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もの【物】🔗🔉

もの【物】 なんらかの形をそなえた物体一般をいう。 1 形のある物体・物品をさしていう。修飾語によってその物体の種類・所属などを限定する場合。「海のものとも山のものとも知れない」「自分のものとする」「もの不足」*万葉‐三七六五「形見の母能(モノ)を人に示すな」 2 特定の物体・物品を一般化していう。文脈や場面から具体物が自明のこととして用いる場合。 財物。金銭。*土左「便りごとにものも絶えず得(え)させたり」衣類。織布。*大和‐一四六「これに物ぬぎて取らせざらむ者は」飲食物。「歩きながらものを食べる」*竹取「きたなき所の物きこしめしたれば」楽器。*源氏‐乙女「宮はよろづのものの上手におはすれば」 3 対象をあからさまにいうことをはばかって抽象化していう。 神仏、妖怪、怨霊など、恐怖・畏怖の対象。「ものに憑かれたよう」*仏足石歌「四つの蛇(へみ)五つの毛乃(モノ)の集まれる穢き身をば」物の怪(け)による病。また、一般に病傷、はれものなど。*伊勢‐五九「かくて物いたく病みて死に入りたりければ」陰部。 4 民法上の有体物で、動産および不動産をいう。 個々の具体物から離れて抽象化された事柄、概念をいう。 1 事物、事柄を総括していう。「ものを知らないにもほどがある」「もののわかった人」「ものの弾み」*万葉‐四三六〇「母能(モノ)ごとに栄ゆる時と見(め)し給ひ明らめ給ひ」 2 「ものの…」の形で抽象的な語句を伴って、漠然と限定した事柄をいう。 事態、状況についていう場合。「ものの見事に」*平中‐二七「さすがにいとよくものの気色を見て」心情についていう場合。*土左「都へと思ふをもののかなしきは」 3 概念化された場所を表す。中古から中世にかけて、特に神社仏閣をさすことが多い。*古今‐三三八「ものへまかりける人を待ちて」 4 ことば。言語。転じて、文章や書物をいい、さらにことばによって表される内容をさしていう。「呆れてものが言えない」*万葉‐三四八一「家の妹に毛乃(モノ)言はず来にて思ひ苦しも」 5 考え。意識して心にとめる事柄。*万葉‐七七「吾が大君物(もの)な思ほし」 6 特定の事柄が思い出せなかったり、わざとはっきりと言わないようにしたりするとき、また、具体的な事柄を指示できないとき、問われて返答に窮したときなどに仮にいう語。*虎明本狂言・茫々頭「『なんじゃなんじゃと申ほどに、物じゃと申た』『なんじゃといふた』『物じゃ』」 7 言いよどんだとき、あるいは、間(ま)をとったりするために、話の間にはさんで用いる語。*滑・浮世風呂‐前「田舎出の下男、〈略〉モノ、金を拵(こせへ)べい云(てっ)て山事は悪い事だネ」 抽象化した漠然とした事柄を、ある価値観を伴ってさし示す。 1 一般的・平均的なもの、また、一人前の、れっきとしたもの。物についても人についてもいう。「物の役に立たない」*蜻蛉‐上「かたちとても人に似ず、心魂もあるにもあらで、かうものの要にもあらであるも」 2 大事、大変なこと、重要なこと。問題。「ものともしない」「ものの数ではない」*金刀比羅本保元‐下「これ程の輿、物(モノ)にてや有るべき」 他の語句を受けて、それを一つの概念として体言化する形式名詞。直接には用言の連体形を受けて用いる。 1 そのような事態、事情、意図などの意を表す。「あきらめたものと見えて」*万葉‐三六〇一「しましくも独りありうる毛能(モノ)にあれや」 2 文末にあって断定の語を伴い、話し手の断定の気持を強めた表現となる。近代では固定化した類型的表現に用い、「…するものだ」などの形で、当然の条理や帰結の意であることを表し、「…したものだ」などの形で、くりかえし起こったことに対する回想を表す。→ものぞ。「世の中はそういうものだ」*万葉‐三九〇四「咲きの盛りは懐しき物(もの)なり」 3 活用語の連体形を受けて文を終止し、感動の気持を表す。さらに終助詞を付けて、逆接的な余情をこめたり、疑問・反語の表現になったりすることが多い。「そんな事があるものか」*古事記‐下・歌謡「立薦(たつごも)も持ちて来(こ)まし母能(モノ)寝むと知りせば」 〔終助〕(のような形式名詞的用法、特に3の用法などからさらに進んだもの)終止した文に付加して、不満の意をこめて反論したり、甘えの気持をもって自分の意思を主張したりする。主として婦人・子どもの表現。*浄・嫗山姥‐灯籠「アア誠さふじゃ物、なう判官殿」 〔接頭〕主として形容詞、形容動詞、または状態を示す動詞の上に付いて、なんとなく、そこはかとなく、そのような状態である意を表す。「ものうい」「ものさびしい」「ものしずか」「ものふる」など。→うら(心) 〔語素〕 1 名詞や形容詞の語幹に付いて、その範疇(はんちゅう)に属する物品であることを表す。「春もの」「先もの」「大もの」。「薄もの」など。 2 土地などを表す名詞に付いて、その土地の生産物であることを表す。「北海もの」「西陣もの」など。 3 (「武」と書くこともある)他の語の上に付いて、戦(いくさ)や戦陣に関する事物である意を表す。「もののぐ」「ものがしら」「ものぬし」など。 4 動詞の連用形に付いて、 そのような動作の結果できた物品であることを表す。「塗りもの」「干もの」「焼きもの」など。そのような動作の対象となる物品を表す。「食べもの」「読みもの」「たきもの」など。 ●物合(あ)う 物事が思い通りになる。物事が都合よくいく。 ●物言う ⇒親見出し ●物言(い)う花(はな) (物の意味を解し、口をきく花の意で)美人の称。解語の花。 ●物言えば唇(くちびる)寒し秋の風 芭蕉の句で、貞享年間に成ったといわれる「座右の銘」、「人の短をいふ事なかれ己が長をとく事なかれ」のあとに添えられているもの。人の短所を言った後には、なんとなくさびしい気持がする。転じて、なまじよけいなことを言えば、そのために禍いを招くということ。 ●物言(い)わぬ花(はな) 美人を「物言う花」というのに対して、草木の花の称。 ●物覚(おぼ)ゆ 1 物事を識別することができる。心がたしかである。正気である。 2 物心がつく。 ●物がいる 経費を要する。費用がかかる。 ●物がない 味も風情もない。つまらない。ぐあいが悪い。 ●物聞(き)こゆ お話を申し上げる。 ●物承(けたまわ)る (「ものうけたまわる」の略)人にものいうときに、まずいう呼びかけのことば。申し上げます。*源氏‐帚木「ものけ給はる。いづくにおはしますぞ」 ●物問(と)う うらなう。 ●物ともせず 問題にもしない。何とも思わない。 ●物ならず 問題ではない。たいしたことではない。たやすいことである。 ●物に当(あ)たる 物に突き当たるほど、あわててとり乱す。*源氏‐葵「あさましければ殿の内の人ものにぞあたる」 ●物に襲(おそ)わる 夢で恐ろしいものにおそわれる。 ●物にする 1 思い通りのものにする。意図したように事を運び、なしとげる。 2 目がけて女性を手に入れる。 3 習い覚えて役に立つようにする。習得する。「英語をものにする」 ●物になる 1 一かどの人になる。立派な人になる。 2 思い通りになる。意図したように事が運び、成就する。 3 目がけていた女性が手にはいる。 4 習い覚えたものが役に立つようになる。 ●物に似(に)ず なみなみでない。他に比べようがない。 ●物には七十五度(しちじゅうごたび) 物事には限度があるという意。 ●物にもあらず それと認むべきほどの物でもない。問題にもならない。 ●物の彼方(あなた) 1 物のあちら。物の向こう側。 2 来世。後の世。 ●物の哀(あわ)れ 物事にふれてひき起こされる感動。多くは「おかし」「おもしろし」などの知的興味やはなやかさの感覚とは違った、しめやかな感情・情緒についていう。 1 人の心を、同情をもって十分に理解できること。人情の機微のわかること。*土左「楫取、もののあはれもしらで〈略〉はやく往なんとて」 2 物事にふれて起こる、しみじみとした回顧の感慨。*宇津保‐内侍督「よろづ物のあはれなむ思ひいでられ」 3 物事や季節などによってよび起こされる、しみじみとした情趣。折からの感興。*拾遺‐五一一「物のあはれは秋ぞまされる」 4 何かに深く感動することのできる感じやすい心。情趣や風流を理解し感じとることのできる情緒的教養。*枕‐一三五「説くことはたいと悲しければ、ことにもののあはれ深かるまじき若き人々、みな泣くめり」 5 悲哀や同情を感じさせるような気の毒なさま。*浮・好色一代男‐四「物のあはれをとどめしは、去大名の、北の御方に召つかはれて、日のめもついに、見給はぬ女郎達や、おはした也」 本居宣長が提唱した、平安時代の文芸の美的理念。外界である「もの」と、感情を形成する「あわれ」との一致する所に生ずる調和した情趣の世界を理念化したもの。自然・人生の諸相にふれてひき出される優美・繊細・哀愁の理念。その最高の達成が「源氏物語」であると考えた。 ●物の折(おり)[=折節(おりふし)] なにかの機会があるとき。また、ちょうどその機会。 ●物の数(かず) 取り上げて数え立てるほどのもの。問題にすべきもの。多く打消の語を伴って用いる。「彼など物の数ではない」 ●物の聞(き)こえ 世間の評判。世の噂。とりざた。 ●物の具(ぐ) ⇒親見出し ●物の怪(け) ⇒親見出し ●物の心(こころ) 1 物事の中にある道理。世間の事柄や人情などの奥にある条理。 2 物事の情趣。自然や音楽・芸術などの持つ美的情緒。また、人間的真情。 ●物の先(さき)を折る 事柄の出端をくじく。 ●物の諭(さと)し 神仏のお告げ。警告として現れた前兆。 ●物の師(し) 1 学問・芸能など専門の道に関することを教授する者。 2 特に、歌舞音曲の師。 ●物の上手(じょうず) ある技芸にすぐれた才能を持つ人。その道の名人。 ●物の譬(たとえ・たとい) ある物事のたとえ。ことのたとえ。 ●物の序(ついで) 何かほかのことをするのといっしょの機会。何かをするおり。ことのついで。 ●物の積(つ)み 語義未詳。胸や腹などの苦しくなる病気。食物が滞る病状で、食いもたれとも、胸や胃が激しく痛む癪(しゃく)などの病気とも、「物の罪」で、何かの報いの意であるともいう。*落窪‐二「ここに胸やみ給ふめり、物のつみかと、かいさぐり」 ●物の名(な) 和歌や俳諧で、与えられた物の名称を、前後の意味に関係なく、掛詞のようによみ込むもの。 ●物の音(ね) 楽器の音。また、音楽。 ●物の初(はじ)め 物事の最初。発端。さいさき。 ●物のはずみ ちょっとした動機や成り行き。 ●物の節(ふし) 近衛府に属し、特に音楽の技に長じた者が選ばれ、任命される役名。 ●物の本(ほん) 1 本の総称。書物。書冊。 2 学問的な内容の書物。教養のためのかたい書物。娯楽的な読物の草紙などに対していう。 3 江戸時代の中期以後、物語類の書物をいう。 4 その方面のことが書かれている書物。「物の本によると」 ●物の紛(まぎ)れ 1 物事の繁雑多忙などによる混乱にまきこまれること。取り紛れて気づかないこと。 2 密かに人目を紛らわして事をなすこと。特に、密会のことをそれとなくいう。みそかごと。 ●物の見事(みごと) (「見事」を強めた表現)たいそう見事であるさま。まことに立派に。 ●物の用(よう) 何かの役。ある物事の役。 ●物は言(い)いよう 物事は言いようによってどうにでも聞こえる。事は言いなし。 ●物は相談(そうだん) 1 物事はなんでも、他人とよく相談してみるものである。望みがなさそうなことでも、独りぎめにせず人と相談してみれば、案外うまくいくこともあるということ。物は談合。 2 相手に相談をもちかけるときや相手の助けや知恵を借りたいときにいうことば。 ●物は試(ため)し 物事はなんでも、実地に試してみなければその成否やよしあしはわからない。ともかく一度やってみるがよいということ。 ●物も言いようで角(かど)が立つ 何でもない事でも話のしかたによっては相手の感情を傷つけることがあるものである。 ●物申(もう) ⇒親見出し ●物思(も)う =もの(物)を思(おも)う ●物申す ⇒親見出し ●物も覚(おぼ)えず 1 どうしたらよいかわからなくなる。正気を失う。夢中になる。*源氏‐夕顔「右近は、物もおぼえず、君に、つと添ひたてまつりて」 2 思いがけない。予想もつかない。*栄花‐浦々の別「ただ物も覚えぬ水のさと流出づれば」 3 物事の道理をわきまえない。*平家‐四「物もおぼえぬ官人共が申様かな」 ●物を言(い)う 1 ことばを発する。 口に出して何かしゃべる。話をする。口をきく。ことばをかわして親しくする。ねんごろにする。*源氏‐真木柱「いかなる心にて、かやうの人に、物をいひけん」うるさく文句をいう。不平をいう。小言をいう。*蜻蛉‐中「かかるところにては、物などいふ人もあらじかし」挨拶(あいさつ)をする。声をかける。*読・春雨物語‐樊噌下「恐しくなりて、物もいはで出ぬ」 2 効力を発揮する。証明する。役に立つ。「長年の経験が物を言う」 ●物を言(い)わす その物の力を十分に出させる。威力を発揮させる。「物量に物を言わす」 ●物を思(おも)う 物事を思い悩む。思いにふける。 ●物を突(つ)く 何か吐く。食べた物を吐く。

もの【者】🔗🔉

もの【者】 (「もの(物)」から)人。古来、単独で用いられることはごくまれで、多く他の語句による修飾を受けて、形式名詞ふうに用いられる。卑下したり軽視したりするような場合に用いることが多く、また、現代では、「これに違反したものは」「右のもの」など、公式的な文書で用いる。

もの‐あい【物合】(‥あひ)🔗🔉

もの‐あい【物合】(‥あひ) 物事の調子、情勢。

もの‐あい【物間】(‥あひ)🔗🔉

もの‐あい【物間】(‥あひ) 物と物との間。また、その間の距離、へだたり。

もの‐あき【物飽】🔗🔉

もの‐あき【物飽】 物事にあきること。

もの‐あきびと【物商人】🔗🔉

もの‐あきびと【物商人】 物をあきなう人。商人。

もの‐あげば【物揚場】🔗🔉

もの‐あげば【物揚場】 船荷を陸にあげるところ。

もの‐あたらし・い【物新しい】🔗🔉

もの‐あたらし・い【物新しい】 〔形口〕何となくあたらしい。

もの‐あらがい【物抗】(‥あらがひ)🔗🔉

もの‐あらがい【物抗】(‥あらがひ) =ものあらそい(物争)

ものあら‐がい【物洗貝】(‥がひ)🔗🔉

ものあら‐がい【物洗貝】(‥がひ) モノアラガイ科の淡水産巻き貝。各地に分布し、池沼や水田などの水草に付着する。殻高約二五ミリメートル。殻はタニシ形で、きわめて薄く、淡黄色の半透明。殻口は大きく開く。生体では体が透けて暗黒色を呈する。水草についているのを洗われているように見立ててこの名がある。繁殖力が強く、夏に寒天質に包まれた長円柱状の卵塊を生む。カンテツの中間宿主。

もの‐あらそい【物争】(‥あらそひ)🔗🔉

もの‐あらそい【物争】(‥あらそひ) 物事を争うこと。口争い。けんか。ものあらがい。

もの‐あわせ【物合】(‥あはせ)🔗🔉

もの‐あわせ【物合】(‥あはせ) 歌合、根合、香合、絵合など、左右に分かれて物事を比べ合わせ、優劣を競う遊戯の総称。

もの‐あわれ【物哀】(‥あはれ)🔗🔉

もの‐あわれ【物哀】(‥あはれ) (形動)何となくあわれなこと。何となくしみじみとした感興を誘うさま。また、かわいそうなさま。

もの‐あんじ【物案じ】🔗🔉

もの‐あんじ【物案じ】 物事を思案すること。思い悩むこと。心配すること。

もの‐いい【物言】(‥いひ)🔗🔉

もの‐いい【物言】(‥いひ) 1 ものを言うこと。ものを言いかけること。また、その言い方。ことばづかい。「ぞんざいな物言い」 2 うわさ。とりざた。風評。 3 言い合い。口論。 4 ものを言うことの上手な人。口巧者。*紫式部日記「はたかのものいひの内侍は」 5 異議をいうこと。反論すること。文句を言うこと。 6 (「腹に物言い」の形で)懐胎すること。 7 相撲で、行司の判定に、土俵下の審判委員あるいは控え力士が異議を申し入れること。「物言いがつく」

もの‐い・う【物言う】(‥いふ)🔗🔉

もの‐い・う【物言う】(‥いふ) 〔連語〕 1 ことばを口に出す。 何か物事を言う。*万葉‐三四八一「家の妹に毛乃伊波(モノイハ)ず来にて思ひ苦しも」ことばをかわして親しくする。男女が情をかよわせる。ねんごろにする。*伊勢‐三二「むかし物いひける女に」気のきいたことばを言う。秀句を言う。*土左「このことば何とにはなけれども、ものいふやうにぞきこえたる」うるさく文句を言う。不平を言う。小言を言う。*菟玖波集‐発句「散らすなと風に物いふ花もがな」挨拶(あいさつ)をする。声をかける。*平中‐三四「ものいはで奥に這ひ入りて」 2 よい結果が現れる。効果がある。役立つ。*俳・坂東太郎‐下「酒機嫌草そものいふけふの菊」

ものい‐うま【物射馬】🔗🔉

ものい‐うま【物射馬】 騎射に慣れている馬。

ものい‐ぐつ【物射沓】🔗🔉

ものい‐ぐつ【物射沓】 =ばじょうぐつ(馬上沓)

もの‐いで【物出】🔗🔉

もの‐いで【物出】 出かけること。出立。*曾我物語‐一「弓矢とりのものいでの姿」

もの‐いまい【物忌】(‥いまひ)🔗🔉

もの‐いまい【物忌】(‥いまひ) =ものいみ(物忌)

もの‐いみ【物忌】🔗🔉

もの‐いみ【物忌】 1 神事や法会などに関係する者が、ある期間、酒肉、五辛などの飲食物や肉欲などを断ち、沐浴するなどして身心の穢(けが)れを除き去ること。潔斎。斎戒。 2 夢見のわるいときや物の怪(け)につかれたときなど、一定の期間家または特定の建物にこもって謹慎すること。また、その他広く占いや暦が凶であるときや、触穢(しょくえ)にある者などが籠居して身を慎むこと。 3 2のときのしるしとして、柳の木の札、または忍草などに「物忌」と書いて冠、簾などにかけたもの。物忌の札。 4 伊勢大神宮はじめ、鹿島、香取、加茂、平野、松尾、春日、平岡などの大社で、神事にあずかった童男・童女。 5 ある現象をとらえて吉凶を占ったり、不吉なことばを忌んで、吉祥のことばに転嫁したりすること。縁起にとらわれること。 ●物忌みの館(たち) =かんだち(神館)1 ●物忌みの札(ふだ) =ものいみ(物忌)3

もの‐いり【物入・物要】🔗🔉

もの‐いり【物入・物要】 費用のかかること。金銭を費やすこと。出費。散財。「今月は何かと物入りで」

もの‐いれ【物入】🔗🔉

もの‐いれ【物入】 物を入れておくところ。また、物を入れる袋や箱など。

もの‐いろい【物綺】(‥いろひ)🔗🔉

もの‐いろい【物綺】(‥いろひ) あれこれ世話をやくこと。口出しすること。

もの‐いわい【物祝】(‥いはひ)🔗🔉

もの‐いわい【物祝】(‥いはひ) 物の状態やことばに仮託してそれを吉兆と祝うこと。縁起をかつぐこと。

もの‐う・い【物憂い・懶い・慵い】🔗🔉

もの‐う・い【物憂い・懶い・慵い】 〔形口〕ものう・し〔形ク〕 1 気がすすまずおっくうである。何となく倦(う)みつかれて身心がすっきりしない。だるく大儀である。「物憂い朝」「時計が物憂く鳴る」*古今‐一五「物うかるねにうぐいすぞなく」 2 何となく心がはればれしない。憂鬱(ゆううつ)である。*菟玖波集‐春「春雨のくもりつづくは物うきに」 3 何となくつらい。いやである。やりきれない。わびしい。苦しい。*後撰‐一二六一「数ならぬ身のみ物うく思ほえて」 ものう‐が・る(自ラ四)/ものう‐げ(形動)/ものうげ‐さ(名)/ものう‐さ(名)

もの‐うじ【物倦じ】🔗🔉

もの‐うじ【物倦じ】 (「ものうんじ」の撥音「ん」の無表記)=ものうんじ(物倦)

もの‐うたがい【物疑】(‥うたがひ)🔗🔉

もの‐うたがい【物疑】(‥うたがひ) 物事を疑うこと。疑い嫉妬すること。*枕‐一五七「わりなくものうたがひする男にいみじう思はれたる女」

もの‐うち【物打】🔗🔉

もの‐うち【物打】 太刀(たち)などで物を打ち切るとき、その物に最も多く触れる所。切先(きっさき)から一〇センチメートルほどの、刀身が広がりはじめる部分。

もの‐うと・し【物疎し】🔗🔉

もの‐うと・し【物疎し】 〔形ク〕何となくいとわしい。どこか親しめない。*源氏‐夕顔「けはひ、ものうとくなり行く」

もの‐うらみ【物恨】🔗🔉

もの‐うらみ【物恨】 物事をうらむこと。何となく嫉妬の気持をいだくこと。ものえんじ。*源氏‐若菜上「まだきに騒ぎて、あいなきものうらみし給ふな」

もの‐うらめし【物恨めし】🔗🔉

もの‐うらめし【物恨めし】 〔形シク〕何となくうらめしい。*源氏‐幻「ものうらめしうおぼしたるけしきの、時々見え給しなどを」 ものうらめし‐げ(形動)

もの‐うらやみ【物羨】🔗🔉

もの‐うらやみ【物羨】 物事をうらやむこと。何となく他人をうらやむこと。ものねたみ。

もの‐うららか【物麗らか】🔗🔉

もの‐うららか【物麗らか】 〔形動〕何となくうららかなさま。何とはなしにのどかであるさま。*源氏‐柏木「空のけしきも、ものうららかにて」

もの‐うり【物売】🔗🔉

もの‐うり【物売】 1 商品を持って町を売り歩くこと。また、その人。行商人。 2 歌舞伎所作事の一系統。団扇(うちわ)売り・地紙売り・白酒売りなど、いろいろの物売りを舞踊化したもの。

もの‐うるわし【物麗し】(‥うるはし)🔗🔉

もの‐うるわし【物麗し】(‥うるはし) 〔形シク〕何となく整っている。どことなくきちょうめんである。*源氏‐行幸「常陸の宮の御方、あやしうものうるはしう」

もの‐うんじ【物倦じ】🔗🔉

もの‐うんじ【物倦じ】 物事に飽きて疲れること。気持がふさがっていやになること。ものうじ。

もの‐えんじ【物怨じ】(‥ヱンじ)🔗🔉

もの‐えんじ【物怨じ】(‥ヱンじ) =ものうらみ(物恨)

もの‐おき【物置】🔗🔉

もの‐おき【物置】 薪・炭・雑具などを入れておく小屋。納屋(なや)。物置小屋。

もの‐おじ【物怖】(‥おぢ)🔗🔉

もの‐おじ【物怖】(‥おぢ) 物事をひどくこわがること。おじけづくこと。「ものおじしない性格」

もの‐おしみ【物惜】(‥をしみ)🔗🔉

もの‐おしみ【物惜】(‥をしみ) 物を惜しむこと。物を使用したり物を貸したり与えたりすることを惜しむこと。悋嗇(りんしょく)。けち。

もの‐おそろし・い【物恐ろしい】🔗🔉

もの‐おそろし・い【物恐ろしい】 〔形口〕ものおそろし〔形シク〕何となくおそろしい。*宇津保‐俊蔭「娘一人残りて、ものおそろしく、つつましければ」 ものおそろし‐げ(形動)/ものおそろし‐さ(名)

もの‐おと【物音】🔗🔉

もの‐おと【物音】 1 何かの物がたてる音。「二階で物音がする」 2 特に、楽器の音(ね)。もののね。

もの‐おどろき【物驚】🔗🔉

もの‐おどろき【物驚】 物事に驚くこと。

もの‐おぼえ【物覚】🔗🔉

もの‐おぼえ【物覚】 物事をおぼえること。記憶。「物おぼえの良い子」

もの‐おもい【物思】(‥おもひ)🔗🔉

もの‐おもい【物思】(‥おもひ) 物事を思うこと。また、思い煩うこと。心配。うれい。「物思いにふける」

ものおもい‐がお【物思顔】(ものおもひがほ)🔗🔉

ものおもい‐がお【物思顔】(ものおもひがほ) もの思いにふけった顔つき。また、心配そうな様子。案じ顔。

ものおもい‐ぐさ【物思種】(ものおもひ‥)🔗🔉

ものおもい‐ぐさ【物思種】(ものおもひ‥) もの思いの原因となるもの。もの思いのたね。

もの‐おもわし・い【物思わしい】(‥おもはしい)🔗🔉

もの‐おもわし・い【物思わしい】(‥おもはしい) 〔形口〕ものおもはし〔形シク〕 1 もの思いをする様子である。何かと気がかりでふさぎこんだ状態である。*宇津保‐国譲下「かかる御中にさぶらへど、ものおもはしうわびしうなむ」 2 趣きが深い。*随・独寝‐下「嬉しきたより聞時は、鐘の響も物思はし」 ものおもわし‐げ(形動)/ものおもわし‐さ(名)

もの‐か🔗🔉

もの‐か 〔連語〕(名詞「もの」に係助詞「か」の付いたもの)文末で活用語の連体形を受ける。 1 詠嘆を表す。*万葉‐三八八「わたつみはくすしき物香(ものカ)」 2 反語を表す。*源氏‐若菜下「かかる心はあるべきものか」

もの‐かい【物飼】(‥かひ)🔗🔉

もの‐かい【物飼】(‥かひ) 生きものを飼育すること。また、その飼育する人。

もの‐かき【物書】🔗🔉

もの‐かき【物書】 1 文書、記録を書く役。書き役。右筆。書記。 2 文筆業として作品を書くこと。また、それを職業とする人。

もの‐がくし【物隠】🔗🔉

もの‐がくし【物隠】 (「ものかくし」とも)物事をつつみ隠すこと。また、それに用いるもの。

もの‐かげ【物陰】🔗🔉

もの‐かげ【物陰】 物にかくれて見えないところ。物にさえぎられて陰になっている部分。「物陰にひそむ」

もの‐かげ【物影】🔗🔉

もの‐かげ【物影】 物の姿。物の形。また、何かの姿。

もの‐がしら【物頭】🔗🔉

もの‐がしら【物頭】 1 武家時代、弓組・鉄砲組などの長。足軽頭・同心頭の類。武頭(ぶがしら)。足軽大将。 2 一般に、物事の長。頭だつ役。武家では家老など、町家・村方では名主、庄屋などをいう。 3 能楽で、頭にいただくかぶり物。頭(かしら)。

もの‐かず【物数】🔗🔉

もの‐かず【物数】 1 品物の数。物の数。品数。 2 ことばかず。口かず。 3 特に数えたてるほど重要なこと。見るに値すること。

もの‐かずえ【物数】(‥かずへ)🔗🔉

もの‐かずえ【物数】(‥かずへ) 1 =ものかぞえ(物数) 2 白拍子(しらびょうし)をうたうこと。

もの‐かぞえ【物数】(‥かぞへ)🔗🔉

もの‐かぞえ【物数】(‥かぞへ) 物を数えること。また、その様子。勘定。計算。

もの‐がた・い【物堅い】🔗🔉

もの‐がた・い【物堅い】 〔形口〕ものがた・し〔形ク〕物事に慎み深い。品行が正しく律義である。実直である。折目正しい。「物堅い老人」*浮・好色五人女‐三「都の物がたき住ひを嫌ひ」 ものがた‐さ(名)

もの‐がたら・う【物語らう】(‥がたらふ)🔗🔉

もの‐がたら・う【物語らう】(‥がたらふ) 〔他ハ四〕物事を語り合う。話し合う。また、男女が契りをかわす。*伊勢‐二「まめ男、うちものがたらひて」

もの‐がたり【物語】🔗🔉

もの‐がたり【物語】 1 (―する)種々の話題について話すこと。語り合うこと。*平家‐七「高橋うちとけて物語しけり」 2 (―する)特に男女が相かたらうこと。男女が契りをかわしたことを婉曲にいう。*宇津保‐俊蔭「もし人ちかく御ものがたりやし給し」 3 (―する)幼児が片言やわけのわからないことを言うこと。*源氏‐紅葉賀「物がたりなどして、うちゑみ給へるが、いと、ゆゆしう美しき」 4 (―する)特定の事柄について、その一部始終を話すこと。また、その話。特に口承的な伝承、また、それを語ることをいう。 5 日本の文学形態の一つ。作者の見聞または想像をもととし、人物・事件について人に語る形で叙述した散文の文学作品。狭義には平安時代の作り物語・歌物語をいい、鎌倉・南北朝時代のその模倣作品を含める。広義には歴史物語、説話物語、軍記物語などもいう。作り物語は、伝奇物語、写実物語などに分ける。 6 近代文学で、ノベル(小説)に対し、一貫した筋を持つストーリーという概念にあてた語。

ものがたり‐あわせ【物語合】(‥あはせ)🔗🔉

ものがたり‐あわせ【物語合】(‥あはせ) 人々が左右に分かれ、珍しい物語作品や新作の物語に歌など添えて出し、優劣を競う遊び。

ものがたり‐え【物語絵】(‥ヱ)🔗🔉

ものがたり‐え【物語絵】(‥ヱ) 物語の中の場面や人物を描いた絵。⇔歌絵

ものがたり‐どころ【物語所】🔗🔉

ものがたり‐どころ【物語所】 談話をする所。

ものがたり‐ぶみ【物語書】🔗🔉

ものがたり‐ぶみ【物語書】 =ものがたり(物語)5

もの‐がた・る【物語る】🔗🔉

もの‐がた・る【物語る】 〔他ラ五(四)〕 1 何か物事を語る。ある事について話を交わす。*大唐西域記長寛元年点‐三「諠(かまひす)しく語(モノカた)る声聞ゆ」 2 あるまとまった話をする。*談・根無草‐後「涙ぐんで物語(モノガタ)れば」 3 ある事実がそのままある意味をはっきりと示す。「髪の白さは半生の苦労を物語っている」

もの‐がなし・い【物悲しい】🔗🔉

もの‐がなし・い【物悲しい】 〔形口〕ものがなし〔形シク〕 1 何となく悲しい。うら悲しい。*万葉‐四一四一「春まけて物悲(ものがなしき)に」 2 何ともいえずせつなくいとしい。 ものがなし‐げ(形動)/ものがなし‐さ(名)

ものがなし‐ら【物悲しら】🔗🔉

ものがなし‐ら【物悲しら】 〔形動〕(「ら」は接尾語)もの悲しいこと。*万葉‐七二三「小金門に物悲良(ものがなしラ)に思へりし吾が児の刀自を」

もの‐かは🔗🔉

もの‐かは 〔連語〕(名詞「もの」に係助詞「か」「は」の付いたもの) 文末にあって活用語の連体形を受ける。 1 強い反語を表す。*古今‐七〇一「思ふ仲をばさくるものかは」 2 強い感動を表す。*大鏡‐五「この矢当れと仰せらるるに同じものを中心には当るものかは」 文末にあって助詞「は」を受け、物の数ではない。なんでもないの意を表す。*平家‐五「かへるあしたの鳥はものかは」

もの‐がまし・い【物がましい】🔗🔉

もの‐がまし・い【物がましい】 〔形口〕ものがまし〔形シク〕(「がましい」は接尾語)おおげさである。仰々しい。ことごとしい。*一言芳談‐上「生死界の事を、ものがましくおもふべからざるなり」

モノガミー🔗🔉

モノガミー (英monogamy)一夫一婦制。人間だけでなく他の動物にもいう。

もの‐から🔗🔉

もの‐から 〔接助〕(名詞「もの」に名詞「から」の付いてできたもの)活用語の連体形を受ける。 1 逆接を表す。けれども。ものの。のに。*万葉‐四一五四「都をもここも同じと心には思ふ毛能可良(モノカラ)語り放け見放くる人眼ともしみと思ひし繁し」*源氏‐帚木「月は有明にて光をさまれるものから影さやかに見えて」 2 (接続助詞「から」の影響で用法の転じたもの)順接を表す。ので。ものだから。*苔の衣‐二「罪深く思さるる物から、心の内もいとうたてくて」

もの‐がら【物柄】🔗🔉

もの‐がら【物柄】 物や人などの質。

もの‐がら【物殻】🔗🔉

もの‐がら【物殻】 土間敷(どまじき)のこと。

もの‐ぎ【物着】🔗🔉

もの‐ぎ【物着】 1 衣服を着ること。衣服を着飾ること。 2 能楽で、能の途中、退場しないで演者が舞台の後見座で扮装の一部を変えること。「松風」「井筒」「卒都婆小町(そとばこまち)」などで行う。 ●物着の合方(あいかた) 歌舞伎下座音楽の一つ。時代狂言で着物を舞台で着換えたり、また、鎧(よろい)をつけたりする間をつなぐ合方。

もの‐ぎき【物聞】🔗🔉

もの‐ぎき【物聞】 1 話しぶりなどが、人の耳に与える感じ。 2 様子をさぐり聞くこと。様子をうかがうこと。また、武家で敵陣や人家に忍び込み様子をさぐること。また、その人。遠聞(とおぎき)。

もの‐きせ【物着】🔗🔉

もの‐きせ【物着】 能楽で、能および狂言の演者に装束をつけること。また、その人。江戸時代には専門の物着方がいたが、現在は役者同士が行う。

もの‐きたな・し【物穢し】🔗🔉

もの‐きたな・し【物穢し】 〔形ク〕何となくきたない。不潔な感じがする。卑しげだ。*源氏‐明石「物きたなからず、よしづきたる事もまじれれば」

ものき‐ぼし【物着星】🔗🔉

ものき‐ぼし【物着星】 爪にできる白い斑点。婦人や子どもなどは衣服を得る前兆として喜ぶ。また、立身出世をする印ともいう。

もの‐きょうじ【物興】🔗🔉

もの‐きょうじ【物興】 物事に興じること。*栄花‐かがやく藤壺「あまり物けうじする程にむげに政事知らぬ白物(しれもの)にこそなりぬべかめれ」

もの‐きよ・し【物清し】🔗🔉

もの‐きよ・し【物清し】 〔形ク〕 1 何となくきれいである。こざっぱりしている。*落窪‐一「物きよくいひつる人かな」 2 清浄である。清純である。潔白である。*宇津保‐国譲中「けふはいと物きよくてくらさせ給ひぬ」 3 時にあい、すぐれている。かなりな身分である。*栄花‐ゆふしで「いとものきよき人の子どもをなさせ給ひつ」 ものきよ‐げ(形動)

もの‐きらきらし【物きらきらし】🔗🔉

もの‐きらきらし【物きらきらし】 〔形シク〕きわだっている。はっきりしている。*源氏‐常夏「いと、ものきらきらしく、かひある所つき給へる人にて」

もの‐きれ【物切】🔗🔉

もの‐きれ【物切】 よく切れる刃物。切れ物。

もの‐ぎれ【物切】🔗🔉

もの‐ぎれ【物切】 売る品物がなくなること。品切れ。

もの‐ぎわ【物際】(‥ぎは)🔗🔉

もの‐ぎわ【物際】(‥ぎは) 1 さし迫った瞬間。物事を行うまぎわ。特に、合戦が行われようとする間際。せとぎわ。 2 盆、正月などのまぎわで、忙しい時。節季(せっき)前。きわ。

もの‐ぐさ【懶・物臭】🔗🔉

もの‐ぐさ【懶・物臭】 (古くは「ものくさ」) 1 (形動)物事をするのにめんどうがること。不精(ぶしょう)なこと。また、その性質やその人。 2 短くて、かかとのない草履(ぞうり)。足半(あしなか)。尻切れ草履。

もの‐ぐさ【物種】🔗🔉

もの‐ぐさ【物種】 物事のたねとなるもの。物事の材料。*拾遺‐一〇三八「なき物くさは思はざらまし」

もの‐ぐさ・い【懶い・物臭い】🔗🔉

もの‐ぐさ・い【懶い・物臭い】 〔形口〕ものぐさ・し〔形ク〕(古くは「ものくさし」) 1 何となくくさい。どこからともなく嫌なにおいがする。*落窪‐一「物くさき部屋に臥して」 2 何となく怪しい。疑わしげである。くさい。*浄・碁盤太平記「此内は物ぐさし、捜せや捜せ」 3 物事をするのがおっくうである。めんどうである。大儀だ。気が進まない。*今鏡‐九「この碁ものぐさしとて立ち給にけり」 4 病気で気分がすぐれない。体の具合が悪い。*蒙求抄‐八「体中不佳時とは、ちっと物(もノ)ぐさい時に易をみると云ぞ」 5 とるにたりない。問題にならない。しゃらくさい。*幸若・高たち「むかふかたきのあらされは、ええ、物くさいいくさ哉」 ものぐさ‐が・る(他ラ四)/ものぐさ‐げ(形動)/ものぐさ‐さ(名)

もの‐くさし【懶・物臭】🔗🔉

もの‐くさし【懶・物臭】 (形容詞「ものくさし(懶)」の名詞化)ものぐさいこと。不精なこと。また、その人。ものぐさ。*伽・物くさ太郎「国にならびなき程の物くさしなり」

ものぐさ‐ぞうり【懶草履・物臭草履】(‥ザウリ)🔗🔉

ものぐさ‐ぞうり【懶草履・物臭草履】(‥ザウリ) (古くは「ものくさぞうり」)=ものぐさ(懶)2

ものぐさ‐たろう【懶太郎・物臭太郎】(‥タラウ)🔗🔉

ものぐさ‐たろう【懶太郎・物臭太郎】(‥タラウ) (古くは「ものくさたろう」)ものぐさな者を小馬鹿にし、人名のようにいった語。 ⇒ものくさたろう(物くさ太郎)

ものくさたろう【物くさ太郎】(ものくさタラウ)🔗🔉

ものくさたろう【物くさ太郎】(ものくさタラウ) 室町時代の御伽草子。二巻。作者・成立年ともに未詳。恋愛求婚談・立身出世談。信濃国の物臭太郎という不精者が歌才によって宮中に召され、貴族の出身で善光寺如来の申し子であることがわかって出世する。

ものぐさ‐どうしん【懶道心・物臭道心】(‥ダウシン)🔗🔉

ものぐさ‐どうしん【懶道心・物臭道心】(‥ダウシン) 生活の苦労をいやがって出家した僧。

もの‐ぐねり【物ぐねり】🔗🔉

もの‐ぐねり【物ぐねり】 ひがむこと。すねること。また、意地悪をすること。*日葡辞書「Monoguneriuo(モノグネリヲ) スル ヒト」

もの‐ぐら・し【物暗し】🔗🔉

もの‐ぐら・し【物暗し】 〔形ク〕何となく暗い。薄暗い。*能因本枕‐三二一「物くらふなりて、文字も書かれずなりにたり」

モノグラフ🔗🔉

モノグラフ (英monograph)一つの問題だけを対象に書かれた研究論文。モノグラフィー。

モノグラフィー🔗🔉

モノグラフィー (フランスmonographie ドイツMonographie)=モノグラフ

モノグラム🔗🔉

モノグラム (英monogram)頭文字などを組み合わせ、図案化したもの。署名の代わりとして美術品などに記されたり、印鑑に用いられたりする。

モノクル🔗🔉

モノクル (オランダ・英・フランスmonocle)片眼鏡。

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