【夜】 8画　夕部　［二年］ 区点=4475　16進=4C6B　シフトJIS=96E9 《常用音訓》ヤ／よ／よる 《音読み》　ヤ〈y〉 《訓読み》　よ／よる／よわ（よは） 《名付け》　やす・よ・よる 《意味》 ｛名｝よ。よる。昼間をはさんで両わきにある暗い時間。〈対語〉→昼。〈類義語〉→夕・→宵。「夜半ヤハン（よなか）」「夜未半＝夜イマダ半バナラズ」「夜以継日＝夜モツテ日ニ継グ」〔→孟子〕「冒夜＝夜ヲ冒ス」「直夜潰囲南出馳走＝直夜囲ミヲ潰シテ南ニ出デテ馳走ス」〔→史記〕 ｛副｝よわ（ヨハ）。よるおそく。〈対語〉→夙シュク。「夙興夜寐＝夙ニ興キ夜ニ寐ヌ」〔→詩経〕 《解字》 会意兼形声。亦エキは、人のからだの両わきにあるわきの下を示し、腋エキの原字。夜は「月＋音符亦の略体」で、昼（日の出る時）を中心にはさんで、その両わきにある時間、つまりよるのことを意味する。 《単語家族》 腋（からだの両わき）掖エキ（わきをささえる）と同系。 《類義》 →暮 《熟語》 →熟語 →下付・中付語 →故事成語

【夜叉】 ヤシャ〔仏〕インドの鬼神。恐ろしい顔かたちで、威力をもっている。▽梵語ボンゴの音訳。

【夜市】 ヤシ 夜たつ市場。よみせ。『夜肆ヤシ』

【夜台】 ヤダイ 墓穴。▽長夜の台の意で、ひとたび閉じられると光明のない暗黒のへやになるから。「夜室」とも。

【夜半】 ヤハン よなか。よわ。『夜中ヤチュウ・夜分ヤブン』「夜半鐘声到客船＝夜半ノ鐘声客船ニ到ル」〔→張継〕

【夜気】 ヤキ 夜の空気。また、夜のけはい。夜の静かな気分。▽孟子はこういう気分を養うことを、修養の方法と考えた。「夜気不足以存、則其違禽獣不遠矣＝夜気モツテ存スルニ足ラザレバ、スナハチソノ禽獣ヲ違ルコト遠カラズ」〔→孟子〕

【夜行】 ヤコウ 夜、出て歩く。また、夜歩き。夜回り。夜番。〔国〕「夜行列車」の略。

【夜行被繍】 ヨルユクニシュウヲキル〈故事〉夜、ししゅうのしてある着物を着て歩く。功名を遂げても故郷に帰らなければ、だれもほめてくれる者はいないことのたとえ。〔→蘇武〕

【夜光】 ヤコウ 夜、光を発すること。また、そのもの。月・玉・ほたるなどについてもいう。「明月夜光浮＝明月夜光浮カブ」〔→寒山〕

【夜光杯】 ヤコウノハイ 名玉でつくられた、夜中にでも光る杯。▽一説に、切り子の装飾がついたガラス碗ワン。「葡萄美酒ブドウノビシュ夜光杯」〔→王翰〕

【夜光珠】 ヤコウノタマ 暗やみでも光り輝く玉。

【夜合】 ヤゴウ 夜間にあわさる。「天地昼分而夜合＝天地ハ昼分シテ夜合ス」〔神仙伝〕合歓ネムの木のこと。夜間に葉を閉じあわせることから。

【夜色】 ヤショク 夜のけしき。また、夜らしいようす。

【夜作】 ヤサ よなべ。『夜業ヤギョウ』

【夜来】 ヤライ 前の晩から。「夜来風雨声＝夜来風雨ノ声」〔→孟浩然〕

【夜来香】 ヤライコウ 草の名。多年生のつる草で、秋、薄黄色の花が咲く。かおりがよい。イエライシャン。▽イエライシャンは現代中国音。

【夜雨対牀】 ヤウタイショウ〈故事〉夜降る雨の音を聞きながら寝台をならべて寝る。兄弟・親友の親しいことのたとえ。〔→蘇軾〕

【夜直】 ヤチョク 夜、当番として警備のために宮中に泊まること。

【夜泊】 ヤハク 夜、船が船着き場に停泊すること。夜、船中に泊まること。

【夜夜】 ヤヤ 毎晩、毎晩。毎夜。よよ。よなよな。「辺城夜夜多愁夢＝辺城夜夜愁夢多シ」〔→岑参〕

【夜客】 ヤカク 深夜くる客。どろぼうのこと。

【夜思】 ヤシ 夜の物思い。

【夜郎】 ヤロウ 漢代、今の貴州省西部にいた民族の名。また、その国。

【夜郎自大】 ヤロウジダイ〈故事〉世間知らずで、凡俗の中にいていばっている者のたとえ。▽漢の時代に、夜郎国は西南地方の諸民族の中で優勢であったので、自ら大なりと力を誇り、漢の強大さを知らなかったことから。〔→史記〕

【夜宴】 ヤエン 夜、宴会を開く。夜に開く宴会。

【夜酌】 ヤシャク 晩酌。「夜酌酔即休＝夜酌酔ヘバスナハチ休ム」〔→白居易〕

【夜砧】 ヤチン 夜、たたく砧（きぬた）の音。

【夜陰】 ヤイン 夜の暗がり。また、夜。

【夜飲】 ヤイン 夜、酒を飲む。また、夜の酒宴。

【夜営】 ヤエイ 夜に陣営を張る。夜、軍隊が外で宿営する。

【夜景】 ヤケイ 夜のけしき。

【夜猿】 ヤエン 夜、なく猿サル。

【夜禁】 ヤキン 夜間の通行を禁止すること。夜行禁止。

【夜話】 ヤワ 夜、する話。よばなし。また、それが書かれている本。夜の対話。

【夜漏】 ヤロウ 夜の水時計。▽「漏」は、漏刻（水時計）。夜の時間。

【夜熱】 ヤネツ 夜まで残っている暑さ。「夜熱依然午熱同＝夜熱依然トシテ午熱ト同ジ」〔→楊万里〕

【夜魄】 ヤハク 夜のものさびしい心。

【夜警】 ヤケイ 夜、番をすること。また、夜間の警戒。

【夜襲】 ヤシュウ 夜間に敵を不意に攻撃すること。また、その攻撃。