】 ①下の方。下に当たる方。しもざま。源氏物語夕顔「立ちさまよふらむ―思ひやるに、あながちにたけ高きここちぞする」 ②下京。源氏物語澪標「―の京極わたりなれば」 ③しもじも。したじた。徒然草「それより―は、程につけつつ時に会ひ、したり顔なるも」

しも‐つ‐せ【下つ瀬】🔗🔉

しも‐つ‐せ下つ瀬】 川の下流の瀬。古事記「―に真杭まくいを打ち」↔上つ瀬

しも‐つ‐ひげ【下つ鬚】🔗🔉

しも‐つ‐ひげ下つ鬚(→)「したひげ」に同じ。

しも‐つ‐みち【下つ道】🔗🔉

しも‐つ‐みち下つ道】 奈良盆地を南北に貫く古代の三道の一つ。橿原市八木より盆地中央部を北へ、奈良市法華寺町に至り、歌姫越を経て山城に通ずる。平城京朱雀大路もこの上を走る。→上つ道→中つ道

しも‐つ‐やみ【下つ闇】🔗🔉

しも‐つ‐やみ下つ闇】 陰暦で、月の下旬の夜の闇。くだりやみ。大鏡道長「五月―に、さみだれも過ぎて」

しも‐つ‐ゆみはり【下つ弓張】🔗🔉

しも‐つ‐ゆみはり下つ弓張】 下弦かげんの月。

しも‐ねた【下ねた】🔗🔉

しも‐ねた下ねた】 性に関する下品な話題。

しも‐の‐く【下の句】🔗🔉

しも‐の‐く下の句】 和歌の第4句と第5句。また、連歌・俳諧で七七の句。↔上の句

しも‐の‐ごそ【下の御所】🔗🔉

しも‐の‐ごそ下の御所】 郊外などに構えた控えの御所。

しも‐の‐じゅうごにち【下の十五日】‥ジフ‥🔗🔉

しも‐の‐じゅうごにち下の十五日‥ジフ‥ 月の後半の15日間。↔上かみの十五日

しも‐の‐とおか【下の十日】‥トヲ‥🔗🔉

しも‐の‐とおか下の十日‥トヲ‥ 月の終りの10日間。下旬。→上かみの十日→中の十日

しも‐の‐へや【下の部屋】🔗🔉

しも‐の‐へや下の部屋】 江戸幕府の若年寄が政務をとった室。

しも‐の‐まち【下の町】🔗🔉

しも‐の‐まち下の町(→)「したまち」に同じ。

しも‐の‐みや【下の宮】🔗🔉

しも‐の‐みや下の宮】 神社の建物の位置が上・下または上・中・下と分かれている場合、一番下の宮。

しも‐の‐もろくち【下の諸口】🔗🔉

しも‐の‐もろくち下の諸口】 しもじもの人々のいう陰口。民衆の声。宇津保物語国譲中「―と申すことは、え否び給はぬことなり」

しも‐の‐や【下の屋】🔗🔉

しも‐の‐や下の屋(→)「しもや」に同じ。

しも‐の‐ゆみはり【下の弓張】🔗🔉

しも‐の‐ゆみはり下の弓張】 下弦の月。しもつゆみはり。平家物語7「をりふし秋の始めの月は―なり」

もと【下・許】🔗🔉

もと下・許】 ①物の下した。また、そのあたり。南海寄帰内法伝平安後期点「幽辟の処、林叢の下モトに或いは河地の内に在いて以て先亡に施す」。「旗の―に集まる」 ②影響が及ぶ範囲。「両親の―で育つ」「一定の条件の―で成立する」「警察の監視の―にある」

[漢]下🔗🔉

 字形  筆順 〔一部2画/3画/教育/1828・323C〕 〔音〕(漢) (呉) 〔訓〕したしももとげる・がる・くだる・くだす・くださる・ろす・りる [意味] ①した。しも。(対)上。 ㋐位置・身分・価値などの低い方。「下の下」「下段げだん・下弦・下等・下半身・下男げなん・下劣・階下・眼下・下克上げこくじょう」 ㋑動きや流れの末の方。順序があと。「下流・下旬げじゅん・下巻げかん・以下」▶現代中国語では、次の、の意に用いる。「下月(=来月)・下星期(=来週)」 ㋒表に現れない所。「閾下いきか・意識下・形而下けいじか」 ②もと。そのあたり。「机下・膝下しっか・殿下・閣下」 ㋐影響を受けたり支配されたりする位置。「門下・配下・監督下・条件下」 ㋑当面している環境・局面。「時下・現下・時局下」 ③高い位置から低い位置へ移動する。(対)上。 ㋐さがる。さげる。おりる。「下降・下車げしゃ・下獄げごく・落下・却下」 ㋑命令をくだす。物を与える。「下付・下賜・下知げち・宣下せんげ」 ㋒中央から地方へ行く。官界から民間へ移る。北から南へ行く。くだる。「下向げこう・下野げや・西下・南下」 ㋓退く。「下校げこう・下番」 [解字] 解字解字基準線よりしたに短い線を付し、したの意を示す指事文字。おおいの下に物があることを示した文字ともいう。 [下ツキ 案下・以下・已下・雨下・会下・轅下・垣下・嚥下・咽下・屋下・階下・垓下・閣下・管下・眼下・緩下剤・旗下・机下・麾下・貴下・脚下・却下・猊下・形而下・月下氷人・県下・現下・言下・降下・閤下・高下・胯下・呉下・刻下・西下・座下・傘下・時下・耳下腺・膝下・卸下・樹下石上・城下・上下・臣下・垂下・臍下丹田・泉下・宣下・足下・尊下・台下・地下・治下・直下・沈下・低下・滴下・殿下・天下・投下・灯下・都下・南下・配下・幕下・白帯下・皮下・鼻下長・卑下・府下・部下・陛下・放下・凡下・無下・目下・門下・落下・李下・流下・隷下・零下・廊下 [難読] 下枝しずえ・下総しもうさ・下野しもつけ・下手へた

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