【推】 11画　部　［六年］ 区点=3168　16進=3F64　シフトJIS=9084 《常用音訓》スイ／お…す 《音読み》　スイ／タイ／ツイ〈tu〉 《訓読み》　おす 《名付け》　ひらく 《意味》 ｛動｝おす。重みや力をかけておす。おし進める。前におし出す。「僧推月下門＝僧ハ推ス月下ノ門」〔→本事詩〕 ｛動｝おす。自分の前の物を、よそまでおしやる。おし広げる。「推広」「推恩足以保四海＝恩ヲ推セバ、モッテ四海ヲ保ツニ足ル」〔→孟子〕 ｛動｝おす。自分の前の物を、他人におしつける。また、他人に譲る。「推辞（断って引き受けない）」「天下楽推而不厭＝天下、推スコトヲ楽シミテ厭ハズ」〔→老子〕 ｛動｝おす。考えをおし進める。おしはかる。「推理」「理者不可推＝理ナルモノハ推スベカラズ」〔→韓愈〕 ｛動｝おす。おして動かす。「推移」「寒暑相推而歳成焉＝寒暑アヒ推シテ歳成ル」〔→易経〕 《解字》 会意兼形声。隹スイは、ずんぐりと下ぶくれした鳥の姿。推は「手＋音符隹」で、ずっしりと重みや力をかけておすこと。→隹 《単語家族》 堆タイ（ずっしりと土を重ねる）椎ツイ（重みをかけて打つつち）碓タイ（重みをかけてつく石うす）などと同系。 《類義》 押オウは、外からかぶせておしこめること。圧アツ・抑ヨクは、上から下へおしつけること。 《異字同訓》 おす。　→押 《熟語》 →熟語 →下付・中付語 →故事成語

【推亡】 スイボウ 相手に滅亡する原因があるとき、そこを攻めて滅ぼすこと。〔→書経〕

【推引】 スイイン 人を引き立てて用いる。「推引後進＝後進ヲ推引ス」

【推本】 スイホン・モトヲオス 事がらのいちばんの根源を窮めようとしておしはかる。「推本溯源」

【推求】 スイキュウ 深く尋ね調べる。『推究スイキュウ・推窮スイキュウ』

【推択】 スイタク 推薦したり、選んだりして、人を用いる。「不得推択為吏＝推択セラレテ吏トナルヲ得ズ」〔→史記〕

【推参】 スイサン〔国〕自分の方からおしかけて行くこと。突然、訪れることをへりくだっていうことば。差し出がましいこと。

【推服】 スイフク 人をおしいただいて、その人に仕える。

【推歩】 スイホ 天体の動きからおしはかって、暦を作ること。「天文推歩之術＝天文推歩ノ術」〔→後漢書〕

【推恩】 スイオン・オンヲオス 愛情を人におよぼす。〔→孟子〕その人の親・先祖に対して爵位を授けること。

【推挙】 スイキョ 人をある地位・官職につけるようにすすめる。「所推挙皆廉士＝推挙スルトコロハミナ廉士」〔→史記〕

【推称】 スイショウ ほめたたえる。

【推移】 スイイ 物事が次々にうつり変わる。「与世推移＝世ト推移ス」〔→楚辞〕

【推進】 スイシン 物事をおし進める。他人を推薦する。

【推問】 スイモン 罪状をとり調べる。『推治スイチ』

【推理】 スイリ 考えのすじみちをたどって一つの事実から他の事実について知ること。

【推測】 スイソク まだわかっていない物事の状態などを既知の事がらをもとにしておしはかること。『推度スイタク』

【推量】 スイリョウ 人の気持ちや物事の事情をおしはかり考える。

【推奨】 スイショウ よいとしてほめて、他人にすすめる。

【推演】 スイエン 原理をおし広めて適用する。『推衍スイエン』「推演兵法、作八陣図＝兵法ヲ推演シ、八陣図ヲ作ル」〔→蜀志〕

【推敲】 スイコウ〈故事〉詩歌・文章の字句をよくしようとして、何度もつくりなおすこと。▽唐の賈島カトウが、「僧は推す月下の門」という句で「推す」にするか「敲タタく」にするかと、迷い苦しんだ故事による。〔→本事詩〕

【推察】 スイサツ おしはかって知る。『推考スイコウ』

【推輓】 スイバン ＝推挽。車を後ろからおし、前からひく。人を推薦すること。〔→左伝〕

【推遷】 スイセン 移り変わる。「炎涼昏暁苦推遷＝炎涼昏暁苦ダ推遷ス」〔→白居易〕

【推論】 スイロン おしはかって論じる。「推論利害＝利害ヲ推論ス」〔→家語〕推察に基づいて考えをすすめること。また、おしすすめた考え。

【推薦】 スイセン すぐれたものをおし出して勧める。推挙。

【推轂】 スイコク 車のこしきをおして車を進める。（イ）人の事業を助ける。〔→史記〕（ロ）人を推薦する。〔→史記〕

【推戴】 スイタイ おしいただく。とうとんで、自分たちの指導者・主人とすること。

【推譲】 スイジョウ てがらや、地位を他人に譲り、自分はへりくだって下位につくこと。〔→荘子〕

【推舟於陸】 フネヲリクニオス〈故事〉舟を陸上で走らせようとする。我意をはってむりを通そうとすることのたとえ。〔→荘子〕

【推赤心置人腹中】 セキシンヲオシテヒトノフクチュウニオク〈故事〉自分のまごころで人をおしはかり、人もこのように誠実だと思って疑わないこと。人を深く信じて、誠意をつくすこと。〔→後漢書〕