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広辞苑の検索結果 (49)

もの【物】🔗🔉

もの】 [一]〔名〕 ➊形のある物体をはじめとして、存在の感知できる対象。また、対象を特定の言葉で指し示さず漠然ととらえて表現するのにも用いる。 ①物体。物品。万葉集2「みどり児の乞ひ泣くごとに取り与ふる―し無ければ」。「―がなくなる」「他人の―」「時代―」 ②仏・神・鬼・魂など、霊妙な作用をもたらす存在。妖怪。邪神。物のけ。源氏物語帚木「―におそはるる心地して」。「―に憑かれる」「―詣で」 ③物事。源氏物語桐壺「―の心知り給ふ人」。源氏物語帚木「まことの―の上手」。源氏物語若紫「―のはじめ」。「―のついでに伝える」 ④世間で知られている内容。世間一般の事柄。普通の物。源氏物語初音「御簾の内の追風、なまめかしく吹き匂はして、―より殊にけだかくおぼさる」。「―を知らない」 ⑤取り立てて言うべきほどのこと。物の数。貫之集「桜よりまさる色なき春なればあだし草木を―とやは見る」。「―ともしない」「―になる」 ⑥動作・作用・心情の対象となる事柄。 ㋐言語。言葉。古事記「山城のつつきの宮に―申すあが兄の君は」。源氏物語桐壺「母君もとみにえ―ものたまはず」。「―をあまり言わない子」 ㋑飲食物。おもの。源氏物語桐壺「―などもきこしめさず、朝がれひのけしきばかり触れさせ給ひて」 ㋒着物。衣服。源氏物語若紫「―縫ひ営むけはひなど」 ㋓楽器。源氏物語桐壺「心ことなる―の音をかき鳴らし」 ⑦それと言いにくいことを漠然と示す語。源氏物語若紫「―よりおはすれば、まづ出でむかひて」 ➋(形式名詞) ①そうあって当然のこと。徒然草「あまりに興あらんとする事は、必ずあいなき―なり」。「親には従う―だ」「悲しい時は泣く―」 ②感嘆の意。万葉集15「ほととぎす物思ふ時に鳴くべき―か」。「ばかなことをした―だ」 ③(終助詞的に)少し感情をこめて理由をのべる。「行きたいんだ―」 ➌〔哲〕(thing イギリス・Ding ドイツ) ①広義には、思考の対象としての意識的存在であれ、現実に存在する事物であれ、何らかの存在・対象・判断の主語となる一切。 ②狭義には、外界に在り、感覚によって知覚しうる事物。感性的性質の統一的担い手としての個物。時間・空間中に在る物体的・物質的なもの。 ➍〔法〕民法上、有体物。私権の客体たりうるもの。 [二]〔接頭〕 状態を表す名詞・形容詞の語頭に添えて、何とはなしにそうである、の意を表す。「―静か」「―悲しい」 ⇒物覚ゆ ⇒物が無い ⇒物がわかる ⇒物ともせず ⇒物ならず ⇒物に当たる ⇒物に掛かる ⇒物にする ⇒物になる ⇒物に似ず ⇒物には七十五度 ⇒物にもあらず ⇒物の先を折る ⇒物の上手 ⇒物は言いよう ⇒物は考えよう ⇒物は相談 ⇒物は試し ⇒物は使いよう ⇒物も言いようで角が立つ ⇒物を言う ⇒物を言わす

もの【者】🔗🔉

もの】 ①(修飾語を伴って)…である人。西大寺本最勝王経平安初期点「人として飢饉する者モノ無けむ」。「参加を希望する―」 ②(代名詞的に)あいつ。今昔物語集28「―は極いみじき臆病の者よ」 ③(漢文訓読の文脈で)事。西大寺本最勝王経平安初期点「願求する所の者モノには果し遂げずといふこと無けむ」。「特に強調する所以の―は」

モノ【mono】🔗🔉

モノmono】 (ギリシア語で「1」の意)「単一の」「単独の」の意。「―‐クローム」「―‐レール」

もの‐あい【物合】‥アヒ🔗🔉

もの‐あい物合‥アヒ 物事の整っていること。ちょうどよい場合。明徳記「―をよく見つくろひて然るべき時分あらば」

もの‐あい【物間】‥アヒ🔗🔉

もの‐あい物間‥アヒ 物と物との間。また、二つの物の距離。狂言、文蔵「―近くなりしかば二打ち三打ちうつとぞ見えしが」。「―からぬっと現れる」

もの‐あき【物厭き】🔗🔉

もの‐あき物厭き】 物事にあきること。浮世風呂「おのしがやうな―をする者は万一に飽きツぽくて」

もの‐あきびと【物商人】🔗🔉

もの‐あきびと物商人】 物をあきなう人。商人。

ものあげ‐ば【物揚げ場】🔗🔉

ものあげ‐ば物揚げ場】 船荷を陸揚げする場所。

もの‐あたらし・い【物新しい】🔗🔉

もの‐あたらし・い物新しい】 〔形〕[文]ものあたら・し(シク) 何となく新しい。

もの‐あらがい【物争い】‥アラガヒ🔗🔉

もの‐あらがい物争い‥アラガヒ (→)「ものあらそい」に同じ。源氏物語椎本「御―こそなかなか心おかれ侍りぬべけれ」

ものあら‐がい【物洗貝】‥ガヒ🔗🔉

ものあら‐がい物洗貝‥ガヒ モノアラガイ科の淡水の巻貝。カタツムリと同様、空気を呼吸する。殻高約2センチメートル。貝殻はやや卵形で飴色、薄くてもろい。日本各地の池や湖沼にすみ、表面張力により腹面を上にして水面から懸垂し、這うことができる。寒天質に包まれた卵塊を産む。肝蛭かんてつの中間宿主となる。 ものあらがい

もの‐あらそい【物争い】‥アラソヒ🔗🔉

もの‐あらそい物争い‥アラソヒ 物事をあらそうこと。ものあらがい。

もの‐あわせ【物合】‥アハセ🔗🔉

もの‐あわせ物合‥アハセ 人々が左右に分かれ、物を比べ合わせて優劣を競う遊戯の総称。多く歌合を伴い、平安貴族の間で流行した貝合・菊合・女郎花おみなえし合・前栽せんざい合・根合・扇合・絵合など多くの種類がある。合せ物。

もの‐あわれ【物哀れ】‥アハレ🔗🔉

もの‐あわれ物哀れ‥アハレ 何となくあわれなこと。何となく感慨深いさま。源氏物語賢木「はるけき野辺を分け入り給ふよりいと―なり」

もの‐あんじ【物案じ】🔗🔉

もの‐あんじ物案じ】 心配すること。物思い。狂言、千鳥「幾瀬の―をする事ぢや」

もの‐い【物射】🔗🔉

もの‐い物射】 物を射ること。騎射。犬追物いぬおうもの・笠懸など。 ⇒ものい‐うま【物射馬】 ⇒ものい‐ぐつ【物射沓】

もの・い🔗🔉

もの・い 〔形〕 (石川・福井県で)体調が悪い。

もの‐いい【物言い】‥イヒ🔗🔉

もの‐いい物言い‥イヒ ①ものを言うこと。ことばづかい。「乱暴な―」 ②うわさ。風評。源氏物語帚木「人の―さがなさよ」 ③話の巧みなこと。また、その人。源氏物語帚木「隈なき―も定めかねていたくうち嘆く」 ④言いあい。口論。西鶴織留2「後にはいか成男も退屈して、―する時」 ⑤相撲で、行司の勝負判定に審判または控力士から異議を出すこと。「―がつく」 ⇒ものいい‐とぎ【物言い伽】

ものいい‐とぎ【物言い伽】‥イヒ‥🔗🔉

ものいい‐とぎ物言い伽‥イヒ‥ 話し相手。浄瑠璃、博多小女郎波枕「この六人を請け出して、これに居らるる人々の―」 ⇒もの‐いい【物言い】

もの‐い・う【物言う】‥イフ🔗🔉

もの‐い・う物言う‥イフ 〔他五〕 何か物事を言う。口をきく。西大寺本最勝王経平安初期点「喉舌乾れ燥きて口に言モノイフこと能はずして」 ⇒物言う花 ⇒物言えば唇寒し秋の風 ⇒物言わぬ花 ○物言う花ものいうはな 美人。解語かいごの花。 ⇒もの‐い・う【物言う】

○物言う花ものいうはな🔗🔉

○物言う花ものいうはな 美人。解語かいごの花。 ⇒もの‐い・う【物言う】 ものい‐うま物射馬】 騎射に馴らされた馬。下地したじ馬。 ⇒もの‐い【物射】

ものい‐うま【物射馬】🔗🔉

ものい‐うま物射馬】 騎射に馴らされた馬。下地したじ馬。 ⇒もの‐い【物射】 ○物言えば唇寒し秋の風ものいえばくちびるさむしあきのかぜ (芭蕉の句)人の短所を言ったあとには、淋しい気持がする。なまじ物を言えば禍を招くという意に転用する。 ⇒もの‐い・う【物言う】

○物言えば唇寒し秋の風ものいえばくちびるさむしあきのかぜ🔗🔉

○物言えば唇寒し秋の風ものいえばくちびるさむしあきのかぜ (芭蕉の句)人の短所を言ったあとには、淋しい気持がする。なまじ物を言えば禍を招くという意に転用する。 ⇒もの‐い・う【物言う】 ものい‐ぐつ物射沓】 騎射に用いる沓。なめし革で作り爪先に襞ひだを取って、黒漆塗りとしたもの。馬上沓ばじょうぐつ。 物射沓 ⇒もの‐い【物射】 もの‐いで物出で】 出で立ち。曾我物語1「弓矢取りの―の姿女見送る事詮なし」 もの‐いまい物忌‥イマヒ(→)「ものいみ」1に同じ。 ②縁起をかついで、不吉な言葉などを忌んで別な語に言いかえること。→忌いみ詞2 もの‐いみ物忌】 ①ある期間、飲食・行為をつつしみ、身体を浄め、不浄を避けること。斎戒。神武紀「八十平瓮やそのひらかを造りて躬自みずから斎戒ものいみして諸神もろもろのかみを祭りたまふ」 ②不吉として、ある物事を忌むこと。縁起をかつぐこと。保元物語「武将の身として夢見・―など余りにをめたり」 ③天一神なかがみ・太白神ひとよめぐりなどの塞ふさがりを犯すのを忌んで、その日の過ぎるまで家に籠もってつつしむこと。源氏物語松風「今日は六日の御―明く日にて」 ④3のしるしに、柳の木の札または忍草に「物忌」と書いて冠または簾などにかけたもの。物忌の札。枕草子33「烏帽子に―つけたるは」 ⑤明治維新前、伊勢神宮や鹿島・香取・賀茂・春日などの諸大社で神事に奉仕した童女・童男。祝詞、六月月次「神主部・―等」 ⇒ものいみ‐の‐たち【物忌の館・斎の館】 ⇒ものいみ‐の‐ふだ【物忌の札】 ものいみ‐の‐たち物忌の館・斎の館(→)神館かんだちに同じ。 ⇒もの‐いみ【物忌】 ものいみ‐の‐ふだ物忌の札(→)物忌4に同じ。 ⇒もの‐いみ【物忌】 もの‐いり物入り】 費用のかかること。出費。「今月は―だった」「―な年の瀬」 もの‐いれ物入れ】 物を入れておくところ。雑物をいれる袋や箱。また、旧軍隊でポケットのこと。 もの‐いろい物弄い‥イロヒ でしゃばること。口をさしはさむこと。一遍上人語録「なまざかしからで、―を停止ちょうじして、一向に念仏申す」 もの‐いわい物祝い‥イハヒ 物事のいわい。いわいごと。縁起をかつぐこと。また、その人。

ものい‐ぐつ【物射沓】🔗🔉

ものい‐ぐつ物射沓】 騎射に用いる沓。なめし革で作り爪先に襞ひだを取って、黒漆塗りとしたもの。馬上沓ばじょうぐつ。 物射沓 ⇒もの‐い【物射】

もの‐いで【物出で】🔗🔉

もの‐いで物出で】 出で立ち。曾我物語1「弓矢取りの―の姿女見送る事詮なし」

もの‐いまい【物忌】‥イマヒ🔗🔉

もの‐いまい物忌‥イマヒ(→)「ものいみ」1に同じ。 ②縁起をかついで、不吉な言葉などを忌んで別な語に言いかえること。→忌いみ詞2

もの‐いみ【物忌】🔗🔉

もの‐いみ物忌】 ①ある期間、飲食・行為をつつしみ、身体を浄め、不浄を避けること。斎戒。神武紀「八十平瓮やそのひらかを造りて躬自みずから斎戒ものいみして諸神もろもろのかみを祭りたまふ」 ②不吉として、ある物事を忌むこと。縁起をかつぐこと。保元物語「武将の身として夢見・―など余りにをめたり」 ③天一神なかがみ・太白神ひとよめぐりなどの塞ふさがりを犯すのを忌んで、その日の過ぎるまで家に籠もってつつしむこと。源氏物語松風「今日は六日の御―明く日にて」 ④3のしるしに、柳の木の札または忍草に「物忌」と書いて冠または簾などにかけたもの。物忌の札。枕草子33「烏帽子に―つけたるは」 ⑤明治維新前、伊勢神宮や鹿島・香取・賀茂・春日などの諸大社で神事に奉仕した童女・童男。祝詞、六月月次「神主部・―等」 ⇒ものいみ‐の‐たち【物忌の館・斎の館】 ⇒ものいみ‐の‐ふだ【物忌の札】

ものいみ‐の‐たち【物忌の館・斎の館】🔗🔉

ものいみ‐の‐たち物忌の館・斎の館(→)神館かんだちに同じ。 ⇒もの‐いみ【物忌】

ものいみ‐の‐ふだ【物忌の札】🔗🔉

ものいみ‐の‐ふだ物忌の札(→)物忌4に同じ。 ⇒もの‐いみ【物忌】

もの‐いり【物入り】🔗🔉

もの‐いり物入り】 費用のかかること。出費。「今月は―だった」「―な年の瀬」

もの‐いれ【物入れ】🔗🔉

もの‐いれ物入れ】 物を入れておくところ。雑物をいれる袋や箱。また、旧軍隊でポケットのこと。

もの‐いろい【物弄い】‥イロヒ🔗🔉

もの‐いろい物弄い‥イロヒ でしゃばること。口をさしはさむこと。一遍上人語録「なまざかしからで、―を停止ちょうじして、一向に念仏申す」

もの‐いわい【物祝い】‥イハヒ🔗🔉

もの‐いわい物祝い‥イハヒ 物事のいわい。いわいごと。縁起をかつぐこと。また、その人。 ○物言わぬ花ものいわぬはな 「物言う花」に対し、自然の草木の花の称。重之集「鶯の声に呼ばれてうち来れば―も人招きけり」 ⇒もの‐い・う【物言う】

○物言わぬ花ものいわぬはな🔗🔉

○物言わぬ花ものいわぬはな 「物言う花」に対し、自然の草木の花の称。重之集「鶯の声に呼ばれてうち来れば―も人招きけり」 ⇒もの‐い・う【物言う】 もの‐う物憂】 (形容詞「ものうし」の語幹)物憂いこと。源氏物語宿木「―ながらすこしゐざり出でて対面し給へり」 もの‐う・い物憂い・懶い】 〔形〕[文]ものう・し(ク) ①心がはれやかでない。何となく気がすすまない。源氏物語宿木「何事も浅くなりにたる世は―・しや」。「―・い雨の日曜」 ②つらい。源氏物語槿「内裏うちより外のありきは―・きほどになりにけりや」 もの‐うじ物倦じ】 物にあきること。はかなむこと。がっかりすること。ものうんじ。源氏物語玉鬘「哀れと思ひし人の―して、はかなき山里に隠れゐにけるを」 もの‐うち物打】 太刀などで物を打ち切る時、その物に触れる所、すなわち切先きっさきから鎺本はばきもとへ向かって刀身が広がり始めるあたりの所。切先三寸の所。物切り所。打ち所。→刀(図) もの‐うと・し物疎し】 〔形ク〕 何となくいとわしい。源氏物語夕顔「けはひ―・くなりゆく」 ものう‐の‐き桃生柵モノフ‥ 奈良時代、陸奥の蝦夷に備えて築かれた城柵。所在地は宮城県石巻市飯野とする説が有力。桃生城。 もの‐うらみ物恨み】 物事をうらむこと。ものえんじ。源氏物語若菜上「あいなき―し給ふな」 もの‐うらめ・し物恨めし】 〔形シク〕 何となくうらめしい。うらみに思う。源氏物語橋姫「―・しき心々にて」 もの‐うらやみ物羨み】 物事をうらやむこと。ねたむこと。ものねたみ。枕草子28「―し身の上なげき」 もの‐うり物売り】 ①(大道や行商などで)物を売ること。また、その商人。宇治拾遺物語11「このことを―あやしう思へども」 ②歌舞伎舞踊の一形式。外郎ういろう売・地紙売・団扇売など種々の物売の風俗姿態を舞踊化したもの。 もの‐うんじ物倦じ(→)「ものうじ」に同じ。 もの‐えんじ物怨じ‥ヱンジ 物事をうらむこと。嫉妬。ものうらみ。枕草子125「人の妻のすずろなる―して」 モノーJacques Lucien Monod】 フランスの分子生物学者。蛋白質合成の制御機構を研究し、ジャコブと共にオペロン説を提唱。著「偶然と必然」。ノーベル賞。(1910〜1976) モノー 提供:毎日新聞社 もの‐おき物置】 薪炭や雑品・雑具などを入れて置く小屋・部屋。納屋なやもの‐おじ物怖じ‥オヂ 物事に怖じ恐れること。ものおそれ。臆病。源氏物語夕顔「―をなむわりなくせさせ給ふ御本性にて」。「―しないたち」 もの‐おしみ物惜しみ‥ヲシミ 物をおしむこと。けち。吝嗇。「―する人」 もの‐おそろし・い物恐ろしい】 〔形〕[文]ものおそろ・し(シク) 何となくおそろしい。源氏物語帚木「人げ遠き心地して―・し」 もの‐おと物音】 物のたてる音。何かの音。「不審な―」「―一つしない」 もの‐おどろき物驚き】 物事におどろくこと。〈日葡辞書〉 もの‐おぼえ物覚え】 物事をおぼえること。記憶。「―がいい人」

もの‐う【物憂】🔗🔉

もの‐う物憂】 (形容詞「ものうし」の語幹)物憂いこと。源氏物語宿木「―ながらすこしゐざり出でて対面し給へり」

もの‐う・い【物憂い・懶い】🔗🔉

もの‐う・い物憂い・懶い】 〔形〕[文]ものう・し(ク) ①心がはれやかでない。何となく気がすすまない。源氏物語宿木「何事も浅くなりにたる世は―・しや」。「―・い雨の日曜」 ②つらい。源氏物語槿「内裏うちより外のありきは―・きほどになりにけりや」

もの‐うじ【物倦じ】🔗🔉

もの‐うじ物倦じ】 物にあきること。はかなむこと。がっかりすること。ものうんじ。源氏物語玉鬘「哀れと思ひし人の―して、はかなき山里に隠れゐにけるを」

もの‐うち【物打】🔗🔉

もの‐うち物打】 太刀などで物を打ち切る時、その物に触れる所、すなわち切先きっさきから鎺本はばきもとへ向かって刀身が広がり始めるあたりの所。切先三寸の所。物切り所。打ち所。→刀(図)

もの‐うと・し【物疎し】🔗🔉

もの‐うと・し物疎し】 〔形ク〕 何となくいとわしい。源氏物語夕顔「けはひ―・くなりゆく」

ものう‐の‐き【桃生柵】モノフ‥🔗🔉

ものう‐の‐き桃生柵モノフ‥ 奈良時代、陸奥の蝦夷に備えて築かれた城柵。所在地は宮城県石巻市飯野とする説が有力。桃生城。

もの‐うらみ【物恨み】🔗🔉

もの‐うらみ物恨み】 物事をうらむこと。ものえんじ。源氏物語若菜上「あいなき―し給ふな」

もの‐うらめ・し【物恨めし】🔗🔉

もの‐うらめ・し物恨めし】 〔形シク〕 何となくうらめしい。うらみに思う。源氏物語橋姫「―・しき心々にて」

もの‐うらやみ【物羨み】🔗🔉

もの‐うらやみ物羨み】 物事をうらやむこと。ねたむこと。ものねたみ。枕草子28「―し身の上なげき」

もの‐うり【物売り】🔗🔉

もの‐うり物売り】 ①(大道や行商などで)物を売ること。また、その商人。宇治拾遺物語11「このことを―あやしう思へども」 ②歌舞伎舞踊の一形式。外郎ういろう売・地紙売・団扇売など種々の物売の風俗姿態を舞踊化したもの。

もの‐うんじ【物倦じ】🔗🔉

もの‐うんじ物倦じ(→)「ものうじ」に同じ。

もの‐えんじ【物怨じ】‥ヱンジ🔗🔉

もの‐えんじ物怨じ‥ヱンジ 物事をうらむこと。嫉妬。ものうらみ。枕草子125「人の妻のすずろなる―して」

モノー【Jacques Lucien Monod】🔗🔉

モノーJacques Lucien Monod】 フランスの分子生物学者。蛋白質合成の制御機構を研究し、ジャコブと共にオペロン説を提唱。著「偶然と必然」。ノーベル賞。(1910〜1976) モノー 提供:毎日新聞社

もの‐おき【物置】🔗🔉

もの‐おき物置】 薪炭や雑品・雑具などを入れて置く小屋・部屋。納屋なや

もの‐おじ【物怖じ】‥オヂ🔗🔉

もの‐おじ物怖じ‥オヂ 物事に怖じ恐れること。ものおそれ。臆病。源氏物語夕顔「―をなむわりなくせさせ給ふ御本性にて」。「―しないたち」

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もの【物】🔗🔉

もの 【物】 ■一■ [2][0] (名) 〔形のある物体を初めとして,広く人間が知覚し思考し得る対象の一切を意味する。「こと(事)」が時間的に生起・消滅する現象を表すのに対して,「もの」はその現象を担う不変な実体を想定して用いる語である〕 □一□ (1)物体。物品。「階段に―を置くのは危険だ」「窓から―が落ちて来た」 (2)特に,経済的な価値をもった物品。また,その品質。「―は乏しくても,心は豊かでありたい」「値段は安いが,―は確かだ」 (3)対象を具体的に表現せず,漠然という語。何らかの対象。「―を言う」「―を思う」「―も食べない」「―のはずみ」「―の役に立たない」 (4)対象を特定化せず,一般的・包括的にいう語。すべての対象。「―は考えようだ」「―には順序がある」 (5)物事の筋道。道理。「―が分かっている人」 (6)鬼や悪霊など,正体のとらえにくい対象を畏怖していう語。「―に憑(ツ)かれる」「―の怪(ケ)」 (7)取り上げる価値のある対象。ひとかどの存在。「―ともしない」「―の数ではない」「―になるかどうか」 (8)思考の対象として取り上げる事物をさす語。物事。「幸福という―はとかく失われやすい」「日本的な―を好む」 (9)一度名前を言ったあとで再びそれをさす時に,名前の代わりに用いる語。それ。「あの映画は一度見た―だ」 (10)(「…のもの」の形で)所有物。持ち物。「自分の―には名前を書いておきなさい」「人の―を借りる」 □二□ (1)〔哲〕 〔英 thing; (ドイツ) Ding〕 (ア)感知し得るさまざまな属性の統一的担い手としてのまとまりをもった空間的・時間的対象。狭義には,このもの・あのものと指し示し得る「机」「家」など外界に存在する感覚的個物をいうが,広義には思考の対象となり,命題の主語となり得るすべて,例えば心や価値などの非感覚的存在をも含めていう。(イ)人格としては関係しない対象を「ひと」に対して「もの」という。 (2)〔法〕 権利の客体とされる,排他的支配が可能な外界の一部をいい,有体物と無体物とに分けられる。民法上「物」は有体物に限られる。 □三□種々の語の下に付いて複合語をつくる。 (1)その分野・種類に入る品物や作品であることを表す。「夏―」「西陣―」「三年―のワイン」「現代―」 (2)そういう事態を引き起こすような事柄であることを表す。「それは切腹―だ」「全く冷や汗―だった」 (3)動詞の連用形に付いて,そのような動作の結果できた物品,そのような動作の対象となる物品であることを表す。「塗り―」「焼き―」「食べ―」「読み―」 □四□(形式名詞) (1)(「…ものだ(である)」などの形で)(ア)普遍的な傾向。「どんな人もお世辞には弱い―だ」「人間はとかく過去を美化したがる―らしい」(イ)なすべきこと。「そんな時は何も聞かずにいてあげる―だ」(ウ)過去にしばしば起こったこと。「二人でよく遊んだ―だ」 (2)(「…ものだ」の形で)感動・詠嘆を表す。…なあ。「あの難関をよくくぐり抜けた―だ」「故郷とはいい―だ」「あの男にも困った―だ」 (3)(「…ものか」「…ものではない」などの形で)否定を強調する。「そんなことがある―か」「誰が言う―ですか」「何をするかわかった―ではない」 (4)(「…ものと思われる」などの形で)判断を強調する。「彼はもう帰った―と思われる」「あきらめた―とみえて,その後何も言ってこない」 (5)(「ものとする」の形で)…することとする。「甲はその責任を負う―とする(契約書ナドノ文言)」 ■二■ (接頭) 形容詞・形容動詞・動詞に付いて,何とはなしに,また,どことなくそのような状態である,の意を表す。「―寂しい」「―静か」「―古る」

もの【者】🔗🔉

もの [2] 【者】 〔「もの(物)」と同源〕 人。古来,単独で用いられることはごくまれで,多く連体修飾語を伴って用いられる。「家の―を迎えにやる」「若い―」「おまえのような―は勘当だ」「だれか試してみる―はいないか」「―は極(イミジ)き臆病の―よ/今昔 28」 〔「人」に比べて卑下したり軽視したりするような場合に用いられることが多い〕

モノmono🔗🔉

モノ [1] mono ギリシャ語で,単一の意。「―クローム」

もの🔗🔉

もの 〔形式名詞「もの」から〕 ■一■ (終助) 活用語の終止形に付く。 (1)不満・うらみ・あまえ・訴えなどの気持ちを込めて,理由を述べる。「だもの・ですもの」の形をとることが多い。「だって,仕方がないんです―」「どうしてもぼく行きたい―」 (2)(「ものね」「ものな」などの形で)理由を表す。「ね」「な」などによって,軽い詠嘆の意が加わる。「なるほど,それはきみの専門だ―な」「よくおわかりでしょう。前に行ったことがあります―ね」 ■二■ (接助) 活用語の終止形に付く。 (1)理由・原因を述べる。から。ので。「子供だ―,無理はないよ」「いっしょうけんめい勉強しています―,大丈夫ですわ」 (2)逆接条件を表す。のに。「ぼくだって知らない―,きみが知っているはずがない」 〔「もの(物)」の形式名詞的用法の一つとして,活用語の連体形を受けて文を終止し,感動の気持ちを表すということはすでに上代からあり,これから終助詞的用法が生まれたのであるが,それは近世以降のことである〕

もの-あい【物間】🔗🔉

もの-あい ―アヒ 【物間】 物と物との間。また,その間の距離。「互ひにそれと見しよりも,―近くなりしかば/狂言・文蔵」

もの-あざやか【物鮮やか】🔗🔉

もの-あざやか [4] 【物鮮やか】 (形動)[文]ナリ きわだってあざやかなさま。「―な色どり」

もの-あたらし・い【物新しい】🔗🔉

もの-あたらし・い [6] 【物新しい】 (形)[文]シク ものあたら・し なんとなく新しい。

ものあら-がい【物洗貝】🔗🔉

ものあら-がい ―ガヒ [4] 【物洗貝】 淡水産の巻貝。殻高約25ミリメートルの長卵形で,殻は非常に薄く半透明で,淡黄褐色。生きている時は肉が透けて見えるので,暗褐色。殻口がきわめて広い。池沼・水田にすみ水草などについている。肝吸虫の中間宿主。日本各地と朝鮮半島に分布。

もの-あらそい【物争い】🔗🔉

もの-あらそい ―アラソヒ [3] 【物争い】 (名)スル 物事を争うこと。けんか。紛争。ものあらがい。「―の種になる」

もの-あわせ【物合(わ)せ】🔗🔉

もの-あわせ ―アハセ [3] 【物合(わ)せ】 左右に分かれ物事を比べ合わせて優劣を競う遊戯の総称。歌合わせ・絵合わせなど。

もの-あわれ【物哀れ】🔗🔉

もの-あわれ ―アハレ [3] 【物哀れ】 (名・形動)[文]ナリ なんとなくあわれを感じる・こと(さま)。「―な季節」「はるけき野辺を分け入り給ふより,いと―なり/源氏(賢木)」

もの-あんじ【物案じ】🔗🔉

もの-あんじ [3] 【物案じ】 (名)スル 物事を心配すること。思案。「首を傾げて―をしてゐる/俳諧師(虚子)」

もの-いい【物言い】🔗🔉

もの-いい ―イヒ [3] 【物言い】 (1)言葉遣い。物の言い方。「気にさわる―」 (2)言い争い。口論。口喧嘩(ゲンカ)。「―の種になる」 (3)決定について反対が出ること。特に相撲で,行司の勝負の判定に対して,審判委員や控え力士が異議を出すこと。「計画に対して―をつける」「結びの一番に―がつく」 (4)うわさ。「人の―さがなさよ/源氏(帚木)」 (5)よく議論をすること。また,その人。論客。おしゃべり。「かの―の内侍は,え聞かざるべし/紫式部日記」

もの-い・う【物言う】🔗🔉

もの-い・う ―イフ [2] 【物言う】 (動ワ五[ハ四]) (1)ことばを発する。口をきく。「―・いたげなそぶり」 (2)力を発揮する。「金が―・う世の中」 (3)男女が情を通じる。「むかし,―・ひける女に/伊勢 32」 (4)気のきいたことばを言う。秀句を言う。「このことば,なにとにはなけれども,―・ふやうにぞきこえたる/土左」

ものい-うま【物射馬】🔗🔉

ものい-うま 【物射馬】 犬追物(イヌオウモノ)・笠懸(カサガケ)・流鏑馬(ヤブサメ)などに馴れた馬。下地馬。

ものい-ぐつ【物射沓】🔗🔉

ものい-ぐつ [3] 【物射沓】 騎射に用いる沓。なめし革で作り,普通,黒漆塗りで爪先に襞(ヒダ)をとる。馬上沓。

もの-いみ【物忌み】🔗🔉

もの-いみ [4][0] 【物忌み】 (名)スル (1)祭事において神を迎えるために,一定期間飲食や行為を慎み,不浄を避けて心身を清浄に保つこと。斎戒。斎忌。 (2)占いや暦が凶であるときや夢見の悪いときなどに,家にこもって謹慎すること。「御―と言ひてければ,人も通はず/源氏(東屋)」 (3){(2)}のときにその標として柳の木の札や忍草などに「物忌」と書き,冠・簾に付けたもの。物忌みの札。「烏帽子に―つけたるは/枕草子 33」 (4)昔,伊勢神宮をはじめ賀茂・春日・鹿島・香取などの諸大社で,忌みこもって神事にあたった童女・童男。 (5)不吉であるとして物事を忌み避けること。「武将の身として,夢見・―など余りにおめたり/保元(上・古活字本)」

ものいみ-の-たち【物忌みの館・斎の館】🔗🔉

ものいみ-の-たち 【物忌みの館・斎の館】 ⇒かむだち(神館)

もの-いり【物入り】🔗🔉

もの-いり [0][4] 【物入り】 (名・形動)[文]ナリ 費用がかかる・こと(さま)。出費。「四月は何かと―が多い」「―な事が続く」

もの-いれ【物入れ】🔗🔉

もの-いれ [4][0] 【物入れ】 物を入れておく納戸や箱,袋。また,ポケット。

もの-う・い【物憂い】🔗🔉

もの-う・い [3][0] 【物憂い】 (形)[文]ク ものう・し (1)なんとなく気がふさいで,動くのも面倒だ。憂鬱(ユウウツ)だ。けだるい。大儀だ。「何事をするにも―・い億劫(オツクウ)な気分になり/風(潤一郎)」 (2)なんとなくつらい。苦しい。「さのみ野山に臥さん事も―・くて/保元(下)」 [派生] ――げ(形動)――さ(名)

もの-うち【物打ち】🔗🔉

もの-うち [0][4] 【物打ち】 太刀などで物を打ち切るとき,その物に触れる部分。刀の先端10センチメートルほどの,最もよく切れる部分。切っ先三寸。

もの-うと・し【物疎し】🔗🔉

もの-うと・し 【物疎し】 (形ク) なんとなく親しみにくい。「もし賢女あらば,それも―・く/徒然 107」

もの-うらめ・し【物恨めし】🔗🔉

もの-うらめ・し 【物恨めし】 (形シク) なんとなくうらめしい。「中頃―・しう思したる気色の/源氏(幻)」

もの-うり【物売り】🔗🔉

もの-うり [3][4] 【物売り】 店を構えず露天で,または持ち歩いて品物を売ること。また,その人。「―の声がする」

もの-うんじ【物倦じ】🔗🔉

もの-うんじ 【物倦じ】 気がふさいでいやになること。「はかなき―をして/源氏(蛍)」

もの-えんじ【物怨じ】🔗🔉

もの-えんじンジ 【物怨じ】 嫉妬(シツト)。やきもち。「―をいたくし侍りしかば,心づきなく/源氏(帚木)」

モノーJacques Lucien Monod🔗🔉

モノー Jacques Lucien Monod (1910-1976) フランスの分子生物学者。ジャコブ(F. Jacob (1920- ))とともに,タンパク質合成の遺伝的制御機構を説明するオペロン説を提唱。酵素のアロステリック効果による,多様な物質交代経路での統合・調節についても論じた。著「偶然と必然」

もの-おき【物置】🔗🔉

もの-おき [3][4] 【物置】 当面使わない物や雑具などを入れて置く場所。「―小屋」

もの-おじ【物怖じ】🔗🔉

もの-おじ ―オヂ [0] 【物怖じ】 (名)スル 臆病(オクビヨウ)で,何かにつけてこわがること。「―しない態度」

もの-おしみ【物惜しみ】🔗🔉

もの-おしみ ―ヲシミ [3] 【物惜しみ】 (名)スル 人に物を与えたり物が減ったりするのを惜しがること。けち。「―して使わずにしまっておく」

もの-おそろし・い【物恐ろしい】🔗🔉

もの-おそろし・い [6] 【物恐ろしい】 (形)[文]シク ものおそろ・し なんとなく恐ろしい。「なんとも―・い気配」 [派生] ――げ(形動)――さ(名)

もの-おと【物音】🔗🔉

もの-おと [3][4] 【物音】 何かの音。おと。「―で目を覚ます」

もの-おどろき【物驚き】🔗🔉

もの-おどろき [3] 【物驚き】 物事に驚くこと。「何だつてさう気が小さくつて,―をするんだなあ/化銀杏(鏡花)」

もの-おぼえ【物覚え】🔗🔉

もの-おぼえ [3] 【物覚え】 物事をよくわかって忘れないこと。「―がよい」

もの-おぼ・ゆ【物覚ゆ】🔗🔉

もの-おぼ・ゆ 【物覚ゆ】 (動ヤ下二) (1)心が確かである。正気である。「いとかなしかりけるとて泣くを見るに―・えずなりて/蜻蛉(上)」 (2)物心がつく。「―・えてのち,さることをこそまだ見侍らね/大鏡(藤氏物語)」

もの-おもい【物思い】🔗🔉

もの-おもい ―オモヒ [3] 【物思い】 あれこれと思い悩むこと。憂え思うこと。「―に沈む」

もの-おも・う【物思う】🔗🔉

もの-おも・う ―オモフ [4] 【物思う】 (動ワ五[ハ四]) あれこれと物思いにふける。「―・う年頃」

もの-おもわし・い【物思わしい】🔗🔉

もの-おもわし・い ―オモハシイ [6] 【物思わしい】 (形)[文]シク ものおもは・し 気がかりなことがあってなんとなく心が晴れない。物思いをするさまである。「―・い顔をして歯を鑿(セセ)つてゐる/二人女房(紅葉)」 [派生] ――げ(形動)――さ(名)

ものか🔗🔉

ものか (終助) 〔連語「ものか」が一語化して,終助詞として用いられるようになったもの。話し言葉でのくだけた言い方では「もんか」ともなる〕 文末に用いて,活用語の連体形に付く。反語の意を表す。強く反問し,きっぱり否定する気持ちを表す。「そんなこと知る―」「ばかにされて,だまっていられる―」 〔丁寧な言い方としては「ものですか」の形が用いられる。これは,同等あるいは目下の者に対する場合には,やや見下した言い方にもなる。「あなたなどに負けてたまるものですか」〕 →ものか(連語)

もの-か🔗🔉

もの-か (連語) 〔形式名詞「もの」に係助詞「か」の付いたもの〕 文末に用いられる。 (1)強い驚きや感動の意を表す。「心なき鳥にぞありけるほととぎす物思ふ時に鳴くべき―/万葉 3784」「乳をひねり給へりければ,御顔にささと走りかかる―/大鏡(兼家)」 (2)強い反語の意を表す。「はじめより長く言ひつつ頼めずはかかる思ひにあはまし―/万葉 620」「人ばなれたる所に心とけていぬる―/源氏(夕顔)」「かかる所にて御牛をばおふ―/徒然 114」 〔(1)の用法は中古までで,のちには(2)の用法中心に用いられ,終助詞化していった〕 →ものか(終助)

もの-かい【物買い】🔗🔉

もの-かい ―カヒ [4][0] 【物買い】 物を買うこと。また,その人。

モノカインmonokine🔗🔉

モノカイン [3] monokine マクロファージが産生する,高分子物質の総称。多くはタンパク質。免疫反応に関係する。

もの-かき【物書き】🔗🔉

もの-かき [4][3] 【物書き】 (1)文章を書くこと。また,文章を書くことで生活している人。 (2)文書・記録などを書く役。書き役。「申状を―にあつらへて,かかせる程に/名語記」

もの-かげ【物陰】🔗🔉

もの-かげ [0] 【物陰】 物のかげ。物にかくれて見えない所。「―に身を隠す」「―から急に飛び出す」

もの-かげ【物影】🔗🔉

もの-かげ [0] 【物影】 何かの物の姿。物の形。「―が動く」

もの-がしら【物頭】🔗🔉

もの-がしら [3] 【物頭】 (1)もののかしら。武家の家老,町方・村方の庄屋・名主など。 (2)武家時代,弓組・鉄砲組などの足軽の頭。組頭。足軽頭。 (3)能で頭に戴くもの。かぶり物。

もの-かず【物数】🔗🔉

もの-かず [3] 【物数】 (1)品物の合計数。品数。 (2)口数。「―いはぬこそよけれ/浮世草子・一代女 1」 (3)とりたてて数え立てるほど重要なこと。「―にして言ふにはあらねど/読本・八犬伝 4」 (4)多数。「折々の御猟でござるによつて,さぞお―(=多数ノ獲物)でござらうと/狂言・靭猿(鷺流)」

もの-がた・い【物堅い】🔗🔉

もの-がた・い [4] 【物堅い】 (形)[文]ク ものがた・し 実直である。律義である。まじめ一方である。「―・く信用できる人」 [派生] ――さ(名)

もの-がたら・う【物語らふ】🔗🔉

もの-がたら・う ―ガタラフ 【物語らふ】 (動ハ四) 語り合う。特に男女が情を交わす。「かのまめ男,うち―・ひて,帰り来て,いかが思ひけむ/伊勢 2」

もの-がたり【物語】🔗🔉

もの-がたり [3] 【物語】 (名)スル (1)あるまとまった内容のことを話すこと。ものがたること。また,その内容。話。談話。「世にも悲しい―」「知る人の許にて夜に入るまで―し/舞姫(鴎外)」 (2)文学形態の一。広義には,散文による創作文学のうち,自照文学を除くものの総称。すなわち,作者が人物・事件などについて他人に語る形で記述した散文の文学作品。特に,人物描写に主眼のある小説に対して,事件の叙述を主とするものをさすことが多い。狭義には,日本の古典文学で,「竹取物語」「伊勢物語」に始まり,「宇津保物語」「源氏物語」で頂点に達し,鎌倉時代の擬古物語に至るまでのものをさす。歴史物語・説話物語・軍記物語を含めることもある。 (3)浄瑠璃・歌舞伎の演出・演技の一形式。登場人物が過去の事件や心境を身振りを交えて物語る場面。「熊谷陣屋」の熊谷など。 (4)男女が相語らうこと。情を交わすこと。「夜すがら―せしを/浮世草子・一代女 2」

ものがたり-あわせ【物語合(わ)せ】🔗🔉

ものがたり-あわせ ―アハセ [6] 【物語合(わ)せ】 平安時代,何人かの人が左右に分かれ,珍しい物語の書に,歌などを添えて出し,優劣を競う遊び。

ものがたり-え【物語絵】🔗🔉

ものがたり-え [5] 【物語絵】 平安時代,和文の物語に絵を描き加えたもの。また,中心となる場面だけを絵画化したものもある。 →絵物語

もの-がた・る【物語る】🔗🔉

もの-がた・る [4] 【物語る】 (動ラ五[四]) (1)あるまとまった話をする。まとまりのある内容を話す。「昔のことを―・る」 (2)ある事実がある意味を示す。表す。「苦労を―・る顔のしわ」 (3)語る。話をかわす。「男が…他の船員と何事か―・りつつあつた/馬上の友(独歩)」 [可能] ものがたれる

もの-かな🔗🔉

もの-かな (連語) 〔形式名詞「もの」に終助詞「かな」の付いたもの〕 文末にあって,活用語の連体形を受け,強い感動の意を表す。…だなあ。「御手,いとをかしうのみなりまさる―/源氏(賢木)」「無下の事をも仰せらるる―/徒然 188」

もの-がなし・い【物悲しい】🔗🔉

もの-がなし・い [5][0] 【物悲しい】 (形)[文]シク ものがな・し 理由もなくなんとなく悲しい。うらがなしい。「―・い秋の夕暮れ」「―・い鹿の鳴き声」 [派生] ――げ(形動)――さ(名)

ものがなし-ら【物悲しら】🔗🔉

ものがなし-ら 【物悲しら】 (形動ナリ) 〔「ら」は状態を表す接尾語〕 ものがなしそうなさま。「小金門に―に思へりし我(ア)が子の刀自を/万葉 723」

もの-か-は🔗🔉

もの-か-は (連語) 〔形式名詞「もの」に係助詞「か」「は」の付いたもの〕 □一□〔□二□(2)からの残存用法〕 文中にあって,係助詞「も」などを受けて,上の語の表す物事がたいしたことではないという意を表す。…ももののかずではなく。…をも問題にせず。「台風も―,出かけていった」「激しい非難も―,断固計画を実行する」 □二□文末用法。 (1)活用語の連体形に付く。(ア)強い反語の意を表す。…であろうか,いや…ではないのだ。「天の原踏みとどろかし鳴る神も思ふ仲をば離(サ)くる―/古今(恋四)」「花はさかりに,月はくまなきをのみ見る―/徒然 137」(イ)強い感動の意を表す。…であることよ。「この矢あたれと仰せらるるに同じものを中心(ナカラ)にあたる―/大鏡(道長)」 (2)助詞「は」を受け,もののかずではない,問題ではないなどの意を表す。「待つ宵のふけゆく鐘の声聞けばかへるあしたの鳥は―/平家 5」

もの-がまし・い【物がましい】🔗🔉

もの-がまし・い [5] 【物がましい】 (形)[文]シク ものがま・し おおげさである。ことごとしい。「―・ク言ウ/ヘボン(三版)」

モノガミーmonogamy🔗🔉

モノガミー [2] monogamy 単婚。 →ポリガミー

もの-か-も🔗🔉

もの-か-も (連語) 〔形式名詞「もの」に係助詞「か」「も」の付いたもの。上代語〕 文末にあって,活用語の連体形に付く。 (1)軽い疑問の気持ちをこめた詠嘆の意を表す。「天雲のそきへの極み遠けども心し行けば恋ふる―/万葉 553」「ますらをの思ひわびつつ度(タビ)まねく嘆く嘆きを負はぬ―/万葉 646」 (2)反語の意を表す。「人言の繁くしあらば君も我(アレ)も絶えむといひて逢ひし―/万葉 3110」

ものから🔗🔉

ものから (接助) 〔形式名詞「もの」に名詞「から(故)」が付いたものから。上代から見られるが,上代ではまだ二語としての意識が強く,中古に至り一語の接続助詞としての用法が成立した〕 活用語の連体形に接続する。 (1)既定の事柄を条件として示し,逆接的に下に続ける。けれども。ものの。のに。「待つ人にあらぬ―初雁のけさ鳴く声のめづらしきかな/古今(秋上)」「月は有明にて光をさまれる―,影さやかに見えてなかなかをかしき曙なり/源氏(帚木)」 (2)既定の順接条件を表す。…なので。…だから。「さすがに辺土の遺風忘れざる―,殊勝に覚えらる/奥の細道」「みづからよはひを断せ給ふ―,罷事(ヤンゴト)なくて兄の皇子御位に即せ給ふ/読本・雨月(白峯)」 〔(2)は中世から見られるが,近世の擬古文では,この方が一般的となる〕

もの-がら【物柄】🔗🔉

もの-がら 【物柄】 物や人などの質。「―のよきがよきなり/徒然 81」

モノカルチャーmonoculture🔗🔉

モノカルチャー [3] monoculture (1)一種の作物だけを栽培する農業。 (2)単一,または少数の一次産品に依存する経済構造。旧植民地の発展途上国に多くみられる。

もの-ぎ【物着】🔗🔉

もの-ぎ [3] 【物着】 衣服をつけること。特に能で,演者が退場せずに後見座で装束の一部をとり替えること。

ものぎ-の-あいかた【物着の合方】🔗🔉

ものぎ-の-あいかた ―アヒカタ 【物着の合方】 歌舞伎の下座音楽の一。時代狂言で,舞台上で着物を着替えたり,鎧(ヨロイ)をつける間をつなぐ合方。

もの-ぎき【物聞き】🔗🔉

もの-ぎき 【物聞き】 敵陣に忍んで様子を探り聞くこと。また,その人。遠聞き。「―に出したる者ども/常山紀談」

もの-ぎせ【物着せ】🔗🔉

もの-ぎせ [4][3] 【物着せ】 能で,演技者に装束を着せること。また,その人。大正時代ごろまで,これを専門とする職分があった。現在はふつう楽屋で着せる場合にいう。

ものき-ぼし【物着星】🔗🔉

ものき-ぼし 【物着星】 手指の爪にできた白い斑点。女性などは衣服を得る前兆として喜んだ。爪の星。「―形身をもらふ情なさ/柳多留 23」

もの-きよ・し【物清し】🔗🔉

もの-きよ・し 【物清し】 (形ク) (1)何となく清い。「―・くすまひたり/宇治拾遺 13」 (2)何となく上品である。立派である。「―・き御なからひなり/栄花(初花)」

もの-ぎわ【物際】🔗🔉

もの-ぎわ ―ギハ 【物際】 (1)まぎわ。せとぎわ。「はやりて鑓(ヤリ)を入れば,―にて精がぬけて鑓が弱き物なり/三河物語」 (2)盆・暮れなど物日の直前の多忙な時期。「若衆の手づから十露盤(ソロバン)はじき,―に魚屋呼びつけ/浮世草子・禁短気」

もの-くい【物食い】🔗🔉

もの-くい ―クヒ [0] 【物食い】 〔「ものぐい」とも〕 (1)物を食うこと。食べること。「―ノ悪イ馬/ヘボン」 (2)女性と関係を結ぶこと。「―の悪いのが可惜(アツタラ)瑜(タマ)に疵(キズ)だつて/浮雲(四迷)」

もの-ぐさ【物臭・懶】🔗🔉

もの-ぐさ [0] 【物臭・懶】 (名・形動)[文]ナリ 〔古くは「ものくさ」〕 (1)何かすることを面倒がること。また,そのような性質や人。また,そのさま。ぶしょう。「―な人」「―をする」 (2)「ものぐさぞうり」に同じ。

ものぐさ-ぞうり【懶草履】🔗🔉

ものぐさ-ぞうり ―ザウ― 【懶草履】 足の裏の半ばまでしかない,短い草履。足半(アシナカ)。ものぐさ。「藁縄,帯にして,―の破れたるをはき/御伽草子・物臭太郎」

もの-ぐさ・い【物臭い・懶い】🔗🔉

もの-ぐさ・い [4] 【物臭い・懶い】 (形)[文]ク ものぐさ・し 〔中世後期頃まで「ものくさし」と清音〕 (1)(何かをするのが)おっくうだ。面倒だ。大儀である。「何をするのも―・い」 (2)何となく怪しい。うさんくさい。「この内は―・し。捜せや捜せ/浄瑠璃・碁盤太平記」 (3)病気で体がだるい。気分がすぐれない。「―・くなりて,死ぬべき時に/仮名草子・仁勢物語」 (4)何となくくさい。どことなく嫌なにおいがする。「女君は,程ふるままに―・き部屋に臥して/落窪 1」

ものぐさたろう【物臭太郎】🔗🔉

ものぐさたろう ―タラウ 【物臭太郎】 御伽草子。二巻。作者未詳。室町時代成立。信濃国の物臭太郎は無類の無精者であったが,歌才によって宮中に召された。彼は皇族の末で善光寺如来の申し子とわかり,信濃の中将にまで出世し,死後,おたがの大明神とあがめられる。民間説話を素材にした立身成功談。おたがの本地(ホンジ)。

もの-ぐら・し【物暗し】🔗🔉

もの-ぐら・し 【物暗し】 (形ク) 薄暗い。「―・うなりて文字もかかれずなりにたり/枕草子(三二一・能因本)」

もの【者】(和英)🔗🔉

もの【者】 a person.→英和 …という者 a man called….

もの【物】(和英)🔗🔉

もの【物】 (1)[物]a thing;→英和 an object (物体).→英和 (2)[物質]a substance;→英和 a matter.→英和 〜の分かった sensible.→英和 〜がいい be good;be of good quality.〜の数でない be insignificant.〜にする master;→英和 obtain (得る);→英和 succeed.→英和 〜になる[計画などが]materialize;→英和 be realized;be a success.→英和 〜にならぬ fail;→英和 come to nothing.経験が〜をいう Experience will tell.

ものいい【物言い】(和英)🔗🔉

ものいい【物言い】 an objection (抗議);→英和 the way of speaking (言いかた).〜をつける raise[make]an objection.

ものいみ【物忌み】(和英)🔗🔉

ものいみ【物忌み】 abstinence.→英和 〜する fast.→英和

ものいり【物入り(になる)】(和英)🔗🔉

ものいり【物入り(になる)】 (mean,involve) heavy expenses.

ものいれ【物入れ】(和英)🔗🔉

ものいれ【物入れ】 a container (容器);→英和 a glove compartment (車運転席の).

ものうい【物憂い】(和英)🔗🔉

ものうい【物憂い】 be[feel]weary[tired,languid,depressed].物憂げに wearily;languidly.→英和

ものうり【物売り】(和英)🔗🔉

ものうり【物売り】 a peddler (行商人);a hawker (呼売人).→英和

ものおき【物置】(和英)🔗🔉

ものおき【物置】 a storeroom;→英和 <英>a lumber room;a barn (納屋);→英和 a loft (天井裏の);→英和 a cellar (地下の).→英和

ものおじ【物怖じする】(和英)🔗🔉

ものおじ【物怖じする】 be timid.

ものおしみ【物惜しみ】(和英)🔗🔉

ものおしみ【物惜しみ】 stinginess.→英和 〜をする(しない) be stingy (generous).

ものおと【物音】(和英)🔗🔉

ものおと【物音】 a noise;→英和 a sound.→英和

ものおぼえ【物覚え】(和英)🔗🔉

ものおぼえ【物覚え】 memory.→英和 〜が良い(悪い) have a good (poor) memory.→英和

ものおもい【物思い】(和英)🔗🔉

ものおもい【物思い】 meditation;anxiety (心配).→英和 〜に沈む be lost in thought.

ものかげ【物陰】(和英)🔗🔉

ものかげ【物陰】 cover;→英和 shelter.→英和 〜に隠れる take cover;→英和 hide (oneself).→英和

ものがたり【物語】(和英)🔗🔉

ものがたり【物語】 a story;→英和 a tale;→英和 a novel (小説).→英和

ものがたる【物語る】(和英)🔗🔉

ものがたる【物語る】 tell;→英和 relate;→英和 describe;→英和 recount.→英和

ものぐさ【物臭な】(和英)🔗🔉

ものぐさ【物臭な】 lazy;→英和 idle.→英和

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