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広辞苑の検索結果 (45)

し‐ぜん【自然】🔗🔉

し‐ぜん自然】 ①㋐(ジネンとも)おのずからそうなっているさま。天然のままで人為の加わらないさま。あるがままのさま。枕草子267「―に宮仕へ所にも、親はらからの中にても、思はるる思はれぬがあるぞいとわびしきや」 ㋑(副詞的に)ひとりでに。「―そうなる」 ②㋐〔哲〕(physis ギリシア・natura ラテン・nature イギリス・ フランス)人工・人為によりなったものとしての文化に対し、人力によって変更・形成・規整されることなく神の、おのずからなる生成・展開によって成りいでた状態。超自然や神の恩寵に対していう場合もある。 ㋑おのずからなる生成・展開を惹起させる本具の力としての、ものの性たち。本性。本質。太平記2「物相感ずること皆―なれば」 ㋒山川・草木・海など、人類がそこで生まれ、生活してきた場。特に、人が自分たちの生活の便宜からの改造の手を加えていない物。また、人類の力を超えた力を示す森羅万象。「―破壊」「―の猛威」「―の摂理に従って生きる」 ㋓精神に対し、外的経験の対象の総体。すなわち、物体界とその諸現象。 ㋔歴史に対し、普遍性・反復性・法則性・必然性の立場から見た世界。 ㋕自由・当為に対し、因果的必然の世界。 ③人の力では予測できないこと。 ㋐万一。平家物語7「―の事候はば」 ㋑(副詞として)もし。ひょっとして。御伽草子、一寸法師「―舟なくては如何あるべきとて」 ⇒しぜん‐いおう【自然硫黄】 ⇒しぜん‐えいよう【自然栄養】 ⇒しぜん‐エネルギー【自然エネルギー】 ⇒しぜん‐かい【自然界】 ⇒しぜん‐かかく【自然価格】 ⇒しぜん‐かがく【自然科学】 ⇒しぜん‐がく【自然学】 ⇒しぜん‐かんき【自然換気】 ⇒しぜんかんきょう‐ほぜん‐ほう【自然環境保全法】 ⇒しぜん‐ききょう【自然気胸】 ⇒しぜん‐きゅうかい【自然休会】 ⇒しぜん‐きゅうよう‐りん【自然休養林】 ⇒しぜん‐きょう【自然教】 ⇒しぜんきょういく‐えん【自然教育園】 ⇒しぜん‐きん【自然金】 ⇒しぜん‐ぎん【自然銀】 ⇒しぜん‐けいざい【自然経済】 ⇒しぜん‐けつぞく【自然血族】 ⇒しぜん‐けん【自然権】 ⇒しぜん‐げんご【自然言語】 ⇒しぜん‐げんしょう【自然現象】 ⇒しぜん‐こう【自然光】 ⇒しぜん‐こうえん【自然公園】 ⇒しぜん‐こうぶつ【自然公物】 ⇒しぜん‐さいがい【自然災害】 ⇒しぜん‐さいむ【自然債務】 ⇒しぜん‐ざんりゅう‐じき【自然残留磁気】 ⇒しぜん‐し【自然史】 ⇒しぜん‐し【自然死】 ⇒しぜん‐し【自然誌】 ⇒しぜん‐じ【自然児】 ⇒しぜん‐しつぎょうりつ【自然失業率】 ⇒しぜん‐しゅうきょう【自然宗教】 ⇒しぜん‐しゅぎ【自然主義】 ⇒しぜん‐じょうぞく【自然上蔟】 ⇒しぜん‐じょうたい【自然状態】 ⇒しぜん‐しょく【自然食】 ⇒しぜん‐しん【自然神】 ⇒しぜん‐じん【自然人】 ⇒しぜん‐しんがく【自然神学】 ⇒しぜん‐しんきょう【自然神教】 ⇒しぜん‐じんるいがく【自然人類学】 ⇒しぜん‐しんろん【自然神論】 ⇒しぜん‐しんわ【自然神話】 ⇒しぜん‐すいぎん【自然水銀】 ⇒しぜん‐すう【自然数】 ⇒しぜん‐すうはい【自然崇拝】 ⇒しぜん‐せき【自然石】 ⇒しぜん‐せんたく【自然選択】 ⇒しぜん‐そう【自然葬】 ⇒しぜん‐そうえん【自然蒼鉛】 ⇒しぜん‐ぞうか‐りつ【自然増加率】 ⇒しぜん‐ぞうしゅう【自然増収】 ⇒しぜん‐たい【自然体】 ⇒しぜん‐たいすう【自然対数】 ⇒しぜん‐ちゆ【自然治癒】 ⇒しぜん‐ちりがく【自然地理学】 ⇒しぜん‐つうふう【自然通風】 ⇒しぜん‐ていぼう【自然堤防】 ⇒しぜん‐てき【自然的】 ⇒しぜんてき‐たいど【自然的態度】 ⇒しぜんてき‐たんおんかい【自然的短音階】 ⇒しぜん‐てつ【自然鉄】 ⇒しぜん‐てつがく【自然哲学】 ⇒しぜん‐どう【自然銅】 ⇒しぜん‐とうた【自然淘汰】 ⇒しぜん‐のうほう【自然農法】 ⇒しぜん‐の‐くに【自然の国】 ⇒しぜん‐の‐けんり【自然の権利】 ⇒しぜん‐の‐こと【自然の事】 ⇒しぜん‐の‐すう【自然の数】 ⇒しぜん‐の‐せいいつせい【自然の斉一性】 ⇒しぜん‐の‐ひかり【自然の光】 ⇒しぜん‐ばえ【自然生え】 ⇒しぜん‐はっか【自然発火】 ⇒しぜん‐はっせい【自然発生】 ⇒しぜん‐はん【自然犯】 ⇒しぜん‐ひ【自然砒】 ⇒しぜん‐ひつぜんせい【自然必然性】 ⇒しぜん‐びょうしゃ【自然描写】 ⇒しぜん‐ぶつ【自然物】 ⇒しぜん‐ぶんべん【自然分娩】 ⇒しぜん‐ぶんるい【自然分類】 ⇒しぜん‐べんしょうほう【自然弁証法】 ⇒しぜん‐ほう【自然法】 ⇒しぜん‐ほうそく【自然法則】 ⇒しぜん‐ほうろん【自然法論】 ⇒しぜん‐ぼく【自然木】 ⇒しぜん‐ほご【自然保護】 ⇒しぜん‐めんえき【自然免疫】 ⇒しぜん‐りつ【自然律】 ⇒しぜん‐りょく【自然力】 ⇒しぜん‐れき【自然暦】 ⇒自然に還れ ⇒自然は飛躍せず

しぜん‐えいよう【自然栄養】‥ヤウ🔗🔉

しぜん‐えいよう自然栄養‥ヤウ 乳児を母乳で育てること。↔人工栄養。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐エネルギー【自然エネルギー】🔗🔉

しぜん‐エネルギー自然エネルギー】 自然環境の中に存在するエネルギー資源。太陽光・太陽熱・風力・波力・水力・潮力・地熱など。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐かい【自然界】🔗🔉

しぜん‐かい自然界】 ①天地万物の存在する範囲。 ②人間界に対して、それ以外の世界。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐かかく【自然価格】🔗🔉

しぜん‐かかく自然価格(→)正常価格に同じ。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐かがく【自然科学】‥クワ‥🔗🔉

しぜん‐かがく自然科学‥クワ‥ (natural sciences)自然界に生ずる諸現象を取り扱い、その法則性を明らかにする学問。ふつう天文学・物理学・化学・地学・生物学などの分野に分ける。また、応用を主眼とするか否かによって、基礎科学と応用科学にも分ける。→社会科学→人文科学⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐がく【自然学】🔗🔉

しぜん‐がく自然学】 (physike ギリシア)ギリシアの哲学で、自然現象を取り扱う部門。論理学・倫理学と並び哲学の三部門を成す。近世以後は自然科学に転化した部分が多い。→自然哲学⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐かんき【自然換気】‥クワン‥🔗🔉

しぜん‐かんき自然換気‥クワン‥ 室内外の温度差と風によって行われる換気。↔機械換気。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜんかんきょう‐ほぜん‐ほう【自然環境保全法】‥クワンキヤウ‥ハフ🔗🔉

しぜんかんきょう‐ほぜん‐ほう自然環境保全法‥クワンキヤウ‥ハフ 自然環境保全についての基本理念と、そのための基本となる事項を定める法律。1972年制定。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐ききょう【自然気胸】🔗🔉

しぜん‐ききょう自然気胸】 外傷や人工気胸以外の自然に起きる気胸。明らかな肺疾患のない特発性自然気胸(狭義の自然気胸)と肺疾患に続発する続発性気胸とがある。前者は細長い体型の20歳前後の青年に多く、肺表面の気腫性嚢胞の破裂により起こると考えられる。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐きゅうかい【自然休会】‥キウクワイ🔗🔉

しぜん‐きゅうかい自然休会‥キウクワイ 会期中の国会または各議院が、特に議決によらずに、慣例上または議院運営委員会の申し合せによって審議を休むこと。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐きゅうよう‐りん【自然休養林】‥キウヤウ‥🔗🔉

しぜん‐きゅうよう‐りん自然休養林‥キウヤウ‥ 国民の休養・レクリエーションのため、施設などを特に整備した国有林。1968年、林野庁が指定・開放。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐きょう【自然教】‥ケウ🔗🔉

しぜん‐きょう自然教‥ケウ (→)自然宗教1に同じ。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜんきょういく‐えん【自然教育園】‥ケウ‥ヱン🔗🔉

しぜんきょういく‐えん自然教育園‥ケウ‥ヱン 自然物に関する調査研究、観察、実習、ならびに自然物・自然状態の保護保存に関する調査研究を行う施設。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐きん【自然金】🔗🔉

しぜん‐きん自然金】 天然に単体の状態で産出する金。通常、銀などを合金の形で含む。粒状・毛状・鱗状・樹枝状・塊状などをなし、鉱脈中または河床の砂礫中に存在。山金・砂金の類。 自然金 撮影:松原 聰 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐ぎん【自然銀】🔗🔉

しぜん‐ぎん自然銀】 天然に単体の状態で産出する銀。銀鉱脈中に、ひげ状・苔状・樹枝状・板状で存在し、多くは表面が変化して銀黒色の銹さびで覆われる。 自然銀 撮影:松原 聰 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐けいざい【自然経済】🔗🔉

しぜん‐けいざい自然経済】 交換の媒介に貨幣を用いず、物物交換によって需要を充たした経済。現物経済。→交換経済→貨幣経済⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐けつぞく【自然血族】🔗🔉

しぜん‐けつぞく自然血族】 親子・兄弟など、自然の血縁によって結ばれた者。↔法定血族。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐けん【自然権】🔗🔉

しぜん‐けん自然権】 すべての人間が生まれながらに持っているとされる権利。近代の自然法論によれば、この権利は国家以前に存し、国家によって人為的に与えられたものではないから、国家はこれを侵害し得ないとされる。天賦人権。人権。→自然法→人権宣言→基本的人権⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐げんご【自然言語】🔗🔉

しぜん‐げんご自然言語】 (natural language)人間が特別な訓練なしに自然に習得し使用する言語。日本語・英語など。↔人工言語。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐げんしょう【自然現象】‥シヤウ🔗🔉

しぜん‐げんしょう自然現象‥シヤウ 自然界でおこる現象。自然におこる現象。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐こう【自然光】‥クワウ🔗🔉

しぜん‐こう自然光‥クワウ ①太陽光のような天然の光。 ②〔理〕種々の振動方向を持つ偏光が混合し、異方性を示さない光。↔偏光。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐こうえん【自然公園】‥ヱン🔗🔉

しぜん‐こうえん自然公園‥ヱン 自然の景勝地を保護し、国民の保健・休養に資する目的で設けられた公園。国立公園・国定公園・都道府県立自然公園の3種。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐こうぶつ【自然公物】🔗🔉

しぜん‐こうぶつ自然公物】 天然のままで公の用に供される公物。河川・海浜・湖沼の類。↔人工公物。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐さいがい【自然災害】🔗🔉

しぜん‐さいがい自然災害】 地震・火山爆発・津波・高潮・台風・豪雨・異常低温など、何らかの自然現象によってひき起こされる災害。火災・交通事故・公害などのような社会(人為)的災害と区別される。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐さいむ【自然債務】🔗🔉

しぜん‐さいむ自然債務】 〔法〕債務者からは有効に弁済しうるが、債権者からは訴訟による請求も強制執行もなしえない債務。徳義上の債務の類。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐ざんりゅう‐じき【自然残留磁気】‥リウ‥🔗🔉

しぜん‐ざんりゅう‐じき自然残留磁気‥リウ‥ 自然状態にある岩石が帯びる微小な磁気。生成時に、地磁気によって磁性鉱物が磁化され、これが一定の方向に選択的に配列されるために生じる。→古地磁気⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐し【自然史】🔗🔉

しぜん‐し自然史】 (natural history イギリス・Naturgeschichte ドイツ) ①自然の発展に歴史的意味づけを与えたもの。現代では特に進化論的観点から論じられることが多い。 ②自然を弁証法的に発展するものとして歴史的にとらえるマルクス主義の概念。この場合、社会の発展も、人間の意志や意識から独立した自然史的過程としてとらえられる。 ③(→)博物学に同じ。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐し【自然死】🔗🔉

しぜん‐し自然死】 寿命が尽きて死ぬこと。また、事故・殺害・自殺などによらない死。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐し【自然誌】🔗🔉

しぜん‐し自然誌(→)博物学に同じ。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐じ【自然児】🔗🔉

しぜん‐じ自然児】 社会の因習に染まらず、野生動物のような純粋さや荒々しさ、たくましさを備えた人。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐ちゆ【自然治癒】🔗🔉

しぜん‐ちゆ自然治癒】 生体が本来もっている回復機能によって病気やけがが治ること。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜんとじんせい【自然と人生】🔗🔉

しぜんとじんせい自然と人生】 文集。徳冨蘆花著。1900年(明治33)刊。初期の小説・評伝・随筆などを収録。文範として当時の文章に影響を与えた。 →文献資料[自然と人生]

○自然に還れしぜんにかえれ🔗🔉

○自然に還れしぜんにかえれ 社会の因襲から受けた悪影響を脱して、人生自然の無垢むくな状態に還れの意。J.‐J.ルソーの思想に基づく語。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐のうほう自然農法‥ハフ なるべく自然環境にまかせて行う農業技術・経営などの総称。無除草栽培・不耕起栽培など。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐の‐くに自然の国】 ①(regnum naturale ラテン)「恩寵の国」に対する語で、物理的自然ないし世俗的社会を指す。アウグスティヌス以来、トマス=アクィナスなどの中世思想家に見出される思想。近世でもライプニッツなどが論じた。 ②(Reich der Natur ドイツ)カントにおいては、「目的の国」に対する語として因果律の支配する世界を指す。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐の‐けんり自然の権利】 人間に人権が認められるように、自然、特に生態系にも認められるとされる権利。環境破壊に反対する立場から用いられる概念。→動物の権利⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐の‐こと自然の事】 万一のこと。特に、死ぬことを指す。→しぜん3㋐⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐の‐すう自然の数】 自然の運命で、人力の企て及ぶべきではないこと。自然のなりゆき。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐の‐せいいつせい自然の斉一性】 (uniformity of nature)動植物の種や類に見られるように、ある範囲の物が共通の特色を持つこと(共存の斉一性)、および同一の原因が同一の結果を生むこと(継起の斉一性)についていう。特殊から普遍を導く帰納的推理を可能にする条件として仮定される。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐の‐ひかり自然の光】 (lumen naturale ラテン)人間に生得的・自然的に付与されている理性的な認識能力。超自然的な啓示による認識(恩寵の光)に対する語。主としてスコラ哲学の用語。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ばえ自然生え】 播種しないのに、草木などが自然に生えること。また、その草木。自然植生。じねんばえ。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐はっか自然発火‥クワ 酸化されやすい物質が常温で酸化・発熱し、自然に発火・燃焼する現象。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐はっせい自然発生】 ①生物は無生物からも発生し得るという説。例えば、肉汁から微生物が自然に発生するという考え。パスツールによって誤りであることが実証された。偶然発生。ヘッケル以降は生命の起源のこと。 ②人為的な計画・指導に基づかないで発生すること。「―的なストライキ」 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐の‐くに【自然の国】🔗🔉

しぜん‐の‐くに自然の国】 ①(regnum naturale ラテン)「恩寵の国」に対する語で、物理的自然ないし世俗的社会を指す。アウグスティヌス以来、トマス=アクィナスなどの中世思想家に見出される思想。近世でもライプニッツなどが論じた。 ②(Reich der Natur ドイツ)カントにおいては、「目的の国」に対する語として因果律の支配する世界を指す。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐の‐けんり【自然の権利】🔗🔉

しぜん‐の‐けんり自然の権利】 人間に人権が認められるように、自然、特に生態系にも認められるとされる権利。環境破壊に反対する立場から用いられる概念。→動物の権利⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐の‐こと【自然の事】🔗🔉

しぜん‐の‐こと自然の事】 万一のこと。特に、死ぬことを指す。→しぜん3㋐⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐の‐すう【自然の数】🔗🔉

しぜん‐の‐すう自然の数】 自然の運命で、人力の企て及ぶべきではないこと。自然のなりゆき。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐の‐せいいつせい【自然の斉一性】🔗🔉

しぜん‐の‐せいいつせい自然の斉一性】 (uniformity of nature)動植物の種や類に見られるように、ある範囲の物が共通の特色を持つこと(共存の斉一性)、および同一の原因が同一の結果を生むこと(継起の斉一性)についていう。特殊から普遍を導く帰納的推理を可能にする条件として仮定される。 ⇒し‐ぜん【自然】

しぜん‐の‐ひかり【自然の光】🔗🔉

しぜん‐の‐ひかり自然の光】 (lumen naturale ラテン)人間に生得的・自然的に付与されている理性的な認識能力。超自然的な啓示による認識(恩寵の光)に対する語。主としてスコラ哲学の用語。 ⇒し‐ぜん【自然】

○自然は飛躍せずしぜんはひやくせず🔗🔉

○自然は飛躍せずしぜんはひやくせず (natura non facit saltum ラテン)リンネやライプニッツが使った語。自然の変化はもっぱら漸次的な増減によるとする考え方を示したもの。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐はん自然犯】 それ自体当然に反社会的・反道義的である犯罪。刑法に規定されている犯罪は原則として自然犯である。刑事犯。↔行政犯。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ひ自然砒】 天然に単体の状態で産出する砒素ひそ。三方晶系の鉱物で、菱形の結晶集合体。錫白色だが空気に触れると褐色化し、分解が進むと三酸化二砒素を生じる。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ひつぜんせい自然必然性】 自然法則のもつ必然性。倫理的な当為の必然性に対する語として、自然法則の因果性を指す。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐びょうしゃ自然描写‥ベウ‥ 文学作品などで、自然をありのままに描写すること。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ぶつ自然物】 人の手が加えられていない、自然界に存する有形物。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ぶんべん自然分娩】 吸引や薬品など人工的な手段を用いず、母体の自然の力だけで行う分娩。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ぶんるい自然分類】 事物の自然に即した分類。生物学では、系統的な類縁関係に基づく生物の分類を指し、生物進化に基づく系統分類とほぼ同義。↔人為分類。 ⇒し‐ぜん【自然】 しせん‐べんごにん私選弁護人】 被疑者・被告人その他一定の者が自ら選任した弁護人。原則として弁護士から選ぶ。↔国選弁護人 ⇒し‐せん【私選】 しぜん‐べんしょうほう自然弁証法‥ハフ (Dialektik der Natur ドイツ)エンゲルスの遺稿「自然弁証法」の内容となる学説。神の摂理観や機械論的自然観に抗し、自然において認識される物質の運動発展の一般法則としての弁証法的唯物論を説く。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ほう自然法‥ハフ ①自然界の一切の事物を支配するとみられる理法。自然律。 ②人間の自然(本性)に基づく倫理的な原理。人為的・歴史的な実定法とは異なり、時と所を超越した普遍的な法と考えられている。規範的な意味を持つ点で、記述的な自然法則から区別される。↔実定法↔人定法。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ほうそく自然法則‥ハフ‥ 自然現象の間に成り立つ、反復可能で一般的な規則的関係。これは規範法則とは異なる存在の法則であり、因果関係を基礎とする。狭義では自然界に関する法則であるが、広義では社会法則、心理法則等のうち規範法則に属さないものを指す。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ほうろん自然法論‥ハフ‥ 自然法の存在を認め、それを実定法の上位におく思想。この思想は古代のストア哲学、中世のカトリック哲学、近世以降の法思想・政治思想で顕著な展開を見、キケロ、トマス=アクィナス、グロティウス、ロック、ウォルフらがその代表。自然法学。↔法実証主義。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ぼく自然木】 栽培によらず、自然のままに成長した樹木。自生木。天然木。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐ほご自然保護】 産業の発展による自然の破壊・汚染など、人間生活の拡大によって圧迫される自然を保全しようとすること。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐めんえき自然免疫】 ある種の病原体に対して生体が生来もつ抵抗性。広義には、ワクチン等の人工操作を経ないで獲得した免疫、すなわち自然能動免疫をもいう。先天的免疫。↔獲得免疫。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐りつ自然律(→)自然法1に同じ。 ⇒し‐ぜん【自然】 しせんりょう四千両‥リヤウ 歌舞伎脚本「四千両小判梅葉こばんのうめのは」の通称。6幕。河竹黙阿弥作の世話物。1885年(明治18)初演。江戸城内の御金蔵破り事件を脚色。伝馬町牢内の場が写実的に描かれて名高い。 しせん‐りょうり四川料理‥レウ‥ 四川一帯で発達した中国料理。唐辛子・花椒かしょうを使った辛い味付けが特徴。代表的な料理は麻婆マーボー豆腐・棒々鶏バンバンジーなど。 ⇒しせん【四川】 しぜん‐りょく自然力】 自然界に行われる種々の作用。 ⇒し‐ぜん【自然】 しぜん‐りょくがん紫髯緑眼】 赤茶けたひげと青い眼。中国で、西域の異民族の容貌を形容した語。 しぜん‐れき自然暦】 定期的に見られる動植物の現象・行動の季節的変化をもとに作りあげる暦の一種。 ⇒し‐ぜん【自然】 しせん‐わかしゅう私撰和歌集‥シフ 勅撰和歌集に対して、私に撰定・編集した歌集。古今和歌六帖の類。私撰集。 ⇒し‐せん【私撰】

じ‐ねん【自然】🔗🔉

じ‐ねん自然】 (呉音。多く助詞「に」「と」を伴って副詞的に用いる)おのずからそうあること。本来そうであること。ひとりでに。源氏物語帚木「―に、そのけはひ、こよなかるべし」→しぜん⇒じねん‐げどう【自然外道】 ⇒じねん‐ご【自然秔】 ⇒じねん‐ごどう【自然悟道】 ⇒じねん‐じょ【自然薯】 ⇒じねん‐じょう【自然生】 ⇒じねん‐せき【自然石】 ⇒じねん‐ち【自然智】 ⇒じねん‐どう【自然銅】 ⇒じねん‐ばえ【自然生え】 ⇒じねん‐ほうに【自然法爾】

じねん‐げどう【自然外道】‥ダウ🔗🔉

じねん‐げどう自然外道‥ダウ 〔仏〕あらゆる結果は因縁によらず自然に生じたものと考える学派。六師外道のマッカリ=ゴーサーラやアジタ=ケーサカンバラの説に比定される。 ⇒じ‐ねん【自然】

じねんこじ【自然居士】🔗🔉

じねんこじ自然居士】 能。観阿弥作。一少女が両親供養のため人買いに身を売る。自然居士はその次第を知り、人買いの跡を追って少女を救う。

じねん‐ごどう【自然悟道】‥ダウ🔗🔉

じねん‐ごどう自然悟道‥ダウ 〔仏〕教えによらず、自然に開悟すること。 ⇒じ‐ねん【自然】

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し-ぜん【自然】🔗🔉

し-ぜん [0] 【自然】 ■一■ (名) (1)おのずから存在してこの世界を秩序立てているもの。山・川・海やそこに生きる万物。天地間の森羅万象。人間をはぐくみ恵みを与える一方,災害をもたらし,人間の介入に対して常に立ちはだかるもの。人為によってその秩序が乱されれば人間と対立する存在となる。「―を破壊する」「―の猛威」「―を愛する」 (2)人や物に本来的に備わっている性質。天性。「楽しい時には笑い,悲しい時には泣く,それが人間の―だ」 (3)〔哲〕 〔nature〕 古代ギリシャで,他の力によるのではなく自らのうちに始源をもち生成変化するものの意。ここから人為・作為から区別されたありのままのものの意にもなり,事物に内在する固有の本性ないしは本性的な力の意ともなる。また中世では,被造物一般のことであり,さらに神の恩寵(オンチヨウ)に対して人間が生まれつき具有するものを指す。 ■二■ (形動) 行為や態度がわざとらしくないさま。「―な動作」「―な反応」 ■三■ (副) (1)(「に」や「と」を伴うこともある)ひとりでに。おのずと。「―に体が震えてくる」「世の中のことが次第に分るにつれ―と心に合点が行き/谷間の姫百合(謙澄)」「―祖母が一家の実権を握つてゐた/平凡(四迷)」 (2)万一の事態の起こるさま。ひょっとして。「―モ人ニ行キ逢エバ,藁芥(ワラアクタ)ノ中ニ逃ゲ入ッテ隠ルルニモ心安イ/天草本伊曾保」 →じねん(自然) [派生] ――さ(名)

しぜん=に還(カエ)れ🔗🔉

――に還(カエ)れ 人間本来の自由・幸福を奪った社会という悪を脱して,自然の無垢(ムク)な状態に還れという意味。ルソーの根本思想を表す言葉。

しぜん=は飛躍せず🔗🔉

――は飛躍せず 〔(ラテン) natura non facit saltum〕 自然は,一挙にではなく,漸次的に変化するものである。生物学者リンネの言葉。

しぜん-えいよう【自然栄養】🔗🔉

しぜん-えいよう ―ヤウ [4] 【自然栄養】 乳児を母乳で育てること。 ⇔人工栄養

しぜん-おんかい【自然音階】🔗🔉

しぜん-おんかい [4] 【自然音階】 ハニホヘトイロの音名で表される幹音のみから成る音階。ピアノの白鍵のみで弾ける音階。ハ長調・イ短調の音階がこれに当たる。

しぜん-かい【自然界】🔗🔉

しぜん-かい [2] 【自然界】 (1)人間を含んで,人間の周りに広がる全世界。(内面の世界に対して)自分の外に存在するすべてのもの。 (2)人間界以外の世界。

しぜん-かいとう【自然解凍】🔗🔉

しぜん-かいとう [4] 【自然解凍】 冷凍した食品を加熱せずに解凍すること。

しぜん-かかく【自然価格】🔗🔉

しぜん-かかく [4] 【自然価格】 ⇒正常価格(セイジヨウカカク)

しぜん-かがく【自然科学】🔗🔉

しぜん-かがく ―クワ― [4] 【自然科学】 自然現象を対象として取り扱い,そのうちに見いだされる普遍的な法則性を探究する学問。便宜的に,物理学・化学・生物学・地学など。単に科学ともいう。ナチュラル-サイエンス。 →社会科学 →人文科学

しぜん-がく【自然学】🔗🔉

しぜん-がく [2] 【自然学】 〔(ギリシヤ) physik〕 ギリシャ哲学において,自然を扱う学問部門。しばしば論理学・倫理学とともに哲学の三部門を成す。 →自然哲学

しぜん-かんき【自然換気】🔗🔉

しぜん-かんき ―クワン― [4] 【自然換気】 室内外の温度差・風圧などによって,室内の空気が自然に入れ替わること。

しぜん-かんきょう【自然環境】🔗🔉

しぜん-かんきょう ―クワンキヤウ [4] 【自然環境】 人間や生物を取り巻き,その生存や行動などに密接な関連をもつ,土地・大気・水・生物などからなる自然界の状況。

しぜん-かんきょうほぜん-ほう【自然環境保全法】🔗🔉

しぜん-かんきょうほぜん-ほう ―クワンキヤウホゼンハフ 【自然環境保全法】 自然環境保全についての基本理念と基本事項を定めた法律。1972年(昭和47)制定。

しぜん-ききょう【自然気胸】🔗🔉

しぜん-ききょう [4] 【自然気胸】 外傷や医療処置によらずに生じた気胸。青年男子に好発する特発性自然気胸は胞膜下にある小嚢胞(ノウホウ)が破れることで起こるとされている。中高年者で結核などの胸部疾患に伴って起こる続発性自然気胸もある。

しぜん-きゅうかい【自然休会】🔗🔉

しぜん-きゅうかい ―キウクワイ [4] 【自然休会】 国会の会期中に,国会の一院が慣例上または各党派の申し合わせによって審議を休むこと。

しぜん-きゅうようそん【自然休養村】🔗🔉

しぜん-きゅうようそん ―キウヤウ― [6] 【自然休養村】 都市生活者が自然に親しみ休養がとれるように整備された区域。市町村が都道府県に申請して指定を受ける。

しぜん-きゅうようりん【自然休養林】🔗🔉

しぜん-きゅうようりん ―キウヤウ― [6] 【自然休養林】 林野庁が1968年(昭和43)以来国民の保健休養のために指定,開放している国有林。

しぜん-けいざい【自然経済】🔗🔉

しぜん-けいざい [4] 【自然経済】 交換の媒介に貨幣を用いず,現物交換に基づいて行われる最も古い段階の経済。現物経済。 →貨幣経済 →信用経済

しぜん-けつぞく【自然血族】🔗🔉

しぜん-けつぞく [5][4] 【自然血族】 〔法〕 血縁関係のある人々。 ⇔法定血族

しぜん-けん【自然権】🔗🔉

しぜん-けん [2] 【自然権】 国家およびその法律に先立って,個人に本来的に備わり,国家によって侵されることのないとされる諸権利。天賦(テンプ)人権。 →基本的人権

しぜん-げんご【自然言語】🔗🔉

しぜん-げんご [4] 【自然言語】 社会の中で自然に発生し,自然に用いられている言語。人為的に規定された人工言語に対していう語。 ⇔人工言語

しぜん-げんしょう【自然現象】🔗🔉

しぜん-げんしょう ―シヤウ [4] 【自然現象】 自然界に見られる諸現象。

しぜん-こう【自然光】🔗🔉

しぜん-こう ―クワウ [2][0] 【自然光】 (1)太陽などの天然の光。 (2)いろいろな方向の振動面をもった波が均一に混合した光。 ⇔偏光(ヘンコウ)

しぜん-こうえん【自然公園】🔗🔉

しぜん-こうえんン [4] 【自然公園】 自然を保護し,その利用の増進をはかり,国民の保健に資すことを目的として,自然公園法によって指定される景勝地。国立公園・国定公園・都道府県立自然公園がある。

しぜん-こうぶつ【自然公物】🔗🔉

しぜん-こうぶつ [4] 【自然公物】 〔法〕 河川・海浜などのように,天然の状態で公(オオヤケ)の用に供することができる公物。 ⇔人工公物

しぜん-さいがい【自然災害】🔗🔉

しぜん-さいがい [4] 【自然災害】 地震・洪水・火山爆発・台風などの自然現象が直接原因となって起こる災害。天災。 ⇔人為災害

しぜん-さいむ【自然債務】🔗🔉

しぜん-さいむ [4] 【自然債務】 〔法〕 債務者が任意に債務を弁済すれば有効な弁済となるが,弁済がない場合に債権者側が履行を強制できない債務。

しぜん-ざんりゅうじき【自然残留磁気】🔗🔉

しぜん-ざんりゅうじき ―ザンリウ― [8] 【自然残留磁気】 岩石が産出状態ですでにもっている磁気。岩石が生成される際,地磁気により磁化されたもの。

しぜん-し【自然史】🔗🔉

しぜん-し [2] 【自然史】 (1)〔哲〕 〔(ドイツ) Naturgeschichte〕 弁証法的に発展する自然を歴史的にとらえるマルクス主義の概念。自然は意識や意志の外に独立して存在し,社会の発展も同様な自然史的過程であるとされる。 (2)〔natural history〕 博物学。ナチュラル-ヒストリー。

しぜん-し【自然死】🔗🔉

しぜん-し [2] 【自然死】 外傷や病気などによらず,生活機能の自然衰退によって死ぬこと。老衰死。

しぜん-し【自然誌】🔗🔉

しぜん-し [2] 【自然誌】 ⇒博物学(ハクブツガク)

しぜん-じ【自然児】🔗🔉

しぜん-じ [2] 【自然児】 世俗の風習にとらわれることなく,自分の意のままに生きる者。また,社会の因習にそまっていない純粋な心の持ち主。

しぜん-しつぎょうりつ【自然失業率】🔗🔉

しぜん-しつぎょうりつ ―シツゲフ― [6] 【自然失業率】 いかなる財政金融政策を用いても,いかなる賃金水準においても,解消できない非自発的失業者の割合。

しぜん-しゃかい【自然社会】🔗🔉

しぜん-しゃかい ―クワイ [4] 【自然社会】 地縁・血縁によって成立している社会。原始社会だけをさすこともある。 ⇔人為社会

しぜん-しゅうきょう【自然宗教】🔗🔉

しぜん-しゅうきょう ―ケウ [4] 【自然宗教】 (1)神の超越的なはたらきによる宗教(啓示宗教)に対し,人間の自然の本性,すなわち理性に基づく宗教。一八世紀以後の啓蒙思潮や理神論の考える宗教がその代表。 →啓示宗教 (2)原始的・自然発生的な宗教。アニミズム・呪物崇拝などの素朴な信仰の総称。

しぜん-しゅぎ【自然主義】🔗🔉

しぜん-しゅぎ [4] 【自然主義】 〔naturalism〕 (1)〔哲〕 存在や価値の根本に自然を考える立場の総称。一般に,超自然的なもの(理想・規範・超越者など)の独自性を認めず,自然的なもの(物質・感覚・衝動・生命など)を基盤にして物事をとらえる。(ア)倫理学で,善や規範を超越的な原理からではなく,感覚的経験から導出する説。また,内的あるいは外的自然に即した生活を旨とする主義。(イ)宗教上では,汎神(ハンシン)論にほぼ同じ。 (2)一九世紀後半に興った文芸思潮。観察を標榜する近代のリアリズム(写実主義)の延長上に,これを科学的に徹底し,理想化を排し人間の生の醜悪・瑣末(サマツ)な相までをも描出する。フランスのゾラ・モーパッサンなどが代表。この影響のもとに,日本では明治後期に島崎藤村・田山花袋などが輩出した。 (3)美術で,自然の事物を忠実に再現しようとする作画態度。古典ギリシャの美術などにもみられるが,特に一七世紀イタリアのカラバッジョやその後継者たち,さらには一九世紀中頃のテオドール=ルソーらバルビゾン派や一九世紀後半のクールべらの写実主義をさす。

しぜん-ちゆ【自然治癒】🔗🔉

しぜん-ちゆ [4] 【自然治癒】 生体に備わった治癒力により病気やけがが治ること。

しぜん-の-くに【自然の国】🔗🔉

しぜん-の-くに 【自然の国】 〔哲〕 (1)〔(ラテン) regnum naturale〕 キリスト教思想で,物質的自然および世俗的世界。 ⇔恩寵(オンチヨウ)の国 (2)〔(ドイツ) Reich der Natur〕 カントでは,「目的の国」に対して,因果律の支配する人間の自由の存在しない自然の世界をさす。

しぜん-の-こと【自然の事】🔗🔉

しぜん-の-こと 【自然の事】 万一のこと。悪いことをいう場合に用いる。「―のあらん時,物の具して頼朝がのるべき馬なり/平家 9」

しぜん-の-すう【自然の数】🔗🔉

しぜん-の-すう 【自然の数】 自然の成り行き。「固より―である/小説「エイルヰン」の批評(漱石)」

しぜん-の-せいいつせい【自然の斉一性】🔗🔉

しぜん-の-せいいつせい 【自然の斉一性】 〔uniformity of nature〕 事象が同一の事情のもとでは常に同一の在り方を示すように自然が統一ある秩序を保持していること。特殊から普遍を導く帰納的推理を正当化する根本仮定として J = S =ミルが提唱した。

しぜん-のひかり【自然の光】🔗🔉

しぜん-のひかり 【自然の光】 〔(ラテン) lumen naturale〕 スコラ哲学で,事物の認識のために神から特別に与えられる恩寵の光に対して,人間に生得的に与えられている事物を認識する能力。

しぜんとじんせい【自然と人生】🔗🔉

しぜんとじんせい 【自然と人生】 随筆・小品集。徳富蘆花作。1900年(明治33)刊。短編小説・評伝・随筆・散文詩を収録。万物に神を見る汎神論(ハンシンロン)的自然観がうかがえる。自然詩人としての名声が高まった作品。

じ-ねん【自然】🔗🔉

じ-ねん [0] 【自然】 〔呉音〕 (1)〔仏〕 ある事物や事態が,外部からの影響力によるのではなく,それが本来的に備えている性質によって,一定の状態や特性を生ずること。 →自然法爾(ジネンホウニ) (2)万物は因果によって生じたのではなく,現在あるがままに存在しているものだとする考え。仏教の因果論を否定する無因論で,外道(ゲドウ)の思想の一つ。 (3)人為が加わらないこと。ひとりでにそうなること。ありのまま。「コレワ別ノ子細デワナイ。タダ天道ノ―ヂャ/天草本伊曾保」 (4)たまたまそうであること。偶然。「衣の内より火出で来て焼けぬ。此れ―の事かと思ひて/今昔 4」 〔古くは「じねん」はありのままの意,「しぜん」は万一の意に使い分けられた〕

じねん-ごどう【自然悟道】🔗🔉

じねん-ごどう ―ダウ [4] 【自然悟道】 〔仏〕 他からの教えによらず,自分で自然と悟りを開くこと。

じねん-じょ【自然薯・自然生】🔗🔉

じねん-じょ [0] 【自然薯・自然生】 ヤマノイモの別名。じねんじょう。[季]秋。

じねん-に【自然に】🔗🔉

じねん-に 【自然に】 (副) しぜんに。おのずから。「少しかどあらむ人の耳にも目にもとまること―多かるべし/源氏(帚木)」

じねんこじ【自然居士】🔗🔉

じねんこじ 【自然居士】 能の一。四番目物。観阿弥作。勧進説法をしていた自然居士は,両親追善の布施のために我が身を売った少女を,いろいろな芸を演じて見せ,ついに人買いの手から救う。

じねんじょ【自然薯】(和英)🔗🔉

じねんじょ【自然薯】 a Japanese yam.

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