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あだ【徒・空】🔗🔉

あだ徒・空】 ①実じつのないこと。浮気。いたずら。伊勢物語「―なる心なかりけり」 ②はかないこと。かりそめ。古今和歌集哀傷「花よりも人こそ―になりにけれ」

あだ‐あだ・し【徒徒し】🔗🔉

あだ‐あだ・し徒徒し】 〔形シク〕 実じつがない。不誠実だ。浮気っぽい。源氏物語澪標「―・しきすぢなど、疑はしき御心ばへにはあらず」

あだ・う【徒ふ】アダフ🔗🔉

あだ・う徒ふアダフ 〔自下二〕 (「徒あだ」を動詞化した語)ふざける。わるふざけをする。源氏物語夕霧「すずろにかく―・へ隠して」

あだ・く【徒く】🔗🔉

あだ・く徒く】 〔自下二〕 うわつく。浮気な気持でいる。源氏物語槿「うち―・け過ぎたる人の」

あだ‐くち【徒口】🔗🔉

あだ‐くち徒口】 実意のない言葉。むだぐち。魯庵、犬物語「犬公方いぬくぼうと下々の―に呼ばれた位だから」 ⇒あだくち‐ねんぶつ【徒口念仏】

あだくち‐ねんぶつ【徒口念仏】🔗🔉

あだくち‐ねんぶつ徒口念仏】 信仰心のない、口先だけの念仏。空から念仏。 ⇒あだ‐くち【徒口】

あだ‐ぐも【徒雲】🔗🔉

あだ‐ぐも徒雲】 やがて消えるはかない雲。浮雲。夫木和歌抄16「―もなき冬の夜の空なれば」

あだ‐くらべ【徒競べ】🔗🔉

あだ‐くらべ徒競べ】 ①互いに浮気心があると言い合うこと。伊勢物語「―互かたみにしける男女の」 ②互いにはかなさ、もろさをくらべ合うこと。男色大鑑「―とや月の夜の雨、花盛りの風」

あだけ【徒け】🔗🔉

あだけ徒け】 (アダクの連用形から転じた名詞か。アダにケ(気)が付いたとも)うわついたこと。浮気。源氏物語槿「今さらの御―も、かつは、世のもどきをも思しながら」

あだ‐げ【徒げ】🔗🔉

あだ‐げ徒げ】 はかなそうなこと。もろそうなこと。宇治拾遺物語3「門などもかたかたは倒れたる、よこざまによせかけたる所の―なるに」

あだ‐ごと【徒言】🔗🔉

あだ‐ごと徒言】 ①実じつのない言葉。あだくち。新古今和歌集「―の葉におく露の消えにしを」 ②むだな言葉。

あだ‐ざくら【徒桜】🔗🔉

あだ‐ざくら徒桜】 散りやすく、はかない桜花。親鸞聖人絵詞伝「あすありと思ふ心の―夜半に嵐の吹かぬものかは」

あだ・し【他し・異し・徒し・空し】(形シク)🔗🔉

あだ・し他し・異し・徒し・空し】 〔形シク〕 (古くはアタシ) ①《他・異》異なっている。ほかのものである。別である。万葉集10「君に逢へる夜ほととぎす―・し時ゆは今こそ鳴かめ」 ②《徒・空》空しい。実じつがない。はかない。栄華物語本雫「露をだに―・しと思ひて」。栄華物語玉台「殿の御前の御声は、…―・しう聞えたり」

あだし‐おとこ【他し男・徒し男】‥ヲトコ🔗🔉

あだし‐おとこ他し男・徒し男‥ヲトコ ①ほかの男。特に、情夫。 ②実意のない男。薄情な男。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐おんな【他し女・徒し女】‥ヲンナ🔗🔉

あだし‐おんな他し女・徒し女‥ヲンナ ①ほかの女。特に、情婦。 ②浮気な女。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐が‐はら【徒しが原】🔗🔉

あだし‐が‐はら徒しが原】 無常の原の意。徒野あだしの⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐けむり【徒し煙】🔗🔉

あだし‐けむり徒し煙】 はかない煙。火葬場の煙などにいう。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ごころ【他し心・徒し心】🔗🔉

あだし‐ごころ他し心・徒し心】 浮気な心。古今和歌集東歌「君をおきて―をわが持たば」 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ごと【他し事・徒し事】🔗🔉

あだし‐ごと他し事・徒し事】 ほかの事。むだな事。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ことば【徒し言葉】🔗🔉

あだし‐ことば徒し言葉】 実じつのない言葉。あてにならない言葉。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐たまくら【他し手枕・徒し手枕】🔗🔉

あだし‐たまくら他し手枕・徒し手枕】 他人の手枕。かりそめにほかの人と契ることにいう。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ちぎり【徒し契り】🔗🔉

あだし‐ちぎり徒し契り】 はかない約束。末とげられぬちぎり。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐な【徒し名】🔗🔉

あだし‐な徒し名】 浮き名。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐なさけ【徒し情け】🔗🔉

あだし‐なさけ徒し情け】 あてにならない情。変わりやすい情。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐み【徒し身】🔗🔉

あだし‐み徒し身】 はかない身。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐みやび【徒し雅】🔗🔉

あだし‐みやび徒し雅】 次々と風流を求めてうつりゆくこと。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐よ【徒し世】🔗🔉

あだし‐よ徒し世】 はかない世。無常の世。千載和歌集「何―に生ひそめにけむ」 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだ‐づま【徒夫・徒妻】🔗🔉

あだ‐づま徒夫・徒妻】 かりそめの夫、また妻。契りの短い夫、また妻。

あだ‐の‐かたく【徒の火宅】‥クワ‥🔗🔉

あだ‐の‐かたく徒の火宅‥クワ‥ はかなく苦しい現世。

あだ‐の‐りんき【徒の悋気】🔗🔉

あだ‐の‐りんき徒の悋気】 自分に直接関係のない他人の恋をねたむこと。法界悋気。

あだ‐ばな【徒花】🔗🔉

あだ‐ばな徒花】 ①咲いても実を結ばない花。むだ花。閑吟集「ならぬ―真白に見えて、憂き中垣の夕顔や」。「好景気は―だった」 ②はかなく散りゆく花。末とげられぬ恋などのたとえにも用いる。 ③季節はずれに咲く花。〈日葡辞書〉 ④祝儀として渡しても、後で現金に換えない紙纏頭かみばな。浮世草子、椀久二世の物語「外聞ばかりの―を出し人々に嬉しがらせ」 ○仇は情あだはなさけ 仇と思ったことが、かえってなさけとなること。うらみに思っていたことが、逆によい結果になること。 ⇒あだ【仇・敵】

あだ‐ぶし【徒臥し】🔗🔉

あだ‐ぶし徒臥し(→)「あだね」に同じ。

あだ‐ぼれ【徒惚れ】🔗🔉

あだ‐ぼれ徒惚れ】 ①末とげられぬ恋。片思い。浄瑠璃、生玉心中「それを知らずに―して」 ②浮気心からの恋。ついちょっとほれてみる恋。

あだ‐むすび【徒結び】🔗🔉

あだ‐むすび徒結び】 しっかりと結ばないこと。また、その結び方。

あだ‐や‐おろか【徒や疎か】🔗🔉

あだ‐や‐おろか徒や疎か(→)「あだやおろそか」に同じ。浮世風呂2「―なこつではないによ」

あだ‐や‐おろそか【徒や疎か】🔗🔉

あだ‐や‐おろそか徒や疎か】 (「あだおろそか」をさらに強めていう語)かりそめ。おろそか。いいかげん。「父の遺品を―に扱えない」

あだ‐わざ【徒業】🔗🔉

あだ‐わざ徒業】 むだなこと。また、浮気な行い。

いたずら【徒】イタヅラ🔗🔉

いたずらイタヅラ ①用事がないこと。ひま。土佐日記「舟も出さで―なれば」 ②無益。無用。役に立たないこと。つまらないこと。源氏物語薄雲「―なる野辺の虫をも住まはせて」。「―に金かねを費やす」 ③むなしいさま。特に、死ぬさま。 ④(「悪戯」と書く)無益でわるいたわむれ。わるふざけ。わるさ。手すさびを謙遜していうのにも用いる。狂言、太刀奪たちばい「色々―をいたしまする」。「子供の―」「―な園児」「ちょっと―してみました」 ⑤性的にみだらな行い。 ⑥男女の私通。不義。浄瑠璃、国性爺合戦「唐の后―して流されたものぢやわいの」 ⇒いたずら‐いね【徒寝ね】 ⇒いたずら‐いね【徒稲】 ⇒いたずら‐うた【徒歌】 ⇒いたずら‐がき【徒書・悪戯書き】 ⇒いたずら‐こぞう【悪戯小僧】 ⇒いたずら‐ごと【徒言】 ⇒いたずら‐ごと【徒事】 ⇒いたずら‐ざかり【悪戯盛り】 ⇒いたずら‐じに【徒死】 ⇒いたずら‐っこ【悪戯っ児】 ⇒いたずら‐に【徒に】 ⇒いたずら‐ね【徒寝】 ⇒いたずら‐ばな【徒花】 ⇒いたずら‐はんぶん【悪戯半分】 ⇒いたずら‐びと【徒人】 ⇒いたずら‐ぶし【徒臥し】 ⇒いたずら‐ぼうこう【徒奉公】 ⇒いたずら‐ぼうず【悪戯坊主】 ⇒いたずら‐もの【徒者・悪戯者】 ⇒徒になる

いたずら‐いね【徒稲】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐いね徒稲イタヅラ‥ みのらぬ稲。 ⇒いたずら【徒】

いたずら‐うた【徒歌】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐うた徒歌イタヅラ‥ 管弦もなく、ただひとりで歌う歌。ひとりうた。 ⇒いたずら【徒】

いたずら‐ごと【徒言】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐ごと徒言イタヅラ‥ 無益なことば。むだぐち。 ⇒いたずら【徒】

いたずら‐じに【徒死】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐じに徒死イタヅラ‥ むだに死ぬこと。いぬじに。むだじに。 ⇒いたずら【徒】

いたずら‐に【徒に】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐に徒にイタヅラ‥ 〔副〕 むだに。意味もなく。「―時を費やす」 ⇒いたずら【徒】 ○徒になるいたずらになる ①無駄になる。徒然草「上人の感涙徒になりにけり」 ②死ぬ。伊勢物語「そこに徒になりにけり」 ⇒いたずら【徒】

○徒になるいたずらになる🔗🔉

○徒になるいたずらになる ①無駄になる。徒然草「上人の感涙徒になりにけり」 ②死ぬ。伊勢物語「そこに徒になりにけり」 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐ね徒寝イタヅラ‥ (→)「いたずらいね」に同じ。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐ばな徒花イタヅラ‥ 実のならない花。あだばな。むだばな。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐はんぶん悪戯半分イタヅラ‥ 軽いたわむれ心で物事を行うこと。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐びと徒人イタヅラ‥ ①役を離れた人。用のない人。 ②おちぶれた人。 ③廃人。 ④死んだ人。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐ぶし徒臥しイタヅラ‥ (→)徒寝いたずらいねに同じ。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐ぼうこう徒奉公イタヅラ‥ 堅気かたぎでない勤め。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐ぼうず悪戯坊主イタヅラバウ‥ (→)「いたずらこぞう」に同じ。 ⇒いたずら【徒】 いたずら‐もの徒者・悪戯者イタヅラ‥ ①役に立たない者。無用の者。 ②不義をする女。 ③ならずもの。無頼漢。 ④ネズミの異名。 ⇒いたずら【徒】 いた‐ずり板摺】 ①(→)板掛いたがけに同じ。 ②胡瓜きゅうり・蕗ふきなどに塩を振り、俎板まないたの上で押しながら転がすこと。色が鮮やかになる。 いたせんぱら コイ科の淡水産の硬骨魚で、タナゴ類の一種。体高が高く、産卵期の雄は紫紅色を帯びる。淀川、濃尾平野、富山の一部に分布。全長約10センチメートル。天然記念物。 いた‐ぞうり板草履‥ザウ‥ 裏に、麻の代りに板片を取り付けた草履。板裏草履。板付草履。板金剛。 いただき頂・戴き】 ①ものの一番高いところ。あたま、山頂など。源氏物語玉鬘「私の君と思ひ申して―になむ捧げ奉るべき」。竹取物語「駿河の国にあなる山の―に」 ②頭上にかごなどを載せて物売りに来る女。海岸地方に多いが、京都の大原女おはらめもこの類。 ③はからずも自分のものになること。「それはこちらに―だ」 ④「いただきもち」「いただきもちい」の略。 ⇒いただき‐だち【戴き立ち】 ⇒いただき‐ぶくろ【戴袋】 ⇒いただき‐もち【戴餅】 ⇒いただき‐もちい【戴餅】 ⇒いただき‐もの【戴き物】 いただき‐だち戴き立ち】 御馳走になってすぐその席を立って帰ること。 ⇒いただき【頂・戴き】 いただき‐ぶくろ戴袋】 平安時代、外出のとき物を入れて頭に戴いて持ち歩いた袋。 ⇒いただき【頂・戴き】 いただき‐ます戴きます】 出された料理を食べ始めるときの挨拶の言葉。 いただき‐もち戴餅】 糝粉しんこを円く平たくしてくぼめ、小豆餡あずきあんをのせたもの。4月8日の灌仏会かんぶつえに用いた。いただき。 ⇒いただき【頂・戴き】 いただき‐もちい戴餅‥モチヒ 平安時代、公家の間で、主として正月1日から3日間、幼児の前途を祝福し、寿詞を唱えて幼児の頭上に餅を戴かせる儀式。原則として男児7歳、女児5歳まで行われた。いただき。紫式部日記「正月一日、坎日かんにちなりければ、若宮の御―のこと停まりぬ」 ⇒いただき【頂・戴き】 いただき‐もの戴き物】 貰いもの。頂戴物。 ⇒いただき【頂・戴き】 いただ・く頂く・戴く】 〔他五〕 (イタ(致)ス、イタ(至)ルと同源) ①頭にのせる。また、頭上高くに位置させる。万葉集20「あもとじも玉にもがもや―・きてみづらのなかにあへまかまくも」。日葡辞書「シラガ、ユキ、また、シモヲイタダク」。「星を―・いて帰る」 ②高くささげる。神宮雑例集「舂炊つきかしぎ―・き持たしむ」。日葡辞書「サカヅキヲイタダク」 ③崇めて大切に扱う。敬い仕える。奉戴する。万葉集5「おほみこと―・き持ちて」。「上に名君を―・く」 ④謙譲の意を表す語。 ㋐「もらう」の謙譲語。賜る。頂戴する。狂言、土産の鏡「倭姫の尊、天照大神より御神鏡ごしんけいを―・き、日本を廻国あつて」。「先生に―・いた本」 ㋑(動詞の連用形に「て」の付いた形などに連なって)「…してもらう」の謙譲語。「教えて―・く」「御覧―・きたい」 ㋒「食う」「飲む」の謙譲語。狂言、猿座頭「さらば差さう。飲ましめ。―・きませう」。「おいしく―・きました」 ㋓「買い受ける」の謙譲語。「古本高価に―・きます」 ⑤(興行関係者の隠語)興行が不入りである。転じて、一般にしくじる。恥をこうむる。花暦八笑人「道理で、茶番のたんびに―・く筈だあ」 ⇒頂く物は夏も小袖

いたずら‐ばな【徒花】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐ばな徒花イタヅラ‥ 実のならない花。あだばな。むだばな。 ⇒いたずら【徒】

いたずら‐ぶし【徒臥し】イタヅラ‥🔗🔉

いたずら‐ぶし徒臥しイタヅラ‥ (→)徒寝いたずらいねに同じ。 ⇒いたずら【徒】

かし【徒】🔗🔉

かし】 (上代東国方言)かち。歩行。徒歩。万葉集20「多摩の横山―ゆかやらむ」

かち【徒】🔗🔉

かち】 (「くがち(陸地)」の略「かち」の意が転じて) ①乗物に乗らないで歩くこと。徒歩。歩行。万葉集11「馬はあれど―ゆわが来し汝を思ひかね」 ②陸路をゆくこと。春雨物語「―よりは遅し、みぬめの和田の天の鳥船に舟子かこの数まさせて」 ③(「徒士」とも書く)中世・近世、徒歩で行列の先導をつとめた侍。小身の侍。かちざむらい。→徒組かちぐみ

かち‐いしゃ【徒医者】🔗🔉

かち‐いしゃ徒医者】 乗物に乗らず歩いて患家をまわる貧乏な医者。はやらない医者。日本永代蔵6「―ながら療治よくせらるるとて」

かち‐しゅう【歩行衆・徒士衆】🔗🔉

かち‐しゅう歩行衆・徒士衆】 (カチシュとも)徒歩で行列の供をしたり警固にあたったりする侍。特に、江戸時代、徒組かちぐみに属する者。御徒衆。

かち‐に【徒荷】🔗🔉

かち‐に徒荷】 陸路を人足が荷物をかついで運ぶこと。また、その荷。 ⇒かちに‐もち【徒荷持】

かちに‐もち【徒荷持】🔗🔉

かちに‐もち徒荷持】 徒荷を運ぶ人夫。 ⇒かち‐に【徒荷】

かち‐の‐もの【徒の者】🔗🔉

かち‐の‐もの徒の者(→)走衆はしりしゅう1に同じ。

かち‐はこび【徒運び】🔗🔉

かち‐はこび徒運び】 徒歩で運搬すること。

かち‐むかばき【徒行縢】🔗🔉

かち‐むかばき徒行縢】 徒歩の場合に用いる短いむかばき。

かち‐ゆみ【歩射・徒弓】🔗🔉

かち‐ゆみ歩射・徒弓】 徒歩で弓を射ること。射場での的射を総称していう。ぶしゃ。源氏物語若菜下「―のすぐれたる上手どもありければ」↔騎射うまゆみ

かち‐よこめ【徒横目】🔗🔉

かち‐よこめ徒横目(→)徒目付かちめつけに同じ。

ず【徒】🔗🔉

律の五刑の一つ。今の懲役刑。1年から3年まで半年ごとの五等級とする。流より軽く、杖じょうより重い。徒刑。徒罪。

ず‐けい【徒刑】ヅ‥🔗🔉

ず‐けい徒刑ヅ‥ (→)に同じ。

ず‐ざい【徒罪】ヅ‥🔗🔉

ず‐ざい徒罪ヅ‥ (→)に同じ。

ただ【徒・常・只・唯】🔗🔉

ただ徒・常・只・唯】 ①何ともないこと。取りたてて言うこともないさま。宇津保物語嵯峨院「ときてやる衣の袖の色を見よ―の涙はかかるものかは」。「―の紙切れだ」 ②なんの意味もないさま。むなしいさま。更級日記「荻の葉のこたふるまでもふきよらで―にすぎぬる笛の音ぞうき」 ③特別な人・事・物でないこと。ふつう。なみ。源氏物語少女「博士の人々は四韻、―の人はおとどを始め奉りて絶句つくりて」。源氏物語梅枝「御心のゆくかぎり、草のも―のも女手もいみじう書きつくし給ふ」 ④《只》代金がいらないこと。無料。ロハ。狂言、薩摩守「―乗せる秀句をすへて進ぜう」。「入場料は―にする」 →ただならず→ただならぬ ⇒徒でさえ ⇒徒では済まない ⇒徒なるよりは ⇒只の鼠でない ⇒只ほど安い物はない ⇒只より高い物はない

ただ‐い【徒居】‥ヰ🔗🔉

ただ‐い徒居‥ヰ 何もしないでいること。むだに暮らすこと。日本永代蔵4「暫時も―せずかせげども」

ただ‐がお【徒顔】‥ガホ🔗🔉

ただ‐がお徒顔‥ガホ 化粧しないありのままのかお。すがお。浜松中納言物語4「つくろふ所なき御―のめづらしう」

ただ‐ぎぬ【徒衣】🔗🔉

ただ‐ぎぬ徒衣】 染めたり練ったりしてない衣。宇津保物語貴宮「唐綾、―一つまぜず皆赤色」

ただ‐くち【徒口】🔗🔉

ただ‐くち徒口】 口を動かさずにいること。黙っていること。天草本平家物語「ちつともそなたに―はおかせまいぞ」

ただ‐こと【徒言】🔗🔉

ただ‐こと徒言】 (タダゴトとも)ありのままの言葉。別に何ということもない普通の言い方。ただことば。枕草子278「―にはうるさく思ひつよりて侍りし」 ⇒ただこと‐うた【徒言歌】

ただこと‐うた【徒言歌】🔗🔉

ただこと‐うた徒言歌】 譬喩ひゆを借りずに、深い心を平淡に詠じた歌。古今集序で歌の六義りくぎの一つとされ、小沢蘆庵が理想とした。 ⇒ただ‐こと【徒言】

ただ‐ことば【徒言葉】🔗🔉

ただ‐ことば徒言葉】 ありのままにのべた言葉。飾りのない言葉。ただこと。六条宰相家歌合「むげに―にてげびたるやうに思う給ふれども」

だだっ‐ぴろ・い【徒広い】🔗🔉

だだっ‐ぴろ・い徒広い】 〔形〕 ただやたらに広い。「―・い家」

○徒でさえただでさえ🔗🔉

○徒でさえただでさえ 普通の場合でも。そうでなくても。たださえ。「―暑いのに」 ⇒ただ【徒・常・只・唯】

○徒では済まないただではすまない🔗🔉

○徒では済まないただではすまない そのまま何事もなしには終わらない。「そんな放言をして―ぞ」 ⇒ただ【徒・常・只・唯】 ただ‐とり只取】 (タダドリとも)ただで手に入れること。取って何の代償も与えないこと。 ⇒只取山のほととぎす

ただ‐なら‐ず【徒ならず・只ならず】🔗🔉

ただ‐なら‐ず徒ならず・只ならず】 ①普通のさまでない。尋常でない。 ②そんな程度ではない。それ以上である。「汗牛充棟も―」 ③妊娠している状態である。栄華物語花山「かく―ならせ給ひて後は」

ただ‐なら‐ぬ【徒ならぬ・啻ならぬ】🔗🔉

ただ‐なら‐ぬ徒ならぬ・啻ならぬ】 ①普通ではない。大変な。「―様子」「―顔色」「―仲」 ②(「…も―」の形で)…以上に程度がはなはだしい。「犬猿も―仲」

○徒なるよりはただなるよりは🔗🔉

○徒なるよりはただなるよりは 何事もない場合よりは。普通よりは。源氏物語明石「都の人も―いひしにたがふとおぼさむも」 ⇒ただ【徒・常・只・唯】 たた‐なわ・る畳なはる‥ナハル 〔自四・下二〕 かさなりあってつらなる。万葉集1「―・る青垣山」。宇津保物語蔵開上「よれたりし裳にうち―・れたるいとめでたし」 ただ‐なんれい多田南嶺】 江戸中期の国学者・神道家。名は義俊。摂津の人。壺井義知に学び、国語学・有職故実を研究する。また八文字屋自笑の浮世草子・役者評判記を代作したともいう。著「旧事記偽書明証考」「伊呂波声母伝」「南嶺子」「神明憑談」など。(1698〜1750) ⇒ただ【多田】 ただ‐に唯に】 〔副〕 ただ。単に。ひとり。普通、下に「のみならず」と結ぶ。続日本紀22「大保だいほうをば―卿まえつきみとのみは念はず」 ただに‐おもいを‐のぶる‐うた正述心緒歌‥オモヒ‥ 万葉集の相聞そうもんの小分類。表現手法による部立の一つ。事物に託さずにまっすぐに心情を述べた歌。巻11の「たらちねの母が手放れかくばかりすべ無きことはいまだ為なくに」はその例。→寄物陳思歌ものによせておもいをのぶるうた たた・ぬ畳ぬ】 〔他下二〕 (→)「たたむ」に同じ。万葉集15「君がゆく道の長路ながてを繰り―・ね焼きほろぼさむ天あめの火もがも」

だだ‐びろ・い【徒広い】🔗🔉

だだ‐びろ・い徒広い】 〔形〕 (→)「だだっぴろい」に同じ。

と【徒】🔗🔉

】 ①ともがら。なかま。「無学の―」 ②刑罰の一つ。懲役。ず。

と‐か【徒過】‥クワ🔗🔉

と‐か徒過‥クワ (明治期に用いられた語)むだに時をすごすこと。無為にすごすこと。

と‐きょうそう【徒競走】‥キヤウ‥🔗🔉

と‐きょうそう徒競走‥キヤウ‥ かけくらべ。かけっこ。徒歩競走とも言った。

と‐けい【徒刑】🔗🔉

と‐けい徒刑】 ①(→)に同じ。 ②旧刑法で重罪に科した刑。男は島に送って女は内地で、強制労働につかせた。有期と無期がある。「―場」 ③(→)懲役ちょうえきに同じ。

と‐こう【徒行】‥カウ🔗🔉

と‐こう徒行‥カウ 歩いてゆくこと。歩行。

と‐ざい【徒罪】🔗🔉

と‐ざい徒罪(→)「ず(徒)」に同じ。

と‐し【徒死】🔗🔉

と‐し徒死】 いたずらに死ぬこと。むだじに。いぬじに。

むだ【無駄・徒】🔗🔉

むだ無駄・徒】 役に立たないこと。益のないこと。また、そのもの。「―な出費」「努力が―になる」

むだ‐がね【無駄金・徒金】🔗🔉

むだ‐がね無駄金・徒金】 何の価値・効果もなく使ってしまった金。「―を使う」

むだ‐ぐち【無駄口・徒口】🔗🔉

むだ‐ぐち無駄口・徒口】 役に立たないおしゃべり。むだごと。「―をたたく」「―はやめろ」

むだ‐ごと【無駄言・徒言】🔗🔉

むだ‐ごと無駄言・徒言(→)「むだぐち」に同じ。

むだ‐ごま【無駄駒・徒駒】🔗🔉

むだ‐ごま無駄駒・徒駒】 将棋で、打っても益にならない駒。

むだ‐じに【無駄死に・徒死】🔗🔉

むだ‐じに無駄死に・徒死】 無益に死ぬこと。いぬじに。

むだ‐づかい【無駄遣い・徒遣い】‥ヅカヒ🔗🔉

むだ‐づかい無駄遣い・徒遣い‥ヅカヒ 金銭などをむだにつかうこと。浪費。「税金を―する」「エネルギーの―」

むだ‐ばな【無駄花・徒花】🔗🔉

むだ‐ばな無駄花・徒花】 雄花の称。咲いても実を結ばない花。あだばな。

むだ‐ぼね【無駄骨・徒骨】🔗🔉

むだ‐ぼね無駄骨・徒骨】 「むだぼねおり」の略。苦労した結果がむだに終わること。無益のほねおり。ほねおりぞん。徒労。「―を折る」「―に終わる」

[漢]徒🔗🔉

 字形  筆順 〔彳部7画/10画/教育/3744・454C〕 〔音〕(漢) ズ〈ヅ〉(呉) 〔訓〕かち・いたずらに・あだ [意味] ①乗り物に乗らずに歩く。かち。「徒歩・徒渉・徒競走」 ②何も持たない。何もしない。「徒手空拳くうけん・徒然」。役にたたない。むだ。あだ。いたずらに。「徒労・徒死・徒爾とじ・無為徒食」 ③つきしたがう者。従者。▶徒歩で供をする兵卒の意から。 ㋐でし。「徒弟・門徒・生徒・信徒・仏教徒」 ㋑ともがら。なかま。「学問の徒」「徒党・暴徒・凶徒・博徒ばくと」 ④刑罰の一つ。「徒刑・笞杖徒流死ちじょうずるし」 ⑤ただ。単に。…だけ。「徒善不足以為政=ただ善なるのみならばもって政をなすに足らず」〔孟子〕 [解字] 本字は。形声。「彳」(=ゆく)+音符「土」(=つち)+「止」(=あし)。土の上を一歩一歩あるく意。 [下ツキ 学徒・逆徒・凶徒・教徒・使徒・緇徒・囚徒・宗徒・酒徒・衆徒・信徒・聖徒・生徒・僧徒・賊徒・檀徒・博徒・反徒・仏徒・暴徒・門徒 [難読] 徒情あだなさけ・徒花あだばな・徒士かち・徒然つれづれ

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