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し-ぜん【自然】🔗🔉

し-ぜん [0] 【自然】 ■一■ (名) (1)おのずから存在してこの世界を秩序立てているもの。山・川・海やそこに生きる万物。天地間の森羅万象。人間をはぐくみ恵みを与える一方,災害をもたらし,人間の介入に対して常に立ちはだかるもの。人為によってその秩序が乱されれば人間と対立する存在となる。「―を破壊する」「―の猛威」「―を愛する」 (2)人や物に本来的に備わっている性質。天性。「楽しい時には笑い,悲しい時には泣く,それが人間の―だ」 (3)〔哲〕 〔nature〕 古代ギリシャで,他の力によるのではなく自らのうちに始源をもち生成変化するものの意。ここから人為・作為から区別されたありのままのものの意にもなり,事物に内在する固有の本性ないしは本性的な力の意ともなる。また中世では,被造物一般のことであり,さらに神の恩寵(オンチヨウ)に対して人間が生まれつき具有するものを指す。 ■二■ (形動) 行為や態度がわざとらしくないさま。「―な動作」「―な反応」 ■三■ (副) (1)(「に」や「と」を伴うこともある)ひとりでに。おのずと。「―に体が震えてくる」「世の中のことが次第に分るにつれ―と心に合点が行き/谷間の姫百合(謙澄)」「―祖母が一家の実権を握つてゐた/平凡(四迷)」 (2)万一の事態の起こるさま。ひょっとして。「―モ人ニ行キ逢エバ,藁芥(ワラアクタ)ノ中ニ逃ゲ入ッテ隠ルルニモ心安イ/天草本伊曾保」 →じねん(自然) [派生] ――さ(名)

しぜん=に還(カエ)れ🔗🔉

――に還(カエ)れ 人間本来の自由・幸福を奪った社会という悪を脱して,自然の無垢(ムク)な状態に還れという意味。ルソーの根本思想を表す言葉。

しぜん=は飛躍せず🔗🔉

――は飛躍せず 〔(ラテン) natura non facit saltum〕 自然は,一挙にではなく,漸次的に変化するものである。生物学者リンネの言葉。

しぜん-えいよう【自然栄養】🔗🔉

しぜん-えいよう ―ヤウ [4] 【自然栄養】 乳児を母乳で育てること。 ⇔人工栄養

しぜん-おんかい【自然音階】🔗🔉

しぜん-おんかい [4] 【自然音階】 ハニホヘトイロの音名で表される幹音のみから成る音階。ピアノの白鍵のみで弾ける音階。ハ長調・イ短調の音階がこれに当たる。

しぜん-かい【自然界】🔗🔉

しぜん-かい [2] 【自然界】 (1)人間を含んで,人間の周りに広がる全世界。(内面の世界に対して)自分の外に存在するすべてのもの。 (2)人間界以外の世界。

しぜん-かいとう【自然解凍】🔗🔉

しぜん-かいとう [4] 【自然解凍】 冷凍した食品を加熱せずに解凍すること。

しぜん-かかく【自然価格】🔗🔉

しぜん-かかく [4] 【自然価格】 ⇒正常価格(セイジヨウカカク)

しぜん-かがく【自然科学】🔗🔉

しぜん-かがく ―クワ― [4] 【自然科学】 自然現象を対象として取り扱い,そのうちに見いだされる普遍的な法則性を探究する学問。便宜的に,物理学・化学・生物学・地学など。単に科学ともいう。ナチュラル-サイエンス。 →社会科学 →人文科学

しぜん-がく【自然学】🔗🔉

しぜん-がく [2] 【自然学】 〔(ギリシヤ) physik〕 ギリシャ哲学において,自然を扱う学問部門。しばしば論理学・倫理学とともに哲学の三部門を成す。 →自然哲学

しぜん-かんき【自然換気】🔗🔉

しぜん-かんき ―クワン― [4] 【自然換気】 室内外の温度差・風圧などによって,室内の空気が自然に入れ替わること。

しぜん-かんきょう【自然環境】🔗🔉

しぜん-かんきょう ―クワンキヤウ [4] 【自然環境】 人間や生物を取り巻き,その生存や行動などに密接な関連をもつ,土地・大気・水・生物などからなる自然界の状況。

しぜん-かんきょうほぜん-ほう【自然環境保全法】🔗🔉

しぜん-かんきょうほぜん-ほう ―クワンキヤウホゼンハフ 【自然環境保全法】 自然環境保全についての基本理念と基本事項を定めた法律。1972年(昭和47)制定。

しぜん-ききょう【自然気胸】🔗🔉

しぜん-ききょう [4] 【自然気胸】 外傷や医療処置によらずに生じた気胸。青年男子に好発する特発性自然気胸は胞膜下にある小嚢胞(ノウホウ)が破れることで起こるとされている。中高年者で結核などの胸部疾患に伴って起こる続発性自然気胸もある。

しぜん-きゅうかい【自然休会】🔗🔉

しぜん-きゅうかい ―キウクワイ [4] 【自然休会】 国会の会期中に,国会の一院が慣例上または各党派の申し合わせによって審議を休むこと。

しぜん-きゅうようそん【自然休養村】🔗🔉

しぜん-きゅうようそん ―キウヤウ― [6] 【自然休養村】 都市生活者が自然に親しみ休養がとれるように整備された区域。市町村が都道府県に申請して指定を受ける。

しぜん-きゅうようりん【自然休養林】🔗🔉

しぜん-きゅうようりん ―キウヤウ― [6] 【自然休養林】 林野庁が1968年(昭和43)以来国民の保健休養のために指定,開放している国有林。

しぜん-けいざい【自然経済】🔗🔉

しぜん-けいざい [4] 【自然経済】 交換の媒介に貨幣を用いず,現物交換に基づいて行われる最も古い段階の経済。現物経済。 →貨幣経済 →信用経済

しぜん-けつぞく【自然血族】🔗🔉

しぜん-けつぞく [5][4] 【自然血族】 〔法〕 血縁関係のある人々。 ⇔法定血族

しぜん-けん【自然権】🔗🔉

しぜん-けん [2] 【自然権】 国家およびその法律に先立って,個人に本来的に備わり,国家によって侵されることのないとされる諸権利。天賦(テンプ)人権。 →基本的人権

しぜん-げんご【自然言語】🔗🔉

しぜん-げんご [4] 【自然言語】 社会の中で自然に発生し,自然に用いられている言語。人為的に規定された人工言語に対していう語。 ⇔人工言語

しぜん-げんしょう【自然現象】🔗🔉

しぜん-げんしょう ―シヤウ [4] 【自然現象】 自然界に見られる諸現象。

しぜん-こう【自然光】🔗🔉

しぜん-こう ―クワウ [2][0] 【自然光】 (1)太陽などの天然の光。 (2)いろいろな方向の振動面をもった波が均一に混合した光。 ⇔偏光(ヘンコウ)

しぜん-こうえん【自然公園】🔗🔉

しぜん-こうえんン [4] 【自然公園】 自然を保護し,その利用の増進をはかり,国民の保健に資すことを目的として,自然公園法によって指定される景勝地。国立公園・国定公園・都道府県立自然公園がある。

しぜん-こうぶつ【自然公物】🔗🔉

しぜん-こうぶつ [4] 【自然公物】 〔法〕 河川・海浜などのように,天然の状態で公(オオヤケ)の用に供することができる公物。 ⇔人工公物

しぜん-さいがい【自然災害】🔗🔉

しぜん-さいがい [4] 【自然災害】 地震・洪水・火山爆発・台風などの自然現象が直接原因となって起こる災害。天災。 ⇔人為災害

しぜん-さいむ【自然債務】🔗🔉

しぜん-さいむ [4] 【自然債務】 〔法〕 債務者が任意に債務を弁済すれば有効な弁済となるが,弁済がない場合に債権者側が履行を強制できない債務。

しぜん-ざんりゅうじき【自然残留磁気】🔗🔉

しぜん-ざんりゅうじき ―ザンリウ― [8] 【自然残留磁気】 岩石が産出状態ですでにもっている磁気。岩石が生成される際,地磁気により磁化されたもの。

しぜん-し【自然史】🔗🔉

しぜん-し [2] 【自然史】 (1)〔哲〕 〔(ドイツ) Naturgeschichte〕 弁証法的に発展する自然を歴史的にとらえるマルクス主義の概念。自然は意識や意志の外に独立して存在し,社会の発展も同様な自然史的過程であるとされる。 (2)〔natural history〕 博物学。ナチュラル-ヒストリー。

しぜん-し【自然死】🔗🔉

しぜん-し [2] 【自然死】 外傷や病気などによらず,生活機能の自然衰退によって死ぬこと。老衰死。

しぜん-し【自然誌】🔗🔉

しぜん-し [2] 【自然誌】 ⇒博物学(ハクブツガク)

しぜん-じ【自然児】🔗🔉

しぜん-じ [2] 【自然児】 世俗の風習にとらわれることなく,自分の意のままに生きる者。また,社会の因習にそまっていない純粋な心の持ち主。

しぜん-じしん【自然地震】🔗🔉

しぜん-じしん ―ヂ― [4] 【自然地震】 自然現象として発生する通常の地震。人工地震と対比していう。

しぜん-しつぎょうりつ【自然失業率】🔗🔉

しぜん-しつぎょうりつ ―シツゲフ― [6] 【自然失業率】 いかなる財政金融政策を用いても,いかなる賃金水準においても,解消できない非自発的失業者の割合。

しぜん-しゃかい【自然社会】🔗🔉

しぜん-しゃかい ―クワイ [4] 【自然社会】 地縁・血縁によって成立している社会。原始社会だけをさすこともある。 ⇔人為社会

しぜん-しゅうきょう【自然宗教】🔗🔉

しぜん-しゅうきょう ―ケウ [4] 【自然宗教】 (1)神の超越的なはたらきによる宗教(啓示宗教)に対し,人間の自然の本性,すなわち理性に基づく宗教。一八世紀以後の啓蒙思潮や理神論の考える宗教がその代表。 →啓示宗教 (2)原始的・自然発生的な宗教。アニミズム・呪物崇拝などの素朴な信仰の総称。

しぜん-しゅぎ【自然主義】🔗🔉

しぜん-しゅぎ [4] 【自然主義】 〔naturalism〕 (1)〔哲〕 存在や価値の根本に自然を考える立場の総称。一般に,超自然的なもの(理想・規範・超越者など)の独自性を認めず,自然的なもの(物質・感覚・衝動・生命など)を基盤にして物事をとらえる。(ア)倫理学で,善や規範を超越的な原理からではなく,感覚的経験から導出する説。また,内的あるいは外的自然に即した生活を旨とする主義。(イ)宗教上では,汎神(ハンシン)論にほぼ同じ。 (2)一九世紀後半に興った文芸思潮。観察を標榜する近代のリアリズム(写実主義)の延長上に,これを科学的に徹底し,理想化を排し人間の生の醜悪・瑣末(サマツ)な相までをも描出する。フランスのゾラ・モーパッサンなどが代表。この影響のもとに,日本では明治後期に島崎藤村・田山花袋などが輩出した。 (3)美術で,自然の事物を忠実に再現しようとする作画態度。古典ギリシャの美術などにもみられるが,特に一七世紀イタリアのカラバッジョやその後継者たち,さらには一九世紀中頃のテオドール=ルソーらバルビゾン派や一九世紀後半のクールべらの写実主義をさす。

しぜん-じょうたい【自然状態】🔗🔉

しぜん-じょうたい ―ジヤウ― [4] 【自然状態】 社会契約説において,個人相互の社会契約に基づく国家の形成以前に,諸個人が置かれていると論理的・歴史的に想定される状態。自然権の無制限な行使による戦争状態であるとしたり(ホッブス),理性によって生活を営む自由で平等な状態であるとする(ロック)など論者によって異なる。

しぜん-しょうにん【自然承認】🔗🔉

しぜん-しょうにん [4] 【自然承認】 国会で,予算の議決・条約承認・総理大臣指名の場合,衆議院の議決後定められた期間内に参議院が議決を行わない場合,衆議院の議決をもって国会の議決とすること。自然成立。

しぜん-しょくひん【自然食品】🔗🔉

しぜん-しょくひん [4] 【自然食品】 人工色素・防腐剤・化学調味料などの添加物を加えず,本来の性質を変化させるような加工をしていない,自然のままの食品。 ⇔加工食品

しぜん-しん【自然神】🔗🔉

しぜん-しん [2] 【自然神】 自然現象または自然の事物を崇拝して神格化したもの。 →自然崇拝(スウハイ)

しぜん-じん【自然人】🔗🔉

しぜん-じん [2] 【自然人】 (1)社会や文化に束縛されることなく,あるがままに生きる人間。 (2)〔法〕 出生から死亡まで等しく完全な権利能力を認められている個人。法人に対する個人。

しぜん-しんがく【自然神学】🔗🔉

しぜん-しんがく [4] 【自然神学】 〔natural theology〕 キリストにおける啓示を基礎とする啓示神学に対し,人間に本来的に与えられている理性(自然の光)によってキリスト教の真理性を証明しようとする神学。トマス=アクィナスが代表的。理神論なども含む。

しぜん-じんるいがく【自然人類学】🔗🔉

しぜん-じんるいがく [6] 【自然人類学】 生物としての人類を生物学の立場から研究する学問。人類の進化・変異・適応などが中心課題となる。形質人類学。

しぜん-しんろん【自然神論】🔗🔉

しぜん-しんろん [4] 【自然神論】 ⇒理神論(リシンロン)

しぜん-すう【自然数】🔗🔉

しぜん-すう [2] 【自然数】 〔数〕 1・2・3・4…と続く数の総称。正の整数。0 を含めることもある。

しぜん-すうはい【自然崇拝】🔗🔉

しぜん-すうはい [4] 【自然崇拝】 特定の自然現象および自然物に宗教的価値を認めてそれを崇拝すること。崇拝対象には,天体現象(太陽・月・星・雨・風・雷など),地上現象(大地・火・水・川・山岳・岩石など),動植物などがある。天然崇拝。

しぜん-せいちょうりつ【自然成長率】🔗🔉

しぜん-せいちょうりつ ―セイチヤウ― [6] 【自然成長率】 経済で,労働人口の成長率と技術進歩率(労働の生産性の増加率)によって可能な成長率。

しぜん-せき【自然石】🔗🔉

しぜん-せき [2] 【自然石】 天然に産出した石。天然のままの,加工してない石。じねんせき。

しぜん-せんたく【自然選択】🔗🔉

しぜん-せんたく [4] 【自然選択】 〔natural selection〕 ある生物に生じた遺伝的変異個体のうち生存に有利なものが生き残ること。集団遺伝学では,異なった遺伝子型をもつ個体が次代に残す子孫の数によって自然選択に対する有利さを評価する。ダーウィンが導入した概念。自然淘汰(トウタ)。

しぜん-そう【自然葬】🔗🔉

しぜん-そう ―サウ [2] 【自然葬】 散骨などにより,自然に回帰しようとする葬儀。

しぜん-ぞう【自然増】🔗🔉

しぜん-ぞう [2] 【自然増】 (1)成り行きのままにしておいて増えること。 (2)特に,出生によって人口が自然に増えること。自然増加。 →社会増加

しぜん-ぞうかりつ【自然増加率】🔗🔉

しぜん-ぞうかりつ [6] 【自然増加率】 出生率から死亡率を引いた値。

しぜん-ぞうしゅう【自然増収】🔗🔉

しぜん-ぞうしゅう ―シウ [4] 【自然増収】 税率・税法の変更なしに,経済界の好況の影響で自然的に租税収入や印紙収入などが増加すること。

しぜん-そん【自然村】🔗🔉

しぜん-そん [2] 【自然村】 農耕・漁労を通じて,自然に形成された村落共同体。行政の単位としての行政村に対する語。村(ムラ)。 →行政村

しぜん-たい【自然体】🔗🔉

しぜん-たい [0] 【自然体】 (1)柔道で,自然なままで立った基本的な姿勢。右自然体・左自然体がある。 (2)身構えたり,先入観をもったりしないあるがままの態度。「今回の審議には―で臨む」

しぜん-たいすう【自然対数】🔗🔉

しぜん-たいすう [4] 【自然対数】 (2.71828…)を底とする対数。

しぜん-ちゆ【自然治癒】🔗🔉

しぜん-ちゆ [4] 【自然治癒】 生体に備わった治癒力により病気やけがが治ること。

しぜん-ちりがく【自然地理学】🔗🔉

しぜん-ちりがく [5] 【自然地理学】 地理学の一分野。人間生活の基盤としての自然現象を研究する。地形学・気候学・水文学(スイモンガク)・土壌地理学・生物地理学などを含む。 ⇔人文地理学

しぜん-ていぼう【自然堤防】🔗🔉

しぜん-ていぼう ―バウ [4] 【自然堤防】 河川の両側にできる堤防状の微高地。氾濫(ハンラン)時に土砂が堆積してできる。

しぜん-てき【自然的】🔗🔉

しぜん-てき [0] 【自然的】 (形動) 天然のままであるさま。人工の加わらないさま。

しぜん-てき-こっきょう【自然的国境】🔗🔉

しぜん-てき-こっきょう ―コクキヤウ [6][0] 【自然的国境】 山脈・河川・湖沼・砂漠・海峡などの自然物を利用した国境。アンデス山脈(アルゼンチンとチリ)・アムール川(ロシア連邦と中国)・レマン湖(スイスとフランス)・ドーバー海峡(イギリスとフランス)などの例がある。 →人為的国境

しぜん-てき-たいど【自然的態度】🔗🔉

しぜん-てき-たいど [6] 【自然的態度】 〔(ドイツ) natrliche Einstellung〕 フッサール現象学の用語。目の前に広がる世界の存在を自明のこととして疑わない素朴な日常的見方を指す。この態度は現象学的還元の操作によって停止され,超越論的態度へと移行する。

しぜん-てき-たんおんかい【自然的短音階】🔗🔉

しぜん-てき-たんおんかい [8] 【自然的短音階】 短音階の最も基本的な型。音階の第二音と第三音,第五音と第六音の間が半音,他は全音の音程をなすもの。

しぜん-てつがく【自然哲学】🔗🔉

しぜん-てつがく [5][4] 【自然哲学】 〔(ドイツ) Naturphilosophie〕 広く自然の事物や現象についての体系的理解および理論的考察の総称。主として,古代ギリシャ,イオニア学派の万物の根元を求める哲学や,近代では自然科学とは区別された,思弁的・哲学的な原理による自然の全体的・統一的な考察をいう(シェリング・ヘーゲルなど)。近代科学成立以前は自然科学をも包括する呼称として用いられた。

しぜん-とうた【自然淘汰】🔗🔉

しぜん-とうた ―タウ― [4] 【自然淘汰】 (名)スル (1)「自然選択(シゼンセンタク)」に同じ。 (2)({(1)}から転じて)長い間には,劣悪なものは滅び優良なものが生き残ること。「安かろう悪かろうの品は―される」

しぜん-どくせん【自然独占】🔗🔉

しぜん-どくせん [4] 【自然独占】 その産業分野の有する自然の条件や技術的な特性によって,競争的となりえず,必然的に独占状態となること。産出の限られた天然資源,電力などの公益産業にみられる規模の経済性などが原因となる。

しぜん-のうほう【自然農法】🔗🔉

しぜん-のうほう ―ハフ [4] 【自然農法】 有機農業・生態系農業のうち,無農薬・無化学肥料を厳格に実施するもの。基準は特に定められていない。

しぜん-の-くに【自然の国】🔗🔉

しぜん-の-くに 【自然の国】 〔哲〕 (1)〔(ラテン) regnum naturale〕 キリスト教思想で,物質的自然および世俗的世界。 ⇔恩寵(オンチヨウ)の国 (2)〔(ドイツ) Reich der Natur〕 カントでは,「目的の国」に対して,因果律の支配する人間の自由の存在しない自然の世界をさす。

しぜん-の-こと【自然の事】🔗🔉

しぜん-の-こと 【自然の事】 万一のこと。悪いことをいう場合に用いる。「―のあらん時,物の具して頼朝がのるべき馬なり/平家 9」

しぜん-の-すう【自然の数】🔗🔉

しぜん-の-すう 【自然の数】 自然の成り行き。「固より―である/小説「エイルヰン」の批評(漱石)」

しぜん-の-せいいつせい【自然の斉一性】🔗🔉

しぜん-の-せいいつせい 【自然の斉一性】 〔uniformity of nature〕 事象が同一の事情のもとでは常に同一の在り方を示すように自然が統一ある秩序を保持していること。特殊から普遍を導く帰納的推理を正当化する根本仮定として J = S =ミルが提唱した。

しぜん-のひかり【自然の光】🔗🔉

しぜん-のひかり 【自然の光】 〔(ラテン) lumen naturale〕 スコラ哲学で,事物の認識のために神から特別に与えられる恩寵の光に対して,人間に生得的に与えられている事物を認識する能力。

しぜん-はっか【自然発火】🔗🔉

しぜん-はっか ―クワ [4] 【自然発火】 可燃性の物質が空気中に放置されたとき,分解熱・酸化熱・吸着熱などが蓄積し,その結果自然に発火する現象。

しぜん-はっせい【自然発生】🔗🔉

しぜん-はっせい [4] 【自然発生】 (1)生物が無生物からも発生するという考え。現在では生命の起源に関する考え方を除き,否定されている。偶然発生。 (2)人為によらず,偶然的なきっかけによって物が生ずること。「―的な暴動」

しぜん-はん【自然犯】🔗🔉

しぜん-はん [2] 【自然犯】 殺人・強盗・放火などそれ自体で反社会的・反道徳的であり,法規によるまでもなく不当性が自明とされる犯罪。刑事犯。 ⇔法定犯

しぜん-び【自然美】🔗🔉

しぜん-び [2] 【自然美】 自然界に現れる美。人工によらない天然の美。 ⇔芸術美

しぜん-ひつぜんせい【自然必然性】🔗🔉

しぜん-ひつぜんせい [0] 【自然必然性】 偶然も自由もあり得ぬような自然法則に示される必然性。人間の自由な当為に代表される目的論的必然性に対する。因果的必然性。

しぜん-びょうしゃ【自然描写】🔗🔉

しぜん-びょうしゃ ―ベウ― [4] 【自然描写】 文学作品などで,自然をありのまま表現すること。

しぜん-ぶつ【自然物】🔗🔉

しぜん-ぶつ [2] 【自然物】 人の手が加わっていない,自然界の有形物。

しぜん-ぶんべん【自然分娩】🔗🔉

しぜん-ぶんべん [4] 【自然分娩】 吸引や人工破膜など人工介助をせずに,陣痛や腹圧など自然の娩出力によって胎児を産み出すこと。

しぜん-ぶんるい【自然分類】🔗🔉

しぜん-ぶんるい [4] 【自然分類】 生物を自然界における類縁関係に従って分類すること。各生物の進化の過程を考えて系統的に分類することを目標とする。 ⇔人為分類

しぜん-べんしょうほう【自然弁証法】🔗🔉

しぜん-べんしょうほう ―ハフ [0][6] 【自然弁証法】 〔(ドイツ) Naturdialektik〕 精神よりも物質を根源的なものと見るマルクス・エンゲルスの弁証法でとらえられた自然観。機械論的な自然観に対して,様々な物質が相互に連関しつつ,全体で弁証法的運動を示すと見る。唯物(ユイブツ)弁証法。

しぜん-ほう【自然法】🔗🔉

しぜん-ほう ―ハフ [2][0] 【自然法】 人間の本性そのものに基づいて普遍的に存立する法。 ⇔実定法 ⇔人定法

しぜん-ほう-がく【自然法学】🔗🔉

しぜん-ほう-がく ―ハフ― [4] 【自然法学】 自然法の存在を認め,これによって実定法を基礎づけようとする法思想。近世合理主義において顕著な展開をみ,市民的・自由主義的法思想の確立に貢献した。グロティウス・ホッブス・ルソー・カントなどはその代表。

しぜん-ほうしゅつ【自然放出】🔗🔉

しぜん-ほうしゅつ ―ハウ― [4] 【自然放出】 原子などが,外部の光や電子の衝突なしに自然に高い励起状態から低い励起状態に遷移して光を放出すること。自発放射。 →誘導放出

しぜん-ほご【自然保護】🔗🔉

しぜん-ほご [4] 【自然保護】 人間の社会的活動によって生じる自然の破壊や汚染から,自然環境を保全し,かつ回復・育成すること。「―団体」

しぜんしんえいどう【自然真営道】🔗🔉

しぜんしんえいどう シゼンシンエイダウ 【自然真営道】 安藤昌益の著書。1753年刊の三巻本と,明治後期に発見された稿本一〇一巻九三冊がある。健全な心身を論じながら封建的身分制を否定するなど鋭い社会批判を展開。

しぜんとじんせい【自然と人生】🔗🔉

しぜんとじんせい 【自然と人生】 随筆・小品集。徳富蘆花作。1900年(明治33)刊。短編小説・評伝・随筆・散文詩を収録。万物に神を見る汎神論(ハンシンロン)的自然観がうかがえる。自然詩人としての名声が高まった作品。

じ-ねん【自然】🔗🔉

じ-ねん [0] 【自然】 〔呉音〕 (1)〔仏〕 ある事物や事態が,外部からの影響力によるのではなく,それが本来的に備えている性質によって,一定の状態や特性を生ずること。 →自然法爾(ジネンホウニ) (2)万物は因果によって生じたのではなく,現在あるがままに存在しているものだとする考え。仏教の因果論を否定する無因論で,外道(ゲドウ)の思想の一つ。 (3)人為が加わらないこと。ひとりでにそうなること。ありのまま。「コレワ別ノ子細デワナイ。タダ天道ノ―ヂャ/天草本伊曾保」 (4)たまたまそうであること。偶然。「衣の内より火出で来て焼けぬ。此れ―の事かと思ひて/今昔 4」 〔古くは「じねん」はありのままの意,「しぜん」は万一の意に使い分けられた〕

じねん-ごどう【自然悟道】🔗🔉

じねん-ごどう ―ダウ [4] 【自然悟道】 〔仏〕 他からの教えによらず,自分で自然と悟りを開くこと。

じねん-じょ【自然薯・自然生】🔗🔉

じねん-じょ [0] 【自然薯・自然生】 ヤマノイモの別名。じねんじょう。[季]秋。

じねん-せき【自然石】🔗🔉

じねん-せき [2] 【自然石】 ⇒しぜんせき(自然石)

じねん-ち【自然智】🔗🔉

じねん-ち [2] 【自然智】 〔仏〕 他から教えを受けたのでなく自然に悟りを開いた仏の智慧(チエ)。自己に本来備わっている智。

じねん-に【自然に】🔗🔉

じねん-に 【自然に】 (副) しぜんに。おのずから。「少しかどあらむ人の耳にも目にもとまること―多かるべし/源氏(帚木)」

じねん-ほうに【自然法爾】🔗🔉

じねん-ほうに ―ホフ― [4] 【自然法爾】 〔仏〕 親鸞が絶対他力の信仰を説明した語。阿弥陀仏に帰依し念仏を唱えようとする心が,人々の主体性からではなく,阿弥陀仏の誓願の力によって生じてくるということ。

じねんこじ【自然居士】🔗🔉

じねんこじ 【自然居士】 能の一。四番目物。観阿弥作。勧進説法をしていた自然居士は,両親追善の布施のために我が身を売った少女を,いろいろな芸を演じて見せ,ついに人買いの手から救う。

じねんじょ【自然薯】(和英)🔗🔉

じねんじょ【自然薯】 a Japanese yam.

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