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やま【山】🔗🔉

やま【山】 1 火山作用、侵食作用、造山作用によって地表にいちじるしく突起した部分。高くそびえたつ地形。また、それの多く集まっている地帯。山岳。古くは、神が住む神聖な地域とされ、信仰の対象とされたり、仏道などの修行の場とされたりもした。*古事記‐中・歌謡「平群の夜麻(ヤマ)の熊白檮(くまかし)が葉を」 2 特に植林地、伐採地としての山林。種々の産物を得たり、狩猟したりするための山林。*万葉‐七七九「板葺の黒木の屋根は山(やま)近し」 3 鉱石、石炭などを採掘する場所や諸施設。鉱山。*梅津政景日記‐慶長一七年三月八日「わきさし成共、<略>やまへは法度に候間」 4 (墓地が、多く山中、山麓に営まれたところからいう)墓場。墳墓。山陵。みやま。*源氏‐須磨「御山に参り侍るを。御言伝やと聞え給ふに」 5 土を盛り、石を積んで1に擬してつくったもの。築山。*源氏‐桐壺「もとの木立、山のたたずまひ、おもしろき所なりけるを」 6 高く盛りあがった状態、またはその物を1になぞらえていう語。 種々のものを多数または大量に盛り上げ、あるいは積み重ねた様子。うずたかい形。大きな堆積。「瓦礫の山」「借金の山」*蜻蛉‐上「山とつもれるしきたへの枕の塵も」物の凸起した状態。また、その部分。「帽子の山」*滑・浮世風呂‐三「鼈甲の櫛さ<略>山(ヤマ)の恰好から何から今風で」兜(かぶと)の鉢(はち)。灸(きゅう)のあとのはれているところ。 7 物事の程度がはなはだしいことのたとえ。程度が高い様子。*古今‐一〇五六「なげきこる山とし高くなりぬれば」 8 継続または連続している物事が頂点に達したのを、1の頂上にたとえていう。 文章や演芸などで、そのおもしろさが最高潮となるところ。また、一般に物事がいちばんよいと感ぜられるところ。絶頂。クライマックス。*滑・客者評判記‐上「わかりもせぬ狂言を、あそこが山だの爰が腹だのと」事の成りゆきにおいて、もっとも重大なところ。事の成否がきまるところ。山場。「今日明日が山だ」病気のもっとも危険な段階。峠。近世には、特に疱瘡(ほうそう)についていう。「山を越す」可能なかぎり。せいいっぱいのところ。関の山。 9 (1は高くゆるがないところから)仰ぎみるもの、頼りとするもの、または、目標とするもののたとえ。*後撰‐一三二七「かさとりの山とたのみし君をおきて」 10 祭礼に出る山車(だし)で、1の形に作った飾り物。京都の祇園祭では、鉾(ほこ)よりもおおむね小型で、真木(しんぎ)を立てず、構造の簡単なものをいう。多くは上に松を立て、根元に1をかたどったものを作る。舁(か)き山と曳(ひ)き山との二種類がある。また、山鉾の総称。 11 猪・鹿などを捕らえるために仕掛ける落とし穴。 12 遊女。女郎。 13 (鉱脈を探し当てることが、投機的な仕事であるところから)3から転じて、 思いがけない幸運をあてにすること。万一の幸運をねらって事を行うこと。投機的な仕事。また、その対象となる物事。やまごと。「山が中る(外れる)」*洒・蕩子筌枉解「おほきに泣くは、まったく山がそんじてのこととみへたり」確かな根拠がなく、偶然の的中をあてにしてする予想。特に、学生などが試験に出題される箇所を予想すること。また、その箇所。「山を掛ける(張る)」見せかけや誇張などで他人をあざむくこと。いんちき。はったり。 14 売切れ。品切れ。主に飲食物についていう。 15 犯罪事件をいう俗語。 比叡山延暦寺の称。天台の霊場としての比叡山。 〔接尾〕 1 山、特に山林や鉱山を数えるのに用いる。 2 盛り分けたものを数えるのに用いる。「一山百円」 〔語素〕 1 動植物の名の上につけて、それが同種類または類似のものに比して、野生のもの、あるいは山地に産するものであることを表す。「やますげ(山菅)」「やまどり(山鳥)」「やまもも(山桃)」など。 2 動詞、形容詞などに添えて、しゃれていう語。特に意味はない。近世、通人の間に用いられた。「ありがた山のほととぎす」*洒・南閨雑話「どふぞして飯を一っはい働山は、出来まいかの」 ●山=片付(かたづ)く[=片掛(かたか)く] 山に近く寄っている。一方が山に沿っている。片側が山に接している。*万葉‐一八四二「山片就(やまかたつき)て家居せる君」 ●山が=見(み)える[=見られる] 前途の見込みがつく。難所や困難な時期を乗り切って、将来の見通しが立つ。 ●山から里(さと) 物事があべこべであることのたとえ。 ●山高きが故(ゆえ)に貴(たっと)からず (「実語教」の「山高故不貴、以樹為貴」による)どんなに見かけがよくても、内容が伴わなければ立派なものではない。外観よりも実質が大切であることのたとえ。 ●山高く水(みず)長し 仁者、君子の徳が優れていることを、山があくまで高くそびえ、河水がとこしえに流れ続けることにたとえていう語。山高水長。 ●山と言えば川(かわ)と言う 人のことばに反対ばかりすることのたとえ。右といえば左。 ●山とし高(たか)し 山のように高い。年齢の多く積もることなどにいう。 ●山なす =やま(山)をなす ●山に千年(せんねん)海に千年 (山に千年住み、海に千年住んだ蛇は竜になるという俗説から)世の中の経験を十分に積んで物事の裏表に通じていること。また、そのようなしたたか者。海千山千。 ●山眠(ねむ)る 冬の山の静まりかえった形容。《季・冬》*俳・寛政句帖‐四年「君が代や風治りて山ねむる」 ●山の井(い) 山中の、湧水をたたえたところ。掘井戸に対して浅いところから、和歌では「浅い」の序詞の一部としても用いる。やまい。 ●山の神(かみ) ⇒親見出し ●山の口明(くちあけ) 共有山野の草木・果実などの採取の禁止を解くこと。山開(やまあけ)。 ●山の崎(さき) 山の突き出たところ。尾根の先端。山の鼻。 ●山の幸(さち) =やまさち(山幸) ●山の雫(しずく) 山の樹木などからしたたる雨露のしずく。 ●山の末(すえ) 山の頂。峰。また、山の奥。 ●山の裾(すそ) 山の麓。やますそ。山脚。 ●山の袖(そで) 山の重なったもの。山あいの袖。 ●山の撓(たお)り 山の尾根のくぼんだところ。山の鞍部。山のたわ。山たわ。*万葉‐四一二二「あしひきの夜麻能多乎理(ヤマノタヲリ)に」 ●山の司(つかさ) 1 山のもっとも高いところ。山の頂。頂上。 2 山林を管理する役人。山をつかさどるもの。また、かりゅうど。 ●山の手 ⇒親見出し ●山の刀禰(とね) (「刀禰」は山賊の長を戯れていう語)山賊のかしら。 ●山の錦(にしき) 秋、山の草木が美しく紅葉したさまをたとえていう語。《季・秋》 ●山の端(は) 山を遠くからながめたとき、山の空に接する部分。稜線(りょうせん)。 ●山の鼻(はな) 山の尾根の突き出た部分。山の先端。やまはな。山の崎。 ●山の額(ひたい) 山の差し出たところ。一説に、山の頂上に近いところ。山の小額。 ●山の辺(べ) ⇒親見出し ●山のもの 1 山にいるもの。山に住んでいるもの。 2 山に産するもの。山の産物。 ●山笑(わら)う 新緑や花などによって山全体がもえるように明るいさまになる。《季・春》*俳・笈の若葉「山笑ふ柳をしたふ名残かな」 ●山を当(あ)てる 1 埋蔵物のある山を掘り当てる。 2 転じて、可能性の少ないことを成就する。 ●山を鋳(い)海を煮る 山からは鉱物を採掘して金属を鋳る、海からは海水を煮て塩を採る。国内に産物が豊富であることのたとえ。 ●山を=掛(か)ける[=張る] 1 万に一つのしあわせをねらって事をする。また、当て推量で物をいう。 2 試験で、問題に出そうな箇所を推定する。 ●山をなす 山のような形をなす。物がうず高く積んである。やまなす。 ●山を抜(ぬ)く (「史記‐項羽本紀」の「力抜山兮気蓋世、時不利兮騅不逝」から)力が強大で山を抜き取るほどである。 ●山を踏(ふ)む 犯罪を実行することをいう俗語。

や‐ま【矢間】🔗🔉

や‐ま【矢間】 1 矢が立つ隙間。矢の立つ狭間(さま)。 2 =やざま(矢狭間)1

やま【夜摩】🔗🔉

やま【夜摩】 (梵Ymaの音訳。または梵Suyma須夜摩の略。善時・時分などと訳す)仏語。 夜摩天(やまてん)。また、その天の主。 =えんま(閻魔)

やま‐あい【山間】(‥あひ)🔗🔉

やま‐あい【山間】(‥あひ) 1 山と山との間。やまかい。さんかん。「山間の村」 2 馬の、頭の上の両耳の間の部分の名。

やま‐あい【山藍】(‥あゐ)🔗🔉

やま‐あい【山藍】(‥あゐ) 1 トウダイグサ科の多年草。本州、四国、九州の山地の樹林下に生える。高さ三〇センチメートルぐらい、葉は長柄をもち対生。葉身は長楕円形で縁に鈍い鋸歯がある。雌雄異株。春、葉腋から淡黄緑色の単性花を穂状につけた花序を出す。果実は球形で径六ミリメートルぐらい。古くは葉をしぼった液で、新嘗会の小忌衣(おみごろも)を染めるなど藍染料に用いた。漢名に山を当てる。やまい。 2 「りゅうきゅうあい(琉球藍)」の異名。 3 1を染料として摺り染めること。山藍摺り。また、その色。

やま‐あかがえる【山赤蛙】(‥あかがへる)🔗🔉

やま‐あかがえる【山赤蛙】(‥あかがへる) アカガエル科のカエル。体長五〜七センチメートル。ニホンアカガエルとともに一般にアカガエルと呼ばれるが、皮膚が粗く。色彩の斑紋が鮮明。東北地方では平地にすむが、その他の地域では山地にすむ。

やま‐あがり【山上】🔗🔉

やま‐あがり【山上】 1 村の困窮者が野山にはいって小屋をかけ、耕作したり薪を売ったりして生計をたて直すこと。また、その制度。 2 長崎県の対馬で、墓地の近くに喪屋をつくり遺族がこもること。 3 岡山県の真鍋島で、月経中の女性が忌小屋にはいること。

やま‐あざみ【山薊】🔗🔉

やま‐あざみ【山薊】 1 キク科の多年草。四国、九州の山地に生える。高さ一〜二メートル。葉はかたく羽状に分裂し縁にするどいとげが多い。秋、やや小形の淡紅紫色の頭状花を穂状につける。根は強壮・解毒・利尿薬に使われ、葉の煎汁は腫物(はれもの)に効くという。《季・秋》 2 「おどりこそう(踊子草)」の異名。

やま‐あじさい【山紫陽花】(‥あぢさゐ)🔗🔉

やま‐あじさい【山紫陽花】(‥あぢさゐ) ユキノシタ科の落葉低木。本州の福島県以西、四国、九州の山地に生える。高さ約一メートル。葉は柄をもち対生、長楕円形で長さ五〜一〇センチメートルになり、縁に鋸歯がある。夏、枝先に白い小さな五弁花が多数群がってつき、花序のまわりには径約二センチメートルの白色の装飾花が咲く。漢名、綉球・八仙花。さわあじさい。こがく。

やま‐あそび【山遊】🔗🔉

やま‐あそび【山遊】 山に行って遊ぶこと。野山を遊び歩くこと。《季・春》

やま‐あらし【山荒】🔗🔉

やま‐あらし【山荒】 1 (豪猪)ヤマアラシ科に属する哺乳類の総称。体長は普通五〇センチメートルぐらい。背面に長くて鋭いとげが一面にはえる。敵にあうと体をまるめて、とげをさかだて尾を振ってカラカラと音をたて、後ろ向きに突進して突き刺す。ヨーロッパ・アフリカ・インドなどに分布。昼は穴の中にこもり、夜出て草の実や根を食べる。 2 山を荒らすこと。山林で盗伐などをすること。また、その人。

やま‐あらし【山嵐】🔗🔉

やま‐あらし【山嵐】 1 山に吹く嵐。山から吹きおろす嵐。やまおろし。 2 柔道の投技の一つ。右手で相手の右の奥襟をつかみ、左手で右袖を外からつかみ、相手が右前隅の方に崩れてきた時、相手の体をつりあげるようにしながら、相手の右足のくるぶしのやや上部に自分の右足をあてて、相手の右前のすみに大きく投げるもの。

やま‐あららぎ【山蘭】🔗🔉

やま‐あららぎ【山蘭】 「こぶし(辛夷)」の古名。

やま‐あり【山蟻】🔗🔉

やま‐あり【山蟻】 1 山地に住む大形の蟻。《季・夏》 2 膜翅目アリ科のヤマアリ亜科に属するアリの総称。クロヤマアリ・クロオオアリ・トゲアリ・トビイロケアリなど日本に約三〇種知られる。山地に多い。

やま‐あるき【山歩】🔗🔉

やま‐あるき【山歩】 山を歩き回ること。山ぶみ。

やまい【病】(やまひ)🔗🔉

やまい【病】(やまひ) 1 (―する)病むこと。病気。いたつき。わずらい。疾病。「病いを養う」「恋の病い」*書紀‐皇極二年八月(岩崎本訓)「天皇皇祖母の命の臥病(みヤマヒし)たまひしより」 2 欠点。短所。きず。また、詩歌・文章などで修辞上きらうこと。*源氏‐玉鬘「和歌の髄脳、いと所せう、やまひさるべき所多かりしかば」 3 苦労のたね。気がかり。心配。*竹取「御こしはをれにけり。中納言は<略>それをやまひにていとよわく成給ひにけり」 ●病革(あらた)まる 病気が危篤に陥る。 ●病膏肓(こうこう)に入(い)る (「膏」は胸の下の方、「肓」は胸部と腹部との間の薄い膜。ともに治療しにくいところとされる。中国春秋時代、晋の公が病気になり、病気が二童子となって、肓の上と膏の下にかくれようと話している夢を見た。医者が診察すると、病根が肓の上と膏の下にはいってしまっているから治療できないといったという「春秋左伝‐成公一〇年」の故事による) 1 不治の病気にかかる。また、病気が重くなって治る見込みがなくなる。 2 ある物事に極端に熱中して、手のつけられないほどになる。 [補注]「肓」を「盲」と誤って「やまいこうもうにいる」と読み誤ることがある。 ●病は=気(き)から[=気より] 病気は気の持ちようで、重くもなるし軽くもなるということ。 ●病は口(くち)より入り禍(わざわい)は口より出(い)ず 病気は口からはいる飲食物によって生じ、禍いは口から出ることばを慎まないところから起こる。

やま‐い【山井】(‥ゐ)🔗🔉

やま‐い【山井】(‥ゐ) 山中にある井。山野に自然に水のわき出ている所。山の井。*宇津保‐楼上下「楼の南なる山井のしりひきたるに」

やま‐い【山居】(‥ゐ)🔗🔉

やま‐い【山居】(‥ゐ) 山に住むこと。また、その居所。山住み。さんきょ。

やまい【山藍】(やまゐ)🔗🔉

やまい【山藍】(やまゐ) 「やまあい(山藍)」の変化した語。和歌では、多く「山井」に掛けて用いる。*貫之集‐四「山ゐもてすれる衣の」

やま‐い【山藺】(‥ゐ)🔗🔉

やま‐い【山藺】(‥ゐ) カヤツリグサ科の多年草。各地の山地の日当たりのよい湿地に生える。高さ一〇〜五〇センチメートル。葉は狭線形。初夏、茎頂に緑褐色で卵状楕円形の小穂を単生。たまい。

やまい‐かぶり【病冠】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐かぶり【病冠】(やまひ‥) =やまいだれ(病垂)

やまい‐け【病気】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐け【病気】(やまひ‥) 病気の意味。病気らしい気配。

やま‐いし【山石】🔗🔉

やま‐いし【山石】 山から出る石。山にある石。

やまいそ‐あそび【山磯遊】🔗🔉

やまいそ‐あそび【山磯遊】 三月節供またはその前後の日に、村の人たちが弁当を持って野山や磯辺に遊びに行く年中行事。

やまい‐だ【病田】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐だ【病田】(やまひ‥) 耕作すると凶事があるなどといって耕作することを禁忌とする田。

やまい‐だおれ【病倒】(やまひだふれ)🔗🔉

やまい‐だおれ【病倒】(やまひだふれ) 病気になって倒れること。病気になって死ぬこと。

やま‐うばら🔗🔉

やま‐うばら 「しゅろそう(棕櫚草)」の古名。〔本草和名〕

やまい‐だか・し【病高し】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐だか・し【病高し】(やまひ‥) 〔形ク〕ちょっとした病気に大さわぎする。病気を大げさに考える。*類従本賀茂女集「見る人はさもこそやまひだかしそらめ」

やまい‐だれ【病垂】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐だれ【病垂】(やまひ‥) 漢字の垂(たれ)の一つ。「病」「痛」「疲」などの「」の部分をいう。やまいかぶり。やまいかむり。

やまい‐づか・す【病付かす】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐づか・す【病付かす】(やまひ‥) 〔自サ四〕(病気にかからせる意から)悩ます。苦します。また、おどかす。因縁をつける。*浄・傾城阿波の鳴門‐八「病(ヤマヒ)づかすは疫病の、神と名の付く奇特なり」

やまい‐づ・く【病付く】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐づ・く【病付く】(やまひ‥) 〔自カ四〕(古くは「やまいつく」)病気になる。病む。やみつく。*宇津保‐俊蔭「にはかに母かくれぬ、それをなげく程に父やまひつきぬ」

やま‐いぬ【山犬】🔗🔉

やま‐いぬ【山犬】 日本狼(にほんおおかみ)の別名。また、野生化して山に住む犬。《季・冬》

やまいぬ【病犬・疾犬】🔗🔉

やまいぬ【病犬・疾犬】 (「やまいいぬ」の意)病気の犬。狂犬病にかかっている犬。また、人にかみついたりする悪癖をもった犬。

やまいのそうし【病草紙・病草子】(やまひのサウシ)🔗🔉

やまいのそうし【病草紙・病草子】(やまひのサウシ) 絵巻物。一巻。紙本着色。平安末期から鎌倉初期の作。詞書は寂蓮、絵は常磐(ときわ)光長筆と伝える。種々の病気に悩む人物を描いた風俗画の一種。描線本位ののびやかな筆致で写実的。「やまいぞうし」とも。

やまい‐はちまき【病鉢巻】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐はちまき【病鉢巻】(やまひ‥) 病気のときにする鉢巻。とくに、歌舞伎の扮装の一種で、病体を示すためにする鉢巻。

やまい‐びと【病人】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐びと【病人】(やまひ‥) 病気にかかっている人。びょうにん。*落窪‐二「やまひ人になりぬべく歎く」

やまい‐め【病目・病眼】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐め【病目・病眼】(やまひ‥) =やみめ(病目)

やま‐いも【山芋】🔗🔉

やま‐いも【山芋】 =やまのいも(山芋)1

やまい‐もの【病者】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐もの【病者】(やまひ‥) 病人。

やまい‐よわ・い【病弱い】(やまひ‥)🔗🔉

やまい‐よわ・い【病弱い】(やまひ‥) 〔形口〕病気に対して弱い。「病い弱い人」

やま‐いわい【山祝】(‥いはひ)🔗🔉

やま‐いわい【山祝】(‥いはひ) 1 難所の山を越したときなど、酒宴をして祝うこと。 2 =やびらき(矢開)

やま・う【病まう】(やまふ)🔗🔉

やま・う【病まう】(やまふ) 〔自ハ四〕(動詞「やむ(病)」の未然形に反復・継続を表す助動詞「ふ」の付いてできたものか、あるいは、「やまい(病)」の動詞化か)ずっと病んでいる。病気になる。やもう。*永久百首‐恋「しられぬ恋にやまふ比哉」

やま‐うぐいす【山鶯】(‥うぐひす)🔗🔉

やま‐うぐいす【山鶯】(‥うぐひす) 1 山にすむ鶯。野生の鶯。 2 「やまるりそう(山瑠璃草)」の異名。

やま‐うさぎ【山兎】🔗🔉

やま‐うさぎ【山兎】 山にすむ、野生の兎。

やま‐うずら【山鶉】(‥うづら)🔗🔉

やま‐うずら【山鶉】(‥うづら) キジ科の中形の鳥。全長二五〜三〇センチメートル。尾は長くない。全体に茶褐色で下面は淡く、胸に大きな暗色斑がある。ユーラシア大陸に三種があり、ヨーロッパヤマウズラは狩猟鳥として著名で、北アメリカに輸入されて繁栄している。ドーリアヤマウズラはかつて誤ってシャコと呼ばれていた。

やま‐うつぎ【山空木】🔗🔉

やま‐うつぎ【山空木】 1 「くさぎ(臭木)」の異名。 2 「はこねうつぎ(箱根空木)」の異名

やま‐うつぼ【山空穂・山靫】🔗🔉

やま‐うつぼ【山空穂・山靫】 狩猟用の粗末な空穂。

やま‐うど【山人】🔗🔉

やま‐うど【山人】 ⇒やもうど(山人)

やまうど【病人】🔗🔉

やまうど【病人】 ⇒やもうど(病人)

やま‐うど【山独活】🔗🔉

やま‐うど【山独活】 山にはえている独活。野生の独活。《季・春》

やま‐うば【山姥】🔗🔉

やま‐うば【山姥】 1 深山に住むという鬼女。山に住み怪力を有するという女の化物。やまおんな。やまんば。 2 =やまんば(山姥)2 =やまんば(山姥)

やま‐うり【山売】🔗🔉

やま‐うり【山売】 1 山を売ること。また、鉱山の売買をすること。また、その人。 2 だましていんちきな物・にせ物などを売ること。また、その人。 3 山盛りにして売ること。一山(ひとやま)いくらと値段をつけて売ること。

やま‐うるし【山漆】🔗🔉

やま‐うるし【山漆】 1 ウルシ科の落葉小高木。各地の山地に生える。高さ三メートルぐらい。葉は枝先に集まり傘状に開く。奇数羽状複葉で一三〜一七個の小葉に分かれ、小葉は楕円形で長さ五〜一〇センチメートル。雌雄異株。夏、葉腋に多数の黄緑色の小さな五弁花を密集した円錐花房を出す。果実は径八ミリメートルぐらいの核果で、扁球形で粗毛を密生する。漆液を出すが少量で利用されない。やまはぜ。はぜのき。《季・夏》 2 「つたうるし(蔦漆)」の異名。

やま‐えみ【山笑】(‥ゑみ)🔗🔉

やま‐えみ【山笑】(‥ゑみ) 「なるこゆり(鳴子百合)」の古名。〔本草和名〕

やま‐お【山尾・山峰】(‥を)🔗🔉

やま‐お【山尾・山峰】(‥を) 山の峰。山の稜線。

やま‐お【山緒】(‥を)🔗🔉

やま‐お【山緒】(‥を) 鷹狩りで、鷹の捕らえた鳥を鳥柴(としば)などに結びつけるひも。

やまおか【山岡】(やまをか)🔗🔉

やまおか【山岡】(やまをか) 姓氏。

やまおか‐げんりん【山岡元隣】(やまをか‥)🔗🔉

やまおか‐げんりん【山岡元隣】(やまをか‥) 江戸前期の俳人、国学者。字は徳甫。別号を而慍斎、洛陽山人、抱甕斎。伊勢国(三重県)山田の商家の出身。幼時から病弱のため家業を廃して上京、北村季吟につき俳諧、国学を学んだ。また儒学、禅学にも通じ、さらに医学をも修めた。季吟門の逸材で、仮名草子、俳諧、古典注釈などに活躍した。著「他我身の上」「歌仙ぞろへ」「宝蔵」「徒然草鉄槌増補」など。(一六三一〜七二)

やまおか‐ずきん【山岡頭巾】(やまをかヅキン)🔗🔉

やまおか‐ずきん【山岡頭巾】(やまをかヅキン) 山仕事をする樵(きこり)や猟師などがかぶる、苧屑(おぐそ)でつくった頭巾。後には、八丈絹やビロード、または藺(い)でもつくった。

やまおか‐てっしゅう【山岡鉄舟】(やまをかテッシウ)🔗🔉

やまおか‐てっしゅう【山岡鉄舟】(やまをかテッシウ) 幕末・明治の政治家、剣客。江戸の人。旗本の家に生まれ、通称鉄太郎。千葉周作に剣を学び、無刀流の一派を創始。幕府倒壊に際し、西郷隆盛との交渉にあたり、勝・西郷会談への道を開いた。維新後は明治天皇の侍従などになった。(一八三六〜八八)

やま‐おく【山奥】🔗🔉

やま‐おく【山奥】 山の奥の方。山の奥深いところ。

やま‐おくり【山送】🔗🔉

やま‐おくり【山送】 なきがらを山へ送って葬ること。野辺送り。葬送。*百座法談‐三月二七日「五人の子とほく山をくりしてかへるに」

やま‐おこぜ【山】(‥をこぜ)🔗🔉

やま‐おこぜ【山】(‥をこぜ) 山の神がという海魚を好むというところから、山のの意で、山でとれる魚などの称。熊本県の山村では油身魚(あぶらめ)に似た魚、高知県の一部では山螺(やまにし)、岩手県遠野地方では山野の湿地にいる細長い巻き貝の一種などをいい、漁民が呪物として尊ぶ。

やま‐おだまき【山苧環】(‥をだまき)🔗🔉

やま‐おだまき【山苧環】(‥をだまき) キンポウゲ科の多年草。本州、四国、九州の山地に生える。高さ三〇〜七〇センチメートル。枝は褐紫色。根葉は長柄をもち二回三出複葉。小葉は広いくさび形で深く二〜三裂する。初夏、細長い距のある五弁花を下向きに開く。花弁は黄色で萼は紫褐色。

やま‐おとこ【山男】(‥をとこ)🔗🔉

やま‐おとこ【山男】(‥をとこ) 1 深山に住むという男の怪物。 2 山に住む猟師・樵(きこり)などの男。山地育ちの男。 3 登山を好み、長年山登りをしている男。

やま‐おろし【山颪】🔗🔉

やま‐おろし【山颪】 1 山から吹きおろす風。山おろしの風。 2 歌舞伎の下座音楽の一つ。大太鼓を長撥(ながばち)で打ち、山中の風が激しく樹木を吹き鳴らす音を象徴したもの。山中の場の幕開き、幕切れ、人物の出入りなどに用いる。 ●山颪の風(かぜ) 山から吹きおろす風。山おろし。山のおろし。おろし。

やま‐おんな【山女】(‥をんな)🔗🔉

やま‐おんな【山女】(‥をんな) 1 =やまうば(山姥)1 2 「あけび(通草)」の異名。

やま‐が【山家】🔗🔉

やま‐が【山家】 1 山にある家。山中の家。山里の家。 2 端女郎(はしじょろう)の異称。

やまが【山鹿】🔗🔉

やまが【山鹿】 熊本県北部の地名。菊池川中流域に発達した温泉都市。タバコ・蜜柑などを栽培。山鹿灯籠祭りでも知られる。昭和二九年市制。

やまが【山鹿】🔗🔉

やまが【山鹿】 姓氏。

やま‐かい【山峡】(‥かひ)🔗🔉

やま‐かい【山峡】(‥かひ) (「やまがい」とも)山と山との間の低くなった所。谷間。やまあい。*万葉‐三九六七「夜麻我比(ヤマガヒ)に咲ける桜を」

やま‐がえり【山回】(‥がへり)🔗🔉

やま‐がえり【山回】(‥がへり) 鷹が、山で年を越して羽毛がすっかり抜け替わること。また、その鷹。《季・秋》

やま‐がえる【山蛙】(‥がへる)🔗🔉

やま‐がえる【山蛙】(‥がへる) 「あかがえる(赤蛙)」の異名。

やま‐かがし【赤楝蛇・山楝蛇】🔗🔉

やま‐かがし【赤楝蛇・山楝蛇】 ヤマカガシ科の有毒ヘビ。体長約七〇センチメートル。体色はふつう背面が緑褐色で不規則な黒斑が並び、体側に赤い斑紋がある。頸部の隆起を強く押すと刺激性の強い黄色の液を出す。水田や水辺に多く、蛙・いもりなどを捕食し、怒るとくびの部分が赤く見える。従来、無毒とされてきたが有毒である。本州以南の各地に分布。からすへび。にしきへび。《季・夏》

やま‐かがち【蟒蛇】🔗🔉

やま‐かがち【蟒蛇】 (目が赤く丸いのを「かがち」になぞらえたもの)巨大な蛇。うわばみ。〔新撰字鏡〕

やま‐がき【山柿】🔗🔉

やま‐がき【山柿】 カキノキ科の落葉高木。本州、四国、九州の山地に生える。栽培されるカキの原種といわれ、果実はごく小さく、渋味が強い。

やま‐がく・す【山隠す】🔗🔉

やま‐がく・す【山隠す】 〔他サ四〕山に隠す。山の中に隠して他からは見えないようにする。人に死なれることをいう。*万葉‐四七一「家離かりいます吾妹(わぎも)を停めかね山隠(やまがくし)つれ心どもなし」

やま‐がく・る【山隠る】🔗🔉

やま‐がく・る【山隠る】 〔自ラ四〕山に隠れる。山に隔てられて見えなくなる。山に入りこもる。みやまがくる。 〔自ラ下二〕に同じ。*後撰‐一〇七四「山かくれ消えせぬ雪のわびしきは」

やま‐がくれ【山隠】🔗🔉

やま‐がくれ【山隠】 山に隠れること。山に隠れて見えないこと。また、その所。山かげ。

やま‐かけ【山掛】🔗🔉

やま‐かけ【山掛】 1 高く積み上げること。 2 山の芋をすりおろして料理にかけたもの。ぶつ切りの鮪(まぐろ)にかけたものは代表的。 3 「やまかけどうふ(山掛豆腐)」の略。 4 当て推量で事をすること。

やま‐かげ【山陰】🔗🔉

やま‐かげ【山陰】 山のために陰になること。また、その場所。山に包まれた所。山ぎわのところ。*万葉‐三七五「鴨そ鳴くなる山影(やまかげ)にして」

やま‐かげ【山影】🔗🔉

やま‐かげ【山影】 物に映る山の形。また、山の姿。

やまかけ‐どうふ【山掛豆腐】🔗🔉

やまかけ‐どうふ【山掛豆腐】 煮た豆腐にすりおろした山の芋をかけたもの。また、それを食べさせる店。いもかけどうふ。

やま‐かご【山駕籠】🔗🔉

やま‐かご【山駕籠】 昔、旅中、特に山道などで用いられた駕籠。竹で編み、底を円形に、屋根を網代(あじろ)に造り、垂れがなく、丸い棒や竹などを釣り手とした粗末なもの。山乗り物。山輿(やまごし)。

やま‐がさ【山笠】🔗🔉

やま‐がさ【山笠】 1 祭礼のときなどに用いる上部に飾り物をつけた笠。 2 福岡市にある櫛田神社の例祭に行われる追山の山車(だし)。《季・夏》

やま‐かじ【山火事】(‥クヮジ)🔗🔉

やま‐かじ【山火事】(‥クヮジ) 山で起きた火事。山焼け。山び。山燃え。《季・冬》

やま‐かしゅう【山何首烏】🔗🔉

やま‐かしゅう【山何首烏】 ユリ科のつる植物。本州、四国、九州の山地に生える。茎にかぎ状のとげがある。葉は有柄で一対の巻きひげをもち、葉身は長さ三〜五センチメートルの卵円形。晩春、葉腋に緑白色の小さな六弁花を数個ずつつける。果実は六ミリメートルくらいの球形で黒熟する。さいこくばら。さいかちばら。

やま‐がしら【山頭】🔗🔉

やま‐がしら【山頭】 青森県などで、田植えのとき、指図をしたり世話をしたりする役。また、その人。

やまが‐ずまい【山家住】(‥ずまひ)🔗🔉

やまが‐ずまい【山家住】(‥ずまひ) 山家に住んでいること。また、そのすまい。

やま‐かずら【山蔓・山鬘】(‥かづら)🔗🔉

やま‐かずら【山蔓・山鬘】(‥かづら) 1 植物「ひかげのかずら(日陰蔓)」の異名。 2 1で作ったかつら。 3 明け方、山の端にかかる雲。夜明けに山の稜線にたなびいて見える雲。*続千載‐七「あら玉の年の明行山かつら霞をかけて春はきにけり」 4 (3から転じて)明け方。早朝。

やまかずら‐かげ【山蔓陰】(やまかづら‥)🔗🔉

やまかずら‐かげ【山蔓陰】(やまかづら‥) 「ひかげのかずら(日陰蔓)」の異名。

やま‐かぜ【山風】🔗🔉

やま‐かぜ【山風】 1 山中を吹く風。また、山から吹きおろす風。山おろし。 2 夜間、谷間から平地に向かって吹き出してくる風。谷間の空気は放射冷却によって平地よりいっそう冷却するために生ずる。

やま‐かせぎ【山稼】🔗🔉

やま‐かせぎ【山稼】 山で、伐木・採薪・炭焼き・狩猟などをして生計をたてること。また、それをする人。

やまが‐そこう【山鹿素行】(‥ソカウ)🔗🔉

やまが‐そこう【山鹿素行】(‥ソカウ) 江戸前期の儒者、兵学者。古学の開祖。名は高祐。字は子敬。通称甚五左衛門。会津の人。儒学を林羅山に、兵学を北条氏長に学ぶ。古学を提唱し、朱子学を批判した「聖教要録」によって赤穂に配流された。また、山鹿流軍学の始祖。主著「武教要録」「武教全書」「中朝事実」「原源発録」など。(一六二二〜八五)

やまが‐そだち【山家育】🔗🔉

やまが‐そだち【山家育】 山家で成長すること。また、その人。

やま‐かた【山方】🔗🔉

やま‐かた【山方】 (「やまがた」とも) 1 山のある地方。山付きの村方。里方に対する山村、山林。 2 (「やま」は比叡山をさす)延暦寺に関すること。また、延暦寺の僧たち。 3 江戸時代、山村に居住して焼畑耕作などのかたわら山稼ぎを営む農民。一般に生産力が低いため、年貢賦課も軽微であった。

やまがた【山片】🔗🔉

やまがた【山片】 姓氏。

やま‐がた【山形・山型】🔗🔉

やま‐がた【山形・山型】 1 山のような形。中央が高くとがり、左右が斜めに下がっている形。 2 灌仏会に誕生仏の背後に飾る須弥山(しゅみせん)の作りもの。 3 射芸で、歩射の的の後方に立てる矢防ぎの布を垂らす台。 4 馬具で、鞍橋(くらぼね)の前輪(まえわ)や後輪(しずわ)の中央の高くなっているところ。 5 唐太刀(からたち)や飾り太刀の帯取(おびとり)を掛ける足金物(あしかなもの)の座につけた連山の形状を示す金物。燧金物(ひうちがなもの)とも。 6 折烏帽子(おりえぼし)の部分の名。ひなさきの上部で、正面から高く見える部分。頂を折り伏せた烏帽子の、もっとも高くそびえている部分。 7 紋所の名。山の形をかたどったもの。山形、入山形などがある。 8 屋号の上につける標識。<の形状で示すもので入山形、差金山形、花山形などがある。 (山形) 山形県東部の地名。県庁所在地。山形盆地の南部に発達した中世以来の城下町。江戸時代は領主の交替が多く衰退。機械・鋳物工業が中心。明治二二年市制。 「やまがたけん(山形県)」の略。

やまがた【山県】🔗🔉

やまがた【山県】 (「やまあがた」の変化)朝廷が直接に支配する、山の料地。転じて、山の畑。山地の畑。

やまがた【山県】🔗🔉

やまがた【山県】 姓氏。

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