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広辞苑の検索結果 (20)
おこたり【怠り】🔗⭐🔉
おこたり【怠り】
①なまけること。懈怠けたい。源氏物語葵「心よりほかなる―など」。「用意おさおさ―なく」
②怠慢から起こる過失。源氏物語明石「ひがひがしき人に従ひにたる心の―ぞ」
③過失をあやまること。謝罪。堤中納言物語「泣く泣く―を言へど」
④病気が快方に向かうこと。
⑤宿命のつたないこと。運の悪さ。蜻蛉日記上「わが宿世の―にこそあめれなど」
⇒おこたり‐ざま【怠り方】
⇒おこたり‐ぶみ【怠文】
おこたり‐ざま【怠り方】🔗⭐🔉
おこたり‐ざま【怠り方】
病気が少しく快方に向かっている状態。源氏物語夕顔「いと重くわづらひ給へれど…―に見え給ふ」
⇒おこたり【怠り】
おこたり‐ぶみ【怠文】🔗⭐🔉
おこたり‐ぶみ【怠文】
自分の過失をわびる文書。謝罪文。宇治拾遺物語11「名簿みょうぶに―をそへて出す」
⇒おこたり【怠り】
おこた・る【怠る・惰る】🔗⭐🔉
おこた・る【怠る・惰る】
[一]〔他五〕
すべきことをしないでおく。おろそかにする。なまける。宇津保物語国譲上「いとあやしう御宮仕を―・り給ふべかめるやうなるをだに」。「仕事を―・る」「注意を―・る」
[二]〔自四〕
①うっかりして過失をおかす。源氏物語若菜上「―・らむことは、おどろかしなども物し給はむなむ嬉しかるべき」
②病勢がゆるむ。病気がなおる。宇津保物語藤原君「業にやあらざりけむ、御病―・りぬ」
③ききめなどが中途で弱まる。平家物語2「夕には深山に向って宝号を唱ふるに感応―・る事なし」
④途中で休止する。とぎれる。徒然草「大きなる器に水を入れて、細き穴を明けたらんに、滴ること少しといふとも―・る間なく洩りゆかば、やがて尽きぬべし」
たい‐がく【怠学】🔗⭐🔉
たい‐がく【怠学】
勉強を怠けて、学校に行かないこと。
たい‐ぎょう【怠業】‥ゲフ🔗⭐🔉
たい‐ぎょう【怠業】‥ゲフ
サボタージュの訳語。
たい‐じょう【怠状】‥ジヤウ🔗⭐🔉
たい‐じょう【怠状】‥ジヤウ
①平安後期から鎌倉時代に行われた詫状わびじょうのこと。謝罪状。おこたりぶみ。保元物語「御あやまりある時は、すなはち御―をかきて」
②わびること。あやまること。屈服すること。十訓抄「さる事いはじと―せさせて赦してけり」
⇒たいじょう‐だて【怠状立て】
たいじょう‐だて【怠状立て】‥ジヤウ‥🔗⭐🔉
たいじょう‐だて【怠状立て】‥ジヤウ‥
(タイジョダテとも)あやまらせること。こらしめること。
⇒たい‐じょう【怠状】
たいじょ‐だて【怠状立て】🔗⭐🔉
たいじょ‐だて【怠状立て】
⇒たいじょうだて。浄瑠璃、日本振袖始「今捕へて籠に入れ、―して放さんと」
たい‐だ【怠惰】🔗⭐🔉
たい‐だ【怠惰】
すべきことをなまけて、だらしないこと。怠慢。「―な生活」
たい‐のう【怠納】‥ナフ🔗⭐🔉
たい‐のう【怠納】‥ナフ
怠って租税などを納めないこと。
たい‐まん【怠慢】🔗⭐🔉
たい‐まん【怠慢】
なまけおこたること。おろそかにすること。なおざり。「―のそしり」「職務―」
たる・い【怠い・懈い】🔗⭐🔉
たる・い【怠い・懈い】
〔形〕[文]たる・し(ク)
①おっくうである。気がすすまない。だるい。たゆし。毛吹草7「難波江のあしより手こそ―・からめ」。夏目漱石、彼岸過迄「又すぐ夢現ゆめうつつの―・い眼付に戻つて」
②(主に中部地方で)考えが未熟で言動が一人前でない。
だる・い【怠い・懈い】🔗⭐🔉
だる・い【怠い・懈い】
〔形〕
(タルシの転)
①疲れたような、おっくうな感じである。たるい。玉勝間「手足のたゆきを俗言に―・いと云ふ」。「全身が―・い」
②のろい。にぶい。浮世草子、椀久一世の物語「―・いこと見ていることでないと」
③しまりがない。また、あまったるい。男色大鑑「下髪さげがみの―・い姿をようは見てゐること」
なまけ‐ぐせ【怠け癖】🔗⭐🔉
なまけ‐ぐせ【怠け癖】
怠けて、すべきことをしないで過ごしてしまうくせ。「―がつく」
なまけ‐もの【怠け者・懶け者】🔗⭐🔉
なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
①よくなまける人。怠惰な人。
②(「樹懶」と書く)アリクイ目ナマケモノ科の哺乳類の総称。2属5種。いずれも体長60センチメートルほど。顔は丸く、小さい。体には硬い茶色の毛が生えている。四肢の鉤爪は長く、木の枝にぶら下がって生活する。動作は緩慢で、ほとんど木から下りない。ホンジュラスからブラジルに分布。ミユビナマケモノは前肢の指が3、フタユビナマケモノとホフマンナマケモノは2である。木の葉・果実を食う。
なまけもの
ホフマンナマケモノ
提供:東京動物園協会
⇒怠け者の足から鳥が起つ
⇒怠け者の節句働き
○怠け者の足から鳥が起つなまけもののあしからとりがたつ
ふだんなまけている者は、何か事が起こるとあわてて騒ぎ出す。
⇒なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
○怠け者の節句働きなまけもののせっくばたらき
ふだんなまけている者が、人が休む時に限って働くことをとがめていう語。
⇒なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
ホフマンナマケモノ
提供:東京動物園協会
⇒怠け者の足から鳥が起つ
⇒怠け者の節句働き
○怠け者の足から鳥が起つなまけもののあしからとりがたつ
ふだんなまけている者は、何か事が起こるとあわてて騒ぎ出す。
⇒なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
○怠け者の節句働きなまけもののせっくばたらき
ふだんなまけている者が、人が休む時に限って働くことをとがめていう語。
⇒なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
○怠け者の足から鳥が起つなまけもののあしからとりがたつ🔗⭐🔉
○怠け者の足から鳥が起つなまけもののあしからとりがたつ
ふだんなまけている者は、何か事が起こるとあわてて騒ぎ出す。
⇒なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
○怠け者の節句働きなまけもののせっくばたらき🔗⭐🔉
○怠け者の節句働きなまけもののせっくばたらき
ふだんなまけている者が、人が休む時に限って働くことをとがめていう語。
⇒なまけ‐もの【怠け者・懶け者】
なま‐けやけ・し
〔形ク〕
目についてなんとなくわずらわしい。すこし気にさわる。源氏物語初音「はた、―・しとおぼすべかめる心の内」
なま・ける【怠ける・懶ける】
〔自他下一〕
①すべきことをする労を惜しんで、精を出さない。おこたる。「仕事を―・ける」
②元気がなくなる。ぐったりする。誹風柳多留22「かじけたり―・けたり二度義理で来る」
③にぶくなる。なまる。浄瑠璃、鎌倉三代記「きつと鍛うた名作でも後は―・けて刃も立たず」
④なまぬるい。浄瑠璃、神霊矢口渡「京の詞は―・けて悪い」
なまこ【海鼠】
①㋐ナマコ綱の棘皮きょくひ動物の総称。体は円筒状で左右相称。腹面には3列の管足、口の周りには多くの触手があり、柔軟な外皮中には微細な骨片がある。浅海から深海に広く分布し、深海のものは体が寒天かんてん質になる。マナマコ・キンコ・フジナマコなどは生食して賞味されるほか、乾燥したものは「いりこ」と称して中国料理の材料となり、内臓の塩辛は「このわた」、卵巣を塩漬けして乾燥させたものを「このこ」という。俵子たわらご。かいそ。〈[季]冬〉
マナマコ
提供:東京動物園協会
㋑狭義にはマナマコの別称。
②溶銑を型で固めたもの。棒状で背中に波型をつけるのでこの名がある。海鼠銑なまこせん。
③海鼠板の略。
④海鼠壁の略。
⑤海鼠餅の略。
⇒なまこ‐いた【海鼠板】
⇒なまこ‐がた【海鼠形】
⇒なまこ‐かべ【海鼠壁】
⇒なまこ‐がわら【海鼠瓦】
⇒なまこ‐しっくい【海鼠漆喰】
⇒なまこ‐しぼり【海鼠絞り】
⇒なまこ‐ひき【海鼠曳】
⇒なまこ‐もち【海鼠餅】
なま‐こい・し【生恋し】‥コヒシ
〔形シク〕
なんとなく恋しい。大和物語「京さへ―・しき旅のほどなりければ」
なまこ‐いた【海鼠板】
トタン板またはプラスチック板などを波状に湾曲させたもの。屋根葺きまたは塀に用いる。波板。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐こうず【生好事】‥カウ‥
いいかげんな物ずき。つまらない物ずき。
なまこう‐ぶき【生鉱吹き】‥クワウ‥
銅鉱石製錬法の一つ。硫化鉱の粉をそのまま溶鉱炉に装入し、硫黄の酸化熱を原鉱の溶融に利用する方法。硫黄の回収と熱の有効利用にすぐれている。自溶法。生吹なまぶき。
なま‐こうべ【生頭】‥カウベ
なまくび。増鏡「かかる―の入ることにて」
なま‐ごえ【生声】‥ゴヱ
謡などで、稽古をつんでいない生地きじの声。生来の地声。花鏡「老声は―尽きて」
なまごおり‐どうふ【生凍豆腐】‥ゴホリ‥
即席凍り豆腐。高野豆腐と同じように作るが、一晩だけ凍らせたもの。一夜凍り。なまごおり。はやこごりどうふ。新こごりどうふ。
なまこ‐がた【海鼠形】
①海鼠のような形。かまぼこ形。
②火鉢の外側の手をかける穴で、海鼠餅を切った形をしたもの。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐かべ【海鼠壁】
土蔵・塗屋などの外壁に方形の平瓦を貼り、その目地めじを漆喰しっくいでかまぼこ形に盛り上げて塗った壁。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐がわら【海鼠瓦】‥ガハラ
(→)丸瓦に同じ。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐ごころ【生心】
①なまはんかな分別心。未熟な心。伊勢物語「―ある女ありけり」
②いろけ。春情。浄瑠璃、根元曾我「兄一万は―、顔を赤めてさしうつぶき」
なま‐こざか・し【生小賢し】
〔形シク〕
なんとなくこざかしい。沙石集4「―・しきさかしらの出で来るこそ」
なまこ‐しっくい【海鼠漆喰】‥クヒ
海鼠壁の瓦の目地めじに盛り上げて塗る漆喰。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐しぼり【海鼠絞り】
(布の形が海鼠に似ているからいう)有松絞りを一層密に絞ったもの。根掛ねがけなどに用いる。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐ひき【海鼠曳】
東北地方で小正月に行う行事。子供たちが「もぐらどん内にか、なまこどんのお通りだ」などととなえながら、海鼠を縄の先に結んで、屋敷の周囲や田畑などを曳いて回る。もぐらひき。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐ごみ【生塵】
主として台所から出る、肉・魚・野菜など食料品のくずや食べ残しなどの、水分を多く含んだごみ。
なま‐ゴム【生ゴム】
(raw rubber)ゴム植物から採取した乳液(ラテックス)から分離・凝固・乾燥させたままのゴム。主成分はイソプレンの重合体(高分子炭化水素)。純粋なものはほとんど無色透明で、弾性は小さい。これに硫黄を加えて天然ゴムを作る。
なま‐ごめ【生米】
なまのままの米。炊いたり、炒ったりなどしていない米。
なまこ‐もち【海鼠餅】
海鼠の形にした餅。薄く小口切りにしてかき餅とする。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐ごろし【生殺し】
①ほとんど死ぬばかりの状態にしておくこと。はんごろし。「へびの―」
②結末をつけずに、相手が困り苦しむのをほうっておくこと。中途半端にしておくこと。
なま‐コン【生コン】
生コンクリートの略。
なま‐コンクリート【生コンクリート】
まだ固まっていないコンクリート。ミキサー車で攪拌しながら工事現場まで運ぶ。なまコン。
なま‐さか・し【生賢し】
〔形シク〕
ちょっと賢い。こざかしい。源氏物語須磨「―・しき人のきこゆれば」
なま‐さかしら【生賢しら】
なまなかのさかしら。小利口ぶること。蜻蛉日記上「―などする人は」
なま‐ざかな【生魚・生肴】
なまうお。
なま‐ざけ【生酒】
製造過程で通常行う加熱殺菌を廃した清酒。→生酒きざけ
なま‐ざとり【生悟り】
なまはんかな悟り。
なま‐さぶらい【生侍】‥サブラヒ
年も若く官位などの高くない侍。青侍。今昔物語集16「―の身貧しき有りけり」
なま‐ざむらい【生侍】‥ザムラヒ
(→)「なまさぶらい」に同じ。
なまし【鈍し】
(→)「焼鈍やきなまし」に同じ。
なま・し【生し】
〔形シク〕
①なまである。なまなましい。今昔物語集28「―・しき鯛は極いみじき物ななり」
②未熟である。沙石集2「衆生の機―・しき時は感応なし」
な‐まし
(完了の助動詞ヌの未然形ナに推量の助動詞マシの添った語)
①事実に反することの想像を表す。(…であったならば)きっと…したろう。源氏物語帚木「思ひまつはす気色見えましかば…さるものにしなして長く見るやうも侍り―」
②推量を表す。…してしまうだろう。…するだろう。古今和歌集春「今日来ずは明日は雪とぞ降り―消えずはありとも花と見ましや」
なまじ【憖じ】
ナマジイの約。主に副詞として用いる。浄瑠璃、凱陣八島「―付かずは付かぬまでよ」。泉鏡花、眉かくしの霊「―紹介状があるだけに、喧嘩面で、宿を替へるとも言はれない」。「―の学者より物知りだ」
なまじい【憖じい】ナマジヒ
(「生強い」の意。清音にも)
①できそうもないことを無理につとめるさま。万葉集4「物思ふと人に見えじと―に常の面おもえりありそかねつる」
②すべきでない、またはしなくてもいいことをするさま。なまじっか。源氏物語若菜下「―に許され奉りて」。太平記11「―なる軍していふ甲斐なく敵の手にかかり」
③深く心を用いないさま。うかつ。かりそめ。中途半端。なまじっか。古今著聞集16「―に鬢かきあげて供奉しけり」。徒然草「よくせざらん程は―に人に知られじ」
なま‐しぞく【生親族】
血縁のあまり近くない親族。遠縁。蜻蛉日記中「―だつ人とぶらひにものしたり」
なまじっか【憖じっか】
(→)「なまじ」に同じ。二葉亭四迷、其面影「―なことを言ふと益ますます癖ひがむ」。「―泳げるだけ危ない」
なましな【男信・奈万之奈】
語学書。3巻。東条義門著。1842年(天保13)刊。撥音となる漢字にンとムとの区別があることを詳しく論じた。
なま‐じめ【生締】
歌舞伎の鬘かつらの一つ。盛綱・熊谷・重忠のような時代物の分別ある武士の役などに用いる。
なま‐じめり【生湿り】
少ししめること。しめっぽいこと。
なま‐しめ・る【生湿る】
〔自四〕
少ししめる。何となくしめっている。宇津保物語初秋「御ぐしの―・りたる」
なま‐じょうゆ【生醤油】‥ジヤウ‥
醪もろみを搾った汁液で、防腐加熱をしてない醤油。→生醤油きじょうゆ
なま‐しり【生知り】
物事を十分には知らないこと。また、その人。
なま‐じろ・い【生白い】
〔形〕[文]なまじろ・し(ク)
なんとなく白い。転じて、いやに白い。生っちろい。多く、顔色についていう。比喩的に、未熟さやひ弱さの形容。「―・い書生の議論」
なます【膾・鱠】
①魚貝や獣などの生肉を細かく切ったもの。筏いかだ膾など。
②薄く細く切った魚肉を酢に浸した食品。
③大根・人参などを細かく刻み、三杯酢・胡麻酢・味噌酢などであえた料理。
⇒なます‐づくえ【膾机】
⇒膾に叩く
なま・す【鈍す・焠す】
〔他五〕
焼いた鉄を徐々に冷却する。醒睡笑「去年八月から―・いておいた」→やきなまし
なます
〔助動〕
(遊女詞)動詞に付けて尊敬の意を表す。なさいます。なんす。浄瑠璃、いろは蔵三組盃「何言ひなます」。物類称呼「島原にては、なますか、なませなどといふ」
なまず【癜】ナマヅ
慢性皮膚病の一つ。ある種の糸状菌の寄生によって発生。灰白色ないし褐色の斑紋を生じ、ほぼ円形の小斑から次第に蔓延。癜風。〈日葡辞書〉
⇒なまず‐はだ【癜肌】
なまず【鯰】ナマヅ
①ナマズ科の淡水産の硬骨魚。体は長くのび、50センチメートルに達する。頭部は扁平で、口は大きく4本の長いくちひげがある。体表は滑らかで鱗がない。背部は青黒く、腹部は白い。食用。日本・東アジアの沼・川に多く、春小流に来て産卵する。〈[季]夏〉。〈新撰字鏡9〉
なまず
②(ナマズが地中にいて地震を起こすとの俗説から)地震のこと。
③鯰髭ひげの略。
④鯰坊主ぼうずの略。
⇒なまず‐はだ【鯰肌】
⇒なまず‐ひげ【鯰髭】
⇒なまず‐ぼうず【鯰坊主】
⇒鯰に瓢箪
なまずけな・いナマヅケナイ
〔形〕
(ナマツケナイとも)怠惰・無精で、なげやりである。〈日葡辞書〉
なます‐づくえ【膾机】
膾を作るのに用いる俎まないた。日本霊異記中「則ち―と小刀とを持ち出でて」
⇒なます【膾・鱠】
㋑狭義にはマナマコの別称。
②溶銑を型で固めたもの。棒状で背中に波型をつけるのでこの名がある。海鼠銑なまこせん。
③海鼠板の略。
④海鼠壁の略。
⑤海鼠餅の略。
⇒なまこ‐いた【海鼠板】
⇒なまこ‐がた【海鼠形】
⇒なまこ‐かべ【海鼠壁】
⇒なまこ‐がわら【海鼠瓦】
⇒なまこ‐しっくい【海鼠漆喰】
⇒なまこ‐しぼり【海鼠絞り】
⇒なまこ‐ひき【海鼠曳】
⇒なまこ‐もち【海鼠餅】
なま‐こい・し【生恋し】‥コヒシ
〔形シク〕
なんとなく恋しい。大和物語「京さへ―・しき旅のほどなりければ」
なまこ‐いた【海鼠板】
トタン板またはプラスチック板などを波状に湾曲させたもの。屋根葺きまたは塀に用いる。波板。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐こうず【生好事】‥カウ‥
いいかげんな物ずき。つまらない物ずき。
なまこう‐ぶき【生鉱吹き】‥クワウ‥
銅鉱石製錬法の一つ。硫化鉱の粉をそのまま溶鉱炉に装入し、硫黄の酸化熱を原鉱の溶融に利用する方法。硫黄の回収と熱の有効利用にすぐれている。自溶法。生吹なまぶき。
なま‐こうべ【生頭】‥カウベ
なまくび。増鏡「かかる―の入ることにて」
なま‐ごえ【生声】‥ゴヱ
謡などで、稽古をつんでいない生地きじの声。生来の地声。花鏡「老声は―尽きて」
なまごおり‐どうふ【生凍豆腐】‥ゴホリ‥
即席凍り豆腐。高野豆腐と同じように作るが、一晩だけ凍らせたもの。一夜凍り。なまごおり。はやこごりどうふ。新こごりどうふ。
なまこ‐がた【海鼠形】
①海鼠のような形。かまぼこ形。
②火鉢の外側の手をかける穴で、海鼠餅を切った形をしたもの。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐かべ【海鼠壁】
土蔵・塗屋などの外壁に方形の平瓦を貼り、その目地めじを漆喰しっくいでかまぼこ形に盛り上げて塗った壁。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐がわら【海鼠瓦】‥ガハラ
(→)丸瓦に同じ。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐ごころ【生心】
①なまはんかな分別心。未熟な心。伊勢物語「―ある女ありけり」
②いろけ。春情。浄瑠璃、根元曾我「兄一万は―、顔を赤めてさしうつぶき」
なま‐こざか・し【生小賢し】
〔形シク〕
なんとなくこざかしい。沙石集4「―・しきさかしらの出で来るこそ」
なまこ‐しっくい【海鼠漆喰】‥クヒ
海鼠壁の瓦の目地めじに盛り上げて塗る漆喰。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐しぼり【海鼠絞り】
(布の形が海鼠に似ているからいう)有松絞りを一層密に絞ったもの。根掛ねがけなどに用いる。
⇒なまこ【海鼠】
なまこ‐ひき【海鼠曳】
東北地方で小正月に行う行事。子供たちが「もぐらどん内にか、なまこどんのお通りだ」などととなえながら、海鼠を縄の先に結んで、屋敷の周囲や田畑などを曳いて回る。もぐらひき。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐ごみ【生塵】
主として台所から出る、肉・魚・野菜など食料品のくずや食べ残しなどの、水分を多く含んだごみ。
なま‐ゴム【生ゴム】
(raw rubber)ゴム植物から採取した乳液(ラテックス)から分離・凝固・乾燥させたままのゴム。主成分はイソプレンの重合体(高分子炭化水素)。純粋なものはほとんど無色透明で、弾性は小さい。これに硫黄を加えて天然ゴムを作る。
なま‐ごめ【生米】
なまのままの米。炊いたり、炒ったりなどしていない米。
なまこ‐もち【海鼠餅】
海鼠の形にした餅。薄く小口切りにしてかき餅とする。
⇒なまこ【海鼠】
なま‐ごろし【生殺し】
①ほとんど死ぬばかりの状態にしておくこと。はんごろし。「へびの―」
②結末をつけずに、相手が困り苦しむのをほうっておくこと。中途半端にしておくこと。
なま‐コン【生コン】
生コンクリートの略。
なま‐コンクリート【生コンクリート】
まだ固まっていないコンクリート。ミキサー車で攪拌しながら工事現場まで運ぶ。なまコン。
なま‐さか・し【生賢し】
〔形シク〕
ちょっと賢い。こざかしい。源氏物語須磨「―・しき人のきこゆれば」
なま‐さかしら【生賢しら】
なまなかのさかしら。小利口ぶること。蜻蛉日記上「―などする人は」
なま‐ざかな【生魚・生肴】
なまうお。
なま‐ざけ【生酒】
製造過程で通常行う加熱殺菌を廃した清酒。→生酒きざけ
なま‐ざとり【生悟り】
なまはんかな悟り。
なま‐さぶらい【生侍】‥サブラヒ
年も若く官位などの高くない侍。青侍。今昔物語集16「―の身貧しき有りけり」
なま‐ざむらい【生侍】‥ザムラヒ
(→)「なまさぶらい」に同じ。
なまし【鈍し】
(→)「焼鈍やきなまし」に同じ。
なま・し【生し】
〔形シク〕
①なまである。なまなましい。今昔物語集28「―・しき鯛は極いみじき物ななり」
②未熟である。沙石集2「衆生の機―・しき時は感応なし」
な‐まし
(完了の助動詞ヌの未然形ナに推量の助動詞マシの添った語)
①事実に反することの想像を表す。(…であったならば)きっと…したろう。源氏物語帚木「思ひまつはす気色見えましかば…さるものにしなして長く見るやうも侍り―」
②推量を表す。…してしまうだろう。…するだろう。古今和歌集春「今日来ずは明日は雪とぞ降り―消えずはありとも花と見ましや」
なまじ【憖じ】
ナマジイの約。主に副詞として用いる。浄瑠璃、凱陣八島「―付かずは付かぬまでよ」。泉鏡花、眉かくしの霊「―紹介状があるだけに、喧嘩面で、宿を替へるとも言はれない」。「―の学者より物知りだ」
なまじい【憖じい】ナマジヒ
(「生強い」の意。清音にも)
①できそうもないことを無理につとめるさま。万葉集4「物思ふと人に見えじと―に常の面おもえりありそかねつる」
②すべきでない、またはしなくてもいいことをするさま。なまじっか。源氏物語若菜下「―に許され奉りて」。太平記11「―なる軍していふ甲斐なく敵の手にかかり」
③深く心を用いないさま。うかつ。かりそめ。中途半端。なまじっか。古今著聞集16「―に鬢かきあげて供奉しけり」。徒然草「よくせざらん程は―に人に知られじ」
なま‐しぞく【生親族】
血縁のあまり近くない親族。遠縁。蜻蛉日記中「―だつ人とぶらひにものしたり」
なまじっか【憖じっか】
(→)「なまじ」に同じ。二葉亭四迷、其面影「―なことを言ふと益ますます癖ひがむ」。「―泳げるだけ危ない」
なましな【男信・奈万之奈】
語学書。3巻。東条義門著。1842年(天保13)刊。撥音となる漢字にンとムとの区別があることを詳しく論じた。
なま‐じめ【生締】
歌舞伎の鬘かつらの一つ。盛綱・熊谷・重忠のような時代物の分別ある武士の役などに用いる。
なま‐じめり【生湿り】
少ししめること。しめっぽいこと。
なま‐しめ・る【生湿る】
〔自四〕
少ししめる。何となくしめっている。宇津保物語初秋「御ぐしの―・りたる」
なま‐じょうゆ【生醤油】‥ジヤウ‥
醪もろみを搾った汁液で、防腐加熱をしてない醤油。→生醤油きじょうゆ
なま‐しり【生知り】
物事を十分には知らないこと。また、その人。
なま‐じろ・い【生白い】
〔形〕[文]なまじろ・し(ク)
なんとなく白い。転じて、いやに白い。生っちろい。多く、顔色についていう。比喩的に、未熟さやひ弱さの形容。「―・い書生の議論」
なます【膾・鱠】
①魚貝や獣などの生肉を細かく切ったもの。筏いかだ膾など。
②薄く細く切った魚肉を酢に浸した食品。
③大根・人参などを細かく刻み、三杯酢・胡麻酢・味噌酢などであえた料理。
⇒なます‐づくえ【膾机】
⇒膾に叩く
なま・す【鈍す・焠す】
〔他五〕
焼いた鉄を徐々に冷却する。醒睡笑「去年八月から―・いておいた」→やきなまし
なます
〔助動〕
(遊女詞)動詞に付けて尊敬の意を表す。なさいます。なんす。浄瑠璃、いろは蔵三組盃「何言ひなます」。物類称呼「島原にては、なますか、なませなどといふ」
なまず【癜】ナマヅ
慢性皮膚病の一つ。ある種の糸状菌の寄生によって発生。灰白色ないし褐色の斑紋を生じ、ほぼ円形の小斑から次第に蔓延。癜風。〈日葡辞書〉
⇒なまず‐はだ【癜肌】
なまず【鯰】ナマヅ
①ナマズ科の淡水産の硬骨魚。体は長くのび、50センチメートルに達する。頭部は扁平で、口は大きく4本の長いくちひげがある。体表は滑らかで鱗がない。背部は青黒く、腹部は白い。食用。日本・東アジアの沼・川に多く、春小流に来て産卵する。〈[季]夏〉。〈新撰字鏡9〉
なまず
②(ナマズが地中にいて地震を起こすとの俗説から)地震のこと。
③鯰髭ひげの略。
④鯰坊主ぼうずの略。
⇒なまず‐はだ【鯰肌】
⇒なまず‐ひげ【鯰髭】
⇒なまず‐ぼうず【鯰坊主】
⇒鯰に瓢箪
なまずけな・いナマヅケナイ
〔形〕
(ナマツケナイとも)怠惰・無精で、なげやりである。〈日葡辞書〉
なます‐づくえ【膾机】
膾を作るのに用いる俎まないた。日本霊異記中「則ち―と小刀とを持ち出でて」
⇒なます【膾・鱠】
なま・ける【怠ける・懶ける】🔗⭐🔉
なま・ける【怠ける・懶ける】
〔自他下一〕
①すべきことをする労を惜しんで、精を出さない。おこたる。「仕事を―・ける」
②元気がなくなる。ぐったりする。誹風柳多留22「かじけたり―・けたり二度義理で来る」
③にぶくなる。なまる。浄瑠璃、鎌倉三代記「きつと鍛うた名作でも後は―・けて刃も立たず」
④なまぬるい。浄瑠璃、神霊矢口渡「京の詞は―・けて悪い」
[漢]怠🔗⭐🔉
怠 字形
筆順
〔心(忄・
)部5画/9画/常用/3453・4255〕
〔音〕タイ(漢)
〔訓〕おこたる・なまける
[意味]
心をだらけさせる。なまける。おこたる。「怠業・怠慢・勤怠・倦怠けんたい」
[解字]
形声。「心」+音符「台」(=緊張をゆるめる)。心の張りをたるませる意。
[下ツキ
過怠・緩怠・勤怠・懈怠・倦怠
筆順
〔心(忄・
)部5画/9画/常用/3453・4255〕
〔音〕タイ(漢)
〔訓〕おこたる・なまける
[意味]
心をだらけさせる。なまける。おこたる。「怠業・怠慢・勤怠・倦怠けんたい」
[解字]
形声。「心」+音符「台」(=緊張をゆるめる)。心の張りをたるませる意。
[下ツキ
過怠・緩怠・勤怠・懈怠・倦怠
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おこたり【怠り】🔗⭐🔉
おこたり [0] 【怠り】
(1)怠ること。なまけること。手落ちがあること。「―なく準備する」「用意おさおさ―なし」
(2)怠慢や宿命によって生ずるあやまち。過失。失敗。また,罪。「ひがひがしき人に従ひにたる心の―ぞ/源氏(明石)」
(3)あやまちをわびること。謝罪。「泣く泣く―を言へど/堤中納言(はいずみ)」
おこたり-ぶみ【怠り文】🔗⭐🔉
おこたり-ぶみ 【怠り文】
あやまちを謝罪する文書。謝罪文。「かやうに名簿に―をそへていだす/宇治拾遺 11」
おこた・る【怠る】🔗⭐🔉
おこた・る [0][3] 【怠る】 (動ラ五[四])
(1)しなければならないことを,なまけ心や不注意によりしないままでいる。なまける。さぼる。「事件の報告を―・る」「注意義務を―・る」「準備を―・らない」
(2)病気の勢いが弱まる。良くなる。「―・りおはしまさずとも少しのしるしはあるべかりしことよ/大鏡(三条)」
(3)途切れる。中断する。「―・る間なく洩りゆかば,やがて尽きぬべし/徒然 137」
(4)油断する。気がゆるむ。「君はおぼし―・る時の間もなく/源氏(帚木)」
[可能] おこたれる
たい-がく【怠学】🔗⭐🔉
たい-がく [0] 【怠学】
勉強を怠けて,学校に行かないこと。
たい-ぎょう【怠業】🔗⭐🔉
たい-ぎょう ―ゲフ [0] 【怠業】
⇒サボタージュ
たいぎょう-てき-こうい【怠業的行為】🔗⭐🔉
たいぎょう-てき-こうい ―ゲフ―カウ
[7] 【怠業的行為】
公務員による政府または地方公共団体の機関の活動・能率を低下させるような行為。法律で禁止されている。
[7] 【怠業的行為】
公務員による政府または地方公共団体の機関の活動・能率を低下させるような行為。法律で禁止されている。
たい-じょう【怠状】🔗⭐🔉
たい-じょう ―ジヤウ [0] 【怠状】
(1)過怠を謝る手紙。謝罪状。おこたりぶみ。過状。「かくばかり名符に―を副へて奉れるに/今昔 25」
(2)あやまること。謝罪。「車より引き落て,さる事いはじやと―せさせて許してけり/十訓 4」
たい-だ【怠惰】🔗⭐🔉
たい-だ [1] 【怠惰】 (名・形動)[文]ナリ
なまけること。なまけてだらしないこと。また,そのさま。「―な生活」
たい-のう【怠納】🔗⭐🔉
たい-のう ―ナフ [0] 【怠納】 (名)スル
納付を怠って定められた期限を過ごすこと。「授業料を―する」
たい-まん【怠慢】🔗⭐🔉
たい-まん [0] 【怠慢】 (名・形動)[文]ナリ
なまけおこたること。なまけてするべき事をしないこと。また,そのさま。「職務―」「―のそしりを免れない」
[派生] ――さ(名)
だる・い【怠い・懈い】🔗⭐🔉
だる・い [2][0] 【怠い・懈い】 (形)[文]ク だる・し
〔近世「たるい」とも〕
(1)疲れていて,からだに力がない。動くのがおっくうである。「熱があるのか体が―・い」
(2)しまりがない。きちんとしない。「下げ髪の―・い姿をようは見てゐる事とそしりて/浮世草子・男色大鑑 7」「ナワガ―・イ/ヘボン」
(3)(「たるい」の形で)味が甘く感ずる。「甘っ―・い」「コノ酒ワ―・イ/ヘボン(三版)」
[派生] ――げ(形動)――さ(名)
なま・く【怠く・懶く】🔗⭐🔉
なま・く 【怠く・懶く】 (動カ下二)
⇒なまける
なまけ-ぐせ【怠け癖】🔗⭐🔉
なまけ-ぐせ [0] 【怠け癖】
怠けて,すべきことをしないですまそうとする習慣。「―がつく」
なまけ-もの【怠け者・懶け者】🔗⭐🔉
なまけ-もの [0][5] 【怠け者・懶け者】
(1)仕事や勉強を怠ける人。怠けてばかりいる人。怠惰(タイダ)な人。
(2) [0]
(「樹懶」と書く)貧歯目ナマケモノ科に属する哺乳動物の総称。一見サルに似た体形で,体長60センチメートル前後。耳は目立たず,尾は短いか無い。常に肢端のかぎ爪を木の枝にかけてぶら下がっている。きわめて不活発で,全身をおおう長い毛は,付着したコケのためにしばしば緑色を帯びる。中南米の森林にすむ。ミツユビナマケモノ・フタユビナマケモノなど。
樹懶(2)
[図]
[図]
なまけもの=の足から鳥が起(タ)つ🔗⭐🔉
――の足から鳥が起(タ)つ
平素怠けている者は,事が起こるとあわてて騒ぎたてるものである。
なまけもの=の節句(セツク)働き🔗⭐🔉
――の節句(セツク)働き
平素怠けている者に限って,皆が休むときに一人だけ働く。のらの節句働き。
なま・ける【怠ける・懶ける】🔗⭐🔉
なま・ける [3] 【怠ける・懶ける】 (動カ下一)[文]カ下二 なま・く
(1)すべきことをしないで無駄にすごす。「仕事を―・ける」「学校を―・ける」
(2)だらけている。なまぬるくなる。また,なまる。「おれも上州の新田で育つた故,京の詞は―・けて悪い/浄瑠璃・神霊矢口渡」
(3)元気がなくなる。「とんだ顔つきが―・けて来た/滑稽本・続膝栗毛」
おこたる【怠る】(和英)🔗⭐🔉
おこたる【怠る】
neglect;→英和
be neglectful.
たいぎょう【怠業】(和英)🔗⭐🔉
たいぎょう【怠業】
a slowdown (strike).→英和
たいだ【怠惰な】(和英)🔗⭐🔉
たいまん【怠慢】(和英)🔗⭐🔉
なまけぐせ【怠け癖(がつく)】(和英)🔗⭐🔉
なまけぐせ【怠け癖(がつく)】
(fall into) idleness.
なまけもの【怠け者】(和英)🔗⭐🔉
なまけもの【怠け者】
a lazy person;an idler;<話>a lazybones.→英和
なまける【怠ける】(和英)🔗⭐🔉
なまける【怠ける】
be idle[lazy];neglect;→英和
idle away one's time.
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