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広辞苑の検索結果 (48)
あと【後】🔗⭐🔉
あと【後】
(「跡」の意の転か)
➊基準になるものに次いで認められる方。↔さき。
①空間的なうしろ。
㋐背後。後方。源氏物語末摘花「―につきてうかがひけり」。「家を―にする」
㋑後方の守り。後衛。日葡辞書「アトヲスル。シッパライスルという方がまさる」
②時間的な後。「面倒な事は―へ回す」「―で払う」
㋐何かがあったその後。以後。新千載和歌集雑「月の入る―は小倉の山かげにひとりさやけきさを鹿の声」。「3年―には完成を見よう」「―が心配」
㋑特に、人の死後。源氏物語明石「のちの―の名をはぶくとても」。謡曲、鵜飼「―を弔うて御やり候へ」。「―に残る妻子」
③時間的な前。今から振り返って認められる時。以前。狂言、地蔵舞「―の宿でやどを取らうものを」。「―の月」
④(副詞的に)基準のところからさらに。「―一人乗れる」「―5分で終わる」
➋行為・事件の結果として残ったもの・状態。
①結果の状態。日葡辞書「タツトリモアトヲニゴサヌ」。「―始末」
②家・代などを継ぐこと。また、継ぐ者。→跡➍。
③相続人。後継者。また、子孫。日葡辞書「アトヲタツル」。「―が絶えはてる」
⇒後がない
⇒後から後から
⇒後にも先にも
⇒後の雁が先になる
⇒後は野となれ山となれ
⇒後へ引く
⇒後へ回す
⇒後へも先へも遣らぬ
⇒後へも先へも行かぬ
⇒後を黒む
⇒後を引く
あと‐あと【後後】🔗⭐🔉
あと‐あと【後後】
のちのち。ずっとのち。将来。
あと‐あとげつ【後後月】🔗⭐🔉
あと‐あとげつ【後後月】
先月の前の月。先々月。
○後がないあとがない🔗⭐🔉
○後から後からあとからあとから🔗⭐🔉
○後から後からあとからあとから
ある事柄が次々と引き続いて起こるさま。
⇒あと【後】
あと‐がわり【後替り】‥ガハリ
(→)後釜あとがまに同じ。
あと‐ぎよめ【後浄め】
出棺の後、室内を神官・僧侶を招いて祓い浄めること。あとばらえ。あとばらい。
あと‐きん【後金】
①手付金のあとの金。分割払いの残りの金。
②支払いをあとですること。また、あと払いの金。↔前金まえきん
あと‐くされ【後腐れ】
事のすんだあとにも、わずらわしい関係などが残ること。「―がないように片をつける」
あと‐くち【後口】
①飲食したあとに口に残る感じ。比喩的にも用いる。あとあじ。「―が悪い」
②申込みなどの、後から来た分。
あと‐げつ【後月】
先月。
あどけ‐な・い
〔形〕[文]あどけな・し(ク)
無邪気である。邪心がなくかわいらしい。「―・い幼児」
あと‐こうしゃく【後講釈】‥カウ‥
結果が分かってから、いろいろ理屈をつけて説明すること。
あと‐ごし【後輿】
輿のあとの方をかつぐこと。また、その人。↔先輿
あどこ・ぶ【跨ぶ】
〔自四〕
(アフドコブの転)股にかけて越える。またがる。また、おどりあがる。三蔵法師伝承徳点「誇アトコヒ競ひて自ら媒なかだちて」
あとこ・ゆ【跨ゆ】
〔自下二〕
アドコブの転。舒明紀(一本)「万里とおきみちを―・えて」
あと‐ざ【後座】
能舞台の正面奥の部分。横板。→能舞台(図)
あと‐さがり【後下がり】
(→)「うしろさがり」に同じ。
あと‐さき【後先】
①前と後。前後。
②はじめからおわりまで。全部。みな。
③順序が入れかわること。
⇒後先無し
⇒後先になる
⇒後先見ず
あと‐じょうり【後じょうり】🔗⭐🔉
あと‐じょうり【後じょうり】
あとしざり。浄瑠璃、生玉心中「―して入れかはり」
○後にも先にもあとにもさきにも🔗⭐🔉
○後にも先にもあとにもさきにも
今までも、またこれからも。それ1回きりのことであること。「―あんな怖い思いをしたことはない」
⇒あと【後】
あと‐ぬし【跡主】
足跡の主。釈迦如来を称する語。仏足石歌「―の玉のよそほひ」
あと‐ねり【後練り】
生糸で織った後に精練し、生糸の周囲をつつんでいる膠質物セリシンを取り除くこと。
○後の雁が先になるあとのかりがさきになる🔗⭐🔉
○後の雁が先になるあとのかりがさきになる
油断すれば後からくるものに追い越される。
⇒あと【後】
あと‐の‐つき【後の月】
先月。あとげつ。
あと‐の‐な【後の名】
死んだ後に伝わる名。のちの名。源氏物語明石「―をはぶくとても」
あと‐の‐ま【跡の間】
次の室。
あと‐の‐まつり【後の祭】
①祭のすんだ翌日。神饌を下して宴会をする。
②(祭のすんだ後の山車だしの意から)時機におくれてどうにも仕様のないこと。手おくれ。浄瑠璃、妹背山婦女庭訓「ヱヽ忝いと悦ぶも―」。「今更言っても―だ」
あと‐の‐もの【阿堵の物】
⇒あとぶつ
あと‐のり【後乗り】
①行列のおさえとして最後に騎馬で行くこと。また、その騎馬で行く武士。
②後陣となって城に乗り入れること。
③ワンマン‐カーなどで、後ろの乗降口を乗り口にすること。
あと‐ば【後歯】
①下駄の後方の歯。↔前歯。
②下駄の前歯と台とを同じ材でつくり、後歯は樫をさし入れたもの。女性用。
アドバイザー【adviser】
助言者。忠告者。顧問。
アドバイス【advice】
助言。忠告。勧告。
あと‐はかな・し
〔形ク〕
①痕跡がない。行方が知れない。源氏物語若紫「僧都の御もとにもたづね聞え給へど―・くて」
②はかない。たよりない。源氏物語玉鬘「―・き心地して」
あと‐ばこ【後箱】
江戸時代、大名行列の後に行く、調度を入れた挟箱はさみばこ。↔先箱さきばこ
アドバタイジング【advertising】
広告。広告業。
あと‐の‐つき【後の月】🔗⭐🔉
あと‐の‐つき【後の月】
先月。あとげつ。
あと‐の‐な【後の名】🔗⭐🔉
あと‐の‐な【後の名】
死んだ後に伝わる名。のちの名。源氏物語明石「―をはぶくとても」
あと‐の‐まつり【後の祭】🔗⭐🔉
あと‐の‐まつり【後の祭】
①祭のすんだ翌日。神饌を下して宴会をする。
②(祭のすんだ後の山車だしの意から)時機におくれてどうにも仕様のないこと。手おくれ。浄瑠璃、妹背山婦女庭訓「ヱヽ忝いと悦ぶも―」。「今更言っても―だ」
うしろ‐いぶせ・し【後いぶせし】🔗⭐🔉
うしろ‐いぶせ・し【後いぶせし】
〔形ク〕
将来のことが不安である。源平盛衰記46「頼朝も―・く思ふなりとて、追討の心をさしはさみ給へり」
ご【後】🔗⭐🔉
ご【後】
(慣用音。漢音はコウ)
時間的にあと。のち。「その―」
ご‐して【期して・後して】🔗⭐🔉
ご‐して【期して・後して】
後になって。歌舞伎、小袖曾我薊色縫「おさよの父が参つたれば、又―の事に致しませう」
しり【尻・臀・後】🔗⭐🔉
しり【尻・臀・後】
①腰の後下部で、肉の豊かに出た所。肛門のあるあたり。臀部でんぶ。おいど。いしき。けつ。源氏物語帚木「簀子すのこだつものに―かけて」
②物の、「しり」1に当たる部分。器物などの下部・底面。据えたとき地につく部分。源氏物語若菜上「御障子の―ばかり固めたれば」。「徳利の―」
③一続きのものの後方の部分。
㋐うしろ。後部。伊勢物語「―に立ちて追ひ行けど」。「行列の―につく」
㋑末。しまい。最後の所。「―から3番目の成績」
④細長いものの先の部分。
㋐太刀たち・器物などの先端・末端。万葉集10「剣たちの―玉纏まき田井たいに」。源氏物語梅枝「筆の―くはへて」
㋑(長く後に引いた)衣服の裾きょ。源氏物語花宴「下襲したがさね、―いと長く引きて」
㋒道・川などの終わる所。はて。古事記中「道の―こはだ嬢子おとめは」。今昔物語集16「大きなる河の海に流れ出でたる―なり」
⑤物事の結果。また、余波。とばっちり。滑稽本、妙竹林話七偏人「表へ出るといたづらや、喧嘩の―に気をもませ」。「―が回って来る」
⑥包みかくした事柄。男色大鑑「此座の若衆―のはげる事をおそろしく」
⑦(尾羽を用いるところから)矢羽やばねに用いる鳥の羽を数える語。義経記2「鷲の羽百―」
⇒尻が暖まる
⇒尻が重い
⇒尻が軽い
⇒尻が来る
⇒尻がこそばゆい
⇒尻が据わる
⇒尻が長い
⇒尻が早い
⇒尻から抜ける
⇒尻から焼けて来る
⇒尻が割れる
⇒尻に敷く
⇒尻に付く
⇒尻に火がつく
⇒尻に帆を掛ける
⇒尻全し
⇒尻も結ばぬ糸
⇒尻を上げる
⇒尻を押す
⇒尻を落ち着ける
⇒尻を食らえ
⇒尻を据える
⇒尻を叩く
⇒尻を拭う
⇒尻を端折る
⇒尻を引く
⇒尻を捲る
⇒尻を持ち込む
⇒尻を割る
しり‐え【後方・後】‥ヘ🔗⭐🔉
しり‐え【後方・後】‥ヘ
①うしろの方。うしろ。万葉集20「父母が殿の―のももよ草」
②競技や物合せのときの、右方の組。蜻蛉日記中「―の方人かたうど、さながら集まりて」
⇒しりえ‐ざま【後方】
⇒しりえ‐で【後手】
⇒しりえ‐の‐くらい【後の位】
⇒しりえ‐の‐にわ【後の庭】
⇒しりえ‐の‐まつりごと【後の政】
⇒しりえ‐の‐みや【後の宮】
しりえ‐の‐くらい【後の位】‥ヘ‥クラヰ🔗⭐🔉
しりえ‐の‐くらい【後の位】‥ヘ‥クラヰ
後宮に住む資格のある地位。また、后妃の位。宇津保物語菊宴「雲の上の―何にかはせん」
⇒しり‐え【後方・後】
しりえ‐の‐にわ【後の庭】‥ヘ‥ニハ🔗⭐🔉
しりえ‐の‐にわ【後の庭】‥ヘ‥ニハ
後宮こうきゅう。赤染衛門集「すべらぎの―の石ぞこは」
⇒しり‐え【後方・後】
しりえ‐の‐まつりごと【後の政】‥ヘ‥🔗⭐🔉
しりえ‐の‐まつりごと【後の政】‥ヘ‥
後宮の政治。皇后の内助。続日本紀10「―あるべし」
⇒しり‐え【後方・後】
しりえ‐の‐みや【後の宮】‥ヘ‥🔗⭐🔉
しりえ‐の‐みや【後の宮】‥ヘ‥
後宮こうきゅう。八雲御抄「后。むらさきの雲、―」
⇒しり‐え【後方・後】
しり‐つ‐と【後つ戸】🔗⭐🔉
しり‐つ‐と【後つ戸】
後方にある戸口。裏口。古事記中「―よい行き違ひ」
しりっ‐ぱね【後っ跳ね】🔗⭐🔉
しりっ‐ぱね【後っ跳ね】
①うしろの方があがること。
②うしろの方についた泥のはね。
のち【後】🔗⭐🔉
のち【後】
①(時間的に)あと。古事記下「率寝てむ―は」。「晴―くもり」
②未来。将来。万葉集19「少女らが―のしるしと」。「―の不安」
③子孫。後胤。宇津保物語蔵開上「此の世に仲忠をはなちては御―なし」
④なきあと。死後。源氏物語若菜下「ましてこの―といひては伝はるべき末もなき」
のち‐つ‐かた【後つ方】🔗⭐🔉
のち‐つ‐かた【後つ方】
のちの時。のちかた。水鏡「文徳天皇より―のことは」
のち‐の‐あおい【後の葵】‥アフヒ🔗⭐🔉
のち‐の‐あおい【後の葵】‥アフヒ
賀茂祭の日に簾すだれなどにかけた葵で、祭の過ぎた後までそのままにしておくもの。
のち‐の‐あさ【後の朝】🔗⭐🔉
のち‐の‐あさ【後の朝】
(→)「のちのあした」に同じ。
のち‐の‐あした【後の朝】🔗⭐🔉
のち‐の‐あした【後の朝】
男女が逢った翌朝。きぬぎぬ。能因本枕草子頭の弁の職に「―は残り多かるここちなむする」
のち‐の‐あやめ【後の菖蒲】🔗⭐🔉
のち‐の‐あやめ【後の菖蒲】
(端午の節句を過ぎた後のあやめの意)(→)「六日むいかのあやめ」に同じ。
のち‐の‐いみな【後の諱】🔗⭐🔉
のち‐の‐いみな【後の諱】
おくりな。栄華物語月宴「後の御諱清慎公と聞ゆ」
のち‐の‐おうせ【後の逢瀬】‥アフ‥🔗⭐🔉
のち‐の‐おうせ【後の逢瀬】‥アフ‥
後日再会の時。
のち‐の‐おや【後の親】🔗⭐🔉
のち‐の‐おや【後の親】
実の親の死後、親と頼む人。ままおや。源氏物語帚木「まうとの―」
のち‐の‐きく【後の菊】🔗⭐🔉
のち‐の‐きく【後の菊】
(重陽ちょうようの節句を過ぎた後の菊の花の意)(→)「十日の菊」に同じ。
のち‐の‐くい【後の悔い】🔗⭐🔉
のち‐の‐くい【後の悔い】
後悔こうかい。源氏物語柏木「聞きすぐさむは―心苦しう」
のち‐の‐こと【後の事】🔗⭐🔉
のち‐の‐こと【後の事】
①将来の事。死後の事。
②死んだ人に対する作法。葬儀または法会。のちのわざ。源氏物語松風「―おぼし営むな」
③後産あとざん。のちのもの。源氏物語葵「―又いと心もとなし」
のち‐の‐すみ【後の炭】🔗⭐🔉
のち‐の‐すみ【後の炭】
(→)「ごずみ(後炭)」に同じ。
のち‐のち【後後】🔗⭐🔉
のち‐のち【後後】
①将来。これから先。「―の事を考える」「―苦労することになろう」
②それより後。以後。後撰和歌集秋「―まで来ずなりにければ」
③死者の法事をする7日目ごとの日。また、死者の忌日。宇津保物語忠乞「―の御わざどもし給ふ」
のち‐の‐つき【後の月】🔗⭐🔉
のち‐の‐つき【後の月】
①陰暦八月十五夜に対して、九月十三夜の月。豆名月。栗名月。〈[季]秋〉
②閏月うるうづき。欽明紀「去年の閏月のちのつきの四日を以て」
のち‐の‐つきみ【後の月見】🔗⭐🔉
のち‐の‐つきみ【後の月見】
陰暦九月十三夜の月見。中秋の月見に対していう。
のち‐の‐ひがん【後の彼岸】🔗⭐🔉
のち‐の‐ひがん【後の彼岸】
秋の彼岸。〈[季]秋〉
のち‐の‐ひな【後の雛】🔗⭐🔉
のち‐の‐ひな【後の雛】
春の雛祭に対して、秋の9月9日(菊の節句)、または8月朔日ついたちに飾る雛。秋の雛。〈[季]秋〉
のち‐の‐ほとけ【後の仏】🔗⭐🔉
のち‐の‐ほとけ【後の仏】
釈尊の後をうける仏。弥勒仏みろくぶつをいう。仏足石歌「―に譲りまつらむ」
のち‐の‐み【後の身】🔗⭐🔉
のち‐の‐み【後の身】
来世に生まれかわる身。
のち‐の‐もの【後の物】🔗⭐🔉
のち‐の‐もの【後の物】
後産あとざん。のちのこと。宇津保物語蔵開上「―もいとたひらかなり」。日葡辞書「ノチノモノ。即ち、エナ(胞衣)」
のち‐の‐やぶいり【後の藪入】🔗⭐🔉
のち‐の‐やぶいり【後の藪入】
正月の藪入に対して、7月16日の藪入。〈[季]秋〉
のち‐の‐よ【後の世】🔗⭐🔉
のち‐の‐よ【後の世】
①将来。未来。後世。「―まで伝える」
②死後。万葉集19「―に聞きつぐ人も語りつぐがね」
③ごせ。ごしょう。源氏物語若紫「―のことなど聞え知らせ給ふ」
のち‐の‐わざ【後の業】🔗⭐🔉
のち‐の‐わざ【後の業】
死後の葬儀、また、法事。後のこと。源氏物語桐壺「―などにもこまかにとぶらはせ給ふ」
ゆり【後】🔗⭐🔉
ゆり【後】
のち。あと。万葉集8「―とし云はば不欲いなとふに似む」
[漢]後🔗⭐🔉
後 字形
筆順
〔彳部6画/9画/教育/2469・3865〕
〔音〕ゴ(慣) コウ(漢)
〔訓〕のち・うしろ・あと・おくれる
[意味]
①あと。
㋐空間的に、うしろ。(対)前。「前後左右・後光・後宮こうきゅう・後援こうえん・後頭部こうとうぶ・銃後・鶏口牛後」
㋑時間的に、のち。(対)先・前。「その後」「後刻・後世こうせい・ごせ・後悔こうかい・午後・老後・空前絶後」
②あとになる。おくれる。「後家ごけ・後学こうがく・後進こうしん国・先憂後楽こうらく」
▷①②とも現代中国語ではもっぱら「后」を用いる。
[解字]
会意。「彳」(=ゆく)+「幺」(=わずか)+「夂」(=あしをひきずる)。わずかしか進めない、おくれる意。
[下ツキ
以後・牛後・嚮後・歇後・向後・午後・今後・最後・事後・爾後・銃後・術後・人後・生後・空前絶後・先後・善後・前後・直後・読後・背後・別後・没後・明後日・滅後・用後・予後・落後・老後
[難読]
後退りあとしざり・あとずさり・後朝きぬぎぬ・後方しりえ・後込みしりごみ
筆順
〔彳部6画/9画/教育/2469・3865〕
〔音〕ゴ(慣) コウ(漢)
〔訓〕のち・うしろ・あと・おくれる
[意味]
①あと。
㋐空間的に、うしろ。(対)前。「前後左右・後光・後宮こうきゅう・後援こうえん・後頭部こうとうぶ・銃後・鶏口牛後」
㋑時間的に、のち。(対)先・前。「その後」「後刻・後世こうせい・ごせ・後悔こうかい・午後・老後・空前絶後」
②あとになる。おくれる。「後家ごけ・後学こうがく・後進こうしん国・先憂後楽こうらく」
▷①②とも現代中国語ではもっぱら「后」を用いる。
[解字]
会意。「彳」(=ゆく)+「幺」(=わずか)+「夂」(=あしをひきずる)。わずかしか進めない、おくれる意。
[下ツキ
以後・牛後・嚮後・歇後・向後・午後・今後・最後・事後・爾後・銃後・術後・人後・生後・空前絶後・先後・善後・前後・直後・読後・背後・別後・没後・明後日・滅後・用後・予後・落後・老後
[難読]
後退りあとしざり・あとずさり・後朝きぬぎぬ・後方しりえ・後込みしりごみ
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あと【後】🔗⭐🔉
あと [1] 【後】
〔「跡(アト)」と同源。「跡」の意味の拡大したもの〕
■一■ (名)
(1)背中の方。うしろ。「―から来る」「―につづく」
(2)以後。のち。
⇔先
「泣いた―にすぐ笑う」「お金は―で結構です」「宿題は―でやるよ」
(3)のちの事態。のちのちのこと。「―のことも考えずにやって失敗する」
(4)ある事の結果,残ったもの。「―は,全部お前にまかせる」
(5)ある事の終わったあとに残った感情。なごり。「父の―をしのぶ」
(6)子孫。「―が絶える」
(7)後任の者。次に来る人。「退任した社長の―はもう決まっている」
(8)以前。
⇔先
「『まあ色のわりいことは。真青だよ。いつ時分からわるいのだえ』『なに十五,六日―からよ』/人情本・梅児誉美(初)」
■二■ (副)
数詞に付いて,今よりそれだけ超過するさまを表す。さらに。「―五分で終わる」「―三人すわれる」
あと=が無・い🔗⭐🔉
――が無・い
これきりで,残された余裕はない。
あと=から後から🔗⭐🔉
――から後から
ある物事がとぎれなく連続して起こるさま。次から次に。「―わきあがる雲」
あと=にも先にも🔗⭐🔉
――にも先にも
今までも,またこれからも。それ一回きりのことであることを強調していう。「あんなにこわい思いをしたのは―あの時だけだ」
あと=の雁(カリ)((ガン))が先になる🔗⭐🔉
――の雁(カリ)((ガン))が先になる
あとの者が先に進む者を追い越す。後輩が先輩を追い越すことなどにいう。
あと=の祭り🔗⭐🔉
――の祭り
(1)祭りの翌日,供え物を下げて飲食すること。後宴。
(2)〔祭りのすんだあとの山車(ダシ)の意から〕
時機を逸してかいのないこと。ておくれ。「悔やんでも―だ」
あと=は野となれ山となれ🔗⭐🔉
――は野となれ山となれ
当面のことさえうまくいけば,あとはどうなろうとかまわない。
あと=へ引か
ない🔗⭐🔉
――へ引か
ない
自分の意見・主張に固執し,譲歩しない。「言い出したら―
ない」
ない
自分の意見・主張に固執し,譲歩しない。「言い出したら―
ない」
あと=へも先へも行かぬ🔗⭐🔉
――へも先へも行かぬ
進退きわまる。にっちもさっちもいかない。
あと-の-つき【後の月】🔗⭐🔉
あと-の-つき 【後の月】
前の月。先月。あとげつ。
あと-びさり【後びさり】🔗⭐🔉
あと-びさり [3] 【後びさり】
〔「あとじさり」の転〕
(1)「あとずさり{(1)}」に同じ。「今年の気候は―をするんですよ/吾輩は猫である(漱石)」
(2)カニムシの別名。
(3)アリジゴクの別名。
おくら-か・す【後らかす】🔗⭐🔉
おくら-か・す 【後らかす】 (動サ四)
(1)あとに残す。置き去りにする。「にはかに惑ひ出で給ひし騒ぎに,みな―・してければ,また人もなし/源氏(玉鬘)」
(2)生き残らせる。人を残して,先に死ぬ。「今は限りの道にしも我を―・し/源氏(蜻蛉)」
(3)おろそかにする。なおざりにする。怠る。「後の世の御勤めも,―・し給はず/源氏(匂宮)」
おくら・す【遅らす・後らす】🔗⭐🔉
おくら・す [0] 【遅らす・後らす】
■一■ (動サ五[四])
(1)おくらせる。「開始の時間を―・す」「時計の針を―・す」
(2)あとに残す。置き去りにする。「かぎりなき雲井のよそにわかるとも人を心に―・さむやは/古今(離別)」
(3)人を残して,先に死ぬ。先立つ。「おひ立たむありかも知らぬ若草を―・す露ぞ消えむそらなき/源氏(若紫)」
■二■ (動サ下二)
⇒おくらせる
おくら・せる【遅らせる・後らせる】🔗⭐🔉
おくら・せる [0] 【遅らせる・後らせる】 (動サ下一)[文]サ下二 おくら・す
おくれるようにする。おそくする。「集合時間を―・せる」「締め切りを一日―・せる」
おく・る【遅る・後る】🔗⭐🔉
おく・る 【遅る・後る】 (動ラ下二)
⇒おくれる
おくれ【遅れ・後れ】🔗⭐🔉
おくれ [0] 【遅れ・後れ】
(1)おくれること。あとになること。「―を取り戻す」「一時間―」
(2)おくれ毛。「そそけたる御―をあらため給へ/浮世草子・一代男 1」
(3)気おくれ。「―が来る」「気遣ひ召さんな―はせぬ/浄瑠璃・近江源氏」
後れを取(ト)・る🔗⭐🔉
後れを取(ト)・る
(1)他よりおくれた段階にある。負ける。先んじられる。「新市場の開拓に―・る」
(2)気力がなくなる。気おくれする。
おくれ-ざき【後れ咲き】🔗⭐🔉
おくれ-ざき [0] 【後れ咲き】
通常よりおくれて咲くこと。おそ咲き。
おくれ-さきだ・つ【後れ先立つ】🔗⭐🔉
おくれ-さきだ・つ 【後れ先立つ】 (動タ四)
(1)あとになったり,先になったりする。「おそくとく色づく山のもみぢ葉は―・つ露や置くらむ/後撰(秋下)」
(2)ある者は生き残り,ある者は死んでゆく。「限りあらむ道にも,―・たじと契(チギ)らせ給ひけるを/源氏(桐壺)」
おく・れる【遅れる・後れる】🔗⭐🔉
おく・れる [0] 【遅れる・後れる】 (動ラ下一)[文]ラ下二 おく・る
(1)物事の実現が一定の日時・時刻よりあとになる。遅くなる。《遅》「列車は定刻より一〇分―・れて発車した」「約束の時間に―・れる」「学校に―・れる」
(2)進み方が他より小さくて,へだたりができる。また,後からついて行くようになる。
⇔進む
《遅》「先頭から五メートル―・れる」「時計が―・れている」
(3)他が進むのに対して,元の位置にとどまる。《後》「流行に―・れる」「―・れ居て君に恋ひつつ現(ウツ)しけめやも/万葉 3752」
(4)親族や親しい人が先に死に,自分は生き残る。《後》「夫に―・れる」
(5)(「怯れる」とも書く)気持ちがくじける。気おくれする。《後》「お種は少しく―・れたが/多情多恨(紅葉)」
(6)才能・性質などが劣る。「心の色なく,情―・れ/徒然 141」
ご【後】🔗⭐🔉
ご [0] 【後】
あることが起こったのち。あと。「その―」「夕食―」
ご・す【後す】🔗⭐🔉
ご・す 【後す】 (動サ変)
今よりあとになる。「それは―・して生捕るは易いこと/歌舞伎・好色伝授」
しり【尻・臀・後】🔗⭐🔉
しり 【尻・臀・後】
■一■ [2] (名)
(1)四足動物の胴の後肢の付け根の後方,肛門のあるあたりで,肉が豊かについているところ。臀部(デンブ)。けつ。おいど。いしき。
(2)空間的または時間的に順序をなして続いているものの,最後の部分。後尾。しまい。うしろ。
⇔あたま
「行列の―につく」「言葉の―」
(3)上と下,前とうしろ,本と末,頂と底のあるものの,下・うしろ・末・底の部分。「縄の―」「なべの―」
(4)あとに残った,処理しなくてはならない懸案。あと始末。「不始末の―を持って行く」
(5)(「じり」の形で)名詞の下に付いて複合語をつくる。(ア)ものの一番終わり,または終わりの部分をいう。「幕―」「帳―」「言葉―」(イ)「帳尻」の略。「貿易―」
■二■ (接尾)
助数詞。矢羽に用いる鳥の羽を数えるのに用いる。尾羽を用いるところからいう。大ワシは一四枚,小ワシは一二枚,タカは一〇枚で一尻という。「紺の布百反,鷲の羽百―/義経記 7」
しり-え【後方・後】🔗⭐🔉
しり-え ―ヘ [3][0] 【後方・後】
(1)うしろの方。後方。うしろ。
⇔まえ
(2)左右に分かれて勝ちを競う競技で,右方の組。「みな,前・―の心,駒どりに方分きて/源氏(若菜下)」
しりえ-の-まつりごと【後の政】🔗⭐🔉
しりえ-の-まつりごと ―ヘ― 【後の政】
皇后が天皇の政をたすけること。「必ず―有るべし/続紀(天平一宣命)」
しりえ-の-みや【後の宮】🔗⭐🔉
しりえ-の-みや ―ヘ― 【後の宮】
「後宮(コウキユウ)」を訓読した語。
のち【後】🔗⭐🔉
のち-の-あおい【後の葵】🔗⭐🔉
のち-の-あおい ―アフヒ 【後の葵】
賀茂の祭の当日に簾(スダレ)などに掛けた葵を,祭りが過ぎてもそのまま付けておいたもの。「祭過ぎぬれば,―不用なりとて,ある人の御簾なるを皆取らせられ侍りしが/徒然 138」
のち-の-あした【後の朝】🔗⭐🔉
のち-の-あした 【後の朝】
男女が会って共寝をした翌朝。のちのあさ。きぬぎぬ。「―は,残り多かるここちなむする/枕草子(一三九・能因本)」
のち-の-あやめ【後の菖蒲】🔗⭐🔉
のち-の-あやめ 【後の菖蒲】
「六日(ムイカ)の菖蒲(アヤメ)」に同じ。
のち-の-いみな【後の諱】🔗⭐🔉
のち-の-いみな 【後の諱】
死後に贈られる称号。おくりな。いみな。「後の御いみな清慎公と聞ゆ/栄花(月の宴)」
のち-の-おや【後の親】🔗⭐🔉
のち-の-おや 【後の親】
実の親が死んだあと,親として頼りにする人。まま親。「今はただ,この―をいみじうむつびまつはし聞こゆ/源氏(若紫)」
のち-の-きく【後の菊】🔗⭐🔉
のち-の-きく 【後の菊】
「十日(トオカ)の菊」に同じ。
のち-の-こと【後の事】🔗⭐🔉
のち-の-こと 【後の事】
(1)死後に営む仏事や法事。のちの業(ワザ)。「命つきぬと聞こしめすとも,―おぼし営むな/源氏(松風)」
(2)後産(アトザン)。のちのもの。「心もとなきもの…子生みたる―の久しき/枕草子 160」
のち-の-つき【後の月】🔗⭐🔉
のち-の-つき 【後の月】
(1)陰暦八月十五夜に対して,九月十三夜の月。十三夜。[季]秋。《―庭に化物つくりけり/太祇》
(2)閏月(ウルウヅキ)。
のち-の-つきみ【後の月見】🔗⭐🔉
のち-の-つきみ 【後の月見】
(1)陰暦九月十三夜の月見。八月一五日の中秋の月見に対していう。「―の芋を食て,屁のごとき小冊成る/滑稽本・浮世風呂(前)」
(2)近世,遊里での紋日(モンビ)の一。陰暦九月一三日に遊女を揚げて月見をした。「河庄が所へも―の払というて/浄瑠璃・天の網島(下)」
のち-の-ひがん【後の彼岸】🔗⭐🔉
のち-の-ひがん 【後の彼岸】
秋の彼岸のこと。[季]秋。
のち-の-ひな【後の雛】🔗⭐🔉
のち-の-ひな 【後の雛】
九月九日の重陽(チヨウヨウ)の節句の菊雛。[季]秋。《白に黄に―衣女夫衣/露月》
のち-の-ほとけ【後の仏】🔗⭐🔉
のち-の-ほとけ 【後の仏】
釈迦仏のあとを継ぐ仏。すなわち弥勒(ミロク)仏。「釈迦のみあと石に写し置き敬ひて―に譲りまつらむ捧げまうさむ/仏足石歌」
のち-の-もの【後の物】🔗⭐🔉
のち-の-もの 【後の物】
「後産(アトザン)」に同じ。のちのこと。「寅の時ばかりに生れ給ひて,声高に泣き給ふ…―もいと平らかなり/宇津保(蔵開上)」
のち-の-やぶいり【後の藪入り】🔗⭐🔉
のち-の-やぶいり 【後の藪入り】
七月一六日の盆の藪入り。正月の藪入りに対していう。
のち-の-よ【後の世】🔗⭐🔉
のち-の-よ [4][0] 【後の世】
(1)これからの世。将来。「―まで語り継ぐ」
(2)死後。また,死後の世界。後世(ゴセ)。来世。あの世。
のち-の-よつ【後の四つ】🔗⭐🔉
のち-の-よつ 【後の四つ】
近世,江戸吉原で,引け時に拍子木を打って知らせた時刻。遊郭での終業時間は四つ(午後一〇時頃)とされていたが,実際に終業する九つ(午後一二時頃)に四つとして打ったもの。引け四つ。「―三味線引きとあばた也/柳多留 15」
のち-の-わざ【後の業】🔗⭐🔉
のち-の-わざ 【後の業】
「後の事{(1)}」に同じ。「便悪しく狭き所にあまたあひゐて,―ども営みあへる/徒然 30」
ゆり【後】🔗⭐🔉
ゆり 【後】
のち。後刻。「灯火(トモシビ)の光に見ゆるさ百合花―も逢はむと思ひそめてき/万葉 4087」
あと【後】(和英)🔗⭐🔉
あと【後】
(1) the back[rear](後方);→英和
the future (将来).→英和
(2)[残り]the rest[remainder];→英和
the others.〜に[で][時]later on;afterward;after;→英和
[位置]after;behind;→英和
in the rear.→英和
〜の[時]later;→英和
subsequent;→英和
[位置]back;backward;→英和
rear;the next[following];→英和
the latter.→英和
〜になる fall behind.〜に残る(残される) remain (be left) behind.〜に回す put off;postpone.→英和
‖後は野となれ山となれ After me the deluge.
あとずさり【後ずさりする】(和英)🔗⭐🔉
あとずさり【後ずさりする】
move[step]backwards;flinch;→英和
draw back.
あとのまつり【後の祭(だ)】(和英)🔗⭐🔉
あとのまつり【後の祭(だ)】
a day after the fair (be too late).→英和
のち【後】(和英)🔗⭐🔉
のちのち【後々】(和英)🔗⭐🔉
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