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広辞苑の検索結果 (50)

あだ【仇・敵】🔗🔉

あだ仇・敵】 (室町時代までアタと清音) ①攻めて来る者。敵兵。万葉集6「―守る筑紫にいたり」 ②自分に害となるもの。かたき。宇津保物語藤原君「―は徳を持ちてとぞいふなる」。「―を討つ」「親切心がかえって―になる」 ③うらみ。遺恨。古今和歌集「形見こそ今は―なれ」。「恩を―で返す」 ⇒仇は情 ⇒仇を恩で報いる ⇒仇をなす

あだ【他・異】🔗🔉

あだ他・異】 ほか。別。余。〈天正十八年刊本節用集〉

あだ【徒・空】🔗🔉

あだ徒・空】 ①実じつのないこと。浮気。いたずら。伊勢物語「―なる心なかりけり」 ②はかないこと。かりそめ。古今和歌集哀傷「花よりも人こそ―になりにけれ」

あ‐だ【婀娜】🔗🔉

あ‐だ婀娜】 ①女の美しくたおやかなさま。白氏文集「春態紛として―たり」。太平記20「しをれ伏したる気色の、折らば落ちぬべき萩の露、拾はば消えなん玉ざさのあられよりなほ―なれば」 ②色っぽくなまめかしいさま。洗練されて粋なさま。梅暦「一日増しに―になるおめへを」。「―な姿」

アダージェット【adagietto イタリア】🔗🔉

アダージェットadagietto イタリア】 〔音〕速度標語。アダージョよりやや速い。

アダージョ【adagio イタリア】🔗🔉

アダージョadagio イタリア】 〔音〕速度標語。「ゆるやかに」の意。アンダンテとラルゴとの中間。

あだ‐あだ・し【徒徒し】🔗🔉

あだ‐あだ・し徒徒し】 〔形シク〕 実じつがない。不誠実だ。浮気っぽい。源氏物語澪標「―・しきすぢなど、疑はしき御心ばへにはあらず」

あだ‐いのち【徒命】🔗🔉

あだ‐いのち徒命】 はかない命。謡曲、悪源太「けふありとても―」

あだ・う【徒ふ】アダフ🔗🔉

あだ・う徒ふアダフ 〔自下二〕 (「徒あだ」を動詞化した語)ふざける。わるふざけをする。源氏物語夕霧「すずろにかく―・へ隠して」

あだ‐うち【仇討】🔗🔉

あだ‐うち仇討】 ①主君や父などを殺した者を討ちとって報復すること。かたきうち。中世・近世に盛んに行われたが、1873年(明治6)太政官布告により禁止された。「曾我兄弟の―」 ②転じて、先の負け戦の恥を、勝ってすすぐこと。「今度の試合で―をするぞ」 ⇒あだうち‐きょうげん【仇討狂言】

あだうち‐きょうげん【仇討狂言】‥キヤウ‥🔗🔉

あだうち‐きょうげん仇討狂言‥キヤウ‥ 仇討を題材とする浄瑠璃・歌舞伎劇。曾我物・忠臣蔵など近世演劇で重要な一分野をなす。仇討物。 ⇒あだ‐うち【仇討】

あだ‐おろそか【徒疎か】🔗🔉

あだ‐おろそか徒疎か】 (「あだにもおろそかにも」の意で、同意の語を重ねて強めたもの。打消の語を伴う)粗末にするさま。いい加減にするさま。かりそめ。浮世風呂「一文の銭も―には儲りませぬ」

あだ・く【徒く】🔗🔉

あだ・く徒く】 〔自下二〕 うわつく。浮気な気持でいる。源氏物語槿「うち―・け過ぎたる人の」

あだ‐くち【徒口】🔗🔉

あだ‐くち徒口】 実意のない言葉。むだぐち。魯庵、犬物語「犬公方いぬくぼうと下々の―に呼ばれた位だから」 ⇒あだくち‐ねんぶつ【徒口念仏】

あだくち‐ねんぶつ【徒口念仏】🔗🔉

あだくち‐ねんぶつ徒口念仏】 信仰心のない、口先だけの念仏。空から念仏。 ⇒あだ‐くち【徒口】

あだ‐くね🔗🔉

あだ‐くね うちとけないこと。わだかまり。不和。源平盛衰記19「和殿は我には甥、我は和殿に姨母おば、此の中には殊なる―なし」

あだ‐ぐも【徒雲】🔗🔉

あだ‐ぐも徒雲】 やがて消えるはかない雲。浮雲。夫木和歌抄16「―もなき冬の夜の空なれば」

あだ‐くらべ【徒競べ】🔗🔉

あだ‐くらべ徒競べ】 ①互いに浮気心があると言い合うこと。伊勢物語「―互かたみにしける男女の」 ②互いにはかなさ、もろさをくらべ合うこと。男色大鑑「―とや月の夜の雨、花盛りの風」

あだ‐ぐるま【徒車】🔗🔉

あだ‐ぐるま徒車】 乗って女の所へかよったが、恋は成らず、かいのなかった車。むだぐるま。浄瑠璃、双生隅田川「百夜車ももよぐるまの―」

あだけ【徒け】🔗🔉

あだけ徒け】 (アダクの連用形から転じた名詞か。アダにケ(気)が付いたとも)うわついたこと。浮気。源氏物語槿「今さらの御―も、かつは、世のもどきをも思しながら」

あだ‐げ【徒げ】🔗🔉

あだ‐げ徒げ】 はかなそうなこと。もろそうなこと。宇治拾遺物語3「門などもかたかたは倒れたる、よこざまによせかけたる所の―なるに」

あだ・ける🔗🔉

あだ・ける 〔自下一〕 (西日本で)落ちる。

あだ‐こい【徒恋】‥コヒ🔗🔉

あだ‐こい徒恋‥コヒ むなしい恋。浄瑠璃、嫗山姥こもちやまうば「立者たてものといはれし程の全盛の末もとげぬ―に」

あだ‐ごころ【徒心・他心】🔗🔉

あだ‐ごころ徒心・他心】 浮気な心。実じつがなく移りやすい心。あだしごころ。竹取物語「―つきなば」

あだ‐ごと【徒言】🔗🔉

あだ‐ごと徒言】 ①実じつのない言葉。あだくち。新古今和歌集「―の葉におく露の消えにしを」 ②むだな言葉。

あだ‐ごと【徒事】🔗🔉

あだ‐ごと徒事】 ①実じつのないこと。つまらないことがら。源氏物語帚木「折節にし出でんわざの―にも実事まめごとにも」 ②浮気な行為。色事。源氏物語絵合「世の常の―のひきつくろひ飾れるにおされて」

あだ‐ざくら【徒桜】🔗🔉

あだ‐ざくら徒桜】 散りやすく、はかない桜花。親鸞聖人絵詞伝「あすありと思ふ心の―夜半に嵐の吹かぬものかは」

あだ・し【他し・異し・徒し・空し】(形シク)🔗🔉

あだ・し他し・異し・徒し・空し】 〔形シク〕 (古くはアタシ) ①《他・異》異なっている。ほかのものである。別である。万葉集10「君に逢へる夜ほととぎす―・し時ゆは今こそ鳴かめ」 ②《徒・空》空しい。実じつがない。はかない。栄華物語本雫「露をだに―・しと思ひて」。栄華物語玉台「殿の御前の御声は、…―・しう聞えたり」

アダジオ【adagio イタリア】🔗🔉

アダジオadagio イタリア⇒アダージョ

あだ‐じおがら・い【あだ塩辛い】‥ジホ‥🔗🔉

あだ‐じおがら・いあだ塩辛い‥ジホ‥ 〔形〕 (食品・料理に)塩けがなじまず、いやにからい。

あだし‐おとこ【他し男・徒し男】‥ヲトコ🔗🔉

あだし‐おとこ他し男・徒し男‥ヲトコ ①ほかの男。特に、情夫。 ②実意のない男。薄情な男。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐おんな【他し女・徒し女】‥ヲンナ🔗🔉

あだし‐おんな他し女・徒し女‥ヲンナ ①ほかの女。特に、情婦。 ②浮気な女。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐が‐はら【徒しが原】🔗🔉

あだし‐が‐はら徒しが原】 無常の原の意。徒野あだしの⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ぐさ【仇し種・仇し草】🔗🔉

あだし‐ぐさ仇し種・仇し草】 仇となるもと。禍根。浄瑠璃、鑓の権三重帷子「しんきしんきの空悋気、終に我身の―」

あだし‐くに【他し国】🔗🔉

あだし‐くに他し国】 ほかの国。外国。異国。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐けむり【徒し煙】🔗🔉

あだし‐けむり徒し煙】 はかない煙。火葬場の煙などにいう。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ごころ【他し心・徒し心】🔗🔉

あだし‐ごころ他し心・徒し心】 浮気な心。古今和歌集東歌「君をおきて―をわが持たば」 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ごと【他し事・徒し事】🔗🔉

あだし‐ごと他し事・徒し事】 ほかの事。むだな事。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ことば【徒し言葉】🔗🔉

あだし‐ことば徒し言葉】 実じつのない言葉。あてにならない言葉。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐たまくら【他し手枕・徒し手枕】🔗🔉

あだし‐たまくら他し手枕・徒し手枕】 他人の手枕。かりそめにほかの人と契ることにいう。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐ちぎり【徒し契り】🔗🔉

あだし‐ちぎり徒し契り】 はかない約束。末とげられぬちぎり。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐な【徒し名】🔗🔉

あだし‐な徒し名】 浮き名。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐なさけ【徒し情け】🔗🔉

あだし‐なさけ徒し情け】 あてにならない情。変わりやすい情。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐の【徒野・仇野・化野】🔗🔉

あだし‐の徒野・仇野・化野】 ①京都の嵯峨さがの奥、小倉山の麓の野。「あだし」にかけて、はかない物事の象徴となる。火葬場のあった地として鳥部野とともに有名。源氏物語手習「―の風になびくな女郎花」。徒然草「―の露きゆる時なく」 徒野 撮影:的場 啓 ②転じて、火葬場または墓場。父の終焉日記「おのおの卯木うつぎの箸折りて―にむかふ」

あだし‐びと【他し人】🔗🔉

あだし‐びと他し人】 ほかの人。たにん。允恭紀「是の歌―にな聆かせそ」 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐み【徒し身】🔗🔉

あだし‐み徒し身】 はかない身。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐みやび【徒し雅】🔗🔉

あだし‐みやび徒し雅】 次々と風流を求めてうつりゆくこと。 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだし‐よ【徒し世】🔗🔉

あだし‐よ徒し世】 はかない世。無常の世。千載和歌集「何―に生ひそめにけむ」 ⇒あだし【他し・異し・徒し・空し】

あだ‐じょうるり【徒浄瑠璃】‥ジヤウ‥🔗🔉

あだ‐じょうるり徒浄瑠璃‥ジヤウ‥ 口から出まかせに語る浄瑠璃。

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あだ【仇】🔗🔉

あだ [2] 【仇】 〔近世初期頃まで「あた」と清音〕 (1)かたき。うらみのある相手。「―を討つ」「不倶戴天の―/浮雲(四迷)」 (2)うらみ。怨恨(エンコン)。「反対されたのを―に思う」 (3)害をなすもの。害悪。「好意がかえって―になる」

あだ【徒】🔗🔉

あだ [2] 【徒】 (形動)[文]ナリ (1)実を結ばないさま。かいのないさま。むだ。「せっかくの好意を―にしてはいけない」「親切のつもりが―となる」 (2)誠実さに欠け,うわついているさま。「是(コレ)素(モト)より―なる恋にはあらで/金色夜叉(紅葉)」 (3)はかなくもろいさま。「花よりも人こそ―になりにけれ/古今(哀傷)」 (4)扱いがおろそかなさま。粗略。「たしかに御枕上に参らすべき祝ひの物にて侍る。あなかしこ,―にな/源氏(葵)」 (5)役に立たないさま。つまらないさま。「荒れたる軒に生ひたる―なる草なれども/十訓 8」 (6)俳論用語。蕉風俳諧で,無邪気でユーモラスな詩趣のこと。「伊賀の作者,―なる処を作して尤なつかし/去来抄」

あ-だ【婀娜】🔗🔉

あ-だ [0] 【婀娜】 ■一■ (形動)[文]ナリ 女の,なまめかしく美しいさま。色っぽいさま。「―な年増(トシマ)」「お島さんか,―な名だ/多情多恨(紅葉)」 ■二■ (形動タリ) {■一■}に同じ。「その姿の―たるは/鬼啾々(夢柳)」

アダージェット(イタリア) adagietto🔗🔉

アダージェット [2] (イタリア) adagietto 音楽の速度標語の一。アダージョよりやや速く演奏せよの意。

アダージョ(イタリア) adagio🔗🔉

アダージョ [2] (イタリア) adagio 音楽の速度標語の一。ゆるやかに演奏せよの意。ラルゴとアンダンテの中間の速さ。また,その速さで演奏する曲や楽章。アダジオ。

あた-あた【熱熱】🔗🔉

あた-あた 【熱熱】 (感) 〔「あつあつ」の転〕 熱い熱い。「ただのたまふ事とては―とばかりなり/平家 6」

あだあだ・し【徒徒し】🔗🔉

あだあだ・し 【徒徒し】 (形シク) (1)不誠実である。誠がない。「露ばかり―・しう,後めたき心にも侍らず/浜松中納言 3」 (2)浮気っぽい。移り気だ。「たはぶれに―・しき御心なし/栄花(様々の悦)」

あたい・する【価する・値する】🔗🔉

あたい・する アタヒ― [0] 【価する・値する】 (動サ変)[文]サ変 あたひ・す (多く「…にあたいする」の形で名詞や動詞の連体形を受けて)それだけのねうちがある。「賞賛に―・する」「一見に―・する」「読むに―・しない」

あだ・う【徒ふ】🔗🔉

あだ・う アダフ 【徒ふ】 (動ハ下二) 〔「あだ(徒)」を動詞化した語〕 たわむれる。ふざける。「すずろにかく―・へかくして/源氏(夕霧)」

あだ-うち【仇討ち】🔗🔉

あだ-うち [0][3] 【仇討ち】 (1)自分の主君・父などを殺害した者を仕返しに殺すこと。かたきうち。意趣討ち。武家時代には儒教的・武士道的観念から盛んに行われたが,1873年(明治6)太政官布告により禁止された。 (2)一般に,仕返し。

あだうち-きょうげん【仇討狂言】🔗🔉

あだうち-きょうげん ―キヤウ― [5] 【仇討狂言】 仇討物の浄瑠璃・歌舞伎作品。敵討(カタキウチ)狂言。

あだうち-もの【仇討物】🔗🔉

あだうち-もの 【仇討物】 仇討ちを主題とする謡曲・浄瑠璃・歌舞伎・講談など。曾我物・忠臣蔵物・伊賀越物などの作品が多い。敵討(カタキウチ)物。

あたえ【与え】🔗🔉

あたえ アタヘ [0] 【与え】 与えること。また,その物。めぐみ。「天の―」

あだ-おろそか【徒疎か】🔗🔉

あだ-おろそか [4] 【徒疎か】 (形動)[文]ナリ 「あだやおろそか」に同じ。 →あだ

あたか【安宅】🔗🔉

あたか 【安宅】 (1)石川県小松市の北西部,日本海に面する小漁港。北陸道の旧宿駅。安宅の関の遺址(イシ)といわれる所がある。 (2)能の一。四番目物。作者未詳(観世信光作とも)。作り山伏となって奥州へ向かう義経主従が,安宅の関で関守の富樫(トガシ)某にとがめられるが,弁慶の機転で危うく通りぬけるという筋。「義経記」などによる。歌舞伎「勧進帳」の典拠。

あたか-の-せき【安宅の関】🔗🔉

あたか-の-せき 【安宅の関】 小松市安宅にあったという関。謡曲「安宅」,歌舞伎「勧進帳」で有名。

あたか-の-まつ【安宅松】🔗🔉

あたか-の-まつ 【安宅松】 歌舞伎舞踊の一。長唄。本名題「隈取(クマドリ)安宅松」。富士田吉次作曲。1769年市村座初演。弁慶が安宅の松のあたりを行き,草刈り童二人と踊り,都扇を与えて奥州への近道を教えてもらうというもの。

あだ・く【徒く】🔗🔉

あだ・く 【徒く】 (動カ下二) 浮気な振る舞いをする。うわつく。「うち―・けすきたる人の/源氏(朝顔)」

あたくし【私】🔗🔉

あたくし [0] 【私】 (代) 〔「わたくし」の転〕 一人称。「あたし」より丁寧で,「わたくし」よりはややくだけた言い方。主に女性が用いる。

あたけ【安宅】🔗🔉

あたけ 【安宅】 「安宅船(アタケブネ)」の略。[日葡]

あたけ-まる【安宅丸】🔗🔉

あたけ-まる 【安宅丸】 1635年江戸幕府が向井将監に建造させた安宅船型式の最大の軍船。和洋折衷構造の船体の外側を銅板で囲み,二重の矢倉と二層の天守を設け,強力な攻防力をもち,船首を竜頭で飾る。全長約62メートル,排水量1700トン程度で,一〇〇挺(チヨウ)の艪(ロ)を備え水夫は二〇〇人という巨船であったが,戦いの機会はなく維持も困難なため1682年に解体された。天下丸。

あた・ける🔗🔉

あた・ける (動カ下一) 〔「あだける」とも〕 暴れまわる。当たり散らす。「嘉六が例の生酔(ナマエイ)で―・けたかと思ひやした/滑稽本・浮世床(初)」

あだ-ごころ【徒心・他心】🔗🔉

あだ-ごころ 【徒心・他心】 浮気な心。あだしごころ。「深き心も知らで―つきなば/竹取」

あだ-こと【徒言】🔗🔉

あだ-こと 【徒言】 実のない言葉。うそ。「―の葉におく露の消えにしを/新古今(恋五)」

あだ-ごと【徒事】🔗🔉

あだ-ごと 【徒事】 (1)深い意味のないこと。つまらないこと。「年ごろ,まめごとにも―にも召しまつはし/源氏(若菜下)」 (2)色ごと。情事。「世の常の―の,ひきつくろひ飾れるにおされて/源氏(絵合)」 (3)むだなこと。役に立たないこと。「十八年の願ひも―/歌舞伎・助六」

あだ-ざくら【徒桜】🔗🔉

あだ-ざくら 【徒桜】 はかなく散ってしまう桜の花。「浮世の春の―,風吹かぬ間もあるべきか/謡曲・墨染桜」

あだし【他し・異し】🔗🔉

あだし 【他し・異し】 〔古くは「あたし」〕 名詞の上に付いて,異なる,他の,の意を表す。「逢ひ難き君に逢へる夜ほととぎす―時ゆは今こそ鳴かめ/万葉 1947」 〔形容詞とする説もあるが,活用した確かな用例はない。→あだし(徒)〕

あだし-ごと【他し事】🔗🔉

あだし-ごと [0][3] 【他し事】 他の事。余事。「―はさて置き(=ソレハサテオキ。話題ヲ転ズル時ニ言ウ語)」

あだし-たまくら【他し手枕】🔗🔉

あだし-たまくら 【他し手枕】 他人の手枕。夫・妻または恋人以外の異性と共寝すること。「―我まかめやも/万葉 2451」

あだし【徒し・空し】🔗🔉

あだし 【徒し・空し】 名詞の上に付く。 (1)実意が伴わない,浮気な,の意を表す。「なほざりの―言の葉たのまじと/玉葉(恋三)」 (2)はかない,かりそめの,の意を表す。「―この身を煙となさば/松の葉」 〔「あだ(徒)」の形容詞化と考えられるが,古く活用した確かな用例はない。ただし,近世には「あだしき」などと活用した例がまれに現れる。後世には「あだし(他)」という語と紛れることがあった〕

あだし-おとこ【徒し男】🔗🔉

あだし-おとこ ―ヲトコ [4] 【徒し男】 真心のない男。浮気男。

あだし-おんな【徒し女】🔗🔉

あだし-おんな ―ヲンナ [4] 【徒し女】 真心のない女。浮気女。

あだし-ごころ【徒し心】🔗🔉

あだし-ごころ 【徒し心】 変わりやすい心。浮気心。あだごころ。「君をおきて―をわがもたば/古今(東歌)」

あだし-ごと【徒し事】🔗🔉

あだし-ごと 【徒し事】 むだなこと。つまらないこと。

あだし-な【徒し名】🔗🔉

あだし-な 【徒し名】 浮き名。艶聞(エンブン)。「世に広がりし―を/浄瑠璃・今宮心中(下)」

アダジオ(イタリア) adagio🔗🔉

アダジオ [2] (イタリア) adagio ⇒アダージョ

あだし-の【徒野・仇野・化野】🔗🔉

あだし-の 【徒野・仇野・化野】 (1)京都市右京区嵯峨,小倉山のふもとの野。火葬場のあった地として,東山の鳥辺野とともに有名。((歌枕))「―の露吹みだる秋風になびきもあへぬ女郎花かな/金葉(秋)」 (2)墓地。「灰寄せなりとて,おの卯木(ウツギ)の箸折りて,―にむかふ/父の終焉日記」

あだ・す🔗🔉

あだ・す (動サ四) 荒らす。他の動詞の連用形の下に付いて,その動作をはげしくする意に用いる。「天雲をほろに踏み―・し鳴る神も/万葉 4235」

あだ・する【寇する・仇する】🔗🔉

あだ・する [2][3] 【寇する・仇する】 (動サ変)[文]サ変 あだ・す 〔「あたする」とも〕 (1)危害を加える。「家に―・する敵/婦系図(鏡花)」 (2)敵対する。はむかう。「王は外道に党(カタチワ)へり。其れ―・す可けむや/大唐西域記(長寛点)」

あたたか・い【暖かい・温かい】🔗🔉

あたたか・い [4] 【暖かい・温かい】 (形)[文]ク あたたか・し 〔形容動詞「あたたか」の形容詞化したもの。近世以降の語〕 (1)気温や温度が程よい。あったかい。「―・い日ざし」 (2)金銭が十分ある。あったかい。「懐が―・い」 (3)愛情や思いやりがある。 ⇔冷たい 「―・い手をさしのべる」 [派生] ――げ(形動)――さ(名)――み(名)

あたたけ・し【暖けし】🔗🔉

あたたけ・し 【暖けし】 (形ク) 暖かである。「―・き春の山べに花のみぞ/千里集」

あたた-し・い🔗🔉

あたた-し・い (形) 〔中世語。「あたた」は「あたあた」の意〕 程度がはなはだしい。「項羽は―・い勢であつたが/史記抄 12」

あたた・む【暖む・温む】🔗🔉

あたた・む 【暖む・温む】 (動マ下二) ⇒あたためる

あだたら-まゆみ【安達太郎檀弓・安太多良真弓】🔗🔉

あだたら-まゆみ 【安達太郎檀弓・安太多良真弓】 古代,陸奥(ムツ)国安達郡(今の福島県二本松市付近)あだたらの地で産した弓。安達(アダチ)の真弓。「陸奥(ミチノク)の―はじき置きて/万葉 3437」

あだたら-やま【安達太良山】🔗🔉

あだたら-やま 【安達太良山】 福島県北部にある火山。1900年(明治33)に大噴火した。海抜1700メートル。山麓に多くの温泉がある。乳首(チクビ)山。

あだち【安達】🔗🔉

あだち 【安達】 姓氏の一。

あだち-かげもり【安達景盛】🔗🔉

あだち-かげもり 【安達景盛】 (?-1248) 鎌倉時代の武将。源頼朝に仕え,幕府創設に活躍。出羽介。執権北条経頼・時頼の外祖父として幕政に深く関与。1247年,政敵三浦一族を滅ぼす。

あだち-けんぞう【安達謙蔵】🔗🔉

あだち-けんぞう ―ケンザウ 【安達謙蔵】 (1864-1948) 政治家。肥後の生まれ。立憲同志会・憲政会・民政党を率いて総選挙に圧勝,「選挙の神様」と称された。逓相・内相を歴任。満州事変以降は挙国一致体制を提唱し,国民同盟総裁・大政翼賛会顧問などを歴任。

あだち-しき【安達式】🔗🔉

あだち-しき 【安達式】 生け花の流派。池坊門下の安達潮花により1917年(大正6)に創流。デザインとしての生け花を追求し,多くの花型が定められている。

あだち-ちょうか【安達潮花】🔗🔉

あだち-ちょうか ―テウクワ 【安達潮花】 (1887-1969) 生け花の家元。広島生まれ。大正初期に洋風の装飾性を生かした盛り花や斬新な投げ入れを始め,安達式挿花を創始。

あだち-やすもり【安達泰盛】🔗🔉

あだち-やすもり 【安達泰盛】 (1231-1285) 鎌倉時代の武将。秋田城介・引付衆・評定衆などを務めたが,1285年11月,外孫北条貞時が執権の時,内管領平頼綱の讒言(ザンゲン)によって一族が討伐された(霜月騒動)。

あだち【足立】🔗🔉

あだち 【足立】 東京都北東部,二三区の一。北は埼玉県に接する。住宅・工場の混在地区。

あだち【足立】🔗🔉

あだち 【足立】 姓氏の一。

あだち-げんいちろう【足立源一郎】🔗🔉

あだち-げんいちろう ―ゲンイチラウ 【足立源一郎】 (1889-1973) 洋画家。大阪生まれ。日本美術院洋画部同人を経て,春陽会の創立に参画。山岳画家として知られる。著「山は屋上から」など。

あだち-ぶんたろう【足立文太郎】🔗🔉

あだち-ぶんたろう ―ブンタラウ 【足立文太郎】 (1865-1945) 人類学者・解剖学者。静岡県生まれ。京大教授。解剖学専攻。血管・筋肉・皮膚など軟部組織を研究。日本人の人種的特徴の究明に貢献。体臭・耳垢(ジコウ)の研究でも知られる。著「日本人体質の研究」など。

あだち-が-はら【安達ヶ原】🔗🔉

あだち-が-はら 【安達ヶ原】 (1)〔「あだちのはら」とも〕 福島県安達太良山東麓(トウロク)の野。鬼女伝説で名高い。安達の原。((歌枕))「みちのくの―の黒塚に鬼こもれりといふはまことか/拾遺(雑下)」 (2)能の曲名。五番目物。山伏一行が安達ヶ原の鬼女の家に泊まり,食い殺されそうになるが,祈り伏せるというもの。黒塚。

あだち-の-まゆみ【安達の真弓】🔗🔉

あだち-の-まゆみ 【安達の真弓】 「安達太郎檀弓(アダタラマユミ)」に同じ。「みちのくの―わがひかば/古今(大歌所)」

あだ-つ・く【徒付く】🔗🔉

あだ-つ・く 【徒付く】 (動カ四) (1)異性にたわむれかかる。いちゃつく。「―・いた客ははしごでどうつかれ/柳多留 1」 (2)異性に対する思いで落ち着きがなくなる。「うぬがやうないい男がちらつくと,女郎衆が―・いてならぬ故/黄表紙・艶気樺焼」

アダックスaddax🔗🔉

アダックス [2] addax ウシ科の哺乳類。砂漠にすむレイヨウの一種。肩高1メートルほど。体は灰褐色で,腹部は白く,ねじれた長い角をもち,姿が美しい。サハラ西部にのみ少数が分布。

あだっ-ぽ・い【婀娜っぽい】🔗🔉

あだっ-ぽ・い [4] 【婀娜っぽい】 (形) 美しくなめまかしい。色っぽい。「―・い姿をした湯帰りの芸者/羹(潤一郎)」 [派生] ――さ(名)

あだて🔗🔉

あだて 江戸時代,九州地方の海運で使われた百石積みから七百石積みの廻船。船首を箱型にした点が特徴。

あだて【当】🔗🔉

あだて 【当】 (1)めあて。あてど。「今で請け出す―はなし/浄瑠璃・氷の朔日(上)」 (2)手段。てだて。よすが。「傍に拡げし書付に,主をはごくむ―とあるが/浄瑠璃・富士見西行」

あだ-な【徒名・仇名】🔗🔉

あだ-な [0][2] 【徒名・仇名】 (1)男女関係についてのうわさ。色事の評判。艶聞(エンブン)。浮き名。「―が立つ」 (2)根拠のない,悪いうわさ。ぬれぎぬ。「急ぎ首取り御分が―を清めてくれよ/浄瑠璃・主馬判官」

あだ-な【渾名・綽名】🔗🔉

あだ-な [0] 【渾名・綽名】 (名)スル 〔「あだ」は他・別の意〕 (1)本名のほかに,その人の容姿・性行などの特徴をとらえてつけた別の名前。愛称や蔑称としてつけた名。ニックネーム。「―をつける」 (2)別の名で呼ばれること。「南海の竜と―される男」

あだ-な・い🔗🔉

あだ-な・い (形)[文]ク あだな・し 〔中世後期から近世へかけての語〕 (1)〔「あだ(徒)」に接尾語「ない」の付いた形〕 はかない。「人間と申す者は…稲妻の光よりなほ―・いものにて/狂言・呂蓮」 (2)〔「あどない」の転〕 無邪気である。「女心の―・く,今の仏勅に泪(ナミダ)を流し/浮世草子・新色五巻書」

あだ-なさけ【徒情け】🔗🔉

あだ-なさけ [3] 【徒情け】 (1)むだな情け。 (2)むなしい恋。

あだ-な・す【仇なす】🔗🔉

あだ-な・す [3] 【仇なす】 (連語) 敵対したり害を与えたりする。あだをなす。「主君に―・す不忠者」

あだ-の-おおの【阿太の大野】🔗🔉

あだ-の-おおの ―オホノ 【阿太の大野】 大和国宇智(今の奈良県五条市東部)の野。ハギの名所。((歌枕))「ま葛原なびく秋風吹くごとに―の萩の花散る/万葉 2096」

あだ-ばな【徒花】🔗🔉

あだ-ばな [0] 【徒花】 (1)咲いても実を結ばない花。外見ははなやかでも実質を伴わないもののたとえにもいう。「せっかくのヒットも―になる」 (2)季節はずれに咲く花。狂い咲き。[日葡] (3)祝儀として渡す紙纏頭(カミバナ)で,あとで現金にかえるつもりのないもの。「外聞ばかりの―を出し/浮世草子・椀久二世(上)」 (4)咲いてすぐ散る,はかない花。特に,桜の花。「風をだに待つ程もなき―は/夫木 4」

あだ-びと【他人】🔗🔉

あだ-びと [0] 【他人】 他の人。他人。あだしびと。「―と縁組は…と詰(ナジラ)んとせしが/色懺悔(紅葉)」

あだ-びと【徒人】🔗🔉

あだ-びと 【徒人】 (1)心の変わりやすい人。浮気な人。「それはさる―にて,女ありと聞く所にてはさぞのたまふなる/宇津保(国譲下)」 (2)風流を解する粋な人。「―と樽を棺(ヒツギ)に飲みほさん(重五)/冬の日」

あだ-ぶし【徒臥し】🔗🔉

あだ-ぶし 【徒臥し】 (1)ひとり寝。あだ寝。「杣人(ソマビト)のまきの仮屋の―に/山家(冬)」 (2)男女のその場かぎりの契り。「かの―の因果めが煩悩を起こさせます/浄瑠璃・薩摩歌」

アダプターadapter🔗🔉

アダプター [2] adapter 機械・器具を多目的に使用するための付属品。または,それを取り付けるための補助具。

アダプテーションadaptation🔗🔉

アダプテーション [4] adaptation (1)脚色。翻案。 (2)外界への適応。順応。

アダプトadapt🔗🔉

アダプト [2] adapt (名)スル (1)小説などの原作を映画・演劇などの脚本に書き直すこと。脚色・翻案すること。 (2)外界に適合・順応すること。

あだ-ぼれ【徒惚れ】🔗🔉

あだ-ぼれ 【徒惚れ】 (名)スル (1)浮気心から恋をすること。かりそめの恋。「ほかによい太夫どのを見立てておいて,それに―して/浮世草子・禁短気」 (2)とげられない恋。「それを知らずに―して/浄瑠璃・生玉心中(上)」

あたま-から【頭から】🔗🔉

あたま-から [3] 【頭から】 (副) 初めから。のっけから。てんから。「―きめつける」

あたま-つき【頭付き】🔗🔉

あたま-つき [3][0] 【頭付き】 (1)頭の形。 (2)髪の結い方。髪形。

あたま-の-さら【頭の皿】🔗🔉

あたま-の-さら [0][6] 【頭の皿】 (1)頭蓋を皿に見立てての称。頭の鉢。 (2)河童(カツパ)の頭頂にあるという皿状のもの。

あたま-の-はち【頭の鉢】🔗🔉

あたま-の-はち [0][6] 【頭の鉢】 頭蓋を鉢に見立てての称。鉢。頭の皿。

あたま-やく【頭役】🔗🔉

あたま-やく 【頭役】 一人につきいくらと割り当てた金品などの負担。「かうした―に白米一升に銭五十/浮世草子・一代女 3」

アダマールJacques Hadamard🔗🔉

アダマール Jacques Hadamard (1865-1963) フランスの数学者。解析学の広い分野で活躍。汎関数という語を導入して関数解析学の先駆となったほか,偏微分方程式論の発展を方向づける研究をおこなう。

あだ-まくら【徒枕】🔗🔉

あだ-まくら 【徒枕】 (1)男女のその場かぎりの契り。「かりそめの夢も浮き寝の―/長唄・かりそめの傾城」 (2)ひとり寝。あだね。「ひとり寝(ヌ)る夜の―/長唄・黒髪」

あだ【徒な】(和英)🔗🔉

あだ【徒な】 vain;→英和 useless;→英和 empty;→英和 ephemeral (はかない).徒に in vain.

あだ【仇】(和英)🔗🔉

あだ【仇】 [恨み]enmity;→英和 a grudge;→英和 [敵]a foe;→英和 an enemy.→英和 〜を討つ take revenge;→英和 revenge.恩を〜で返す return evil for good.身の〜となる prove one's ruin.

あだうち【仇討】(和英)🔗🔉

あだうち【仇討】 revenge;→英和 vengeance.→英和

あだおろそか【徒疎かに思わない】(和英)🔗🔉

あだおろそか【徒疎かに思わない】 make much;appreciate.→英和

アダジオ(和英)🔗🔉

アダジオ 《楽》adagio.→英和

あたたかみ【暖かみ】(和英)🔗🔉

あたたかみ【暖かみ】 warmth;→英和 mildness;→英和 heat.→英和 〜のある(ない) warm-(cold-)hearted.

あだっぽい【婀娜っぽい】(和英)🔗🔉

あだっぽい【婀娜っぽい】 coquettish;seductive;bewitching.→英和

あだな【綽名】(和英)🔗🔉

あだな【綽名】 a nickname.→英和 〜をつける givea (nick)name;nickname.

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